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第3章 少年期 学園編

180話 思い出作り?2

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 学園での騒動から二日目の休日、仁達との思い出づくりのために訪れた闘技場にて、何故か謹慎中のロズ殿下に“力比べ“と称した剣術の試合をすることになった僕。色々と行き違いはあったものの、流石の僕も良い加減鬱陶しくなってきたので、その申し出を受けることにした。

 ルールーは簡単魔法無しの剣術試合、何故か武器は大剣一択、向こうは僕の見た目で判断し、大剣を持ち上げ振るう事はできないと鷹を括って、自分の有りな試合をしようとしているようだ。そのロズ殿下の低脳かつ卑怯なやり口に、呆れた僕はそう来るなら容赦はしないと、早速試合前に相手を煽り、冷静さを失わせる作戦に出た。そして僕を舐め切っているロズ殿下には少々痛い目に遭ってもらおうと決めたのだった。・・・・

「では、スタフお兄様、近衛騎士のどなたかに審判をお願いしても?」

 と、お願いして見ると、スタフお兄様はすぐに人を紹介してくれた。

スタフお兄様「あぁ、それなら、近衛騎士団長、お願いできるかな?」

近衛騎士団長「はっ、畏まりました」

 そう言って前に出てきたのは、背の高いがっしりした体格の30代前半に見える男性。表情は優しいのに何処か隙のない感じの男性で、とても安心できる雰囲気を醸し出している。

「こんにちわ、初めまして。僕はデューキス公爵家当主が三男、アメトリン・ノブル・デューキスと申します。今回は急な申し出でご迷惑をお掛けします」

(んん?この人の顔どこかで見たような???(。-∀-))

 型通りの挨拶をして相手の顔をよくみると、初めて会った筈なのに何処か知っているような容姿に頭を傾げる僕。

近衛騎士団長「お初にお目にかかります。私は近衛騎士団団長を務めています。セグロ・ノブル・コンテと申します。審判のお役目ありがたく務めさせて頂きます」

(あ!どこかで見た顔だと思えば、コンテ伯の息子さんだったのか!Σ('◉⌓◉’)以前会った、コンテ領の衛兵隊の隊長さんのお兄さんかな?よく似てる、この人もどちらかと言えばコンテ伯の奥さん、彼らの母親似なんだろうな・・・父親のコンテ伯はもっといかつい感じだもん(。-∀-))

 キリッとした挨拶に覚えのある家名、領地と王都を行き来する時は必ず通る領地のご家族だった事にびっくりした僕。

「近衛騎士団長様はコンテ伯のご子息でしたか、いつも領地と王都を行き来する時はお世話になっています。今日も試合の審判でお世話になってしまいますが、どうぞ、よろしくお願いいたしますね」

 と、礼儀正しく頭を下げた。

「「「「「えっ!?」」」」」

コンテ団長「っ⁉︎あ、はい、よろしくお願いいたします・・・・」

 さっきまでロズ殿下に対して失礼な態度で煽りにありまくっていた僕が、普通にお辞儀したのが意外だったのか、スタフお兄様も含めた騎士達の数名が驚いた表情をしていた。コンテ団長もびっくりはしていたが、すぐに返事を返して頭を下げてきた。元日本人の律儀さが無意識に出てしまった僕は、周囲の驚きはニコニコ笑って全力でスルーした。

(あー、っと、なんか驚いてる?律儀すぎたかな?でも、いつもお世話になってるのは本当だしなぁ・・・まぁ、いっか!(*゚∀゚*))

天華『考えるのを放棄しましたね・・・、でも、アトリー、あまり気安く頭を下げたりしてはダメですよ』

(えー、だって、僕って元々そんなに人に偉そうな態度を取る事ってないもん、礼節には礼節で答える事にしてるだけなんだけど。まぁそれも、向こうが横暴でない限りね。眼には眼をって感じで・・・)

夜月『それは以前話していた前世の祖母君の言葉だったかな?』

(うん!そうだよ♪自分が礼節を尽くしても、向こうが礼節を尽くさなかった場合は、必ずしも同じように礼節を尽くす必要はないって、他人からの礼節にはより丁寧な礼節で迎えなさいとも言っていたね。ようは臨機応変に対応できるようになりなさいって事だと思うだよね。ロズ殿下はそれが出来てないけど・・・)

夜月『柔軟な考えをお持ちだったようだな』(やはり、今のこの様子を見る限り、以前の様な急な気の落ち込み方は、本来のアトリーの気質ではないな、前世での家族は前向きな思考の人が多いようだ、その環境下で育ったアトリーが陰湿な思考に落ち込むのは不自然すぎる。月詠様方が常に気になさっているアトリーの心を何が何でも守らなければな・・・)

 と、この時、夜月は強く思っていた。ヴェステの王女との一件以来、アトリーの言動を注意深く気にする様にと、神々に言われていた夜月達は、今回のロズ殿下との対峙をあまり快くは思っていなかった。だが、アトリーの様子を見る限り、前回の影響はもう無いだろうと、少し安心もしたのだった。

 コンテ団長がロズ殿下にも挨拶している様子を見つつ、夜月達と念話しながら見ていると、ロズ殿下は団長の挨拶に素っ気ない態度で挨拶し、自分の装備を整え始めた。まだ時間が掛かるかな?とか思いながらも会話を続ける。

(まぁ、確かに?あの年代の人にしては考え方に柔軟性はあったかな?流行り物にも敏感だったし、若い頃はよく旅行とかも行ってたみたいだよ?お婆ちゃん。そうだ、旅行と言えば仁の家族は頻繁に旅行に行く家族でね、僕も一度、姉さん家族と一緒に旅行に行ったことがあったなぁ・・・
 ふふっ、あの時は有名テーマパークに二泊三日の旅で、仁とまどかがそれはもうテンション高くて、まどかなんて某海外アニメ映画のお姫様の格好で、テーマパーク内を練り歩いて、キャストさん達にお姫様扱いされてご満悦で可愛かったよ。仁は初日に絶叫系の三代マウンテンを制覇するって、お父さんを振り回してたなぁ。僕はそこのテーマパークには何回か行ってて、案内役で一緒に行ったけど、本当に楽しかった。姉さん夫婦は最終日疲れてぐったりしてたし。ふふっ・・・また一緒に行こうねって約束して、それっきりだったな・・・・)

夜月達『『『アトリー・・・』』』

春雷&雪花『『アトリー様・・・』』

 前世での祖母の言いつけや旅の思い出を思い出し、その思い出に浸っていると、夜月達からいつものように気遣わしげに声をかけられる。

(ふふっ、でも今こうして大きくなった仁と一緒に、異世界で思い出作りできてる、僕は何て幸せ者なんだろうか。滅多にできることじゃないよね♪)

 でも、僕は今の奇妙だけど奇跡のような現状にとても満足していた。自分は死んで転生した身ではあるが、異世界で可愛がっていた甥っ子と共に、学び、冒険し、旅行までできた。とても貴重でまたと無い経験を出来ているんだと思えば、今の状況は悪く無いどころか、とても幸せなことでは無いかと、自分が死んでしまったことは悲しいが、前世での約束を守れたと思えば前向きに考えることができた。2度と会うことは叶わないと思っていた甥っ子に、前世での家族の思い出を重ねることもできた。自分はとても幸せ者だ。そう思える僕は今の家族も、前世での家族も、皆んな、皆んな大好きなんだから。

 これからの人生もきっと今日の思い出が僕をずっと幸せにしてくれる。そう思えるように、仁達が帰るその日まで、楽しい日々を送りたい。そう、強く思った。

(それもまずは、この状況をどうにかして、次の思い出作りに行かなきゃね♪٩( 'ω' )و)

 気合いを入れ直し、向こうの準備が整ったのを見て、僕はまたわざとロズ殿下を挑発するように、中国人有名俳優のジャッ○ー風に手招きした。

「時間が勿体無いんで早くして下さい」ニッコリ

ロズ殿下「大口を叩けるのも今のうちだけだ!」

スタスお兄様「アトリー君、君は装備はつけなくて良いのかい?」

「はい、専用のもの以外をつけるとかえって邪魔になるので大丈夫です。それにこれくらいの試合には防具は必要無いですから」

(ふふっ顔真っ赤、可愛いねぇ( ´∀`)・・・さて、少しは世間の厳しさを思い知ってもらいましょうかね( ˊ̱˂˃ˋ̱ ))

 スタフお兄様が防具もつけず、大剣一本だけの僕の格好を心配してくれているが、着け慣れない装備は無い方がいいと判断、むしろ無くても平気だと言って、さらにロズ殿下を煽る僕。顔を真っ赤にさせ、戦意が高まるロズ殿下。その様子を冷静に見ながら僕とロズ殿下の間に入り、審判役を務め出すコンテ団長、石舞台に上がっていた人達に全員降りるように指示し始める、僕らは睨み合ったままその時を待つ。

 暫くすると石舞台上に僕とロズ殿下、審判役のコンテ団長、この3人だけになり、石舞台上はピリついた空気が漂う。

コンテ団長「では、試合を始めたいと思います。試合の規則は魔法は一切無し、自分の身体能力だけでの剣術勝負、どちらかが舞台から落ちるか、負けを認めるまで続ける。それでよろしいですね?」

僕「はい!」

ロズ殿下「あぁ!」

コンテ団長「それでは、互いに向かい合って礼!」

 向かい合った僕達は互いに軽く頭を下げて、再び睨み合った。

コンテ団長「・・・構えて」

 渡されて自分の横に突き立てて、手を置いていた大剣の柄を握り、引きずるように前にだし、切先を床につけた状態で構えた。その様子をロズ殿下はご満悦の様子でニヤリと笑い、自分の専用の武器(大剣)をこれ見よがしに正面で構えた。コンテ団長は僕達が構えたのを確認する。

コンテ団長「・・・始めっ!」

ロズ殿下「おぉぉっ!!」 ブンッ!! ダッ!

 コンテ団長の合図と共に大剣を振り上げて突進してくるロズ殿下、僕はゆったりとだがしっかりとした動作で、床についたままの大剣を“片手“で持ち上げた。

ロズ殿下「!?何っ⁉︎」

「「「「「おぉ~~っ!!」」」」」「持ち上げた⁉︎」「あの大ぶりの大剣を・・・」「“片手“だぞ⁉︎」

スタフお兄様「っ、あの小柄なアトリー君が・・・」

「なんとも軽々しく持ち上げるとは・・・」「“身体強化“のスキルや魔法は使ってないのか⁉︎」「・・・いえ、どちらも使ってません・・・」

ロズ殿下「はぁっ!!」ブンッ!!

 ロズ殿下は驚いたが突進の勢いは止められず、そもまま思いっきり大剣を僕に振り下ろす。

 ガキッンッ!! ガリガリガリガリガリッ!! クンッ!ガリンッ!

ロズ殿下「っ・・・」ザッ!

「どうしたんです?剣に振り回されてますよ?」ニコッ

 “片手“で持ち上げた剣でロズ殿下の剣を受け止め、体重をかけて押し込んでくるロズ殿下を軽く剣を振り押し返した。少しよろめきながら後ろに下がって行ったロズ殿下に爽やかに笑いかけた。

ロズ殿下「お前っ!“身体強化“のスキルを使えたのかっ!」

「?いいえ?使ってませんよ?」

ロズ殿下「何っ!嘘をつくな!じゃあ、“身体強化魔法“を使ってるんだろう!卑怯だぞ!規則違反だぞ!審判!!」

 僕が“身体強化“のスキルや魔法を使ったと言って、ルール違反だと抗議してくるロズ殿下。

コント団長「いいえ、魔法は使ってません。・・・スキルもです・・・」

 ロズ殿下の抗議にコンテ団長は僕をまじまじ見た後、石舞台の脇にいた騎士達に視線をやると、騎士達が無言で首を振るのを見て、言いづらそうに殿下にそう告げた。

*“身体強化“と一言で言っても様々存在する。大雑把に二つに分かれて呼ばれるのが“スキル派生“と“魔法派生“。名前の通り“スキル“で身体強化を実行できるようになったもの、“魔法“でスキルの“身体強化“を模倣したもの、この2つは似ている様で全く別の効果を発揮する。

 まず、“スキル派生“の“身体強化“の場合は自身の鍛え上げた筋力を直に底上げするもので、元の筋力が弱ければ大した効果は見込めない。その分、自身を鍛えれば鍛えるほど効果は高くなり、自分の魔力と体力が続くまで効果は長持ちするし、それに伴うように他の身体的能力の向上する。その代わり“身体強化スキル“を使用した後は、筋肉痛や身体疲労で動けなくなる場合もある。ようは、直接身体に影響を及ぼす効果があるのが“スキル“の“身体強化“なので、使い過ぎには注意だ。

 “魔法“の“身体強化“の場合は身体に直接変化をもたらすものではなく、体の表面上に自身の魔力で幕を貼り、擬似的な筋力を再現しそれを操作して“身体の強化“をしている。これは通常の身体能力に後付けしているだけなので、あまり身体に影響はないが魔力は相当消費し、“魔力の擬似筋肉“を意図的に操作するので精神的疲労もある、コスパの悪い魔法だ。もちろん自分自身が動き過ぎれば筋肉痛にはなる。


ロズ殿下「な、何だと!?どう言う事だ!あんな、細腕であの大剣を振ることなど出来ないはずだっ!!審判!僕を騙しているんじゃないだろうな!?」

コンテ団長「その様なこと一切しておりません。殿下」

 ロズ殿下は審判であるコンテ団長の言葉を信じられず、審判の判断自体をも疑った。

「はぁ、・・・ロズ殿下、急な審判を買って出て下さった親切なコンテ団長を疑うなど、なんて酷い人だ。大体、僕に対して勝手な対抗心を燃やされても困りますが、その対抗心で相手の家族構成とか、僕がどんな日常を過ごしているとか、調査したりしなかったんですか?普通、相手の弱点になりそうなものを調べたりするものなんですけどね、あの王女様のように・・・」

(まぁ、あの騒動の関連での事件を、あの王女様が全て指示してたとは思わんが、それにしてもロズ殿下は、もっとよく考えて行動してもいいだろうに、頭使わなさ過ぎか?この王子・・・・)

 僕は先日の王女様の執着的な復讐心を思い出し、それと比較して王子のあまりにな行き当たりばったりな行動を指摘した。

ロズ殿下「何が言いたい!」

「ただ、貴方が思ったよりも思考力が普通だったなって、思っただけです。・・・ふぅ、そうですねぇ、僕が何故、自分の身体ほどある大剣を振り回せたのか、答えの鍵を差し上げましょう」

(僕の嫌味の意味もわかって無さそうだなぁ~~( ´ ▽ ` ))なんて思っていると。

ロズ殿下「っ!僕を馬鹿にしてるのかっ!?」

「おや、そこはお気づきになったんですね?「何っ!?」では、答えの鍵を差し上げますね。僕は誰の孫でしょう?これはかなりの有力な情報ですよ?」

 流石に“馬鹿“にしたのは気づき、顔を真っ赤にさせて怒っている彼をガン無視して、勝手にヒントを教える僕・・・

「「「「「誰の孫??」」」」」

スタフ兄様「孫・・・・」

ロズ殿下「何を言ってる!お前は大叔父様の孫だろうが!それがお前のその大剣を触れる事と何の関係があるんだ!」

スタフお兄様「・・・あ!」

(おっ、こっちは気づいたかな?(*゚∀゚*))

 スタフお兄様や一緒にきた騎士達は最初は同じように首を傾げていたが、すぐにスタフお兄様だけが何に気づいたようだ。だがロズ殿下は大して考えようともせず、ヒントの意味がわからないと憤慨していた。

「・・・はぁ~~~っ、ロズ殿下、あなた、本当に分からないんですか?人の子孫は1人では残せないんですよ?父方の祖父はあなた方と同じ王族の血筋ですが、母方の祖父はマルキシオス侯爵家の血筋です。僕はその2家の孫なので、それぞれの家の特性を注いでいるのです。流石にここまで言えばお分かりになるんじゃないですか?」

 ニッコリ笑って、ほぼ答えを言うと、騎士達は“あぁ~!“と納得の声をあげる人達がいるなか、まだ答えが分からないロズ殿下は超不機嫌だった。














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