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第3章 少年期 学園編
132話 王都へ帰還、そして新学期
しおりを挟むはい!どうも!こんにちは!僕です!・:*+.\(( °ω° ))/.:+キラーンッ
今日は9月1日のオヌールユウェル王立学園の始業式に出てます!
夏休みを利用した旅行から帰って来て6日たち、久しぶりの登校日となりました。久しぶりに見た同級生達はどこか成長したような顔つきで始業式のお話を聞いています。(一部を除き・・・)
(いやー、皆んな2ヶ月見なかっただけで成長している人が結構いるねぇ~、羨ましい・・・)
自分でも少し身長は伸びたとは思うけど、隣の家の芝生が青い現象で、どうしても自分より他人の成長の方が早いように思えて、恨めしい気持ちになった。
天華『アトリーも服のお直しの時に身長測ったら、2センチ伸びてたじゃないですか』
(うーん、そうなんだけどぉ~、僕の思ってたよりは伸びてなくてがっかりしたと言うかぁ~(*´Д`*)ソルはもっと伸びてそうだし~)
天華『まぁ、そう気にしても仕方ないですよ?人間の成長には個人差がありますから』
(まぁ、それもそうなんだけど・・・はぁ、身長欲しい・・・(*´Д`*))
自分の成長の遅さを嘆きションモリしていると、校長先生達のありがた~いお話が終わっていた。(全然聞いてないけど・・・)
ソル「アトリー様、移動しましょう」
「うん、行こう」
今日は始業式の後の教室での連絡事項を聞いたら終わりなので、生徒全員が大移動する。僕の場合はなるべく人がはけた後から移動するので、他の人が移動している様子をボーッと眺めたいたら、ソルに声をかけられた。ソルの横にはロシュ君やイネオス達に、仁達も来ていたので皆んなと楽しくおしゃべりしながら移動した。
今日この日までのダイジェスト・・・
新学期が始まる5日前に王都に帰ってきた僕達は、学園が始まるまでの間も夏休みを満喫していた、帰ってきた2日後には仁達と約束していた王都内にある神殿を見に行ったり、王都で有名なお店を回ってみたりと、連日色々やって遊び倒した、その最中にも少しハプニングもあったりはしたが、概ね満足のいく初めての夏休みだった。
そして現在・・・・
(いやー、相変わらずだね、彼女・・・僕に何の恨みがあるんだろうか?)
成長しない人もいるんだんなぁとか思って、チラッと後ろを伺うと、今も僕を睨め付けながら距離をあけて僕の後ろをついてくる、クラスメイトのアーミラさんと、その取り巻きの生徒達。
夜月『不愉快な視線だ・・・』
春雷『あの視線だけでこれだけ人を不快にさせる人がいるものなんですね・・・』
(そうだねぇ、てか、なんか、夏休み前に見た時より人相悪くなってない?)
雪花『以前にもまして不細工になってる!』
雪花の遠慮ない評価に苦笑いしていると・・・
ジュール『ほんと、怖い顔してる~、あと臭い~』
(え、まだあの匂いがしてるの?前に聞いた時に父様に報告して、体に悪そうなお香?だっけ?回収したって言ってたはずなんだけど・・・まだ隠し持っていたのかな?)
夜月『夏休み前の話の件はしっかり回収したとは聞いたが、この夏休み中にまたどこからか入手したのだろうな』
ここ最近、例の薬“イーヴィル・ドラッグ《邪悪な薬》“から派生した、ヤバめのお香と香水が出回り、貴族をターゲットにしたと思われる商品なので、国内外問わず各国の王侯貴族内で問題となっていた。その商品の出所は今だに不確かで、近隣諸国でも国が率先して捜査に力を入れている。
そして、ウェルセメンテ王国内ではその商品を輸入禁止して、店舗での取り扱い禁止と摘発・撲滅対象にしている。そんな、商品をまたどこから入手して来たのか、女子生徒のアーミラさん達の様子を見るに薬の影響が濃くなっているようだ。
(これはまた、この間に続き父様へ報告しなきゃだね。近隣国の王族の彼女に薬を渡すなんて難しいことをした人が国内に潜んでいるって。・・・もしくは、彼女自身が招き入れたか・・・)
天華『アトリー、今回も私からお父君に報告をあげておきます。アトリーは気にせず学園生活を楽しんでください』
(・・・うん、分かった、ありがとう天華。でも何か分かったらすぐに教えてね。・・・そう言えば彼女、前回の時に治療は受けたのかな?今回は僕が治療した方が良さそうだけど・・・)
どうする?と言った感じで自分の肩に乗っている天華を見て聞くと。
天華『そうですね、今はしない方がいいでしょう。彼女の状態を国側でしっかり確認させた方が、こちらの国としての体面も保てるのではないかと。それにきっちり国として記録に残せば、相手側の国の捜査にも介入しやすいでしょうから』
(あー、僕が無断で治療すれば話がややこしくなりかねないか。じゃあこの件はやはり大人にまかすしかないね・・・もし、国側での治療が困難になったら、僕が出張れば良いか?)
天華『では、その方向で話しておきます』
(ん、了解、よろしくね)
天華『任されました』
ひとまず様子見でアーミラさん達への対応を決め。その後は彼女の事は気にせず教室へ向かった。
イネオス「では皆様、帰りの挨拶が終わりましたら、またこちらに伺いますね」
「うん、また後で」
ソル「はい、また後ほど」
ロシュ君「は、はい、今日はよろしくお願いします!」
ベイサン「ロシュ、そんな緊張しないで」
ヘティ「ふふっ、楽しみですね」
彩ちゃん「ふふっ、また後でね皆んな」
夢ちゃん「ロシュ君、緊張してて可愛良いねぇ」
仁「僕はその気持ち分かるなぁ~」
と、何故か今日は、ロシュ君も一緒に一括りにされているかと言うと。今回は珍しくロシュ君を僕の家に招待することになっているからだ。
話の発端は今日の朝、久しぶりに教室でロシュ君に会って挨拶を交わし、お互いの夏休みでの話になり。その流れで明日の王城でのパーティーの話題になったところでロシュ君がまともな正装を持ってないと判明。
ロシュ君のお家は薬屋さんをしているのだが、経済的に可もなく不可もなく、とても平均的なご家庭なこともあり、王城で開かれるようなパーティーに来ていけるような服は持ち合わせてないのだった。
本来、学園側が開くはずだった歓迎パーティーはそこまで格式が高くなかった、そもそも王城で開くのではなく、学園内の専用の会場で開かれるのが通例で。
それを想定して作った正装はあったのらしいのだが、色々と物事が重なり歓迎パーティーは取りやめになったことで、お役御免になってしまった正装をなおし込んだのにも拘らず、何故か急に王城でパーティーを開くと言う知らせが8月頭に来たのだ。
そんな急な開催のお知らせで最も格式の高い正装を用意することが経済的に出来ず、このまま入学前に作った正装を着ていくと言っていたロシュ君の話を、講堂から教室へ戻る道すがらに皆んなに話すと、イネオス達が自分のお古でいいのなら貸すと言ってくれて、それなら僕やソルのお古もあるから、どうせなら皆んなのお古の正装を集めて、ロシュ君に最も合う正装を選ぼうと言う話になり、今日の放課後は僕の家でロシュ君の正装選びをする事になった。
(まぁ、これも急に決まったことなので、帰り際にロシュ君のお家にご挨拶に行って、今日の午後はロシュ君をお借りしますって了解を得にいくんだけどね、それで緊張してるんだろう)
天華『それはそうでしょう、高位貴族の乗る馬車で自宅まで行くのですから、それに向こうは、急に護衛のついた豪華な馬車が自分の家の前で複数停まれば驚くでしょうね・・・』
(ん、ん、それは仕方ない、僕を歩いて行かせてはくれないだろうからね、皆んなが・・・(。-∀-))
と、言うことで、まずは初めてのロシュ君のお家訪問が決まったのだった・・・・・ーーー
ーーー・・・そんな、こんなで馬車の中・・・・
「おー、ここは南側の商業地区とはまた違った雰囲気だね、どこか懐かしい活気があるね」
ロシュ君「え、えっと、僕もこのあたりの街並みは好きです!」
ソル「何でしょうね、落ち着いた雰囲気と言いますか、僕もこの雰囲気はいいと思います」
今はロシュ君のお家に向かっている最中です。ロシュ君のお家は王都の王城を中心として北東方向、学園から程近い場所にあった。
そんな話をしながら先程までのあった事を振り返っていた。
(いやーこの風景癒される~( ´ ▽ ` )さっきまでの騒がしさが嘘のようだ・・・)
ーーー・・・つい数分前、教室から馬車乗り場までの道のり・・・・・・
今日はここまでに来る過程で教室からの脱出は少し苦労した。夏休み前は友達のイネオス達以外からは声をかけられることは殆どなかったのだが、何故か今日に限ってなのかやたら声を掛かられた。僕だけじゃなくてソルや仁達まで、何故だろうと頭を捻っていると、同じように色んな人達から声を掛けられながらやってくるイネオス達がその理由を教えてくれた。
イネオス「明日のパーティーのパートナーに誘って貰えないかと思って話しかけてくるんでしょう。アトリー様は公爵家なので露骨に誘えないのでしょう。だからまずは会話して、話の流れでパートナーの件を仄めかし、アトリー様から誘われるのを期待して、その座を勝ち取りたかったのではないのでしょうか。まぁ、僕達にはあからさまにアトリー様とのつながりを目的とした方々からお誘いを受けましたし・・・」
「・・・あ、そう言うこと・・・うーん、それって必ず選ばなきゃダメなの?」
ようやく合流して、馬車乗り場まで歩きながらパーティーでのパートナー問題の話題を話していると、期待した表情で一定の距離を保ってついてくる同級生達、それを無視して話を進める。
ソル「昔は“パートナーを連れてないと参加は許されない“とされていましたが、最近はそれも強制ではないのでパートナーを連れずに参加する方はいるそうですよ。出会いの場としての意味合いもある見たいですし。まぁ、アトリー様は伝統としてはパートナーは選んだ方がいいですが・・・」
(あー、王家の血筋の公爵家がパートナーを連れてないのは問題があるか・・・めんどくせぇ~(*´Д`*))
天華『アトリー、口が悪いですよ、それに別に同級生から選ばなくていいんじゃないですか?ご家族とか・・・』
(むぅ、それもそうか。ではどうするべか・・・ヘリー姉様はライ兄様と行くだろうし、カミィ姉様は婚約者がいるもんなぁ・・・あれ?そうなると僕が誘える人がいなくない?・・・・「チラッ」後ろから期待した目でこっち見て来る人達がいる~・・・適当に誘って気があるかもって勘違いされたくなしなぁ~、絶対選ばなきゃダメなんかね?)
「うーん、ベイサンはヘティがいるけど、他の皆んなはどうするの?」
イネオス「そうですねぇ、僕は婚約者がいないので家族にお願いするか。もしくは無しですね・・・」(まぁ、僕は高位貴族ではないのでパートナーはいなくてもいいし、兄弟に頼むのもあの一件以来ちょっと気が引ける、今回は無しでいいかな・・・)
ソル「僕は兄弟がいませんから、ちょっと難しいですね、まぁ、いなくてもいいと言うことなので僕はパートナーは決めません」(それにこちらが誘ったからと言って勘違いして婚約者気取りされるのも面倒だし、何よりアトリーに擦り寄ってくる奴らをパートナーにするなんて論外だ)
(くっ、2人は子爵位だからそこまでうるさく無いのか!ずるい!(● ˃̶͈̀ロ˂̶͈́)੭ꠥ⁾⁾)
天華『ずるいって・・・』
春雷『パートナー選び頑張ってください』
子供じみた悔しがり方をする僕を呆れた目で見てくる天華に、僕を励ましてくれる春雷。
ロシュ君「ぼ、僕は平民ですからパートナーはいなくても大丈夫ですから・・・」
(まぁ、ロシュ君はそうだろうね・・・いいなぁ・・・)
馬車乗り場まで辿り着きまだ話を続けていると。僕達を迎えに来ていたオーリーやカイン、護衛達がすでに到着していて、後ろをついて来ていた人達を訝しげに見ていた。僕は身振り手振りだけで周りの見物人を遠ざけるように指示、その指示を素早くこなしてくれた護衛達にお礼を言っていると、仁達が自分達のパートナーの件で質問してきた。
仁「うーん、皆んなはそれで良いだろうけど僕はどうしたらいいのかな?」
彩ちゃん「そうね、私達もどうしたらいいの?誰かに頼まなきゃダメなのかしら?」
「・・・そうですね、仁さん達は貴賓客扱いなのでそのままでいいと思います、もしくは仁さんが彩さんか夢香さんのどちらかをパートナーにするという感じですかね?もしくは2人ともをエスコートするとかですかね?」
仁「そうなんだ・・・、うーん、じゃあ僕達も無理に決める必要はないってこと?」
夢ちゃん「それか私達のどちらかが仁のパートナーになるのかぁ、仁の相手ねぇ、彩ちゃんじゃんけんで決める?」
彩ちゃん「うーん、それしかないか・・・」
仁「僕に決定権は無いのか!それに2人一緒でも良いじゃないか・・・」ガクッ
「「「「「ふふっ♪」」」」」
2人のやり取りに肩をガックリと落とした仁を見て、皆んなはたまらず笑い出した、そんな和みムードの中、僕は1人気づいてしまった。
(はっ!やべぇ気づいてしまった!最終的に僕1人だけパートナー問題が残ってる!・・・どうしようか、マジで・・・(*゚▽゚*))
天華『最悪、私達がパートナー言うことで参加しますか?』
(あ、その手があったか!!Σ('◉⌓◉’)よし!それで行こう!!)
ジュール『わーい、私達がアトリーのパートナー♪楽しみ~♫』
天華『まぁ、アトリーのパートナーはまずアトリーに近づけるかどうかが問題になりますしね・・・』
(・・・あー、それもそうだね、無理に決めても僕に近づけなかったら意味ないもんね・・・( ・∇・))
春雷&雪花『『ですね・・・』』
ーーー・・・そして現在・・・・
そんな話もありながら馬車に揺られていると、ロシュくんのお家の近くに近づいていた。近いとは聞いていたが本当にすぐ近くだった。馬車に乗ってからずっと馬車の外を見ていると。いつもなら通り過ぎるだけだった大通りの脇道を入り、少し行った所にあるお家のようで、ロシュ君がいつも歩いてお家に帰っていたのはこんなに近かったからか、と納得した僕だ。
(大通りは学園が近いから、学生達の需要に合わせたお店が多いけど、脇道に入れば住宅街だから生活用品のお店が立ち並んでるね。そこの中の街の薬屋さんって感じなのか・・・)
そんなことを思っていると、どうやらロシュ君の前にお家についたようだ・・・・・
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