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第3章 少年期 学園編

200話 “勇者送還の儀式“

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ミシオン大司教「・・・“儀式の杖“を“歌い手“に・・・」

(お、やっと僕の出番か・・・)

 “送還儀式”は大詰めを迎え、ミシオン大司教が祭壇に置いてあった杖を恭しく持ち上げ、魔法陣の上にいる僕の元に歩いて来る。僕はそれを見て椅子から立ち上がり、その場で膝をつき、両手を胸の前で交差させ、頭を下げてミシオン大司教が杖を持って来るのを待った。ジュール達は邪魔にならないように僕の少し後ろに移動して、さっきまで僕が座っていた椅子はオーリーが素早く持って魔法陣から降りて行き、ソルはまだ僕の斜め後ろに待機しているようだ。

 コツッ コツッ コツッ コツンッ

 そして、前方の階段からミシオン大司教が僕の目の前にやって来た。

ミシオン大司教「歌い手よ、神々から授けられし“儀式の杖“を受け取り、神々に歌を捧げよ・・・」

 ミシオン大司教は“儀式の杖“を僕の目の前に差し出しそういった。差し出された“儀式の杖“を僕は無言で両手を出し、ソッと杖を受け取り、頭より高く上げて恭しく崇めた・・・

(さて、これからが僕の本番だ!)

 数秒崇め祀ったあとは気合を一つ入れて自分の目線に杖を持ってきて、静かに立ち上がる。だが立ち上がってもまだ動く事はできない、魔法陣の上に乗っていた人達が全員降りるのを静かに待たなければならないし、昨日打ち合わせをした音楽隊の人達が配置につくのを待たなければならないからだ。
 ジュール達も他の人達が魔法陣から降りて行った後に魔法陣の上から降りていく気配がした、これで完全に魔法陣の上には僕だけが残り、音楽隊もティーナちゃんの神像がある段の上にスタンバった。スタンバった音楽隊の指揮者が僕の顔を見て真剣に頷き、僕も頷き返した、そのタイミングで大司教が口を開いた。

ミシオン大司教「歌を捧げる準備が整った。歌い手よ、今、神々に感謝と願いを込め、“勇者送還の儀式“に歌を捧げたまへ・・・」

 シャッン!

 僕はミシオン大司教の言葉と同時に、自分の身長より数十センチ短い約120センチ強ぐらいの長さの杖を縦に持ち、床に描かれている渦の魔法陣の中心に杖の底を突き立てた。この杖の頭は見た事のない複雑に色を変える結晶石を中心に、周りを土星の輪っかのように綺麗な細工が入った金色のプレートが数枚ついていて、そのプレートの所々に房のついた小さな鈴の音が静かな礼拝堂内に鳴り響いた。床に杖がついたと同時にその中心にある結晶石が淡く虹色に光ると、僕の立っている魔法陣も光だし、魔法陣の外周の円から薄く虹色に光る結界が立ち上っていき僕を結界内に閉じ込めた。

(こっちにも結界が張られるのか、説明にはなかったぞ?これ…ふむ、この杖が発動の鍵だな、って、今は良いか、それより周囲が恐ろしく静かだ、これも結界の効果か?まぁ、この方が僕としては集中できてやり易い、では、始めますか!)

 すぅーーーっ はぁーーーっ

 目を閉じ深呼吸を一つして、深く集中する、再び目を開け真っ直ぐティーナちゃんの神像を見て、口を開き、歌を紡ぐ・・・・

「♪~~~~~♬~~~~~♩~~~~~♫~~~~~~」

 歌い始めは僕のソロのアカペラ、静まり返った礼拝堂に僕の子供特有の高い歌声が響き始める。この歌は彩ちゃんのスマホに入っていた曲から選んで、歌の歌詞はソルと仁達で決めたが、曲の短さを気にした彩ちゃんの提案で、楽器演奏する曲の前に僕のソロのアカペラを入れたらどうかと言うことでそれを採用し、それで曲の短さを何とか誤魔化した。なので、本来の曲とは少し違うがそこはお目溢し願いたい・・・

(・・・ん?魔法陣全体が光だした・・・)

 歌い始めてから自分が今立っている魔法陣が徐々に光が強くなって来ているのを感じた。

(虹色に光ってる・・・キレー・・・・ん?体がなんか軽い?魔力?が駄々漏れてる感じがする、僕の魔力?だよね?・・・それを魔法陣が吸い取ってる?・・・・)

 強く光だした魔法陣に、いつもは制限をかけている魔力が多く吸い取られているのに気づき、不思議に思っていると。

天華『アトリー、今はそれは気にせず“儀式“に集中してください』

(お、そうだね、“儀式“はまだ終わってないもんね)

 と、言われたので、素直に従った。少し気になりはしたが、今はそんな場合ではないことは確かなので、歌の続きを歌う事にした。

「♪~~~~~・・・」

 すぅーっ トンットコトンットコトンッ・・・シャッン!

「♪~~~~♫~~~~~♩~~~~~♬~~~」

 次は楽器演奏と共に歌い出し、僕は杖を落ち直し、高く掲げ自分の周囲で大きく回し踊り出した。
 前日のリハーサルでこの杖を使う事を知らされてから、僕はこの歌が流れるゲーム内のムービーシーンを思い出していた、そこで杖の扱いや役目を事細かに聞いて、杖は常に魔法陣に突き立てておかなくても良いと聞いたので、僕は楽器演奏と共に、ゲームのムービでヒロインが踊っていた“舞“を再現することを決めた。
 その時のムービーは死んだ人の魂を送るための“舞“だったのだが、それが分かっていても、とても美しいシーンだったので、僕は仁達への最後のサプライズとしてこの“舞“を舞う事にしたのだ。

 シャンッ!チリチリチリッ シャンッ!シャッン!!

(仁…彩ちゃん…夢ちゃん…向こうに帰っても、この事は忘れないでね・・・)

「♪~~~~~♬~~~~~♩~~~~~~♫~~~~~~~」

 歌詞の2番目からは音楽隊の人達や神官達も歌い出し、歌に華やかさが増した。そして曲も終わりに近づき出し最後の伸びを歌っていると、僕と仁達を囲う結界と魔法陣が強烈に光だした、魔法陣の外側にいる“儀式“の立会人達の姿すら認識できないほど周囲が白く染まる、だが不思議と僕は仁達だけはハッキリと認識できた。

(えっ?白い空間?この感じ、“神界“?)

 世界に色がなくなり、真っ白な空間に迷い込んできたようなこの感覚は、いつも神々と対話する時に訪れる神々の領域“神界“に似ていると思った。

 『せいかーい♪』ドンッ!ギュッ!

「わっ!・・・あっ!!」(やばっ!まだ“儀式“の途中だったのに!余計な言葉を発しちゃった!ど、どうしよう⁉︎)

 “儀式の歌“最中に、後ろから来た衝撃に驚きの声をあげてしまった事で僕は、顔を青くし急いで自分の口を両手で覆った。

(どうしよう、どうしよう、仁達の“送還儀式“が台無しになっちゃった⁉︎)

 目の前で不安そうに周囲の様子を伺う仁達、今もまだ自分の目の前にいるということは自分が“儀式“を中断したことで、この子達が元の世界に帰れなくなってしまったのでは?と不安になって泣きそうになっていると・・・

 『大丈夫だ、落ち着け、アトリー』

(え、・・・・月詠様?)

 聞き覚えのある低く優しい男性の声に僕は後ろを振り帰った。

「!!?」(月詠様!?)

月詠様『落ち着いて聞くんだ、アトリー、アトリーの歌はちゃんと最後まで歌えていたし、“送還儀式“も失敗していない。だから泣くな・・・』

 涙目になりながら振り返った先にいたのは、予想通り“アース・地球世界“の死と夜を司る白銀の瞳が美しい男神、通称“月詠様“が優しい表情で立っていた。“儀式“が失敗したと思って不安で一杯だった僕に、いつも通り優しい口調で失敗はしてないから泣くなと宥めてくれた。

(・・・大丈夫?本当に?失敗してない?)

月詠様『大丈夫だ、失敗していない、だから声を出しても良いんだぞ』

「っ・・・よ、良かったぁ~~、仁達が、帰れなくなったかと、・・・・うぅ~っすんっ・・・」

 大丈夫だと言われても、まだ少し不安で本当に失敗してないかと心の中で尋ねる僕の肩に手を置いて、先ほどと変わらぬ口調で同じように“失敗していない、声も出しても大丈夫だと“と答えてくれた。そこでやっと本当に失敗してないと理解して心の底から安堵した。先程までの追い詰められた様な絶望との反動で、凄く安心できたからなのか、無意識に涙が溢れ出してきた。

仁達「「「アトリー君、大丈夫!?」」」

「ぐすっ、仁、彩ちゃん、夢ちゃん、大丈夫だよ、何ともないよ、すんっ、僕が“儀式“が失敗したと思ったんだけど、失敗してないって、教えてもらって、安心して泣いちゃった、驚かしてごめんね」

仁達「「「ほっ、良かった・・・」」」

 少し離れた場所にいた仁達が、僕が急に泣き出したことに気づき急いで駆け寄ってきて心配してくれた。泣いた理由を話すと仁達は理由が分かって、ほっとした様子を見せた。

 『不安にさせてごめんなさい、アトリーちゃん達、悪いのは全て“この子“のせいですから』

「天照ちゃん?」(何か引きずってる??)

 そう言って何かを引きずりながら現れたのは、月詠様と同じ“アース・地球世界“の生と昼を司る白金の瞳が美しい女神、通称“天照ちゃん“が良い笑顔で話しかけてきた。

天照ちゃん『アトリーちゃん、あなた方がここに来た時点でそちらの世界の下界、現世での“送還儀式“は成功しているのです。だから不安に思う必要はなかったのですよ。ただ“この子“が貴方が見えた瞬間に喜び勇んで、抱きついてしまったのがいけないのです。なんの説明も無しにね・・・』

 ぐいっ!

 天照ちゃんが“送還儀式“が失敗していない理由をちゃんと説明してくれたのだが、それより最後に差し出されたものが気になって話が頭に入ってこない、捕まえた子猫を見せつけるように差し出されたのは、“ジェムシード世界“の多彩な色彩を持つ麗しの女神、主神の“ティーナちゃん“だった・・・

天照ちゃん『ちゃんと謝罪しなさい』

ティーナちゃん『はい、私が悪かったです。すみませんでした・・・・』

 “ジェムシード世界“の主神のはずなのだが、何故か天照ちゃんに首根っこを持たれ引きずられてきたティーナちゃん、神の威厳も何もない格好で僕達の前に差し出され、謝罪させられている。

「えーっと、さっきの背中からの衝撃は、ティーナちゃん?」

ティーナちゃん『はい、私がアトリーちゃんに会えて嬉しくて、後ろから抱きつきました・・・』

 僕の問いに素直に自白しつつも目を合わせないように話すティーナちゃん。僕と顔を合わせづらいのか俯きしょんぼりしたティーナちゃんを横目に、天照ちゃんが状況説明をしてくれた。どうやら“送還儀式“の歌を歌い終わる瞬間と同時にここにやって来た僕達を見て、“儀式“が無事に成功した喜びでテンション高くなったティーナちゃんが、何も事情知らず、状況もわかってない僕にダイレクトアタックをかましたと、その衝撃で、まだ“儀式“が終わってないと思っていた僕が驚きの声をあげ、“儀式“が失敗したと思って、顔色を青くしているのに気がついた天照ちゃんが、急いで僕に抱きついていたティーナちゃんを引き剥がし、お説教している間に月詠様が僕を宥めてくださっていたと。

(あー、だから後ろ振り返った時に背中に何もないなって思ったよ・・・ティーナちゃんのいつものアタックだったのか、凄く驚いたよ・・・(*´Д`*))

ティーナちゃん『うっ』

(しかし、“送還儀式“ってここに来れたら成功だったなんて、全然知らなかったなぁ~(*´ー`*))

ティーナちゃん『あ、うっ』

(事前に教えてくれてたら、あそこまで狼狽えなかったんだけどなぁ~( ´∀`)泣くこともなかっただろうしぃ~)

ティーナちゃん『う、うぅ~・・・ご、ごんなさいってばぁ~~!許してよぉ、アトリーちゃん!心の中でそんなに責めないでよぉ~~~~~!』

 気まずさで俯くティーナちゃんに、追い打ちをかけるように心の中で愚痴っていると、とうとう、罪悪感で涙目になったティーナちゃんが顔をこちらに向けて許しを乞うてきた。

「ふふっ、やっと、目を合わせてくれたね、ティーナちゃん。僕はそんなに怒ってないよ、だからちゃんと顔を合わせてお話がしたいな。まぁでも、できたら今度からは何かするときは事前に詳しい説明はしてほしいけどね?」

ティーナちゃん『うぅ、分かった、今度から気をつけるわ。・・・・今日は一段と可愛い格好してるアトリーちゃんには敵わない・・・アトリーちゃん、驚かしてごめんね・・・』

 ムギュッ!

「ふふっ、うん、許すよ、ティーナちゃん」ギュッ!

 せっかく会えたのだから顔を合わせて話がしたかった僕の策略に、まんまと乗せられたティーナちゃん、驚いて不安になったのも本当なのでちゃんと改善も求めると、反省したのか改善を承諾してくれた。改善の了承は僕の“祭事服姿“に絆されたのもあるのか、少し悔しそうに頬を膨らましながらも、また僕に抱きついてきて、再度謝罪してきた、僕も謝罪を受け入れ抱き返したことでちゃんと仲直りできたのだった・・・・

 この時、一緒にこの神界に来ていたジュール達は、呆れた顔を隠そうともせず、黙ったままジト目でティーナちゃんの後ろ姿を見ていたのは内緒だ・・・・
















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