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第4章 少年期〜青年期 学園3学年〜卒業編

16話 初めての“加護“に引き続き・・・

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 はい、どうも、僕です。今、新たな懸念事項に頭を悩ませてます・・・・

(“加護“って意外と汎用性が高いな、でもこの事が他の人に知られたら面倒なことになるな・・・)

 もし、今、自分が他者に“加護“を授けれる事が知られてしまったら、“僕の“加護“を欲しがる人達が殺到するのではないか?それに、その事で家族に迷惑がかかるよね?“と、言う可能性が出てきて、僕は眉根に皺を寄せて考え込んだ。その間この光景を目撃した家族は、最初は驚きの光景に固まっていたが、数秒してそれを起こした僕に心配そうな視線を向けていた事に僕は気づいてなかった・・・

父様「アトリー・・・」そっ

ビクッ!「っ!・・・父様・・・」

父様「アトリー?大丈夫かい?」

 考え込んでいた所に急に肩に手を置かれて、つい反射的に驚き、身構えてしまった僕に、父様が悲しそうで心配そうな表情で僕を見ていた。

「・・・あ、ごめんなさい父様、ちょっと考え事をしてたんで・・・えっと、先程の事は・・・僕にも初めての事なので正確な効果は分かりませんが、僕がカイ兄様に“幸福の祝福の加護“を付与してしまったみたいです。大丈夫ですよ。変な効果はついてませんから・・・」

 僕は父様のその表情を見て、誤魔化すように笑い、今起きた現象の事を軽く説明した。僕の説明に全員が驚いていたが、先程の僕の反応に全員が気にかけていることにも気づいた。それでも僕は心配させないようにさらに笑顔で、

「心配ないですよ、“加護“は僕の心の底から望まないといけないので、誰にでも与える事ができないらしいんです。だから大丈夫で、「アトリー、無理して笑わなくて良いんだよ?」す・・・と、父様?」

 自分自身を落ち着かせる言い訳のように大丈夫だと繰り返し説明していると、途中から話を遮るように父様が僕の肩をそっと抱き寄せ、そう言ってくれた。

父様「アトリーはさっき、“「自分のこの能力が他の人に気づかれた時、“加護“を目当てに近づいて来る人達が増えて、家族に迷惑がかかってしまう」“、こう思ってしまったんじゃないかい?」

「っ!!・・・」

 自分の心内を正確に言い当てられ驚いたが、僕は父様達によく心内を見透かされる事が多いので隠しても無駄だと分かってはいるが、どうしても前世からの癖で自分でどうにしなければと思って、反射的に自分の悩みなどを隠してしまう傾向にある。その事もよく理解している家族が心配している事もわかっているので、僕はまた申し訳なくなって・・・

「ご、めんなさい・・・」

 と、謝ることしかできなくなるのだ。

父様「アトリー、謝らなくて良いんだ。今、アトリーが不安に思っている事を話してくれないか?少しずつでも良いんだよ。アトリーの考えていることを私達に教えてくれないかい?」

「父様・・・、僕、し、知らなかったんです。“神様“でもないのに“神力“でこんな事ができるなんて・・・ただ、本当に、カイ兄様の幸せを、願っただけなんですっ・・・・」

父様「うん、分かっているよ。アトリーが本心からカイの幸せを願ってくれたことを疑ってはないよ」

母様「えぇ、誰も疑ってないわ。アトリーが優しく思いやりがある子だって、皆んな知ってるから、落ち着いて、急がなくていいの・・・」

 不安で詰まりながらも早口で喋る僕を落ち着かせようと、母様がそばにきて背中を撫でてくれる。

「で、でも、こんな事になっちゃって、・・・ぼ、僕、どんどん、人じゃなくなっていってる、それなのに、僕はその変化に馴染んでいっているのが怖くて・・・その内、僕が僕じゃなくなったら、・・・どうしよう・・・・」

(人としての意識が認識がどんどん薄れていってしまったら、どうしよう、それでも僕の家族は、・・・僕を、まだ、“家族“、だと思っていてくれるかな・・・)

 こんな、隠し事が多く厄介な体質の上に、さらに人外の力まで身につけてしまった自分を、果たしてデューキス家の家族はいつまで家族として扱ってくれるんだろうか、“神力“を身につけてから心の奥底ではこんな不安がずっと渦巻いていた事に、今更だが自分自身も初めて気付かされて、不安が湧き上がり、どんどん大きくなって、今にも溢れ出しそうになった。

「「「「「っ、アトリー・・・」」」」」

「そ、それに、さっきから、“神力“が膨れ上がるのが止まらないんです・・・僕、このまま・・・・」(人じゃなくなるんじゃ・・・)ポゥッ

 何故か先程から“神力“増えていくのに気づき、自分自身の中に留めておく事ができず、身体の表面から“神力“滲み出して来ていた。そして、とうとう、瞳にまで“神力“が行き渡り、希少だとされるアメトリン鉱石の瞳の色に更なる輝きが灯った。

「っ!・・・・・・」(また“神力“が暴走してる!不用意に皆んなを見ちゃだめだ!)

 瞳に力が宿った事に気づいた僕は、咄嗟に家族から一歩下がり、俯き自分の手で瞳を覆った。

夜月『落ち着け、アトリー』

天華『アトリー、今は神殿にいるから一時的に“神力“が強化されているだけです。ちゃんと落ち着いて“神力操作“をすれば、“神力“が体内に戻り瞳も元に戻りますよ』

(っ・・・分かってる、分かってる、けど・・・“神力“の増加が止まらないんだ・・・)

 夜月達に落ち着くように言われて、必死で自分を落ち着かせようと試みるも、どうやっても“神力“の増加が止まらない、その事でさらに不安が増し、混乱で“神力操作“がますますできなくなっていく、負のスパイラルに陥ろうとしていた。このままでは“神力“を暴発させ、何が起こるかわからない状態危険な状態になってきた。この状態の僕を周囲にいる家族が心配して、どうにかしようと動き出そうとした・・・

夜月『(ちっ!さっき大司教がアトリーを拝んだ影響が出て来ているな、これじゃあ、アトリーを大司教に近づかせなかった意味はなかったな、これだから敬虔な聖職者の祈りは“神力“に大きな影響が出て困る。仕方ない、天華。これは一度、“神力“を発散させるしかないか?)』

天華『(精神的な不安からも、冷静になることができてないですからね。あまりお勧めできないですが・・・)』

天華『アトリー、そのままで構いませんから、どうか聞いてください。その増えた“神力“を抑え込まず、体外に出してください』

「えっ!?いいの!?」

 突然の指示にびっくりした僕は、思わず声に出して天華に話しかけていた。

天華『はい、構いません、でもその“神力“の手綱は離さず、手のひらに集中させてください』

「・・・“神力“を身体の外に集めるの?」

 天華の指示は最初と違って、“神力“を身体の外に出すといったもので、その指示に従っても大丈夫なのかと思いつつも、今は自分自身の“神力“を押さえ込むことができな状況下では、その指示に従う他ないのが現状だ。

天華『はい、今から教える事はもっとアトリーの“神力“が落ち着いてから教えるつもりでしたが、今はそんな悠長な事はいってられませんので、私の指示に従って慎重に進めてください、そしたら今の“神力暴走“は治るはずです』

「!う、うん、やってみるよ・・・ちなみに、その指示に失敗するとどうなっちゃうの?・・・」

 一旦、天華の指示に素直に従うと決めたが、少し怖くなってそう聞いてみると・・・

天華『そうですね。神殿一帯に何かしらの影響が出るのは間違いないでしょうね。良くも悪くもね・・・』

(ひぇ(・Д・))「・・・し、失敗しないように頑張る、それにそれで“神力暴走“が治るなら尚更・・・・っ・・・ふぅ、できた・・・で、次は何をすればいいの?」

 天華にそう言われて、“神力暴走“が治すためならばと、気を引き締めた僕はすぐに最初の指示に従い、体内から溢れ出していた“神力“を自分の意思で塊として手のひらの上に集め、次の指示を求めた。

天華『良いですよ。やはりアトリーは“神力操作“がとても上手ですね。では、次はその“神力“の塊をなんでも良いので自分の持ちやすい“物“を想像しながら圧縮してその形を作ってください』

「僕が持ちやすい“物“??」

ジュール『そう、常に身に付けれる“物“が良いよ。それこそ、アクセサリーで指輪とか腕輪、ネックレスとか、直接肌に触れるものが理想的だって』

「肌に触れる装飾品?それを“神力“作るの?・・・ねぇ、今作ろうとしているのはなんなの?ただの装飾品を作るってだけじゃないんだよね?」

天華『はい、そうですね、今していることは、純粋な“アトリーの神力“だけで作る“神器“の制作方法です。なのでアトリーの最初の“神器“になります。アトリーが得た“神力“の活用法、ここら辺の説明はアトリーの“神力“が身体に馴染み、安定して来た時に説明しようとしていたんですが、予想よりアトリーの“神力“の馴染み早く、“神力“が増加していっているので、急遽、このようなタイミングですが、“神器“の制作で“神力“の暴走を治める事にしました』

「!?、“神器制作“・・・えっと、じゃあ、何かの効果が付くの?・・あれ?“神器“の効果って勝手に付与されるものなの?」

天華『いいえ、“神器“は“加護“と同じで、付与する効果は“神力“の持ち主の意思一つで効果を決める事ができます。ですが“神器“にするために付与する“物“が“既存の物“、元から形がある“物“の場合、その“物“によって制限はありますが、純粋な“神力“だけで作られる“神器“は制限がないので形にとらわれない、付与が可能です。なので出来れば形を創り出すときにその付与の内容も念じながらすると、より効果が高い“神器“ができますよ』

「う、うーん、やり方は“加護“と同じ要領なんだね?・・・じゃあ・・・・」

 天華とジュールの話を元に身につけられて、役に立つ効果のある“物“を思い描いた。ついでに念話で気になった事を聞いて、それも参考にして“神力“を圧縮し思い描いた形と効果になるように強く願った・・・

 その間、僕の周りにいた家族を夜月が元の身体の大きさに戻って、僕から距離を取らせていた。家族全員は心配そうな表情でさっきのやり取りを見守り、次に起こることに固唾を飲んで注目していた。

「っ・・・もう少し・・・・で、できた!」(“神力操作強化神器“の出来上がり~~~♪)*ドラ○もん風で…

 少しずつでも確実に形を変えて出来上がった“物“は、幼少期にずっとつけていた魔力封印の魔道具のブレスレットに良く似た“物“だった。

 僕は“神力暴走“のことで幼少期につけていた魔道具を思い出し、天華に自分自身の“神力“で創り出した“神器“でも自分自身の“神力“の制御は可能なのか?と聞いたら、『可能です』と、返事が返って来たので、それならば、と思い、昔の記憶の中から魔力封印の魔道具の形を探し出し多少のアレンジを加えて、“神力“を制御するためのブレスレット型の神器を創り出した。

「「「「「アトリー、それは・・・」」」」」

「ふぅ・・・これでもう皆んなを危険に晒さなくて済む・・・父様、母様、皆んな、僕、これでもう“神力暴走“を起こさないようになりましたよ♪」ガチャッ

 ほらって、つけて見せたら・・・・

母様「っ!「ダッ!ギュッ!」アトリー!貴方って子は・・・っ・・・」

 母様が涙目で駆け寄ってきて、僕を強く抱きしめた。

「母様??」

(なんで?なんで泣いているの?もう、“神力“はこのブレスレットで完全にコントロールできるようになって、ちゃんとおさまったのに・・・(*´ー`*)??)

 おかしいところは何もないはずなのに、と首を傾げる僕を家族全員が涙を堪えるような表情で僕を抱きしめている。

「???どうしたんですか???」

 僕は家族が何故泣いているか分からず、ただ首を傾げるしかなかった。













*どうも、舞桜です。
 ここ数週間ご心配をおかけしておりましたが、この度順調に続編を書き出しておりますことをご報告までにお知らせいたします。
 今の投稿の感覚は未だランダムではありますが、その内、大量に書き溜め、以前のように三日に一度の投稿に戻したいと思います。皆様の応援を受けて更なる作品の向上を目指しておりますので、今後ともご愛読いただけると幸いです。
 では、また次回の投稿をお楽しみください。

 by舞桜
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