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第3章 少年期 学園編

72話 初めての市場2

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 朝も早くから港に行き、水産市場や交易品市場などを見学していたら、時間はもう既にお昼過ぎていた、お腹が空いた一同は街中にあると言う青果市場に向かう途中にある、レストランに入る事にした。

母様「ここはね、古くからある老舗のレストランよ、うちのお父様達も通っているお店だから、店主さんは昔馴染みなのよ」

父様「私も何度か来た事があるが、とても美味しい料理が出てくるよ」

 と言って、中に入って行くと・・・

「「父上?」「お父様?」「母上?」「お母様?」」

父様「おや?、皆んなここに来ていたのかい?」

母様「まぁ、奇遇ね」

(おぉ!家族全員集合!!)

 中には別々に街に繰り出していた姉様や兄様達に、イネオス達のご兄弟達と仁達も、従兄弟達が案内したのか年長組の人達が揃ってレストランに来ていた、おかげで店内はかなりの人数になっている。

(これは、店内入りきるかな?)

 と、心配していると。

?「いらっしゃいませ皆様、只今お席の用意をさせて頂いています、もう暫くお待ち下さい、それと、本日はこちら貸切となっていますので、ご心配なさらないで下さい」

 と、支配人みたいな人が言ってた。

(マジか、いつの間に?)

母様「まぁ、お父様が先にお店を貸切にしてた様ね、この様子だとイネオス君達もご両親達と一緒にこちらに来るのではないかしら?」

父様「他にもヴィカウタ子爵家含めた親子が最低9人ほど来ることは聞いてるかな?」

支配人「はい、その様にお伺いしてますので準備の方は問題ありません、ご来店されましたら随時お席にお通しさせて頂きます」

母様「やはりお父様が手配していたみたいね、分かりましたわ、ではよろしくお願いしますね」

支配人「畏まりました、では、皆様、お席の準備が整いましたのでご案内いたします」

(あぁ~、行き先はバラバラでも馭者さんは侯爵家の使用人さん達だから、お昼ご飯にいい場所ないか聞かれたらここを答えるようにしてたんだね、まぁ、こんな大所帯で普通のお店に入ったりしたら迷惑だろうし、知らない土地でご飯食べるには現地の人に聞くのは当たり前か・・・、母様もここに来ることを予想していたんだろう、なんとも手回しがいい事だ)

 などと考えている間にイネオス達が到着したようだ、イネオス達の家族は三家揃って行動していたようで、ベイサンとヘティの家族も同時にレストランに着いた。

 案内されてきたイネオス達のご両親達は、自分達が1番最後だった事で僕達を待たせた事を謝っていたが、父様が自分達も今来た所だから気にしないように言っていた、そして店内は貸切だった事もあり各々好きな様に座って料理を待った、今回はシェフのお任せコースらしいので注文しなくて良かったらしい。

「あ、そう言えば、仁さん、仁さん達がこの間言っていた“醤油“でしたっけ、アレを港にある市場の屋台で売られていたのを見つけました、仁さんが言っていた物と同じか分かりませんが購入してきたので後で味見して見て下さい」

 ガタタッ

仁達「「「それは本当⁉︎」」」

「は、はい、同じ味なのかは分かりませんけど、鑑定で“醤油“って書いてありました」

(おぉう、ビックリした~、まぁその反応分かるよ、飢えていたんだね、日本の味に・・・)

 “醤油“の事を聞いた仁達が揃って詰め寄って来たのに少し驚いた、その勢いに周りの人達も驚きポカンッとなっていた。

仁「やった!これでTKGできる!!」

夢ちゃん「お刺身につけて食べれる!!」

彩ちゃん「お煮付けも作れる!!」

 3人で盛り上がって喜んでる姿を微笑ましい気分で見つめていると。

父様「アトリー、あの黒い液体が仁君達が欲しがっていた物なのかい?」

「はい、この前、夕食に焼き魚が出ていたと時に“醤油“をかけて食べたいって、仁さんが言ってらしたので天華達に“醤油“の事を聞いたら、仁さん達が住んでいた所での一般的な調味料だって言っていたので、興味が湧いて色々聞いてどんな物か教えて貰ってたんです」

父様「そうなのか、仁君達の故郷の味なのか、だからあんなに喜んでいるんだね、えらいねアトリー、進んでそれを探してあげるなんて、じゃあもしかして、今日買った物の中にまだ仁君達が喜びそうなものがまだあるのかな?」

「はい!いっぱいあります!でも今は内緒です♪帰ってからのお楽しみです♫ふふっ」

 前もって考えていた言い訳を言って、本当は自分も前々から探していた事を誤魔化した。

夢ちゃん「え!これ以上嬉しい物がまだあるの⁉︎」

彩ちゃん「アメトリン君はどこまで私達の国のお話を聞いたのかしら、予想がつかなくて、とても楽しみだわ♪」

仁「僕が一言呟いただけの言葉だけで本当に探してくれるなんて・・・、嬉しすぎるよ・・・」

 仁は余程嬉しかったのか感極まって泣き出してしまった、その様子を見た全員が感動している中で僕1人だけ複雑な気分でいた。

(うわぁ~、自分の欲望のままに買い物しただけなのに、そこまで感動されると気まずくて罪悪感でいっぱいだよぉ~)

天華『そこは耐えましょう、皆さんアトリーが元日本人なんて知りませんからね・・・』

(ふぁ~い( ;∀;))

 ひとしきり喜んで感動した3人は僕にお礼を言って席に戻った、そのタイミングでレストランの従業員が料理を運んできた。

(ふぇぇ、居心地が悪かったぜ・・・、あ、それよりご飯、ご飯♪)

夜月『食い気が勝ったか・・・』

(成長期なので!!(≧∀≦))

 先程の気まずい雰囲気も食欲には勝てず、出された料理に目を輝かせた一行、父様が食前の挨拶をすると、皆んな一斉に食べることに夢中になった。

(さすが、母様達が行きつけにしている、レストランだけある、海の幸がふんだんに使われていて、飽きの来ない味付け最高だ!)

 さすが、老舗のレストランだけあって味付けが他とは違うようで、イネオス達や仁達も美味しそうに料理を食べていた、ジュール達もこのレストランの魚料理が気に入ったのか、黙々と食べていた、そして、ふと気づいた。

(しかし、これだけ色んな魚料理があるのに、タコとかイカの軟体動物系の料理はないね?あとナマコとか・・・)

天華『それは、軟体動物の代表格がクラーケンだからではないですか?あの魔物が念頭にあるから普通のタコとかイカもあまり食べられてないのでは?後は見た目ですかね?』

(あー、それはしかないか、見た目はあのうにゅうにゅしたやつだからねー、市場に出回らないのも仕方ないか・・・、今度、海に行った時に見つけ次第捕まえるか・・・、たこ焼きが食べたくなったし、後イカそうめん・・・)

夜月『やっぱり食い気か・・・』

(成長期なので!!(≧∀≦))2回目

 ご飯を食べ終わりこのレストランのオーナーシェフに挨拶をして、また各々分かれて街に繰り出して行った。

父様「さて、私達は次は街の中にある野菜市場に行こうか」

「はい♫楽しみです♪」

母様「ふふっ、気にいる食材があるといいわね、それに仁君達の故郷の食材もあるといいわね♪」

「ふふっ、そうですね、また見つけて驚かしたいです!」

父様「ふふっ、そうだね、いいのが見つかるといいね、じゃあ行こうか」

 そう言って馬車に乗り込み、街中の市場を目指した、相変わらずソル親子は僕達に着いてきている、出る前に「僕達に無理に付き合わなくてもいいんだよ」と言ったのだが、ソルは僕について行くと言って聞かなかった、セラスさんはニコニコしながら「ソルが楽しそうなので私も皆様に着いて行きますわ」って、言って今もついて来ている。

 僕は(うーん、ソルが楽しそうなら良いか・・・)と、結局いつも通りソル達と一緒に楽しくお買い物することにしたのだった。

 馬車が大きな通りを走り出して数分すると、外の様子が賑わって来ている事に気づいた、速度も落ちてきて目的地についたようだ、慎重に護衛騎士達が警戒体制を取り、警護の配置についたのを確認してから外に出ると、そこは広場の入り口の真ん前だった、大人から子供まで沢山の人達が市場になっている広場を出入りしていた。

「わぁ、港の市場より人が多い」

父様「そうだね、ここは一般家庭の人達も買い物に来るから、港の市場より人が多いだろうね」

「そう見たいですね、小さい子供達もたくさんいるみたいですし」

 と、呑気に会話している間に、全員が馬車から降りていて、いつの間にか周りを護衛騎士達が行進形態に配置を変えていた、ここでは先程より警備が厳重になっていることに気づいた、やはり人が多くなると悪い人達が増えるからだろう、自分もなるべく警戒を怠らないように感知系のスキルを発動させた。

 広場の中は沢山の農家さんらしき人達が借り物の屋台や、屋根のついた荷車を屋台がわりにして野菜や果物などを販売している、その様子がバザールのようで異国情緒に溢れていた、初めて訪れた野菜市場に周りをキョロキョロと見回していると、意外と道幅が広く護衛騎士を連れて歩いている僕達を遠巻きに見ている人達が大勢いた。

(意外と広々としてるね、出てるお店はたくさんあるのにでもちょっと汚いかな?)

 市場には野菜などの屋台の他、その場で食べれるような軽食系の食べ物屋さんも出ている、そこで使用されたらしき木の器や串などがちらほら落ちている、野菜などを売っている屋台は商品を渡すときは、客がもって来ているカバンやカゴに商品をそのまま入れるのが普通のようなので、ゴミなどはほとんど出ていないみたいだ。

(ゴミ拾いの専属を雇うかゴミ箱の設置を検討した方がいいじゃないかな?)

 むしろ両方した方がいい気がしてきた僕の視線の先で、少し身なりがボロボロの子供達が落ちている木の器や串を拾っているのが見えた。

(?ゴミ拾いの仕事をしてるのかな?)

「母様、彼らは市場のゴミ拾いで雇っているのですか?」

母様「いいえ、違うわ、あの子達は自主的に屋台で出たゴミを拾って、屋台の人にゴミを見せてお小遣いを強請っているの、屋台の人も自分のお店で出たゴミの回収をしなくて済むから彼らにお駄賃をあげているのよ」

「へぇ、持ちつ持たれつみたいな関係なんですね・・・・・」

「でもこれだと取り残しも多くて効率も悪いし、衛生面にも悪い、賃金としても本当に子供のお駄賃程度のようだから、あの子達の様子を見るに孤児や低所得者の子供みたいだから、もっとお金は欲しいはず、領主側で専属のゴミ拾いとして雇って、しっかりした賃金を払った方がやる気も出て街も綺麗になるのに、それに雇用が生まれて所得格差の改善にも役に立つだろうに・・・」

 思った事を小さい声でブツブツ呟いていると、

父様「アトリー!凄いじゃないか!たったあれだけの話の中でそれだけの対処法を思いつくなんて!うちの子は本当に賢い良い子だ!」

(おふっ、声に出てたか・・・こんなの前世では当たり前すぎて油断した・・・)

 前世で清掃業者なんて当たり前にいたので、この世界にいないのが不思議でしょうがなくて、つい口走ってしまったようだ。

 父様や母様にしこたま褒められ頭を撫でられた僕は、恥ずかしくなったので近くにあった野菜屋さんに突撃した。

「あのっ、これは何と言う野菜?ですか?」

 照れ隠しでニッコリ笑顔で見たことのない野菜?を指差し聞いてみた、だが野菜を売っている若い店員さんが僕をみて硬直してしまったので、勝手に“情報開示“で読み取ると“ノービル“と書いてあった、見た目は細長いほうれん草のような葉物野菜に見えるが、ほうれん草より茎がしっかりしていて色は白菜のような根元が白く葉先が薄っすら緑色だった。

(あ、また喋っちゃった・・・、まぁいいか、喋らないと買い物できないし)とか、認識阻害のベレー帽の存在意義をまるっと放棄してしまった僕であった・・・

「“ノービル“?何々?栄養価が高くて、食べると身長が良く伸びる、と言われている事からそう名付けられた・・・」

(“ノービル“?山菜の“のびる“じゃなくて?てか!これ名前付けたの誰だよ!安直すぎるだろ!あ!でも、身長が伸びるんなら食べてみたい!)

「父様!これ!」

父様「ふふっ、分かってるよ、あるだけ買って行こう」

「有り難う御座います♪」

 身長の低さに悩んでいた僕は目を輝かせて後ろを振り向くと、父様は笑いながらすぐに“ノービル“の買取を決定してくれた、嬉しくなってウキウキの僕はスキップする勢いで次の屋台に移動した。

「キウイにブルーベリー、これは“ドラゴンフルーツ?“・・・く、果物なのかな?」

(キウイにブルーベリーは良いけど、この“ドラゴンフルーツ“は僕の知ってる“ドラゴンフルーツ“じゃないよ?これ食べ物なの?)

 次に見た屋台は果物を主に扱っているようで、商品は前世で見たことのある果物が並んでいたのだが、沢山ある果物のなかでもこの世界特有の果物が複数並んでいた、それは大きな赤いトゲトゲした楕円形の果実だ、そこまでは前世でもよく見た“ドラゴンフルーツ“と大差ない、だがその“ドラゴンフルーツ“には何故か花びらに似た質感の、“ドラゴンの頭?の形“をした緑いの“茎“?、いや“がく“?らしき物が果実の部分を吐き出しているようにくっ付いていた。

(なんでこれ、“ドラゴン“の頭が引っ付いてるの⁉︎妙にリアルだし、ちょっと笑えるw w w(゚∀゚)でも、ちゃんとフルーツ扱いなんだねwww)

 見ようによってはドラゴンが炎のブレスを吐いているように見えるが、いかせん、果実部分が太く大きな楕円形をしているので、どう控えめに言っても“ドラゴン“が赤い果実を吐き出しているように見える、つい笑いそうになったが笑ってはいけないのを必死に耐えた。

「こ、これ1つ下さい・・・・っ」

 笑いを堪えながらその“ドラゴンフルーツ“を指差し買って貰う、他にも色んな果物を買って貰って、また次の屋台へと向かおうとすると、母様に優しく手をとれて繋がれてしまった。

母様「ふふっ、今日のアトリーはご機嫌で浮かれっぱなしね、危ないから母様と手を握っておきましょうね」

(あ~、迷子になると思われたか、認識阻害のベレー帽も意味ないしね・・・まぁ、確かに?ちょっと?浮かれてはいるけど?流石に迷子にはならないよ?)

 少し抵抗はしたものの、結局は手は離してもらえず、母様に手を握られたまま野菜市場を見回る事になった。

「むぅ・・・」

ソル「アトリー様、そうむくれないで下さい、ほら、あそこにアトリー様の好きなリンゴがありますよ」

「!、リンゴっ!」

 前世でも好きな果物の1つで、アップルパイにするともっと好きな果物だ、ソルに誘導されてリンゴの置いてある屋台に近づくと、そこには薄茶色のリンゴに似た形の果物が置いてあった。

「!!」

(あれって、まさか!)

 置いてあったのは“和梨“、沢山ある好きな果物の中のダントツ1位が“和梨“だった、転生して10年この国では見かけた事がなかった代物で、初めて大好物の“和梨“見つけてテンション爆あがりした。

(お、落ち着け、僕、あれが“和梨“かちゃんと確認しないと“情報開示“・・・!よっしゃ!!“和梨“確定!!あ、そうだ味見できるかな?味見して美味しかったら爆買いしてして貰おう♪)

ジュール『そんなに好きなの?』

(うん!大好き!前世では毎年、秋に、地方にいる親戚から送られて来ていたのを、僕1人でおやつに1玉食べてたりしてたなぁ、大振りで食べ応えのある“和梨“だった)

ジュール『そうなんだ、私も食べてみたい♪』

(よし、じゃあ1個買って貰って皆んなで味見してみるか)

 『『『賛成!!』』』と、ジュールだけじゃなくて話を聞いていた、天華と夜月も嬉しそうに賛成してきた。

「母様、あの果実を味見してみたいのですが、駄目ですか?」

母様「あら珍しいわ、“ナシ“ね、アトリーは食べた事なかったかしら?そうね、じゃあ店主さん1つ頂けるかしら?」

 と、優しく微笑みながら注文すると、さっきまで僕を見てフリーズしていた店主さん、次は顔を赤くして閉まらない顔でナシを1つ差し出した。

母様「有り難う御座います、リア、お願い」

 母様が言った瞬間、すぐ後ろからリアさんが差し出されたナシを受け取り、あっという間に“ナシ“の皮を剥き1口サイズに切り分けピックを刺して、どから持って来たのか分からないけどお皿に盛って、僕に差し出してくれた。

(おぉ、相変わらず素晴らしい手捌き・・・)

「わぁリア、有り難う♪」

 そう言って、お皿の上のピックが刺さった1口サイズの“ナシ“を1つ貰い口に入れた、口に広がるみずみずしい爽やかな“和梨“特有のすっきりした甘みに、シャキシャキとしたかみごたえ、これぞ、前世で大好きだった“和梨“の味と食感、噛めば噛むほど果汁が出てきて口の中に広がる。

(これこれぇ~、久しぶりに食べるとほっぺた落ちそうなぐらい美味しい♪☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆)

 ほっぺたに手を添えてうっとりと味を堪能していると、ソルが僕の前に来て・・・

ソル「アトリー様、落ち着いて下さい、そんなに“ナシ“が気に入ったのですか?」

「・・・?うん!シャキシャキして甘くて凄く美味しい!大好きになったよ♪」

 ニッコリ笑顔全開で堪えるとソルは「そうですか」と嬉しそうに笑顔で返すと、

ソル「では、リンゴと“ナシ“、どっちがお好きですか?」

 と、聞かれたので、

「“ナシ“の方が好きだな♪」

 と、即答した。

ソル「そうですか、分かりました」

 と、返した後はチラッと父様やカイルさんの方に視線を送る。

(どうした?ナシの購入決定のお知らせ?)

ジュール『アトリー、私もナシ食べたい!』

(あ、はいはい、待って、すぐあげるよ)

 ソルの視線の意味が気になったが、ジュールにナシが食べたいと催促されたので、その視線の意味を考えるのを放棄し、ジュール達にナシを食べさせる事を優先させた。

*アトリーがジュール達にナシを食べさせている間に、市場内のナシの半分を公爵家が買い占めていたことを、この時のアトリーは気づかなかった。
 そして、一口にナシと言っても色んな品種があって、品種によって収穫期が変わるのでアトリーが大好きと言った、シャキシャキ感があり甘味の強い品種を探し求めた、その結果それを追求するために、マルキシオス侯爵領で品種改良まで行われ、そうして完成された最高のナシはのちにアトリーの大好物となった、この最高のナシはその後もアトリーの為だけに生産される事となり、たまに市場に出回ると高額で取引されて、密かなブームを巻き起こすのであった。
 またその品種改良に、この土地の精霊達が気合を入れて手伝っていたのは秘密だ。

 僕はジュール達にナシを食べさせ終わると、父様にこのナシを買って貰うために顔を見ると笑顔で「もう買う手続きはしたから大丈夫だよ」と言われたので笑顔でお礼を言い、市場見学、いや、もうこれは普通にお買い物だったが続けた、生まれて初めての市場に浮かれて色んな物に興味を惹かれた、前世で見た野菜や果物に、この世界特有の品種の牛や鳥のお肉や新鮮な乳製品など、様々な食材を“情報開示“で見て回った結果、スキルレベルが1つ上がっていた事に後で気づいた、ついでに感知系のスキルもレベルが上がっていた、別に不審な人にはエンカウントしなかった、する前に公爵家の影が排除しちゃったから・・・

 楽しく市場でのお買い物を済ませる頃には良い時間帯になっていたので、マルキシオス家の屋敷に戻ることに・・・

(あぁ、戻ったら、またマッサージフルコース行きなのかなぁ~、お風呂に入るのは仕方ないとして、マッサージはなぁ~)

 と、心の中で愚痴っていた。













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