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第3章 少年期 学園編

88話 大漁大量♪

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 変な“称号“が付いてしまって若干、遠い目で現実逃避をしていると・・・

 ドンドンッ 「アトリー!!どうした⁉︎気分が悪いのか⁉︎」「アトリー⁉︎返事して!」

(あ、結界、解除し忘れてた“防御結界解除“)

 魔法が打ち終わった後も動かない僕を心配して、魔法の見届け人をしていた家族が、不安そうに防御結界を叩いて僕を呼んでいたことに気付き、すぐに防御結界を解除した。

母様「アトリー!どうしたの⁉︎気分が悪いの⁉︎」

カミィ姉様「何処か怪我でもしたの⁉︎」

 結界が無くなったと同時に走って僕の側まで来て、僕の顔色や体に異変がないかペタペタと触って、すぐに確かめ出す母様達

「母様、カミィ姉様、大丈夫です、どこも怪我はないですし、気分も悪くありません、ただ、ちょっと、想定外の威力だったんで・・・」

母様「ほっ、怪我もなさそうで安心したわ」ギュッ

カミィ姉様「・・・」ニッコリッ ナデナデッ

 母様が安心したように僕を抱きしめ、カミィ姉様はにっこり笑って黙ったまま僕の頭を撫で回す。

父様「ほっ、良かった、急に動かなくなるから魔力の使い過ぎで、気分が悪くなったのかと思ったよ」ナデナデッ

「いいえ、魔力は多分、半分も使ってないんですが、それにしては威力が大き過ぎてどうしてこうなったのか、天華達と話していたんです」

父様「半分・・・」ナデナデッ

 カミィ姉様のナデナデから、父様のナデナデにバトンタッチされても、大人しくそれを受け入れる僕。

カイ兄様「あぁ、聖獣様達と、それで動かなかったのか・・・」ナデナデッ

ライ兄様「はぁ、驚かせるなよ、じゃあ、なんとも無いんだな?」ナデナデッ

「はい、平気です、心配させてごめんなさい」

ヘリー姉様「いいのよ、なんとも無いなら、でも、無理は駄目よ?」ナデナデッ

ソル「アトリー様、簡単にですが髪を纏め直しました、お屋敷に戻りましたら、ちゃんとお手入れしましょう」

「へ、あ、うん分かった・・・」(いつの間に⁉︎(゚ω゚))

 会話しながらも、変わるがわる家族から頭を撫でられている間に、いつの間にか僕の背後に来て、解けて乱れてしまっていた髪を丁寧に櫛ですき、綺麗に編み込みをして整え直していたソルに、びっくりした。

 僕がソルの仕事に驚いている間に、父様はブツブツと独り言を言いながら考え込んでいた、ついでに言うと、この間も母様は僕を抱いたまま離しては無い。

父様「以前のあの“ファイアーピラー“、もとい、“フレイムトルネード“が全力ではなかったとしても、今回の“サンダーレイン“はどう“見て“も、以前の魔力量を遥かに超えている・・・さっきも思ったがまた、急激な魔力増加があったのか?あの魔力の集束量はやはり・・・」ブツブツッ

(父様、大正解!!☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆)

 デューキス家だけでわちゃわちゃしていると、

モンドお祖父様「ちょ、ちょっと、いいか?」

父様「?、はい?どうしました?」

モンドお祖父様「い、今の魔法を見て、他に注目する事はないのか?」

母様「?、えーと、いつもより威力が大きかった?」ブンブンッ

カミィ姉様「今日使った魔法が得意の“雷魔法“だった?」ブンブンッ

ヘリー姉様「周りが黒焦げ?」ブンブンッ!

ライ兄様「魔物が1匹もいない?」ブンブンッ!!

 皆んなが何か言う度に首を横に振るマルキシオス家の面々。

カイ兄様「ふふっ、多分、お祖父様達が言いたいのは、もっと根本的な所で、皆んなが今あげた、その全ての事を含めて、何故平然としているかって、言いたいんだと思うんだけどね」ブンブンブンッ!!!

 カイ兄様の最もな発言に今度は縦に激しく頭を振った。

「「「「「あぁ~」」」」」

モンドお祖父様「そう、カイの言う通りだ、そもそもアトリーが唱えた魔法は中級魔法だったはずだ、それなのに何故アトリーの魔法の威力があそこまで大きいのか、どう見ても中級でおさまらない威力だったぞ、そして何故そのことに関しての話より、アトリーが動きを止めたことの方を心配していたのだ?その其方達の反応にも疑問が尽きないんだが・・・」

(まぁ、言わんとしたい事はわかるけど、デューキス家の関係者は僕に規格外の現象に慣れすぎだからねぇ~、魔法のちょっと威力が大きくなったぐらいじゃ、慌てなくなって来てるよね・・・後、心配されてるの多分アレのせいだからかな?)

父様「お義父さん達の疑問はごもっともです、ですが、アトリーのだした魔法の威力は、私達からすれば、予想は出来ませんでしたが、まだ理解できる範囲内なので…、それよりアトリーに不調がある方が心配になってしまいますからね、以前ちょっとした出来事からアトリーの表情と行動に敏感になってしまいまして・・・、なので、そちらを優先させたのですよ」

(やっぱり“感情抑制術“の発動を心配してたのか…、でもアレは、“魔力暴走“を防止するための物だから、今回みたいに魔法を放ったあとにする事はないのに、そこまで心配してるなんて・・・)

 父様の返答は僕の予想通りだったが、皆んながここまで心配しているなんて、思って見なかった僕。

*アトリーは自分がまだ幼い10歳の子供だという事が、いつも頭から抜けている、子供の感情一つで“魔力暴走“はよく起こる事だと。それを知識として知ってはいても、自分自身には当て嵌めないので、周りの大人や兄弟達が常に気にかけてくれているのだった。
 事実として、魔力の高いと言われる貴族家の子供達の中で、1番の魔力量を保有しているアトリーだが、それとは別に他の子供達と決定的に違うのは、同年代の中で1番の自制心がある事だ。内心で苛立ち、どれだけ腹を立てていようと、その怒りを無闇矢鱈に周りにぶつけたりしない、普通の子供なら癇癪1つ起こしてもいいような状況でも、常に状況を見極め冷静な対応を見せる、この子供らしからぬ態度が周りを一層不安にさせている事を、アトリー自身は気づいていないのだった。

天華(普通の子供ならこの惨状を目にしたら、驚いて泣き叫ぶ所ですよ、それなのに、ただ黙って周りを見ながら、冷静に自分の魔法の威力の分析をし始めるんですから、それは心配の一つもされますって・・・)

 と、思われても仕方ないと言う事だ。


モンドお祖父様「そ、そうなのか、この魔法の威力はデューキス家では理解できる範囲とは・・・」

ニモス叔父様「それに、以前に起きた出来事とは?」

父様「その話は後ほど話します…、今回はどうやら魔力の半分を使ったようですが、本人的には予想以上の威力が出て驚いていたみたいですね」

 色々疑問は尽きないだろうが、話題を今回の魔法の威力に関しての話に切り替えた。

プラセルお祖母様「はぁ、これで半分の威力?」

「正確には使用した魔力は半分以下ですが、今回の魔法の威力だけは、僕の総魔力量の3分の2ほどの威力になったみたいです」

「「「「「え?」」」」」

 と、訂正すると、皆んなが首を傾け不思議そうにしていた。

「えっとですね・・・ーーーーー」

 簡潔に魔法の威力が増した原因を説明すると。

父様「そう言う事か、ダンジョン内で生成される魔素が関係していたと」

「そうですね、今回はたまたま、その魔素が擬似的な雲に多く含まれていて、たまたま、“サンダーレイン“の元となる魔力の塊に反応して、相乗効果をもたらした事がこの惨状の原因ですね、本来ならもっと小規模の範囲と威力で発動すると思っていた物ですから、こんな事になるとは完全に予定外でした」

 パンパカパーンッ!!シュワ~ッ! ドサドサドサッ!

「「「「「⁉︎⁉︎」」」」」

 父様達と話していると、急に軽快な音と共に何もない空間から突如僕達の近くに、このフロアで手に入る様々なドロップアイテムが、小山となって出てきた。

「・・・・・えっと、もしかして、今の魔法で倒した魔物達のドロップアイテム?・・・」

ジュール『せいかーい♪、ここのフロア全部の魔物が一度に倒しちゃったから、あっちこっちに出てきたドロップアイテムが放置されちゃってたのを、精霊の皆んなが纏めて持ってきてくれたよ!』

「・・・あぁ、それは申し訳ない・・・、皆んな、持ってきてくれて有り難う」

 ジュールがこの現象の正体を話してくれたから、“精霊視スキル“で見えている空中を漂う精霊達に向かってお礼を言った、するとフワフワ漂っていた小精霊達が、嬉しそうにくるくる回りながら光って消えていった、ある程度大きな精霊達は僕の頬にそっと触れるように通り過ぎ、『クスクスッどういたしまして♪』と言葉を残し去っていった。

 サワサワサワッ~

「ふふっ、くすぐったい、ふふっ」

(しかし、これは凄い量だね、全部まとめて“無限収納“に入れとけばいいか、大漁、大漁♪)

 そう思って無言でスキルを発動し、小山になっていたドロップアイテムを全部“無限収納“に収めた。

「「「「わっ!無くなった!」」」」

「?あれ?」(マルキシオス家の人達に“収納スキル“の事言ってなかったけ?)

 そう思いながら、父様の顔を見たら、(あ、言うの忘れてた)って顔をしてた、母様も同じような顔をしてたから、夫婦揃って本当に言うの忘れてたんだね、と思った。

(うん、たまにはこんなの事もあるよね!)

父様「すみません、言い忘れていたんですが、アトリーは“収納スキル“を持っているので、今のドロップアイテム達は多分アトリーが全て“収納“したんだともいます」

「「「「へっ⁉︎“収納スキル“⁉︎」」」」バッ!

「あ、はい、すみません、全部“収納“に回収しました」

 マルキシオスの面々が一斉にこちらを見たので、引き攣り笑いをしながら肯定した。

モンドお祖父様「凄いじゃないか、アトリー!そんな貴重な“収納スキル“まで持っているとは!それに魔法の腕も素晴らしい!」

プラセルお祖母様「凄いわ!、さすがアトリー君ね!雷魔法が得意なのはラト君似なのかしら?とても凄かったわよ!!」

ニモス叔父様「確かに凄かった、魔法が得意なのはシリーに似たんだな!」

 と盛大に褒められ、凄く照れくさい・・・

(魔法の威力が大き過ぎて、怖がられると思ってたけど、やっぱりさすが、母様の家族だなぁ)

サン兄様「アトリーは次から次に僕達を驚かせてくれるね、ふふっ、若干10歳で“収納スキル“もあって魔法の腕前も凄い、その上、剣術や体術も上手いなんて凄すぎだね!極め付けに神々のご加護まであるんだから、周りの人達、いや周辺諸国の王族達もが注目するのも納得だよ」

ベル姉様「それだから、シリー叔母様がアトリーを凄く心配するんでしょうね、それにどこかに攫われたりしそうで心配になるレベルの容姿ですもの、国家権力使って攫いにきたら危なそうだし、納得したわ・・・」

(なんか、変な納得のされ方をしたな、てか、なにに納得してんのさ?2人とも?)

 と、なんとかマルキシオス家の皆んなに怖がられたりする事もなく、魔法のお披露目会?は終了し、皆んなでダンジョンを出て神殿に戻った、すると神殿の方で待っていた人達が、先程、神殿が大きな音と共に大きく揺れたと騒いでいて、戻って来た僕達を心配し説明を求めてきた。

父様「先程の音は多分、アトリーの魔法の音だ、揺れに関してもその魔法の余波だと思うが…、今の所このダンジョンが崩れる事はなさそうなので心配はいらないだろう」

 そう説明されて、驚愕したように僕を見つめる人達、ざわざわとお喋りするその中に明らかに僕に恐怖している表情の人も何人かいた。

(こちらまで影響が出ていたとは・・・やっぱり、やり過ぎたか?怖がらせちゃったな、・・・・さすがに身内みたいに皆んなに受け入れられたりしないか・・・)

 全ての人に僕と言う特殊な存在を受け入れてもらえるとは思っていない、人は自分と異なるものに恐怖を覚えるものだ、そう思い、仕方ないと自分を納得させる。

ニモス叔父様「さぁ、説明以上だ、そろそろ帰る準備をしよう、あぁそれと、今日のダンジョンの探索は正式な発表まで他言無用とする様に!では、各自、荷物の点検をするように、準備が出来次第、地上に戻る、以上、準備始め!」

 ニモス叔父様の指示で、使用人達がここで広げた荷物の後片付けや、今日のダンジョン探索で獲得したドロップアイテムや、採取品などを丁寧に片付けを開始し出した、その間僕はしゃがみ込んで天華達とお喋るをする。

 (まぁ、家族が僕を否定しないでくれるだけでもありがたいと思わなきゃね)

天華『私達もいますよ、アトリー、貴方がどうあっても私達はアトリーの味方ですから』

夜月『そうだぞ、私達はアトリーを裏切ったりはしない、それに私達を作り出した神々も同じだ』

ジュール『私もアトリーから絶対に離れないからね!!私達はアトリーが大好きだら♪』

春雷&雪花『『私達もアトリー様に一生お仕えしますからね!!』』

(ふふっ、僕も皆んな大好きだよ、ふふっ)

 バフッ! モフモフッ ナデナデッ スリスリッ

 嬉しくて、みんなを撫で回した。

「ふふっ、モフモフ、ツヤツヤ、可愛い、僕の癒し(о´∀`о)」

 父様達が地上に戻るための準備をしている間に、僕は癒しを求めてジュール達を撫で回していると。

ソル「アトリー様、イネオス達が来ましたよ」

 ジュール達をモフのに夢中になっている僕に、後ろで控えていたソルが、イネオス達が近づいて来ているのに気がつき教えてくれた。

「あ、皆んな・・・」

 イネオス達はとても申し訳なさそうな表情で遠慮がちに近寄ってきた。

(さっきので怖がらせちゃったかな?)

「ごめんね、怖かったよね・・・」

イネオス「申し訳ありません!アトリー様!」

「??」(な、何⁉︎何が⁉︎)

ヘティ「うちの兄や姉達がアトリー様に、あのような態度をとっていたのに気づいていませんでした!アトリー様はとても不快な思いをされていたのに、友人である私達が気づかなかったなんて!申し訳ありません!!」

ベイサン「僕も今まで気づかずに、ずっと一緒に過ごしていたなんて!恥ずかしい限りです!ごめんなさい!!」

 ガバッ!!

 イネオス達が凄い勢いで頭を下げて来た。

(あぁ、さっきの恐怖の視線の中にイネオス達の兄弟からの視線もあったな、前々から僕と関わり合いたくなくて避けていた節はあったが、今回の出来事で完全に得体の知れない生物に思えてきて怯えされてしまったか。それが言葉もしくは態度に出たことでイネオス達が気づいてしまったんだね)

 前々からと言っても、そんなに深く関わっていたわけでもないが、イネオス達と出会ってから3年間の中で互いの家に遊びに行ったりする時に、たまたま鉢合わせても軽く挨拶を交わすだけの関係だったので、彼らの人となりをよく知らないし、初対面でそこまで嫌われていなかったと思う、でも次第に良くない感情を含んだ視線を感じてきていた、今回の件で嫌悪感とかではなく恐怖心が先立ってしまったのかも知れない。

(まぁ、仕方ないね、僕がそんなに積極的に交流を持たなかったのも悪いし、さっきも思ったけど、自分と違うものに恐怖を覚えるのは人として正しい反応ではある、ある意味、正常な思考だ・・・)

「イネオス、ヘティ、ベイサン、僕は気にしてないよ、皆んなのご兄弟が僕を怖がるのは仕方がない、それは正常な人の思考だ、僕みたいな異常な魔力量を持った子供がいつ魔力暴走を起こすかなんて、考えただけでも恐ろしいのは普通だ。
 まぁ、僕にはジュール達との繋がりがあるから、そんな事そうそう起こるものではないけど、この事を言っても目に見えるものではないから、納得はできないだろうし、不安は拭えない、目に見えないもので他人を安心させれるほど、僕はご兄弟と交流を持ってはないからね。それに僕は、僕の事を全ての人に理解して貰いたいなんて、烏滸がましい事は考えていない、だから、これからは僕がご兄弟に近寄らないようにすれば済む話だから、だからね、気にしてないよ」ニコッ

イネオス達「「「アトリー様・・・」」」













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