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第3章 少年期 学園編

76話 初めての夜会の後始末 第三者 視点

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      第三者 視点

「アトリー!」「「「「アトリー様!」」」」

 突然倒れ込んだアトリーを隣にいたソルドアが素早く受け止める事で、床にぶつかることは無かったが、急に意識が飛んだように見えた我が子を心配し、母親であるシトリスが駆け寄って来た。

ソルドア「アトリー様!!」

母シトリス「アトリー!どうしたの⁉︎」

 うつ伏せに受け止められたアトリーをひっくり返し、上を向かせると。

アトリー「すぅー、すぅー」

 規則正しい穏やかな寝息を立てていた。

母シトリス「ね、寝ている???」

 そう、ただ寝ていた。

ソルドア「ね、寝てますね?・・・で、でも、急に意識がなくなっている様に見えましたが、大丈夫でしょうか?何かの病気でしょうか?それとも薬の類?」

母シトリス「落ち着いて、ソル君、まだそうとは決まってないから、ね?」

ソルドア「は、はい、奥様・・・」

 どんどん物騒な想像をし始めるソルドア、完全に混乱している、そんなソルドアを落ち着かせて、アトリーの顔色を伺うシトリスに専属メイドのリアが近づいてきて、

リア「奥様、今、医師を呼びにいかせています、旦那様方にも知らせを送りました、すぐにこちらに来られると思いますので、しばらくお待ちください、宜しければアトリー様を楽な格好で寝かせて差し上げた方がよろしいかと・・・」

母シトリス「そうね、有り難うリア」

 素早く指示を出し、的確な提案をしてくるリア、その様子を心配そうに見つめるイネオス達、他のテーブルで食事をしていた兄弟達も騒ぎに気づき近づいて来た、幸いテラス席には他に招待客がいないので、侯爵家の使用人が気を利かせて持ってきたシーツを床に広げ、そこにアトリーをゆっくり寝かせた。

 床に寝かせたアトリーを心配そうに見ている皆んなをよそに、母親に膝枕してもらい気持ちよさそうに静かに眠り続けるアトリー。

母シトリス「アトリー、よく寝てるわ」

 首元を楽にさせて膝に頭を乗せたアトリーの髪を、優しくすきながら呟くシトリス。

姉カシミール「お母様、アトリーに何か病気の予兆などありましたか?」

 心配そうにアトリーを覗き込むカシミールは母親、シトリスの横に来てアトリーの手を取り優しく握り込む。

母シトリス「いいえ、そのようなことは無かったはずだけど・・・、でも、これは病気や薬物の影響ではないと思うわ、多分、本当に寝ているだけだと思うのよ」

姉カシミール「?…何故そう思われるのですかお母様?」

 確信がある様な言い方のシトリスに疑問をぶつけるカシミール。

母シトリス「そうね、何故かと言われると1番の理由は聖獣様方が慌てておられない事かしら?アトリーの身に何かあれば聖獣様方が黙ってはないと思うの、それに神々のご加護があるアトリーに害のある物は弾かれるはず、そんな様子もなかったから、だから、アトリーは純粋にただ眠っているだけだと思うのよ」

 「確かに・・・」と周りが納得していると。

父アイオラト「シリー、アトリーは大丈夫かい⁉︎」

母シトリス「えぇ、大丈夫よ、ラト」

 急いで駆けつけたであろう父親のアイオラトは、落ち着いているシトリスと穏やかな寝顔のアトリーを見てホッと息を吐き、聖獣の夜月とジュール、天華を順に見つめて、周りを見渡し状況を確認し終えると、周りで心配そうに見ていた仁達やイネオス達とその兄弟達に「ここは心配ないから夜会を楽しんでおいで」と優しく席を外させて、マルキシオス家の従兄弟達に彼らを任し、よく寝ているアトリーを抱き抱え、人目につかないルートで寝室に移動した。

 招待客の誰にも見られずに自分達が滞在している部屋に到着し、すぐにアトリーをベットに寝かし、駆けつけた医師に診断させる。

医師「どこも異常はございません、ただ普通に寝ておられるだけですね」

父アイオラト「そうですか・・・、診断して頂き有り難う御座いました」

 医師の診断をすぐに受け入れ、礼を述べて医師を帰すと寝室に集まった家族とソルドア親子、マルキシオス侯爵家の当主夫婦と前侯爵夫婦がホッとため息をついた。

叔父プロニモス「しかし、何が原因でアトリーは急に眠ったのかな?」

祖母プラセル「本当にどうしたのかしら?何も予兆はなかったんでしょう?急に倒れ込むように眠るなんて変よね?」

 と、マルキシオス家の面々が話していると、今まで大きな姿のままアトリーの横に座っていた聖獣の夜月が動き、大人達に近づいて来て口を開いた。

夜月:『アトリーのこの眠りは神のご加護の影響の1つだ、アトリーの健やかな成長の為に、設けられた就寝時間が来たら眠くなるように仕向けられている、今回は日中も出歩き疲れていたので、その効果が急な眠りを誘ったのだろう、だからアトリーの身体に何か悪い影響が出ている訳ではないので心配する事はない』

 夜月が喋った事に驚きを隠せないマルキシオス家の面々とは別に、アトリーの家族とソルドア親子は夜月に告げられた内容に驚いていた。

父アイオラト「神々の加護ですか・・・、それはまた・・・」

夜月:『これはアトリーが望んだ事なのだ、「強く大きな大人になりたい」と、その願いを神々が聞き届け施した加護だ、今までアトリーは自ら夜更かしをして来なかったので忘れていたが、その年齢に応じた健康的な睡眠時間を取らせる様になっている。なので成人するまではたまにこうしてアトリーの意思とは関係なく眠りに落ちる事があるだろう、もし、今回のように夜半に重要な行事がある場合は注意していた方がいい、私達も今までこのような行事がなかったので、この事を伝えるのを失念していた、許してほしい』

 夜月の言葉通り、確かにアトリーはいつも規則正しい早寝、早起きを実践しているので、今まで夜遅くまで起きていたことがない、両親や兄妹、ソルドア親子もそう納得して頷いていた。

夜月(まぁ、今回この様な事になったのは、アトリーの持っている“夜を司る月詠様の加護“の影響で、長時間、月の光を浴びた事によって、本来なら眠気を誘うぐらいだった加護の効果が強化された結果が急な寝落ち、いや、気絶に近い強制睡眠の効果をもたらしたのは思いもよらなかったとは言えないな、まぁその分、結界の加護の効果も強化されたのは行幸だったが・・・月が2つもあるからか?・・・)

父アイオラト「・・・あ、気になさらないで下さい、・・・そうなると、今後、成人するまでは夜会に出ない方がいいでしょうか・・・」

夜月:『・・・そうだな、今はまだ年齢が10歳と言う事で、必要な睡眠時間が多く取られているからな、もう少し年齢が上がれば、夜会に出ても平気なぐらいには起きていられる様になるだろう、それまでは父君達と参加するか、時間を制限して早めに切り上げるかすれば参加できない事ないはずだ、要はアトリーの就寝時間を把握していればいいだけなのだ。もし外で時間が来ても我らが側にいるから、不届者が出たとしても、アトリーには傷ひとつ付けさせはしないがな、それに神々の加護の結界がある、どうやってもアトリーだけは無傷だろう』

父アイオラト「そうですか、では今後は王家の主催の夜会は欠席不可なのでそれ以外の夜会は、アトリーの要望を聞いて私どもが付き添い、時間制限を設けた上で参加します、王家の夜会の時も時間を制限して出席させます、その際にまたご助言いただけると幸いです」

夜月:『分かった、その時になれば相談に乗る』

 もう、話は終わったとばかりに後ろを向き、夜月はアトリーの隣に戻り寄り添うように寝そべった。

叔父プロニモス「ラ、ラト、い、今のは・・・・」

父アイオラト「ニモス義兄上、先程の声の主はお察しの通り聖獣のヤヅキ様のお声です、色々とあって、アトリーだけと意思疎通ができるとしてありますが、本来は聖獣様方のお心一つで会話が可能なのです、この事は公爵家の家族全員と限られた、ここにいる使用人、それと王家の方ではジル王弟殿下以外は誰も知りません、なので他言無用でお願いします。それと、聖獣様方は基本アトリー以外との会話はされないのですが、今回の様に重要事項があればお声がけ頂けるのです」

叔父プロニモス「わ、分かった、では、今の話は本当なのだね?」

父アイオラト「ええ、事実です、アトリーが眠りに落ちたのは神々の加護が作用した結果の様です」

母シトリス「お兄様、ラト、お話の続きは別の場所でいたしましょう、オーリー、カイン、ソル君もアトリーの着替えをお願い」

 シトリスの提案で寝室から着替えを頼まれた者以外が出て、デューキス親子が滞在している部屋のリビングに移動する、それと同時にアトリーの専属達が頼まれた事を素早く実行に移す、アトリーの髪をほどき、生活魔法の“クリーン“を掛け、衣装を素早く脱がせ、寝間着に着替えさせて、そっとベットのブランケットを被せた、アトリーは深く眠っているのか身じろぎ1つせずにスヤスヤ眠っている、起きる気配が無いことを再度確認し、アトリーを着替えさせている間ベッドを降りていた、聖獣達の内ジュールだけが身体を小さくしアトリーの横で丸くなったのを見て、着替えを済ませた3人は寝室を出てシトリスに報告をあげる。

オーリー「奥様、アトリー様のお着替えが終わりました」

母シトリス「有り難う、オーリー、カイン、ソル君」

父アイオラト「アトリーが大丈夫なのが確認が取れた、そろそろ私達は夜会に戻らないとね」

 寝室の扉から中を覗き、アトリーの寝顔を確認した両親はリビングにいる人達に向かい、そう促す。

叔父プロニモス「そうだね、主催が長く席を外すわけには行かないからね」

 同意の意を示すマルキシオス家の面々とは反対にアトリーの兄弟達は不服そうだ。

姉カシミール「お父様、私はアトリーの側にいてはダメですか?」

父アイオラト「カミィ、それはダメだよ、私達が招待されているのは他の招待客全員が知っている事だからね、ただでさえ今、全員がここにいる状況はよくない噂が流れる可能性がある、アトリーがこの後、夜会に出て行かなくても、それは子供だから先に退場したと思われるだけだろうが、ここで成人した君が会場に戻らなければ、何かよく無いことが起こったと勘違いされて、主催したマルキシオス家の評価に傷が付く。
 それに私達は先程の件でまだ話し合いもしなければならないからね、1人でも多くデューキス家の人間が会場にいて、双方の家の関係が良好だと知らしめなければならない、それに会場にはまだジン君達が残っている、彼らの補佐もして上げなければならない、言いたい事は分かるね?カミィ」

姉カシミール「・・・はい、では先に会場に戻りますお父様」

 貴族の令嬢として、辺境伯の跡取り息子の婚約者として、そして、何よりアメトリン達兄弟の姉として、こなさなければならない仕事、それが夜会での社交、父アイオラトの言葉は厳しいが、それがこの世界の貴族子女にとって重要な仕事であるから、姉、カシミールはそれを理解し真っ直ぐ父の顔を見て返事をした、そして、他の兄弟達を伴い夜会会場の大広間に戻って行った。

祖父イエロモンド「ふふっカミィは本当に成長したね」

父アイオラト「ええ、本当に、嬉しい限りです」

 アトリーが生まれたばかりの時は、あんなにアトリーと離れたくないと泣いていたのに、と自分の子供の成長を嬉しく思い頬を緩ませる親達。

祖父イエロモンド「さて、私達も大広間に戻ろう、君は先程の件の話し合いがまだあるんだろう?それまでシリーと、他の子供達は私達が見ていよう」

祖母プラセル「任せて起きなさい!」

父アイオラト「お義父さん…お義母さん…、宜しくお願いします」

母シトリス「お父様、お母様、ご迷惑おかけします」

 今回の事を心苦しく思っている2人にマルキシオス前侯爵夫婦はおどけるように笑いかけた。

祖父イエロモンド「迷惑でないからな、気にするな、さて、私の可愛い娘さん、久しぶりにエスコートさせていただけるかな?」

祖母プラセル「じゃあ反対側は私が!ふふっ、久しぶりに手を繋ぐわねシリー」

母シトリス「ふふっ、心強いですわお父様、お母様、・・・じゃあ、ラト、私は先に大広間に戻っていますね」

父アイオラト「あぁ、子供達を宜しく頼むよシリー、すぐに戻る」チュッ

 扉を出ていく前に頬にキスを送るアイオラトに、両親はあらあらお熱いですねと言った視線で見る、シトリスはその視線に恥ずかしそうにするが、最後はアイオラトにキスを送り返し両親を引っ張り部屋を出ていった、その際に兄の妻のネニュスとソルドア親子も連れていったので中に残ったのは、プロニモスとアイオラト、その専属従者のカイルにアトリーの専属2人だけであった。

叔父プロニモス「ふふっ、いつまで経っても変わらないね2人は、・・・さて、アトリーの事はそこの専属2人に任せていいのかな?」

父アイオラト「えぇ、大丈夫です、それに聖獣様方がおられますし、!・・・ヤヅキ様、テンカ様どうかなさいましたか?」

 プロニモスは壁際に控えているオーリーとカインに視線をやり聞いた、アイオラトは問題ないと返しながら寝室の扉を見てみると、そこにはアトリーの側にいるものと思っていた聖獣の夜月と天華が寝室の扉から出てきていた。

夜月:『2人に教えておかねばならない事が出来た』

父アイオラト「教えておかないといけない事ですか?」

天華:『そうです、先日できた海中のダンジョン、あそこに1番最初に入る事が出来るのはアトリーだけだそうです』

「「・・・え?えぇ⁉︎」」

 突然、驚きの声を上げた2人に、室内にいたオーリー達が驚いてビクッと肩を揺らした。

父アイオラト「ちょ、ちょっと待ってください、・・・な、何故、アトリーが1番最初にダンジョンに入らなければならないのですか?」

天華:『あそこがアトリーへのプレゼントだからです』

叔父プロニモス「プ、プレゼント・・・あのダンジョン自体がアトリーへのプレゼントだから、受け取るべき本人が1番最初にプレゼントを開ける権利があると、そう言う事ですか?」

夜月:『そう言う事だ、アトリーが最初に入らなければ、あのダンジョンは他の者を受け付けない、と精霊達がうるさく言っている』

天華:『なので、明日、私達とアトリーがダンジョンの中を確認してきますので、あなた方はアトリーの渡した魔道具の量産に早急に取り掛かった方がいいでしょう、アトリーの探索が終わり次第、あなた方も人を使ってダンジョンを調査するのでしょう?』

父アイオラト「!、分かりました、ダンジョンに入る際は私達は浜辺で待機しておりますので、アトリーの事はお願いします」

夜月:『心配はいらない、ダンジョンの入り口を開けた後は最初のフロアを軽く見てすぐに戻ってくるだけだ、・・・あぁ、それと父君、アトリーの“鑑定“の許可制度を取り払っておいてくれ、これからはアトリーの判断で鑑定をしなければならない場面も必ず出てくる、父君の許可をいちいち取っていたら手遅れになることもあるからな』

父アイオラト「っ!・・・そうですね、・・・分かりました、明日ダンジョンに向かう前にそう話しておきます」

 アトリーの鑑定能力を使うにあたって、アイオラトの許可を取ると言う仕組みが、今後のアトリーの冒険者生活での障害になると、言外に夜月にそう指摘された。
 父親としてアトリーを自分の保護下にいつまでもおいて置きたい、だが、それも元々自立心が高いアトリーが成長するにつれ、行動範囲が広がれば必然的に足枷にしかならない、そうなる前に指摘されたのはこれもまた神々の采配なのか、と思うアイオラトだった。

 そう言って伝言を済ませた夜月と天華はアトリーが眠る寝室に戻って行った。

叔父プロニモス「過保護と思っていたが意外と現実的だね、・・・・・子供をいつまでも手元に置いておきたいけど、いつかは親元を離れていくものだ、そうなるには今はまだ早いが、その準備をさせるには早すぎるって事はない、って事かな?」

父アイオラト「・・・・そうでしょうね、今はもう冒険者としての依頼をこなしています、予定より少し早いですがダンジョンに入るのならば、ダンジョン攻略に大いに役に立つ“鑑定スキル“を、親の過保護で埋もれさせるには勿体なさすぎますからね・・・。さて、やる事が増えましたから、あのお騒がせ男の件をさっさと片付けてしまいましょう、そして早く夜会に戻って他の子達を安心させてあげませんとね」

 ふっと少し寂しげに笑い、気を取り直し動き出したアイオラトにプロニモスは何も言わず頷き、共に部屋を後にした。

 その後2人は、あのお騒がせ男の両親と、被害者となった令嬢のご両親との話合いの場の見届け人として、両家の婚約破棄の証人となり、お騒がせ男の起こした迷惑行為に対して、男の両親にはこれと言った賠償などの請求はせず、お騒がせ男自身に厳しい処分を下した、今後マルキシオス家とデューキス家の開くパーティーや夜会への出入りを禁止し、両家の領地への領地入りも制限された、もちろん今回の被害者であるご令嬢のクレーメンス家の人達にも接近禁止になった。
 そして、男と共に夜会に来ていた女は侯爵家への不法侵入罪と詐欺容疑で逮捕された、今はマルキシオス領の衛兵隊の牢に収監されて、のちに正式な処罰を言い渡される予定だ。

 それと夜会は、騒動の事などなかったかのように大盛況で、他に問題も起きずに終了し、招待客が無事に全員帰った後、マルキシオス家に滞在しているアトリー以外の人達をサロンに集め、今回の騒動の顛末と、アトリーの容体に関してこの時点では加護の影響と言う点を隠して、ただの疲れで眠ったと報告をした、容体を知らされ安堵した子供達に疲れただろうと言って母親達と先に休むように促した。

 母親達に連れられてサロンを出ていく子供達を見送り、残った男親達は明日の予定を確認し合うことになり、イネオス達の父親達に精霊達から直接メッセージが来たという事にして、アトリーが最初に“海中ダンジョン“に入らなければならなくなったと話した。
 その話を聞いてイネオス達の父親達は親子共々見守りたいと申し出てくれて、手伝えることがあるのなら遠慮なく言ってほしいとも言ってくれた。
 その誠意あふれる申し出を有り難く受け取り、明日その日のうちにダンジョンに入れるかはどうかは分からないが、昨日イネオス達もアトリーと一緒に海中にある、ダンジョンの入り口になっている神殿を見ているので、もしかしたらアトリーが招き入れると言い出したら、一緒に入れる可能性があると予想して、一応、子供達にもダンジョン探索の件を軽く話して置くことに、それにもし、アトリーのダンジョンの探索が早めに終わり戻ってきた後、領主としてのダンジョンの調査も早く終わったなら、時間によっては他の子供達もダンジョンを見学できるかもしれないので、子供達全員にある程度準備をさせてから浜辺に連れて行こうという話になった、そうして、明日の予定は表向きは“海で遊ぶ“と言うことで話が纏まり、明日のために全員が早めに就寝する事になり今日はその場で解散した。

 アイオラトは自分の滞在する部屋に戻ると、シトリスが専属メイドのリアと共にリビングで起きて待っていた。

母シトリス「ラト、お帰りなさい、話し合いはどうでした?」

父アイオラト「おおむね、予定通りだよ、明日はアトリーがダンジョンに入るのを見届けて、戻って来るまでは子供達は海で遊ぶことになりそうだ、アトリーが戻ってき次第、侯爵家お抱えの魔道具師がアトリーの図面を見て制作した“呼吸マスク“を使い、うちの騎士団から5名、侯爵家の騎士団からも5名、結界魔法が得意な人員交えて選出して、“海中ダンジョン“の中の難易度を確認する作業になると思う、その際に魔道具の性能も確認して、量産体制に入るようにしているみたいだね。後、時間によっては他の子達もダンジョンの探索ができるかもしれないという話になってね、ダンジョンに興味がある子には装備を付けさせて浜辺で遊ばせる事になったよ」

母シトリス「そうでしたか、良かったです、ですがラト、明日はアトリーは1人で大丈夫でしょうか・・・」

父アイオラト「大丈夫だよシリー、あの子には聖獣様方に精霊様達がついているじゃないか、それに最初のフロアを見て来るだけだとヤヅキ様は仰られていたから、すぐに戻ってくるよ」

 母親であるシトリスは我が子が心配でならないらしい、父親のアイオラトが「むしろ、神々のご加護があるから1番安心じゃないか」と言ったことでやっと少しは安心したらしい。その後はアイオラトも寝支度を整えて夫婦で寝室に向かい、聖獣達に囲まれ見守られるように穏やかに眠るアトリーを見て少し頬を緩めていると、聖獣達が場所を明け渡すようにベッドから降りて寝室から出ていった。その後ろ姿に礼を言い、ベッドの開いた場所に夫婦でアトリーを挟み込むように入り、スヤスヤと眠るアトリーの頬を撫で頭にキスをして横になった、両親からキスをもらったアトリーは少しくすぐったそうに笑い、右側にいたシトリスの方に寝返りを打つと、母の温もりを求めるようにシトリスの腕に抱き付き擦り寄った。

アトリー「ぅうん~・・・」ゴロンッ モゾモゾ ギュッ~ スリスリ

「「「「「「っっ!!」」」」」」

 その可愛い仕草に両親プラス、両親の専属達とアトリーの専属2人も口を押さえ身悶えた、そんな夜を過ごし両親は可愛い我が子を抱きしめて眠ったのであった・・・・・












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