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第4章 少年期〜青年期 学園3学年〜卒業編

8話 再び

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 どうもー、僕でっす☆彡

 学園で一悶着あった後その後は順調にお屋敷まで帰って来た僕ですが、今、やっべいぞっ!って感じの状況に陥っております!

「ね、ねぇ、これってここ?にあっていいものなの?」

夜月:『いや、それは、・・・良いのかダメなのかは判断ができないな・・・』

 と、珍しく夜月が言い淀んだ程の事態です・・・

・・・・数分前・・・・

 学園から帰ってきた僕とソルは着替えを済ませ、いつも通り僕の部屋でのんびり学園で出された課題をしながらお喋りをしていた時・・・

「はぁ、なんかなし崩しでイネオス達にも僕が精霊が見れることがバレちゃったね・・・」

ソル「そうですね、ですがイネオス達は薄々アトリーが精霊を見ていることに気づいてた様でしたし、そう、悲観するほどの事もないんじゃないですか?」

「そうだけど、なんか精霊が見れることを黙ってたのが皆んなを騙していたみたいで申し訳ない感じがするんだよ」

ソル「・・・ふむ、アトリーがそう思うのは分かりますが、イネオス達はアトリーがその事を隠した理由はちゃんと理解できていると思いますから、気にしないほうが良いですよ」

 残念エルフ達との一悶着の時に、サラッと僕が精霊が見れることが分かる様な発言をイネオス達の前でされた。その流れで僕は帰り際にその事をイネオス達に打ち明けると、イネオス達は大して驚きもせず、むしろ、やはりそうだったか見たいな空気だったので、なんか、黙っててごめんで感じで罪悪感が出てきていた。

「そうかなぁ、それなら良いんだけど・・・あ、そう言えば、母への感謝の日のお菓子、ソルの母様は喜んでた?」

ソル「あ、はい、とても喜んでくれましたよ」

「そっか、良かったね、いっぱい作った甲斐があったね」

 帰ってきて真っ先に自分達の母様の所に行き、今日の“母への感謝の日“、日本で言うところの“母の日“、この国だと、日にちが5月の15日と決まっている。なのでこの時期になると母様に毎年何かしらのプレゼントを用意する。今年は何をプレゼントしようと悩んでいた所に、調理の授業がそう言うお題で授業が行われたので、これ幸いと調子に乗って作り過ぎたと言う経緯だ。

(まぁ、多めに作ったお菓子の大半は精霊達に食べられちゃったけどね・・・(*´Д`*))

 そうしてわちゃわちゃと話しているうちに課題も終わり、まったりお茶をしていると、僕はふと、ある事を思い出した。

「あ、そう言えば、少し確かめたい事があったんだった・・・」

ソル「アトリー、何か気になることがありましたか?」

「あー、うん、ここ最近僕の夢見が悪くて、寝不足気味なのをソルも気付いているだろう?」

ソル「・・・はい、気付いてはいました・・・」

 僕の言葉にとても言いづらそうに答えたソルに、僕は天華達にも言ったように、僕にその事を黙っていた事は気にしてないと言い、自分の中で渦巻く何かについても話した。

ソル「アトリー、それは、あの邪神の影響ですか?」

「いいや、そんな邪悪なものではないと思うよ、それに僕の害になるようなものは、この加護の結界が正常に機能しているうちは全て排除されるから心配いらないよ、加護の結界も以前より強化されているから尚のことね・・・」

ソル「・・・そうですか・・・では、どのような力の影響でしょうか?・・・・」

「それなんだよね、それが分からないか、ちょっと今から確認しようと思うんだ」

 ソルも疑問に思ったそれを僕は今から確かめたいのだと話すと・・・

ソル「それは、大丈夫なのですか?アトリーの体に害はないとはいえ、何が起こるか分からないんですよね?」

「そうだね、どうなるかは分からないんだけど、このままにしておくのもいけないと思うんだ。僕の不調をずっと心配させるのは心苦しいよ」

ソル「ですが・・・」

「大丈夫だよ、夜月や天華、ジュール、それに精霊達も見守ってくれてるから、なんなら神様達も見守ってくれているはずだ。それに僕に何かあったらすぐに対処してくれる。僕はソルも頼りにしているよ」

ソル「・・・ふぅ、分かりました。何かあったら全力でお守りします・・・」

「ふふっ、ありがとう、頼もしいよ♪」

 最近は体が大きくなっていくつれに益々頼もしさが増していくソルに、僕は安心して任せることが増えてきて、さらに友情が深まっていっている事が実感できている。そんな幸せを噛み締めながら僕は、この話を聞いてすぐに僕の元に集まってきていたジュール達を撫でた。

夜月:『では、まず最初に瞑想して見るところから始めるか、寝台の上ですると良いだろう』

「うん、分かった」

 夜月の指示通り、寝室に行きベットに靴を脱いで上がり、そこであぐらを組んで座り瞑想の姿勢をとって目を瞑った。

「すぅーーーーーー、ふぅーーーーーーっ・・・・」

 深く息を吸って吐く、これを一定のリズムで繰り返し、深く自分の内側に意識を向ける。

(自分の中にある軽い違和感、何かが体?心?のどこかで突っかかっている感覚。それを探す・・・・)

天華:『焦らず、ゆっくりと頭のてっぺんから爪先まで水が浸透するように魔力で体の内部を探っていってください・・・』

(うん・・・・)

 天華が示したやり方で深い呼吸を繰り返しながら魔力を動かしていると・・・・・

(ん?・・・これは・・・・)

 違和感を強く感じたのは丁度心臓がある辺りの胸の真ん中、女性で言うなら谷間の中心ぐらい、そこに全意識を集中し、魔力でゆっくり接触を図った・・・

(何だろうこれ、温かい?冷たい?違和感があるような、懐かしいような、力強い気配・・・)

夜月:『アトリー、意識を持っていかれないように意識を強く持ち、慎重にその気配の内側に魔力で接触するんだ』

(分かった、やってみる・・・・)

 すぐに意識的に気配の内部に侵入するため魔力を浸透させる、すると・・・・

(・・・っ!?な、何!?)

「くっ!!魔力が!!」ぐらっ

 気配の中に浸透させた魔力が急激に引っ張られ、強制的に吸収されていく感覚がした。それと同時に意識も持っていかれそうになり、目眩がしてきて体がぐらつく。

ソル「アトリー様!?」

 僕が後ろに倒れそうになって、ソルが慌てて近寄ってくる。

「っ、魔力が、どんどん、吸われていく・・・・制御が、きかない・・・」

天華:『アトリー、意識を強く持って!魔力をゆっくりと流すように心がけてください!』

「うっ!わ、分かった・・・ぐぅ・・・」

 普段押さえている魔力まで引き出され、制御が不安定になり一瞬で部屋中、いや、屋敷全体に僕の魔力が広がったのを感じた。それを感じ、もっと魔力の流れを絞らなければと、強く思うように心がけ、引っ張られそうな意識を何とか必死に保とうと体に力が入る、強く力を入れている影響か額から大粒の汗が流れ出した。

「・っ・・ぐぅっ・・・」

夜月:『その調子だアトリーそのまま徐々に絞るんだ、・・・・後もう少し、・・・もう少し細く、・・・小指が通るぐらい細く!、・・・!、そこだ!その入り口を固定する様に強く思うんだ!!』

「うっ!・・・・くぅぅ・・・・・はぁっ!!っ、・・・こ、固定できた?」

夜月:『あ、あぁ、固定できているはずだが・・・・』

 やっとの思いで指示された事ができ、入っていた力を抜き、イメージ通りにやれたかと夜月達に聞いてみたが、何故か曖昧な返事が帰ってきた・・・

「え、できてるの?できてないの?・・・・・・えっ!!?な、何これ!?何で!!?」

 夜月達が居る方向を見ると、部屋の中にあった大きめの姿見にうつった自分の姿を見て僕はとても驚いた。姿見に写った自分の体の全体は強い光を放ち、瞳も珍しい色のまま輝きが増していた。

「ね、ねぇ、これってここ?にあっていいものなの?」

夜月:『いや、それは、・・・良いのかダメなのかは判断ができないな・・・』

 夜月が言い淀むのも仕方のない状況だ。何故なら、今自分の身に起こっている事を三年前のあの日に実際に体験していて、その体験はあの時限りだと思っていたからだ・・・・

・・・そう、今の自分の状態は三年前のあの襲撃事件で神々の支援を受けながら使用した、“神力解放“の状態が再現されている。夜月達が驚くのも無理はない、今僕は、神々の支援を一切受けてない状態だからだ。何故なら以前に使用した感覚とは微妙に異なる“神力“の気配に、自分自身でも困惑して、ソルなんて珍しく口をポカーンと開けたまま驚いている。

「ど、どうしよう!?これ、神様からの助力でこうなっているんじゃないよね!?」

ジュール:『う、うん、“主神様の神力“の気配は感じないよ。主神様も自分は関与してないって・・・』

「て、ことは、この“神力“どこからきてるの!?」

(ど、どうしよう!?これ制御できるの!?何で、僕の身体にこんな事が!?)

夜月:『アトリー!落ち着け!』

 一応この力の出どころをジュールに確認した所、やはりティーナちゃん達の“神力“ではない事がはっきりした。そこがはっきりしたのはいいが、更なる疑問が持ち上がった。それはこの“神力“はどの神から送られて来ているのか、出どころ不明の得体の知れない力が自分の体を通して出てきている現実に、僕はパニック寸前、夜月が僕を落ち着かせようと近寄ってきていた時・・・・

 ドンドンッ!ガチャッ! バタバタバタバタッ! バンッ!

「「「「「アトリー!?・・・・なっ!?」」」」」

「と、父様、母様・・・」

 急に慌てた様子で僕の部屋に入ってきたのは王都の屋敷にいた家族全員とその専属使用人達だ。どうやら、先程の魔力の開放時に僕の魔力を感じた家族は、瞬時に僕に何かがあったと察して慌てて僕の部屋に集まって来たのだろう。そんな家族思いの家族の顔を見て、僕は助けて欲しいと思い、すがるような情けない声で両親を呼んだ。

父様「アトリー!!どうしたんだこれは!!」

「父様、分からないんです。ここ最近の、自分の寝不足の原因を探るために、自分の中にある違和感の正体を探ろうとしたら、こ、こんな事に・・・ご、ごめんなさい・・・」

母様「アトリー、謝らなくて良いわ、原因は分からないんでしょう?あなたが悪い訳じゃないのだから、謝らないで?それより、アトリー、体の方は何か異変はあるかしら?」

「あ、えっと、どこも異変はないです・・・むしろ、最初より体調がいいです・・・」

 自分の寝不足の原因であったはずの何かが、今、“神力“として外に出たことで、これまでのモヤモヤした感じがなくなり、むしろスッキリしていた事に気づいた。

(本当に、この“神力“が原因だったのか?・・・コレのせいで家族にに心配をかけてたのか?・・・)

 首を捻るばかりの僕のいる寝台に母様が近寄ってきて横に立ち、僕を手招く、僕はそれに応えるように恐る恐る近づいて行き寝台の端に座った。

母様「これは、“神力“よね?触れても良いのかしら?」

 と、聞いてきたので、僕は僕の後ろにくっついて来ていた夜月達に視線をやると・・・

夜月:『基本“神力“は人を傷つける事はないが色んなものを活性化してしまうので、使用者以外が長く触れると危険だぞ』

母様「そうですか、なら大丈夫ですね・・・」

「ひゅっ!!?」

(っ!?駄目だ、触っちゃ駄目なやつだ!)

「っ!母様!危険です!」

 夜月の話を聞き躊躇なく“神力“を纏う僕の頬に触れてきた母様に、僕は驚き、身を引こうとしたら、母様は僕を逃さないように抱きしめた。

「か、母様!!駄目です!離して!」 バタバタッ

(な、何で、何で離してくれないの!?母様に何かあったら僕は僕を許せなくなっちゃう!それに、家族皆んなの母様を奪う事になったら、皆んなから嫌われちゃう!今の状態の僕はここに居たら駄目だ!!)

母様「アトリー、落ち着いて、大丈夫よ、大丈夫、驚いたわよね、怖がらなくていいわ・・・」

「か、母様?・・・」

 必死に母様の腕から出ようともがいたが母様の力が強く離れず、僕はひどく困惑していた、だが、それでも僕を離さない母様がゆっくりと落ち着いた声で僕を宥める、それは、今、自分に影響がある“神力“に対しての言葉ではなく、僕が“神力“を纏ってしまった事に混乱していることへの宥めの言葉だと気づいた。

母様「大丈夫よ、アトリー、貴方なら、“神力“だってちゃんと制御できるはず。結論を慌てないで、母様達はアトリーの事を嫌いになったりしないから・・・ほら、母様は大丈夫・・・だから、ゆっくり、深呼吸して、落ち着いて、皆んなで解決法を探しましょう?」

「!!?っ・・・・」

 母様は僕が考えている事をすぐに気がついたみたいだった・・・

(制御ができなくなる様だったら家を出て行こうとしてるのに気づかれた?)

「か、母様・・・ぼ、僕・・・」

 僕は最初から“神力“の制御を諦め、安易な手段で家族から自分という危険を遠ざける方法を取ろうとしていたことに今更気づいた。

「ご、ごめんなさい・・・この状態の解決法を考える努力もせず、逃げ出そうとした、卑怯な僕を引き留めてくださってありがとうございます・・・」

母様「良いのよ、アトリーは優しいから皆んなの心配をしてくれたんでしょう?卑怯じゃないわ、だから謝っちゃ駄目よ」

「は、い・・・」

夜月:『・・・よし、落ち着いたな・・・、じゃあ、その“神力“の制御方法を今から教えるぞ・・・』

「「「「「へっ!?」」」」」

 夜月の発言に全員がびっくり・・・・・


















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