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第3章 少年期 学園編

123話 獣人と聖獣

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(どんまい!( ´ ▽ ` ))

 やっと会えた“聖獣“のジュール達にそっけない態度をされ、ショックを受けた“ショウスデット獣王国“の第13王子、ワンズ・ショウスデット・ナムザはその場で固まり、微妙に震えていた。

「あ、あの、僕達、先を急ぎますので、もうよろしいでしょうか?・・・」

 ここであまり時間を取られたくは無い僕の反応に、13王子は・・・

獣人王子「・・・・な、何故・・・私達に、お声がけくださらないのだ・・・・」ボソボソッ

「・・・え?どうかなさいましたか?」

 小さな声で何か言っているが、意味が分からずもう一度聞き返した。

獣人王子「何故!私達に“お声がけ“してくださらなのだ!」

視察一行「「「「「・・・ん?」」」」」

 吠えるように言った言葉に皆んなが不思議な顔をした。

(イヤイヤイヤ(´・Д・)」、ジュール達が僕以外と喋らないのは周知の事実だろう?なんで自分も声を掛けてもらえるって思ったの?)

雪花『この人、アホなんですかね?』

 僕と雪花が思った事を獣人族以外の人達全員がそう思ったのは間違いない、あまりの事に呆れていると・・・

獣人護衛達「そんなバカな!王子殿下にすら声をお聞かせくださらないなんて!」「なんてことだ!聖獣様達のご機嫌を損ねているのか⁉︎」「もしかして聖獣様方に何か吹き込んだのでは⁉︎」

獣人従者達「そもそも、本物の聖獣様達なのか⁉︎」「た、確かに、ただの使役獣かもしれないな!」「見た事のない種族の獣だしな!」「そうだな、我らが何度もお眼通り願いたいと言ってもずっと断っていた者達だ、偽物を連れて来ている可能性もある!」

 と、失礼極まりない会話が聞こえてくる、僕を侮辱したと思ったソルが前に出そうになっていたが、手でそれを止め、ジュール達との念話を優先しようとした、だが・・・

ジュール『何この人達、アトリーを嘘つきって言ってるの⁉︎』「がうぅ~!」

天華『やはり、この獣人達は愚かですね、そこら辺の生物と聖獣を見分けることすらでき無いのに、自分達が聖獣子孫だと信じて疑わないとは・・・、見ていて滑稽です』「キュゥ」

夜月『滑稽を通り越して不愉快だ、ただでさえ、こうして相対しているのでさえ不本意なのに、この愚か者共に我が友人を貶されるとは・・・、そもそも我らは“聖獣“ではなく、“神獣“だ、その事すらも気づかずに自身の要望だけを通そうとは、厚顔無恥な者共は少し仕置きが必要だな・・・』「がゔぅ~~っ!!」

春雷&雪花『『やりますか?』』

 獣人王子とその取り巻き達の言葉にジュール達は不快感や侮蔑の感情を乗せた威嚇をし、今にも獣人達に飛び掛かりそうな体制に入った。

獣人達「「「「「っ⁉︎」」」」」視察一行「「「「「!!」」」」」

 ジュール達の不穏な雰囲気を感じ取った獣人達は無意識に後ろに引き下がり、こちらの護衛騎士やイネオス達は、今から起ころうとしている事に巻き込まれないために、ジュール達の視界から退避しだした。

(おおうぅ、ジュール達が何気に激オコだ・・・、まぁ、最初学校であった日から暇さえあれば僕に接触してきて、しつこかったもんね、その度にジュール達はすぐに気配を消して、隠蔽スキルで姿も消してたもんね・・・、相当ストレスが掛かってたんだなぁ)

 ジュール達は基本的に僕以外の人達に興味が無い、だから、獣人達に崇められたり、何か特別な感情を持って近づかれたりするのが嫌いなのだ、なので相手が望んだ対応をできるとは全く思わないから、極力接触は避ける方向で行っていた・・・、このような状況になると予想もしていたから・・・

 そんな事を考えている間にもジリジリとジュールと夜月が、獣人達に低い唸り声を聴かせながら威圧を強めていた。

獣人達「「「うっ!!」」」「「「ひぃっ」」」

 ジュール達の放った威圧に恐れ慄き、“半人化“状態だった獣人達が全員“半獣化“状態に“変化“した、出ていた尻尾も下がりお股の間に入って震えていた。

(あー、可愛い尻尾が見えなくなっちゃった・・・)

*“変化“《へんげ》とは・・・
 獣人族や竜人族、またその他の種族の中で人族が持って無い、様々な種族特徴を持った人種の間で本来の種族の姿から、人族に近い姿を段階的に変えることを言う。

 種族特徴が最も現れている状態を“獣化“《じゅうか》、または“種族化“《しゅぞくか》と言い、文字通り獣人ならば自身の種族である獣の姿、猫なら猫の、犬なら犬そのものの姿になる、これは獣人族の中では余程のことがない限り、その姿になる事は無いそうだ、理由は自分達は神の使いである聖獣の子孫であり、最も偉大で知恵のある種族だから、その辺りの普通の獣と一緒にされたくは無いからと言う理由だ、だが、獣人としての力が最も発揮できるのはこの“獣化“なので、最後の切り札的扱いらしい。(ちなみに獣の姿でずっとニ足歩行できる、そこが普通の動物達と違う点らしい・・・(´・Д・)」“獣化“した姿での二足歩行は見てみたい)
 また、竜人族や魚人族達の場合は、本来の姿が“獣“では無いので“種族化“と呼び、自分達の本拠地や住処ではこの“種族化“の状態でいることが多いらしい。

 次に“半獣化“《はんじゅうか》は“獣化“から少し人族の特徴が現れた姿、たとえば手足が人の形になったり、頭部に髪が生えたり、直立に立つ姿が人族と変わらなくなったり、と言った具合だ、簡単に言うと、顔や体表は“獣化“時と変わらないが首から下の骨格が人族に変化しているのが“半獣化“だ。
(人の手の形はしているが肉球はあるらしい・・・触ってみたい・・・( ´∀`))

 そこから更に人族の特徴が増えていいったのが“半人化“《はんじんか》、これは耳や瞳、尻尾、人によっては爪などに“獣化“の名残が出ている状態で、それ以外の顔つきや肌、骨格が人族と変わらない姿を言う。
(この時の獣人さん達は前世でのケモみみコスプレイヤーみたいな感じだよね・・・でも耳は本物だからピクピク動いているのが気になって、つい触りたくなっちゃう・・・(≧∇≦))

 最後に“人化“《じんか》、これは相当な実力者じゃなければ、ずっと維持することが難しい姿だとされている、見た目は完全に人族と大差がなく、種族的なスキルなどを使わない限り、他の人族とは見分けがつかない。
(人によっては、この“人化“の状態で“意図的“に体の一部だけを、ピンポイントで“獣化“させる人がいるらしい、凄い器用だよね・・・(。-∀-)僕には無理だと思う・・・)

 と、このように段階があるため、獣人族の間では“獣“に近い姿になるほど本能が強くなっていきがちと言われているので、獣人王子達の今の姿は獣人達が本能的にジュール達に敵わないと認めたようなものだった。

「あの、皆さん勘違いなさっているようなので言いますが、まず彼女達は皆さんの先祖ではありません、それと全員が神々が新たに作り出した新種族なので、あなた方が見たことがないのは当たり前ですよ?」

 一応、間違いを正す為に発言したのだが・・・・

獣人達「「「「「・・・へっ⁉︎」」」」」

「新種族⁉︎」「バカな!先祖ではないとはどう言う事だ!」「わ、我らをバカにしているのか⁉︎」「何を知ったように言ってるのだ⁉︎」「新種だがらと言って、せ、聖獣である証拠にはならないんだぞ⁉︎」

 僕の発言に驚いた獣人達、その中の一部、主に護衛らしき大人数人が虚勢を張るように、僕の話を信じていないと発言をしている。

(えぇ~~、この人達、王城での説明会でちゃんと話聞いてなかったの~⁉︎)

天華『おおかた、自分で見たことしか信じないタイプなんでしょう』「・・・」

ジュール『迷惑な人達だなぁ』「・・・」

夜月『救いようが無い脳筋タイプか・・・』「・・・」

春雷&雪花『『・・・・・』』

 新手の自殺方法なのかな?って思うぐらい失礼な発言をした獣人達に、天華達は無言で相手をロックオンし、殺気を出して今にも飛び掛かりそうな雰囲気だ。流石の精霊達も天華達の怒りを見て自分達は手出し不要と感じ、この後の展開を静かに見守ることにしたようだ・・・

父様「先程から聞き捨てならない言葉を相次いで耳にする事になろうとは・・・、あなた方、自身の発言に責任がとれるんですよね?」

 これまた、激オコの様子の父様が僕の横に来て肩に手を置いた。

父様「2ヶ月ほど前に我が国の王城にて、詳しい説明がなされたと認識していたのですが・・・、あなた方はその時、何処におられたのでしょう?“説明会“にはご参加なされたのですよね?あぁ、それとも、参加なさったがこちらの説明が難しすぎたのでしょうか?」

(あんたら、ちゃんと出席したって知ってんだぞ?それとも何か?頭悪過ぎて理解できなかったのか?あぁん⁉︎・・・って言った気がする・・・(;-∀-))

 父様の丁寧だけど相手をバカにしたセリフにドギマギしていると。

獣人王子「っ!、説明はちゃんと聞いた!だが、聖獣様方が何故私達にお声がけしてくださらないのか、それが分からないのだ!私は聖獣様方と同じ偉大な獣の血が流れているのに、何故、心を通わせていただけけ無いのか!」

(トンデモ理論来たーーー!!絶対血が繋がってないのに、聖獣全てを一括りにして、心を通わせてもらえるって思ってる、そっちの方が意味分かんないんですけど⁉︎・・・てか、王子様、最初にあった時の抜け目ない感じの知性はどこに行ったんだ?)

「・・・はぁ~、あのですね、何度も申しがますが、あなた方と僕の家族である聖獣達は、そもそも、関わり合いがないんです、彼女達は3年前に生まれたばかりなのにあなた方の祖先なんてあり得ません、あなた方が言う祖先になったと言う聖獣達がどなたかは存じ上げませんが、聖獣達全てを一括りにしないでいただきたい、彼女達にもそれぞれ個性があり意思を持った存在なのです、現に彼女達はあなた方に敵意を表しています」

獣人王子「!、な、何故だ!私達は同胞のはずだ!」

「ですから、その考えが彼女達を嫌悪させているんです、自分に置き換えてみてください、急に会った事もない人に自分は親戚だから仲良くしようって、迫って来られたら警戒しますし、気味が悪いと思いませんか?」

(だって、完全に怪しい人だろ?それ・・・)

 獣人族以外の人達が呆れた様子で見守る中、とんでもなく自己中心的な理論で、自分達は聖獣に相手にされて当たり前だと思っている獣人王子に、僕は根気よく説明を続ける。

(イナオス達も今の発言には呆れた様子を隠さなくなったちゃったね、ジル叔父様と父様は見定める様な表情でジッと獣人王子達を見ているから、これを機に獣人族の国全体との付き合い方を考えていそうだなぁ、これ以上聞き分けが無いと国交問題に発展しそうだ・・・・・、なんか、ここ最近色々と問題ばかり起こってて、やな感じがするなぁ、・・・前世の漫画のメガネ小学生探偵ばりに行く先々で問題が起きるな、のぞんでもねぇのに・・・、あぁそう思ったらあのテーマ曲が頭の中で響いいてくるよぉ~~)

天華『アトリー・・・』

獣人王子「・・・・うっ、それは・・・・」

 脳内でふざけていると、天華に呆れた顔をされた、その間、獣人王子は僕の言った事をよく考えてみたのだろう、自分に置き換えてみた結果、自分がいかに傍迷惑で怪しい行動をとっていたのか想像できたみたいで、嫌そうな表情をしていた、だが、それでも自分達の中では聖獣は祖先と言う考えを、完全には否定できないし認めたくはないのだろう、言葉を濁した。

「だから、僕はあなた方に彼女達を紹介したくなかったし、彼女達もあなた方に会いたくはなかったんです」

獣人達「「「「「・・・なっ!」」」」」「「「「「そんなっ!」」」」」

獣人王子「そ、それはいくらなんでも・・・・」

「ひどいと思いますか?僕の過干渉だとでも言いたのでしょうか?現にあなた方に彼女達は自分の名前を教えるのさえ嫌がっています、僕がわざと彼女達の名前をあなた方に教えなかったわけではなく、彼女達の要望でそうしたんですよ、・・・あなた方に名前を知られて祭り上げられたくは無いと・・・」

獣人達「「「「「なっ⁉︎何故⁉︎」」」」」「「「「「なんだとっ⁉︎」」」」」

獣人王子「そ、それが、せ、聖獣様方の意思だと?・・・」

「そうです」

獣人達「そんな!出鱈目だ!」「聖獣様がそんな事言うはずはない!」「あの子供が勝手に言ってるに違いない!」「聖獣様方は私達の所においでくださるはずだ!」「聖獣様!この子供に罰を下す時が来ました!」

 護衛や王子の従者の獣人達は僕の言葉を受け入れる様子はなく、ただひたすら聖獣達が自分達の味方をすると思っているような口ぶりでジュール達に呼びかけてくる。

(ここまで言ってもちゃんと理解できない、いや、理解しないなんて、ショウスデット獣王国は聖獣に関しての教育は洗脳でも施しているのか?)

 そう疑いたくなる程の妄信ぷりに若干、僕の周りの人達も引いていた。

(てかさ、天華、獣王国には聖獣がたくさんいるの?だから凄く仲が良いから勘違いしてるの?)

天華『いいえ、ショウスデット獣王国には国が定めた聖地に一体の“獅子の聖獣“が存在するだけですね』

(“獅子“?・・・あぁ、そう言えば獣王国の伝承にそんな記述があったね、“獅子の聖獣“祖先説の聖獣は実在したんだね・・・、だからこの獣人王子がこの国に来たんだね・・・、彼が“獅子の獣人“だから・・・、それにしても、一体しか居ないのか聖獣・・・)

 ショウスデット獣王国の国王は代々“獅子の獣人“が選ばれる傾向にある、それは王家の祖先が“獅子の聖獣“の末裔だとされているからだ、しかし、どの獣人にも祖先となる聖獣は存在し、その中の“獅子の聖獣“が率先してその国を起こしたとされるから、獣人の中でも“獅子の獣人“は尊敬され敬われるのだ、なのでこの獣人王子があれほどの自意識過剰になったんだろうと僕は思った。

(でもさ、それってその“獅子の聖獣“がその辺りを住処にしていただけじゃないの?本当に聖獣自身が獣人達と意思を交わして建国したのかな?)

天華『さぁ?それはその“獅子の聖獣“に聞いてみない事には分かりませんね?』

(そっかー、今度ティーナちゃんに聞いてみるか?真相知ってるかな?)

夜月『どうだろうな?その“獅子の聖獣“の役割によるな』

(あ、そうだねぇーなんのお仕事を言いつかっているかによるか、仕事の一環で国を起こしたのか、そこにいた獣人達を見守る為にいたのか、はたまた、仕事を終えた後にたまたまそこに居着いたのか、神の使いである聖獣達には何かしらの役割があるからねぇ~)

天華『ですね』 夜月『だな』

ジュール『ねぇ、もうこの人達に噛みついていい?良いよね?さっきから凄く煩いし、目障りなんだけど?』

 まだ何か言い訳のように文句を並べ立てる獣人達を前に、天華や夜月と念話で会話をしていると、獣人の護衛達がやたらとジュールに話しかけ、こっちに来るように手招きしながらお肉までチラつかせている、多分、自分達が“狼の獣人“だからジュールが自分達に共感し、そばに来てくれると思っているようだ。

(あらら、あの人達自分が“狼の獣人“だからって、ジュールが心を許すとでも思ってるのかな?あんなことまでして、勇気あるなぁ~)

ジュール『私、狼じゃないもん!それに聖獣でもないよ!あんなお肉とかに吊られて行ったりしないもん!!私をバカにしてるの⁉︎』
「がうぅ~~~~~!!」

 と、獣人達の行動にジュールが激怒していた。

ジュール&夜月「「がぁっ!!」」

獣人達「「「「ヒィッ!」」」」

「あーあ、本当に怒っちゃった・・・」


















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