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第3章 少年期 学園編

113話 次の街にGOー!!

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 どうも、皆さん!僕です♪

 昨日は強制お昼寝から目覚めた後、まだ少しご機嫌斜めの母様にビビりつつ夕食を食べました、その後もこれと言って怒られる訳でもなく、僕への対応も通常と変わらない母様、謎のご機嫌斜めに首を傾げつつ過ごし、就寝前にはいつも通りの母様に戻っていた。

 そして今日の朝、昨日とは格段にご機嫌が良い母様に驚き、勇気を出して昨日のご機嫌斜めの理由を聞いた。

母様「あら、そんなに分かり易かったかしら?・・・あ、誤解しないでね、昨日はアトリーに怒ってたのではないのよ、皆んなを無理やり眠らせたのも、呪詛の話を聞いたソル君やイネオス君達が顔色を悪くしていたし、アトリーも自分では気づいていなかったみたいだけど、少し疲れて見えたからヤヅキ様にお願いしたのよ、母様が腹を立てていたのはアトリーに呪詛を放ってきたご令嬢達に対してですから、アトリーは何も悪くないの、気遣わせてごめんなさいねアトリー大好きよ♪」チュッ

 そう言って僕の額にキスをしてくれた母様は優しく抱きしめてくれた。

「ふふっ♪僕も母様が大好きです♪」

(ふむ、母様はあの子達に激おこだったんだね、それで今日はやたらご機嫌が良いのは別のことで何かいい事があったからかな?・・・まぁ、母様がいつも通り優しくてにこにこ笑顔なのはいい事だから、気にしなくていっか♪)

 僕も抱きしめ返して、朝から親子愛を確かめた後、朝食を食べ、それぞれやりたい事をするために解散、僕とソルは一昨日大活躍してくれた精霊達へのお礼に、午前中の時間を使って遊ぶ約束をしていた。

 なので、今は精霊達に埋もれながら、コミス領の領都“ハルモニハーヴン“を一望出来る高台にあるガゼボでお茶会中です。

「良い景色だねぇー、ここがコミス伯邸の庭園の中だなんて凄く贅沢だね」

ソル「そうですね、街が一望出来る庭園なんて中々ありませんからね、・・・・それで、アトリー様」

「うん?何?」

ソル「それ、ちゃんと周りは見えてますか?」

「・・・あぁ、うん、一応見えてるよ、ちょっと視界が色とりどりで明るけど・・・」

 ソルが心配するのは仕方ない、今の僕の状況は精霊達に埋もれている、それは文字通り精霊達が僕の顔の周り以外で引っ付いて離れないからだ、精霊が見えている人には今の僕は色とりどりの綿毛のような発光体に見えていることだろう、かろうじて顔の周りには精霊達も引っ付いてないので、視界だけはクリアだ。

ソル「・・・なら良いのですが・・・」

 現在僕が何故こんな事になっているかと言うと、一昨日のスパイ事件の内情調査で活躍してくれた精霊達を労うために、精霊の位階ごとに僕の出来る範囲でお願いを聞いている最中なのだ、それで今は小精霊達のお願いの番で、魔力を頂戴と言われたので、僕のいつも微量に漏れ出ている魔力を小精霊達が僕にくっついて摂取している最中なので、座ったままあまり動かず、ガゼボから見える景色を堪能している。(全然魔力が減っている感覚はないけど、一部の精霊達が僕に頬擦りしているみたいで、少しこそばゆい( ´ ▽ ` )あ、一応、大事な所は避けて貰ってるよ?)

「うーん、そろそろ、10分になるけど皆んな満足したかな?」

 そう言うと僕と精霊契約している春雷と雪花が姿を表し、僕に引っ付いている小精霊達を剥がし始めた。

春雷『ほら、皆んな、そろそろ次の精霊達の番だから離れなさい』

雪花『高密度の魔力摂取のし過ぎは体に悪いわよ、それだけアトリー様の魔力を摂取したならすぐに中位精霊になれるでしょ』

 ほらほら、離れて離れて、と、小精霊達を追い払い、順番待ちしていた中位精霊達を呼んできた。

「えーっと、次のお願い事は何かな?」

 さっきの小精霊達より数は少なく、サイズは15センチぐらいの小ささではあるが、ちゃんと人の形をしている中位精霊達に向かってお願い事を聞いた。

『あのね、僕達も魔力が欲しいんだけど、属性を帯びた魔力って出せる?』

 おずおずと遠慮がちに言ってきたのは青い光を纏った小さな精霊の男の子だ、そう言った彼の後ろで他の中位精霊達が期待した顔でこちらを見ている。

(ん?属性を帯びた魔力?それって、僕がいつも訓練している属性付与した魔力球でもいいのかな?)

天華『それでいいと思いますよ』

 最近の魔力操作の訓練で作り出している魔力球でもいいのか考えていると、テーブルの上で寛いでいた天華がそう答えてくれた。

(そっか、それなら簡単だね、教えてくれて有り難う天華)

 天華にお礼を言って、中位精霊達にこれでいいかと属性を付与した魔力球を見せると、可愛い笑顔で了承してくれたので、その場にいた中位精霊達の属性に合わせた魔力球を人数分出して渡した、全員に渡し終えると皆んな大喜びでお礼を言って、僕の頬にキスをして周りを飛び回りご機嫌で姿を消していった。

ソル「嬉しそうでしたね」

「そうだね、僕の魔力は精霊達にはご馳走みたいなものなのかもね…(やっぱり、チュー○なのかなぁ・・・)さて、最後は上位精霊達の番かな?」

 そう言うと、春雷達が3、40センチサイズの上位精霊達を数人連れてきた。

「さぁ、君達で最後だけど、お願い事は決まってるかな?」

『決めてきたよ♫あのね、歌を歌って欲しいの♬』

「ん?歌?なんで歌?魔力じゃなくていいの?」

 初めて会う精霊達なのだが、いきなり歌が聞きたいと言ってきた、疑問に思いつつも本当に歌でいいのか確認してみると。

『うん♪この前ここに来た風の精霊が君の歌の事を話してくれて、私達も聞いてみたくなったの♬』

(風の精霊・・・、もしかして、マルキシオス領の精霊達にも僕の事を教えた、風の精霊と同じ精霊なのかな?・・・なんか、僕の事を言いふらしてる⁉︎)

 どうやら、お喋りな風の精霊がいるようで、僕のプライベートな情報は筒抜けになりつつあるようだ・・・

「あー、うん、そうか、僕が歌う歌が聞きたいんだね?何か聞きたい歌があるのかな?」

『あのね、君がいつも歌ってる子守唄が聞きたいの、風の精霊がとても素敵な歌だったって言ってたから・・・だめかな?』

 プライバシーの侵害の事実にショックを受け、現実逃避気味に視線を遠くに投げながらリクエストを聞いてみると、いつもの子守唄をリクエストされた。

「ううん、別にだめじゃないよ、じゃあその子守唄でいいのかな?」

『うん♪』『わぁーい♪』『やったー♬』

 歌って貰えると分かった精霊達が、キャッキャッうふふっとはしゃぎ、僕の周りを飛び回る、その中に春雷と雪花まで混じっているのを見て、僕はしょうがないなぁって感じで立ち上がり、街が一望できるガゼボの端まで行き、大きく息を吸い込み深呼吸した。

(ふふっ、ここ数日、歌ってなかったからなぁ、春雷達も聞きたかったのかな?)

夜月『そうだな、この旅行が始まってからは、あまり本気で歌う機会がなかったが、マルキシオス領ではマディラ嬢が居たからいつも歌っていたからな、その反動でここ数日アトリーの歌が聞けないのを残念に思っていたんだろう』

(そんなに僕の歌を気に入ってたんだね・・・、歌うのは好きだけど、そんなに上手くないし、今日はオーリー達も居てちょっと恥ずかしいな・・・)
*以前、魔法の実技授業での歌の披露は無かったことにしたアトリー・・・(ま、魔法がメインだったし、歌の事は皆んな気にならなかったはず・・・(。-∀-)多分・・・)

 いつも歌を歌うのは、自宅のお風呂や学園の人の来ない場所で歌うことが多い、マディラみたいな子供がいると子守唄ぐらいは平気だけど、子供を寝かしつける為に歌うのと、リクエストに沿って人前で披露するのはハードルが段違いだった、羞恥心を半端なく感じ少し緊張しつつ息を吸い込み、軽く発声練習をして歌い始める・・・

「すぅーー、はぁーー・・・すぅー、あ~~♪あ~あ~あ~~~♫・・・・ーーーーー」

 僕が歌い始めると、歌に合わせて精霊達が体をゆらゆら動かし、うっとりしていた、ソルや天華達はいつものように静かに歌に耳を傾け、僕を見ているが、オーリー達専属使用人は極力気配を消して、僕に気を使うように歌を聞いていてくれた、今日は天気も良く街を一望できる場所で気分良く爽快に歌を歌えて、僕自身も満足するひと時となった・・・

「・・・ーーーあ~~~~♬・・・・・ふぅ、どうかな?お気に召して貰えた?」

『うん!凄く上手だった!』『とても、いい歌だったよ♬』『歌声に魔力が乗ってて凄く心地良かった!』『元気いっぱいになれた!』

「ふふっ、そうなの?歌声に魔力が乗るなんて知らなかったよ、でも、皆んなが元気いっぱいになれたなら良かった♫」

『『『「「「うっ!」」」』』』

 歌い終わって感想を聞くと精霊達は楽しそうに褒めてくれた、僕も精霊達に褒められて少し照れちゃったけど、嬉しくてはにかんだ、ソル達から変な音が聞こえたけど気にしない・・・

『これなら、数十年はこの土地の管理に力が注げるよ!歌ってくれて有り難う!』

「?えっと、どういたしまして?こちらこそ、調査のお手伝いしてくれて有り難う♪」

 何故かやる気に満ちた精霊達にお礼を言われたが、よく分からないけど感謝を受け入れ、僕も調査協力のお礼を言うと笑顔でどういたしましてと返して、姿を消して行った。

(歌声に魔力が乗ってて、精霊達の活力になるなんて知らなかった・・・)

ソル「如何なさったんですか?」

 少し考え事をしているとソルが声をかけてきた。

「あっ、うん、さっき精霊達が言っていたことが気になってね・・・」

ソル「?歌声に魔力が乗っていることですか?」

「ううん、それもだけど、僕が歌うことで直接魔力を上げなくても、精霊達にはそれが活力になっているみたいだから不思議だなぁ、って思って・・・」

ソル「活力ですか?」

「普通、歌声に魔力が乗ったぐらいじゃ精霊達が言っていたように、元気になるなんて事はないはずだ、歌声の魔力を精霊達が意図的に摂取しないと、彼らの力にはならないはず・・・彼らは無意識に歌声にこもった魔力を吸収したのかな?」

 それなら納得できるだが、と思っていると。

天華:『その可能性はありますね、アトリーの魔力は精霊達にはとても相性のいいものですから、無意識に魔力を吸収してもおかしくないですから・・・』

「うーん、やっぱそうだよね?僕が歌っただけであんな元気いっぱいにならないよね」

ソル「そうなんですか?まぁ、精霊達が元気になったのならいいのでしょうか?」

「いい事なんじゃない?これからもここの土地の管理に力を注げるって張り切ってたし」

ソル「はあ・・・」(本当にそれだけなのかな?・・・)

 天華に同意してもらえて、疑問が解決したのでスッキリした僕は、あと一日あるコミス領の滞在期間の内何をしようかと思いを巡らせた、ソルはまだこの事に疑問を浮かべながらも、この後、僕と何をするか相談しながら、ゆったりお茶を楽しんだ。



ーーーー・・・・2日後・・・・

 今日はコミス領を離れ、次はジル叔父様の統治する領地に移動する事になった。

コミス伯爵「この度は領内の問題にもご助力いただき、感謝申し上げます、その事でご滞在時のおもてなしも満足できずに申し訳ありません、ですが次にお越しになられた際には最高のおもてなしを致しますので、いつでもお越しになられてください」

父様「そんな、気になさらないでください、今回はのちに身内となるコミス家との交流が目的でもあったんです、そう格式ばった気遣いは不要ですよ、それに妻や子供達は十分こちらの滞在を楽しんでいましたからね、こちらこそ、予定より早く着いてしまって迷惑をかけていますし」

 別れ際にこんなやり取りをして、今後の両家の友好を確かのものとして穏やかに別れの挨拶をした、コミス家の皆さんと別れの挨拶をした後は馬車に乗り、いつも通りに護衛に囲まれて出発、穏やかな景色を眺めつつ馬車に揺られる。

「父様、次に行くジル叔父様の領地はダンジョンがあるのでしたよね?」

父様「うん、そうだよ、領都を中心に3つのダンジョンが存在しているよ」

「そのダンジョンって領地滞在中に僕達も入っていいですか?」

(ぜひ、スタンダードなダンジョンを堪能してみたい!)

 父様の顔をキラキラと期待に満ちた目で見ていると。

父様「ふふっ、そう期待に満ちた表情で見られたら、ダメとは言えないじゃないか、ふふふっ」

「じゃあ、行ってもいいんですね♪」

父様「あぁ、いいよ、元々そのダンジョンには連れて行くつもりだったんだよ、ドゥーカ公爵領にあるダンジョンの内1つが初心者向けだから、アトリー達が初めてダンジョンに入るならそこが良いだろうと、ブラーブ殿達と相談して決めていたんだけどね・・・、予想外の出来事でマルキシオス侯爵領にできたダンジョンが、アトリー達の初ダンジョンになってしまったから…、あそこに比べると面白味にかけるかもしれないけど、それでもいいなら連れて行ってあげるよ」

(おっと?それは初耳だぞっと、父様は僕にサプライズがしたかったのか…、なのに精霊達が張り切ってダンジョン作っちゃったから、空振りになってしまったと・・・、父様、可哀想・・・でも、僕的には色んなダンジョンに入ってみたかったから、無問題《モーマンタイ》だよ!)

「それでもいいです!どんなダンジョンでも入ってみたいです!連れて行ってください!父様♬」

 それでも行ってみたい僕は、父様に連れて行ってとおねだりした。

父様「ふふっ、そんなに行ってみたいんだね、良かった、楽しんで貰えそうで、よし、じゃあイネオス君達も連れて、皆んなで行こうか♫」

「わぁーい、約束ですよ父様!」

父様「ああ、約束だね」

(言質取ったからね父様!(*゚∀゚*))

母様「うふふっ、良かったですねラト、喜んで貰えて、アトリー、ダンジョンに行くのはいいですが、無茶だけはしてはいけませんよ?分かりましたか?」

「はい、母様♪」

 父様は安心した表情でダンジョンに連れて行ってくれる約束をしてくれて、母様は優しく心配してくれた、その後の僕の旅路はワクワクが止まらず、ご機嫌で進んだ。












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