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第3章 少年期 学園編
137話 今日のお支度
しおりを挟むどうも、おはようございます。僕です。
今日は待ちに“待ってない“、王城での“新入生歓迎パーティー“の日です。
(あー、また朝から磨かれてる~、もう、どうにでもなぁ~れ~( ´ ▽ ` ))
と、朝早くからのお風呂やお肌のお手入れなどの支度に、諦めの境地でされるがままになっている僕です。
天華『アトリー、もっとピシッとしてください。次は顔のマッサージですよ』
今はお風呂で体を洗い、髪のお手入れが済み、全身マッサージの途中です。あっちこっち揉みほぐされ、だらけきった僕を天華が叱咤する。
(えー、無理だよー、だって今日はソルだってマッサージに捕まってるしー、ロシュ君なんてアレ気絶してない?(。-∀-))
公爵家のお風呂でパーティーに参加する人達が揃ってもみくちゃになっている最中だ。いつもなら僕のお手入れに参加してくるソルでさえ、衝立の向こう側で今回のパーティーの参加者と言うことで強制的にお手入れをされている。なので抵抗は無駄だと悟った僕はだらけきってされるがままなのだ・・・
昨日は結局、皆んなでロシュ君兄弟を着せ替え人形扱いして楽しん・・・いや、何が似合うか真剣に悩んだ結果、数多くの服を試着させ。悩みに悩んでロシュ君の身分とパーティーの格式に合わせた程よいデザインに、ロシュ君の容姿にあう色合いをチョイスして。やっとの思いで全て決定したのが夕方、夕食前だった。始めたのは昼食をとった後、午後1時過ぎごろから夕食の前午後6頃までの、約5時間ほどを費やした事になるが、その頃にはロシュ君始め、他の兄弟はぐったりしていた。
やっと、これだっ!と決まって満足していると、「明日は早いのでさっさと夕ご飯を食べて、色々お手入れして貰って寝なさい」と言われ。
その際にソルとロシュ君に今日寝る前のお手入れと、明日の朝のお手入れは強制だと告げられた、ソルは僕のお手入れはどうするのかと聞き、それはオーリー達がすると言われて物凄く不服そうにしていた、そんなソルにソルのお母さんのセラスさんが・・・
「今回の王城でのパーティーは、学園の生徒はもちろん各国の要人まで来る重要なパーティーなのです。その様な場所で自分の手入れを疎かにする様な従者を連れたアトリー様を来客達はどう思うでしょう?アトリー様にご迷惑を掛けたくないのなら大人しく今日からのお手入れをしっかり受けなさい」
と、ピッシャリと言ったので、流石のソルもそこまで言われてしまっては大人しく従うしかなかったのだった。
(まぁ、その理由もあるだろうけど、普段から僕を優先しすぎるソルをセラスさんは心配していたから、今回ばかりは諸々理由をつけてお手入れを受けさせたんだろうな・・・それに学院の生徒全学年が集まる場所だから、お嫁さん候補になりそうな人も探してこいって事だろうし・・・)
そんなこんなで前日からも色んなお手入れをされて僕達は早めに寝かされた。ロシュ君に至っては何が何だか分からないうちにお風呂で素っ裸にされたのか、悲鳴をあげていたのが聞こえていた気がする。(あ、イネオス達も夜のお手入れを受けてお家に帰ったよ、ヘティがお肌ツルツルの髪がツヤツヤで、終始ご機嫌でニコニコしていた)
そうして現在、かなり早めに起こされて早朝の訓練もさせて貰えずにお風呂に入らされ、全身マッサージされている所だ。
(はぁ~、揉みほぐされる~、気持ちいい~、溶ける~、眠たい~( ̄∀ ̄))
マッサージの気持ち良さに負けてうつらうつらしてしまう僕。マッサージが終わっても眠気は取れず、ぼーっとした頭のまま言われる通りの体制をとり、アレよアレよという間に着替えさせられ、ヘアメイク用の鏡台の前に座らされ、ヘアセットもいつの間にか終わった頃・・・
オーリー「アトリー様、お支度が全て整いました。起きてください」
「ふぇ?」
オーリー「お支度が終わりましたよ、アトリー様、皆様がお待ちです」
「ふぁ~、ん、分かった・・・おはよう?・・・・・・・・・僕?」
春雷『今日は一段とお美しいです!』
雪花『うん!凄くキレー!』
(ふふっ、ありがとう♪)
支度が終わったと言って肩を揺すられて目も開けると、そこには・・・・・美少女?美少年?って感じの中性的だけど、かろうじて服装で美少年に軍配が上がったキラキラしい僕がいた。鏡越しに春雷達が褒めながら拍手しているのが見えた。
「わぁ~、いつもながら、いや、いつも以上に煌びやかに仕上がったね~」
カイン「王城でのパーティーですから、全力を尽くしました」
「そうなんだね、いつもありがとう皆んな」
オーリー「お褒めいただき有り難う御座います」
そんなやり取りをして後ろを振り向くと、可愛い格好をした天華達がいた。
「わぁ~♪天華にジュールのフリルレースの付いたつけ襟可愛い!夜月もそのワイシャツの襟付きのクラヴァットカッコイイよ!似合ってる♫」
天華『有り難う御座います♪』「キュルルルッ」
ジュール『えへへ、これ可愛いよね♪』「わふっ」
夜月『やっと、男物を作って貰ったぞ』「グルルルッ」
(何これ!ギュン可愛い!!いつもなら夜月も同じものをつけられてたのに、今回は僕の正装に似たつけ襟つけてて可愛すぎか!!・:*+.\(( °ω° ))/.:+)
春雷&雪花『『とてもお似合いです♪』』
天華達は以前も着けていたフリルレースのつけ襟を、少しボリュームを増やし丈を伸ばして刺繍の入った太めのリボンで結んである、凄くドレスっぽさを押し出した可愛いつけ襟をしていて。夜月はかっこよく僕とお揃いの色のクラヴァットをつけている風に見える、ワイシャツのつけ襟をつけてビシッと決めていた。それを部屋の中を漂っていた春雷達からも褒められて皆んなご満悦の様だ。
あまりの可愛さに抱きつこうとしたけど、今日は自分も綺麗に仕上がっているので我慢した。
「くっ、これじゃ抱きつけないのが悔しい!」
ソル「何言ってるんですか、皆さん談話室でお待ちですよ。ほらアトリー様、時間に遅れてしまいます」
いつの間にか自分の支度を終えて、僕を迎えに来ていたソルにツッコミを入れられて急かされた。
「ソル!いつの間に来たの?」
ソル「お髪を整えている間にこちらに来てましたよ。アトリー様は寝ぼけてらっしゃったので気づかなかったかも知れませんが・・・」
「え、マジか・・・いつの間に・・・あ、ソルの今回の正装、すごく似合ってる!カッコいいね!」
ソル「そ、そうですか?」
今日のソルの装いは・・・・
紺色と黒をベースに銀糸で彩られたスリーピースのスーツ、お尻を隠すぐらいの長さの燕尾服っぽい上着は紺色をベースに折り袖や襟、裏地などが黒、中に着ているベストは黒で、ズボンは紺色のスラックスに黒の革靴。ポイントで中に来ているシャツとクラヴァットが白、斜め掛けの腰上までの短いマントが黒で全体的にクールな感じの仕上がりになっていた。装飾品もそこそこつけているので地味とは言えない。髪型は短い亜麻色の髪を半分かき上げたように耳に掛けているだけで、少し大人っぽさが出ている。(洗礼と祝福の時にお揃いのデザインで作ってもらった、お守りのブローチもつけているから、瞳の色と相まっていい差し色になっている)
「うーん、僕もソルみたいに暗い色が良かった・・・・」
少し不貞腐れながら言いつつ部屋を出て廊下を歩き出した。
ソル「アトリー様でしたらこの色合いもお似合いになられるでしょうが、今日お召しになってる色合いはアトリー様にしか着こなせないですよ。とてもお似合いですから、そんな顔をなさらないでください」
「むぅ、そうかな?なんか派手じゃない?」
と、話しながら皆んなの待っている談話室に向かっている、だがその間は使用人の誰にも会わなかったのを不思議に思った。
(あれ?いつもだったらメイドさんの1人や2人見かけるんだけどなぁ?)
不思議に思いつつも談話室に到着。談話室の扉の向こう側は賑やかに会話しているのが聞こえてくる、その声を聞いて早く自分も混ざりたいと思っていると、オーリーが入室許可を貰って扉を開いてくれた。
ガチャッ
「失礼します」
シーーーーーンッ
「・・・・・・」
(ん、いつも通り固まってるね!・・・・・・・静かだなぁ~( ̄∀ ̄)あ、彩ちゃんが上を向いてる、鼻血がでそうなのかな?)
毎度のこと、着飾った僕を最初に見ると皆んな目を見開き、口まで開けたりする人が多発するので、早く誰か戻って来ないかなぁとか思いながら中に入り家族に近づくと・・・
母様「まぁ♪アトリー、今日は一段と素敵よ♫もっと近くに来てよく見せてちょうだい♬」
と、いち早く感想を言って動き出した母様を皮切りに、家族や仁達が次々僕の装いを褒めて話しかけてくれる。そんな中、僕の正装姿を初めてみるロシュ君家族はまだ目を見開き口をポカーンと開けたまま僕を見てくる。そんなロシュ君達を僕は目と口が乾かないか心配になり出した頃。
リアさん「皆様、お茶をどうぞ・・・」
と、全員にお茶を入れて勧めてくれた。そこでやっと再起動したロシュ君家族に僕は朝の挨拶をして、ロシュ君に話しかけた。
「ロシュ君、その緑を基調にした正装、とても似合ってるよ。やっぱりその色にして正解だったね。丈もちょうど良かったし、何よりロシュ君の優しい雰囲気にとても似合ってる」
ロシュ君「えっ、あ、ぼ、僕、あ、有り難うご、御座います!」
ニコッと笑いながら褒めると、顔を真っ赤にしてしどろもどろになりながらもお礼を言ってきた。
「ふふっ、緊張してるの?大丈夫だよ、僕達皆んなで一緒に行くんだから心配しないで、ね?」
(照れてる可愛い!!)
僕に対して照れているのが分かっていても、あえてそこには突っ込まない僕。
ロシュ君「ふぁ、ふぁい!ア、アトリー様も、す、凄くお似合いです!」
「ふふっ、褒めてくれて有り難う、皆んなが手間を掛けて用意してくれた甲斐があるよ、ね?ソル?」
ソル「そうですね、アトリー様のお支度には皆んな全力で挑んでおりますから」
仁「それにしても、今回は以前の夜会服より、なんか王子様っぽいね」
夢ちゃん「そうだね!王子様感満載だね!マント姿もカッコいい!」
彩ちゃん「やっぱり、白が基調だからかしらね?」
「そうですか?金髪ならまだしも僕は髪が白っぽい銀色ですから、そんなに王子様っぽくはないと思いますよ?瞳の色も独特ですし・・・」
彩ちゃん「ううん、なんて言うのかな、色味が重要じゃなくて、貴賓?優雅さ?的な?仕草もそうだし、アトリー君は美人だもの。そんなのひっくるめて全体的に雰囲気が高貴な感じがするのよ!」
さっきまで僕達の装いに大興奮して、一旦落ち着いていた彩ちゃんが再び僕の正装姿について力説し始めた。
「ふふっ、美人なのは母様譲りなので否定はしませんが、貴賓?とかの方は自分ではよくわからないので、そこまで褒められると照れますね」
頬に手をあて照れ笑いすると再度固まったロシュ君家族と仁達、この様子を家族は苦笑いし、ソルは少し遠い目をして軽く息を吐いた。
「「「「「っ!」」」」」
(あら?また固まった?なして?あ!彩ちゃん鼻血でてるよ⁉︎・・・ソル君や、なんだねその反応は・・・・ため息か?ため息なのか?( ・∇・)・・・・あ、目を逸らした!こっちを見なさい!)
彩ちゃんの鼻血はすぐに彩ちゃん達の専属になった使用人が血を拭き取り回復魔法で治し。ソルは少しの間、視線をあさっての方向に飛ばしたと思ったら、またすぐにいつも通りの表情に戻っていた。
春雷(色気が半端ないです!)
雪花(か、可愛いです!)
天華(なんでここでそんな艶っぽさを出しましたかね?直視した人はしばらく戻ってきませんね)
夜月(ソルはかろうじて耐えたな・・・)
ジュール『ねぇ、行かなくていいの?』
(あ!パーティー!そうだ、始まる時間って何時からだっけ⁉︎もう出なきゃいけないんじゃ?教えてくれて有り難うジュール)
ジュールの一言でパーティーの時間が差し迫ってないかと焦った。
「そうだ、母様、父様、時間は大丈夫でしょうか?」
父様「あぁ、そうだね、そろそろ馬車を用意させよう、時間ギリギリに行くとしても遅刻は良くないからね」
そう言って父様は指示を出し、馬車の用意が出来るまで談話室で待つことに、その間に固まった人達が再起動するのを見守った。
(良かった、まだ時間的に大丈夫みたいだ、あ・・・ロシュ君達時間内に戻ってくるかな?( ´∀`))
今回のパーティーは学園の生徒達の歓迎会とは名ばかりの、国際的立場のある来賓達も参加する、外交的要素をはらんだ交流パーティーだ。在学中の双子の兄弟や僕達の他に、“勇者候補達の保護者的立場“として僕の両親も招待されているらしい。なので今日は両親も煌びやかに着飾っており一緒に馬車を待っている状態だ。
(パーティー行くのは憂鬱だけど、父様達が一緒に来てくれるんならこのパーティーはなんとか乗り越えられそう!)
天華『良かったですね、ご両親が一緒に来られて』
(うん!父様達がいれば大概の人達はそっちに挨拶に行かなきゃでしょ?僕に最初っから絡んでくる人が減るだけでもありがたいよ♪(^人^))
夜月『そうでなくとも、私達がアトリーには気軽に近寄らせたりはしないがな』
ジュール『私も!今日は私達がアトリーのパートナーだからね!』
(ふふっ、頼りにしてるよ皆んな)
そうこう話しているうちに馬車の用意ができたと声がかかり、その声で我を取り戻した人達を誘導しながら玄関へ、お留守番のカイ兄様とカミィ姉様に見送られながら用意された馬車二台に分かれて乗り込み、いざ!王城へ!!
(よーし、着いたら速攻イネオス達を探すぞ!そして、その他の人達との交流は最小限に!これを守れば変な事にはならないはず!٩( 'ω' )و)
天華『これでまた1つフラグを立てたんですね、アトリー・・・』
(はっ!これもフラグに入るのか⁉︎)
と、ふざけているうちに馬車は王城に向かって走っていた。
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