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第4章 少年期〜青年期 学園3学年〜卒業編

3話 不眠症?

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「・・・分かりました、放課後にご用件をお聞きします。場所はこちらが用意する場所でよろしいでしょうか?」

セリニデュシス第2王女殿下「はい、構いません」

「では、授業が終了しましたら、この教室から指定の場所まで移動いたしましょう。あと、お付きの方がおられる様でしたら、ご遠慮なさらずに連れて来られてください、自分も従者を連れていきますので・・・」

 向こうの話の内容によっては聞かれると困ることが出そうなので、この教室ではなく具体的な場所を言わずに移動を提案してみたが、反対意見はなく、話し合いの場所の移動に同意してくれた。

セリニデュシス第2王女殿下「・・・お気遣いありがとうございます。では後ほど・・・」

「えぇ、後ほど・・・」

 そう言って僕らは穏やかに話を終わらせ、それぞれ昼食を取るために別れた。

(さて、今日の放課後はどうなることやら・・・(。-∀-))



 はい、どうも、僕です。先程、上記のように放課後の予定が決まってしまった僕です。
 そして今は、いつもの場所でのんびり話をしながら昼食をとっています。もちろん話題は、先程起こった放課後の話し合いへのお誘いの件・・・・

「やっと、向こうの要件が聞ける様になったのは良いんだけど、あの言い回しで僕の意図は伝わったって思っても良いのかな?」

ソル「流石にここまでお膳立てされて気づかないはずはないと思いますが・・・」

イネオス「どうだろうね?話の内容次第だけだろうけど、3人とも来るか、最低でも1人来るかはその時になってみないと分からないんだよね?」

(うーん、そうなんだよねぇ“エルフ系“の2人の話は十中八九、僕についてくる精霊達についての話だとは思うんだけど、それを“鬼族“の彼に聞かれても良いと思ってる、もしくは“エルフ系“2人にしてみるとその話が国家機密並みに重要かどうか、それにもよるなぁ(*´Д`*)・・・“鬼族“の彼の話は僕の血筋についてだと思うけど、それも機密に相当するものかどうかは僕には分からない、要は価値観の違いの問題でもある。そもそもこの予想は僕の予想であって、本当にこの話をするかも分からない。だから、あの時も諸々を考慮して、あえて、他の2人を呼ぶかどうかを向こうに委ねたんだけど・・・(*´ー`*))

ベイサン「そもそも、彼らは互いの要件の内容を知ってるかどうかじゃないか?」

ヘティ「そうね、最近、御三方はよく一緒におられるみたいだから、互いの要件は知ってる可能性もある訳だけど、そこは要件の重要度次第かしら?」

ロシュ君「そうですよね、皆さん、お国が違いますから、お国の機密に関することだったら大変ですし・・・」

「まぁ、そう言うことだね、そこを彼らが自分で判断して来てくれると思いたいね。その意図が伝わってればいいけどね」

(よく相談の上、お越しくださいってことで・・・(*´Д`*))

 こうして、さっきの話し合いの約束の中で、いい含めた事が向こうに伝わって、向こうが自分たちの要件が共有してもいいと思ってるなら面倒な話し合いが一度で済むが、そうじゃなければあと2回は僕の放課後を他2人の話し合いに当てることになるだろう。そんな感じで食事をしながら話していると食後のお茶をする頃には話題は彼らの要件の内容になっていた。

ヘティ「それにしても、あの方々は何故あそこまでアトリー様との対話を望まれるのでしょうか?」

イネオス「そうだね?どんな内容の要件なのか少し気になりはするね・・・」

ロシュ君「やはり、かなり重要な要件なのでしょうか?」

ベイサン「そうかもしれないけど、向こうは違う国の人で人種も違うからな、アトリー様の加護に関して気になる事があるとかかもしれないだろ?特にあの3人の国は宗教が違うから」

ソル「確かに・・・」

(確かにベイサンの言うこともあるかもだけど、それが根本にあると言っていいか、原因と言っていいか、“エルフ系“の2人は精霊信仰で精霊の存在が1番って感じだからな、そんな人達が僕のような人族がやたら精霊に好かれているのが気に食わないと思っているかもしれない。そのせいか、ここ数年、精霊が見える彼らの視線がうるさいので、外で僕が精霊達と交流ができなくなって、春雷と雪花とも屋敷以外で気軽に話すこともできなくなっちゃって、精霊達には我慢してもらってばかりで本当に申し訳ないんだよな・・・・(*´ー`*))

春雷&雪花『『気になさらないでください』』

(そう?でも、気になった事やしたい事があったら遠慮なく言ってね?)

春雷&雪花『『はい♪』』

 こんな感じで、姿は見えないけど契約している精霊達の声は聞こえている、でも一言二言喋るぐらいしかできなくなって少し寂しい。他の精霊達に至っては、意図的に見えないように“真眼“のスキルを調節しているので、ここ最近は姿を見ることも声も聴くこともできていない。おかげで、一日一回の歌のリクエストに応えられていないのだ・・・

(しかし、今回の話の内容次第では皆んなにも僕とソルが精霊を見えるってことを話すかどうか決めないといけないんだよなぁ。向こうが友好的な話し合いなら良いけど、僕が魔道具かなんかを使って精霊達を操ってるって勘違いされてたら面倒くさいことになりそうだよな(。-∀-))

夜月『まぁ、友好的な話だといいが、最悪、高位精霊と契約したのがバレて、なんでそんな事が可能だったんだとか根掘り葉掘り聞かれて騒がれるかもな・・・』

(うわっ、夜月、そんなフラグ立てないでよ!Σ('◉⌓◉’))

 夜月に変なフラグを立てられた感じはするが、それも放課後に彼らと話をしてみないことには、先には進まないなと言うことで話は終わり。僕達は食後のお昼寝をする組と次の授業の準備のために移動する組とで分かれて、その場で解散した。

 そして、僕はソルとヘティと食後の昼寝組として、いつも通りお気に入りの木の影でお昼寝の用意をして少し昼寝・・・・


・・・・アトリーが木陰に置いた、人をダメにするクッションに乗ってほんの数秒後、すぐに寝息が聞こえてきた。その綺麗な寝顔をまだ寝ていないソルとヘティが見ながら会話していた・・・・

ヘティ「・・・よくお眠りになられてますね。・・・ソル様、もしかしてアトリー様はまだ夜はちゃんとお休みになられてないんですか?」

ソル「あぁ、一時期は良くなっていたんだが、ここ最近は特によく眠れていないみたいだ・・・」

 そう、ここ最近、と言うより、3年前のあの事件があった日から少し経って、始まったアトリーの睡眠不足、それは夜の睡眠時での夢見の悪さが原因で、アトリーは体が寝ているのに夢でうなされている事で、十分な精神的疲れが取れておらず。体調には問題ないのだが精神の疲れからストレスを溜めがちになり、その夢見の悪さは日に日に酷くなっていき、つい1年ほど前に溜まりに溜まったストレスが、例の件が原因で大爆発を起こしかけたのだった。それ以来アトリーは夜の睡眠とは別に日中に昼寝をすることで精神的疲れをとるようになっていた。学園がある日はこのように昼食後に少しの間だけ寝ているのだが、その昼寝にソルやイネオス達が付き合う、と言うより見守ると言う形で習慣付いて来ており、今では午後の授業に支障が出ない人がアトリーと一緒に昼寝をするといった形になっている。

 このアトリーの夢見の悪さ、うなされている夢、と言うものは全くもって内容が不明で、アトリー本人もその夢を覚えておらず。自分がほぼ毎日うなされている事も気づいていない・・・

天華『昨日も酷くうなされてましたが、今日の昼寝だけで疲れが取れるでしょうか?』

夜月『どうだろうな、当初、夢見の悪いアトリーに月詠様が安眠の術を定期的にかけてくださっていたが、その術も使い過ぎて耐性がつき、効果が薄れていってた。その後はアトリーの精神の負担にならないよう、自分がうなされているのに気づかないように誤魔化しの術をしていただいていたが、それも最近ではその術がもっと格が上の神の指示で施せなくなったと月詠様から言われているからな、うなされる頻度が高くなって来ている。そう考えると、この短い時間での昼寝ではアトリーの精神的な疲れが取れるかは微妙なところだな・・・』

天華『やはり、そうですよね。その上今日は、放課後に精神力を削るかもしれない予定も入ってますし、少しアトリーの精神の健康面が心配ですね・・・』

夜月『そうだな、以前のようにストレスを爆発させる寸前で、感情の全てを無理やり抑え込むようなことにならないといいが・・・』

天華『そうですね、あれはアトリーの精神にとても良くありませんから・・・あの後、数日アトリーの表情がぎこちなかったですし・・・』

夜月『うなされる原因が何か、それが分かればやりようはあると思うのだがな、アトリーの両親はあの事件で胸を刺されたことがトラウマになっていると思っているが、私の見立てでは別に原因があるように思えてならない。それに、ここ最近アトリーの中から覚えのある力が感じられるんだが・・・天華、お前も何か感じているだろう?』

天華『えぇ、ここ最近、特に強く感じます。・・・でも、間違いであってほしいですね・・・あれはただびとの手には余るものですから・・・』

夜月『そうだな・・・・』

 夜月達のこの密かな会話を、神界で見ていた神々が慌てた様子で夜月達が感じている力の性質の確認と、何故それがアトリーの中にあるのか、その原因の追求のために素早く動き出していた。もし、彼らが感じている力の正体が予想通りのものだった場合、かなり大変な事態を招く事になるのだ・・・
*この間ジュールは小さい姿でアトリーの横で一緒にお昼寝していた・・・・

・・・・数十分後・・・・

 お昼寝から起きた僕は快適快眠スッキリとした気分で目を覚まし、次の授業へとご機嫌で向かった・・・



・・・そして、午後の授業が終了、今日の選択科目は“調理“だったため専門授業用の教室からクラスの教室に移動中・・・

「ふふっ、今日の調理はうまくいってよかった、今日作った物は帰って母様に1番に食べてもらおう♪」

ヘティ「ふふっ、そうですね、今日の課題は“母への感謝の日“での贈り物用のお菓子でしたから、皆さん気合いが入ってましたね。アトリー様のお菓子は特に上手く出来上がってましたし、アトリー様のお母様はとてもお喜びになられるんじゃないですか?」

「そう?喜んでくれるといいな」

ソル「奥様でしたら、アトリー様がお作りになった物ならなんでもお喜びになられますよ。それに、アトリー様のお作りになったものはどれも美味しいですから、心配は入りませんよ」

ヘティ「そうですよ、種類も豊富でしたから飽きませんし、むしろどれを先に食べるかで迷われるんじゃないですか?」

「うーん、そうかな?でも、作り過ぎちゃったかな?」

(流石に焼き菓子6種類は作り過ぎか?(*´Д`*)味も色々変えたから量もそれぞれ多くなっちゃったし・・・しかし、午後の授業枠2つ全部を調理の授業となると、時間が余り過ぎてつい作っちゃったんだよね、クッキーにマドレーヌにパウンドケーキ、シフォンケーキにマフィン、極め付けは自分が食べたくなって作ってしまったビスコッティ、それに味も変えて15種類以上になったんだよな・・・焼き菓子の前の5種類は学園が事前に用意していた材料で、この中から好きなものを選んで作るって言うのが今日の課題だったんだけど、これ全部、前世で作りまくっていた物だから、手順もバッチリ覚えてちゃってて、作業がさくさく進んだんだよねぇ、おかげで手持ち無沙汰になったから、自前の材料持ち出して、ビスコッティまで作っちゃった、てか、このお菓子のレシピほとんどが僕が商業ギルドに登録した物なんだけど( ´ ▽ ` )・・・・まぁ、良いか・・・
 それより、どうしようかな?あの量のお菓子、・・・まぁ、余るようなら自分のお茶請け用にでもするか、ビスコッティはそのつもりで作ったし・・・(。-∀-))

 今日の調理の授業で作ったお菓子の話題で盛り上がりながら歩いていると、すでにクラスの教室が見えていて、他の授業で離れていたイネオスやベイサン、ロシュ君とも合流。クラスの教室には次々他の授業で出ていた人達が戻ってきていて、その中に例の3人組の姿も見えた。その3人とも目が合って、互いに軽く会釈をした、そんな彼らを見て、僕は軽く息を吐き気持ちを切り替えた。

「ふぅ、さて、後は、放課後の話し合いだけだね、何の話が出るかは分からないけど・・・」

 












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