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第3章 少年期 学園編

176話 穴掘って埋まりたい・・・

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 どうも、僕です。・・・・今、盛大に穴掘って埋まりたい気分です。・・・・

 先日の“公開実技授業“の後、色々あり何やら眠ってしまっていた僕は、その翌日、深く眠っていたのか昼頃まで寝ていたようだ。ちょうど学園はお休みだったので、遅刻とかは無かったが、起きて時間を確認して驚いた。

 起き上がってすぐ、近くに居た母様は涙を流しながら僕に抱きついてきて、一緒に部屋にいたリアさんとオーリーが、凄い速さで部屋を出て家族を呼びに行った。その後すぐに家族全員とソル親子に仁達が勢揃いして、僕の無事を涙目になりながら喜んでいた。ジュール達は小さい姿のまま僕に飛びついてきたり、春雷達は喜ぶ皆んなの頭上で同じように喜んで飛び回っている。

(えっ?えっ?ど、どうした?僕は疲れて眠ってただけじゃないの???(。-∀-)な、何があったの?誰か説明プリーズ!!(;゚Д゚))

 1人、何が何だか分からないまま、皆んなに揉みくちゃにされてしると、天華がここまでの状況の説明をしてくれた。

天華『・・・・と、言う感じです』

(あー・・・そう言う事か・・・・“邪気“ねぇ・・・通りで何かマイナスな方向に考えてんなぁって思ったんだよね・・・!、てか!僕のそんな自己嫌悪満載の呟きを、王族を含めた身内全員に聞かれたって事!?)

天華『そう、なりますね・・・』

(ま、マジか!!・・・は、恥ずかしっ!マジ恥ずかしっ!!何だあの厨二病感満載の自分なんて必要ないって思考!それをダダ漏れさせたなんて、死ぬほど恥ずかしっ!!(● ˃̶͈̀ロ˂̶͈́)੭ꠥ⁾⁾ちょっ!今、本気で穴掘って埋まりたい!(T ^ T))

 その時の記憶を思い出してきて羞恥心に身悶えていると・・・・

天華『アトリー、あ、あのそれで、アトリーはこの後どうするつもりですか?』

 何やら遠慮がちにそう聞いてきた天華。

(ん?どうするとは?何を?)

 質問の意味がイマイチ理解できす。首を傾げていると・・・

夜月『色々と、だ。アトリーの家族はまだ、この間の倒れた理由や泣いた理由を知らない。ソルは薄々気付いているようだが、アトリーが理由を話す気がないならソルも喋らないだろう・・・・』

 と、夜月が言った、どうやら天華達は僕の今後の立ち回りかたを気にしているようだ。

(あ・・・、それね、どうしようか・・・理由を話すのは話したいんだけど、スキルを内緒にしてた事、話したら嫌われたりしない?『それは・』あ、いや、嫌われたりしないってのは分かっているんだよ?今もこうして、僕が無事なことを喜んでくれている家族だから。
 でもね、何と言うか・・・いつも何処かで人の心を疑っちゃう自分がいるんだ、多分、正直に話した後に手のひら返しされるんじゃないかってさ・・・そんな事本当は思っちゃいけないと思ってるんだよ、家族だからね。ただ、僕が臆病なだけなんだけど、・・・・・)

ジュール『アトリー?』

(ふふっ、難しいね、人の心ってものは・・・安心したいのに全てを打ち明けるのは怖い・・・全てを打ち明けると楽なのは分かってるんだけど、僕の前世での経験がそれを否定する、それに自分から隠した手前、後ろめたい感じもするし・・・なんて、もどかしんだろうか・・・)

 自分の中では話さなきゃいけないって、分かってはいるけど。どうしても、話しても大丈夫なのかって、考えがチラつく。どうしようか、どうすれば家族は僕を裏切らないか、いや、僕は家族を信用できるのか。そんな事をボーッと考えながら無意識に膝の上にいるジュールを撫でていると。

母様「アトリー」

「!、は、はい、何ですか?ん?あ、あれ?皆んなはどこに?・・・」

父様「私達がアトリーと話したかったから、席を外して貰ったよ」

 母様に話しかけられてそちらを向くと、いつの間にか父様と母様以外の人が部屋からいなくなっていた。父様と母様はベッドの端に座っている僕の両脇に座って話しかけてきた。ジュール達もいつの間にかいなくなっていて。本当に僕と両親、3人だけでの静かな室内で、3人の話し声だけが室内を響かせていた。

「あ・・・・そ、その、ご「アトリー」っ、は、はい・・・」

父様「謝るのは無しだよ。私達はね、アトリーがどうしたいか聞きたいんだ」

「?どうしたいか?」

 先程、天華にも聞かれた事だ、だから、スキルの話をするかどうかと言う事だろうと思っていると。

父様「あぁ、今後アトリーはどう過ごしたい?」

「??・・・どう過ごすか?」

 予想とは別の問いかけに反応が遅れた。

父様「そう、どう過ごしたい?今までの様に屋敷から学園に通う?それとも冒険者活動に力を入れる?・・・それとも、っ・・・・」

(あぁ、そう言う方向の話?僕が倒れたり泣いたりした原因を聞くんじゃなくて?ど言う事?)

 父様は僕の今後の生活の過ごし方が聞きたかったようだ。僕は拍子抜けした気分でその質問の意図を探ろうとして話の続きを待っていると、父様は最後は何か言いかけたが苦しそうな表情で唇を噛んでやめた。それを不思議に思っていると。

父様「・・・アトリーは、・・・私達が嫌いになってないかい?」

「へ?な、何故?」

 急に嫌いになったかと聞かれ、頭にハテナが飛ぶ。

母様「・・・アトリーに私達が色々と黙っていたことに、あなたは怒ってない?」

「あ・・・・そ、それは、お互い様じゃ・・・それに僕の方が父様達にたくさん秘密にしてましたし。父様達は僕を思って秘密にしてた。僕は自分が・・・怖かったから。・・・自分の為で自分勝手だったから。・・・父様達の秘密とは訳が違う。・・・僕が父様達を嫌うなんて事ありません・・・」ギュッ!

(父様達を嫌うとか、そんなこと絶対に無い。むしろ父様達が僕に怒ってもいいと思う、自分がそれだけの事をして来たと分かってるから・・・父様達は悪くない・・・)

 父様達にこんな事を言わせてしまった自分が不甲斐なくて、俯き、膝に置いた手を強く握った。

母様「アトリー、私達のこと好き?」

 次は急に母様に好きかと聞かれ。

「はい、大好きです」

 と、即答すると。

母様「そう♪母様もアトリーが大好きよ、だからね、そんなに自分を責めて欲しく無いの。
 アトリーは自分の事を自分勝手だって言うけど、それは悪い事では無いのよ?皆んなどこかしら自分勝手なところがあるものだもの、自分の譲れない信念やこだわり、秘密だってそう、誰かに知られたく無いって心は誰にだってあるものよ。それを悪い事だと決めつける必要はないの。
 あの時、私達がアトリーに秘密を明かして欲しかったって言ったのは、親としての欲だったのよ。貴方が何でも1人でやり遂げてしまう、でもそれは貴方が1人でしなくてもいい場合、私達も貴方の側にいるのだから、頼って欲しかった。そう言う欲から出た言葉なのよ。
 確かに貴方が倒れた時、貴方の事が心配だったのは事実よ、アトリーが何故倒れたのか分からなかったし。原因が分かれば対処のしようがあったと思ってしまった。それでアトリーに話して欲しいと断りづらい状況で言ってしまった。その聞き方がアトリーを追い詰めてしまったと後悔したわ・・・だからね、もう、無理に倒れた原因を教えてなんて言わないわ、貴方が話したい時、話せるだけ私達に打ち明けてくれると嬉しいわ・・・」

 僕が強く握った手の上に優しく手を置き、そっと撫でながらそう言った母様の声は震えていた。

「母様・・・」(そんな、それは、僕が、悪いのに・・・)

父様「あの後、主神様が、アトリーが自分を付け狙っていた“宗教団体“の存在とに気付いてしまった仰られて、私はその時やっと、アトリーが私と同じ思いをしてしまったのではないかと気付いたんだよ。
 アトリーが私達に秘密を話さない事で信用されてないと感じている事と、アトリーも私達が“宗教団体“の事を話さなかった事で、自分は信用されてないと思ってしまった事、その両方にアトリーは気づいた、悔しいと言う気持ちは同じだったのではと思ったんだろう?でもそこでアトリーは自分は自分の都合で話さなかった事を悔いたんだろう?自分は私達に心配される資格はないとでも思ってるかな?「っ!」・・・それは間違いだよアトリー、私達はアトリーの親だから、アトリーが大好きだから、だから、心配するんだ・・・“お願いだから心配させてくれ“・・・・」

 父様は母様が撫でる反対側の僕の手を自分の大きな手で覆い、優しく握って後悔を滲ませる声で最後は懇願する言葉が酷く震えていた。

「父様・・・」

 両親の独白と後悔と願い、それを全て聞いた僕は、自分をこんなに大切に思ってくれている両親をもう欺きたくは無いと、そう思う様になっていた。

 ・・・“心配してくれている、心の底から愛情を注いでくれている。そう、強く確信できたから“・・・

「父様、母様、僕は今思ったんです。僕が秘密にしている事を無理やり聞いて来ることもなく、いつも優しく見守ってくれている、そんな父様達に僕はなんて不誠実だったんだろうって、・・・父様が言う通り僕は心配される様な人間じゃないと、今までの多大な迷惑をかけて来てしまって申し訳ないと、もし僕が家族の幸せな生活を壊しているなら出て行くことも考えていました。「「!」」自分ならどこででも暮らしていけるって。
 でも、父様達はこんな薄情な僕の事をこんなに心配して、・・・考えてくれて、・・・僕を認めてくれていた、・・・っ・・・僕は馬鹿だから、すんっ・・・ここまで言われてやっと、っすぅ、自分が間違っていたんだって、気付いた。
 うっ、・・・僕がいなくなれば皆んなが幸せって、勝手に怖がって、避けようとしてた、すんっ、勘違いしてた、・・・うぅ~っ・・・ふっ、自分を誤魔化していた、ぐすっ、でも気づいたんです。っ・・・僕が、自分自身が1番皆んなの側に居たかったんだってっ、・・・・うぅぅ~~~、・・・とうさま、かあさま、今まで、いっぱい、しんぱいかけて、ごめんなざいっ!」ぅぅ~~~っ

 途中から感情が爆発して涙がポロポロ流れ出し、それでも精一杯伝えなければと思って、鼻を啜り涙声になっても話を止めない僕の肩を、ずっと抱いたまま父様と母様は僕の話を聞いてくれていた。
 それが嬉しくてとうとう最後には泣き出した僕を、両側から抱きしめてくれて、頭を撫でながらずっと、大丈夫だよって言ってくれた。その後はもう泣きぱなしの僕が少し落ち着くまでずっと抱きしめてくれていた。

 そして、一通り泣いた後、ガラガラになった声で、昨日倒れた原因になったスキルの話や涙を流した理由、そして、隠してきた、スキルの一部を明かした。途切れ途切れにすすり泣きながら話す僕の話を真剣に聞いてくれた。

父様「アトリー、話してくれて、ありがとう、とても勇気がいる事だっただろう?それでも私達を信用して、秘密を話してくれて、私達は本当に嬉しいよ」

母様「アトリー、いっぱいお話ししてくれてありがとう。母様も新しいアトリーが知れて、とても嬉しかったわ。勇気を出して話してくれたことに、母様はアトリーを誇らしく思うわ」

 色々と話し終えて、少し落ち着いた頃。まだ少し鼻を啜り呼吸を整える、僕の背中を撫でながら、父様達は僕が話した内容より、話してくれた事を真っ先に喜んでくれた。

「ぐすっ、ぼぐも、があざまと、どうざまを、ほごりにおもいまず。ぐずっ・・・ぼぐの、しりめづれづな、はなじをじんぼうづよぐ、きいでぐれで、すんっ・・・ありがどうございまず!・・ぐずっ・・・」

 僕はその事が嬉しくて、垂れてる鼻水を啜りながら、ガラガラになった声で感謝を述べた。

(もう泣きながら、何言ってたか自分でもよく分からん事になってたのに、辛抱強く話を聞いてくれた父様達は本当に尊敬する!(*゚∀゚*)でも、スキルの全てをは話せないのは本当ごめんなさい!m(._.)m)

 流石に“特殊スキル系“の“情報開示“や“神託“など、他数個のスキルは完全に話す事ができなかった。

(どう考えても、普通の人が保有しているスキルではないからな、特に“情報開示“は全てにおいて有用過ぎるし、“全言語理解“と“瞬間記憶“とかマジ便利過ぎる、学園での試験とかでズルしている気分になるんだよね・・・、でも、“魔法創造“なんかは名称は分かってはないだろうけど、僕が魔法をホイホイ簡単に作るから、少し勘づかれてる気がする・・・逆に“特殊隠蔽“は効果が優秀過ぎるから、使っていても気付かれて無さそう・・・(。-∀-))

 結局、両親に話した内容は“超回復“がある事と、“精霊視“と“探索“のスキルが“進化“した事。その“進化したスキル“を併用して“鑑定“を使うと、もっと色んな物が詳しく見えるようになった、と言う感じで話したのだった・・・・

母様「あらあら、ふふっ、いっぱい泣いて話したから、声が枯れちゃったわね、ほら、お顔も涙と鼻水でぐしょぐしょよ、綺麗にしましょうね、アトリー」

「あ"い、のどがいだいでず。でも、すごしすると、なおるど、おもいまず・・・すんっ」

 母様は軽く濡らしたハンカチで、僕の色んな汁でぐちゃぐちゃになった顔を優しく綺麗に拭き取ってくれた。喉はガラガラだし顔面はぐちょぐちょだし、まじヤベェ感じなのに、母様は愛おしそうに僕の顔を優しく拭いていく。(多分、目もぱっつ、ぱっつ、に腫れて、過去1不細工な顔をしているはずなのになぁ・・・(*´Д`*))

父様「そうか、それも“超回復スキル“で治ってしまうんだね?」

「あい、のどのかわぎは、なくならないですが・・・」

 父様は僕が秘密にしていたスキルの効果が知れて興味津々だったのだが・・・

母様「まぁ、そうなのね?でも治るのを待つ必要はないのでしょう?痛いものは痛いのだから、早めに治してしまいましょうね“ヒール“」ぽわぁ

 そう言って母様はすぐに僕に治療魔法の“ヒール“を掛けて、痛めた喉と腫れた目を治してくれた。

「あったかい・・・ありがとうございます。母様・・・」

 今頃になって、大泣きした事が恥ずかしくなって来た僕は、恥ずかしさで俯きがちにお礼を言った。

母様「ふふっ、どういたしまして、アトリー、そろそろお腹が空いて来てないかしら?喉も渇いているみたいだし、ご飯を食べましょう?」

父様「そうだね、皆んなも心配しているだろうからね」

 恥ずかしがっている僕の頭を笑顔で撫でて、ご飯を提案してくれた。父様もその提案に賛成して僕の背中を軽く叩いてくれた。

 きゅ~くるるるっ・・・

「「「あ、・・・」」」

(なんでこんなタイミング良くなるかな!?この僕のお腹はっ!!( *`ω´))

父様「ふふっ、アトリーのお腹は限界だったみたいだね。ふふっ」

母様「あらまぁ、そうよね、目が覚めてから何も口にしてなかったんですもの、お腹が空いて当然だわ。アトリー、早くお着替えしてご飯を食べましょう」

「は、はい・・・」

 少し笑う父様とは対照的に母様は“あら大変“って感じで僕を急かした。僕は恥ずかしさで、もう今、盛大に穴掘って埋まりたい気分です。(2回目)















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