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第3章 少年期 学園編
68話 泳ぐぞー!!
しおりを挟む〔何だろうココ、神殿?〕
海の底に荘厳な建造物を発見した、その建造物は前世で言う所の、ギリシャにあるパルテノン神殿を彷彿させる佇まいだ。
*〔 〕は、水中での会話です。
〔うわぁーキレー、何かの遺跡かな?でも、こんな所に遺跡があるなんて、叔父様達から聞いてないよね?〕
ソル〔えぇ、僕も聞いた事ありません〕
ここは昨日来たプライベートビーチからほど近い沖合にある海の中、海底に向かって潜水している最中に見つけた、不思議な神殿風の建造物を見下ろしている所だ。
〔だよねぇ、・・・ちょっと中覗いてみる?〕ワクワクッ
ベイサン〔え、危なく無いですか?〕
イネオス〔気になりますけど、先に大人達に報告した方がいいんじゃ・・・〕
ヘティ〔私もとても気になりますが、そうした方がいいと思います〕
ソル〔そうですね、僕もそうした方がいいと思います〕
〔うーん、そうだね、先に報告しに行くか・・・しかし、砂浜からそんなに離れてないのに叔父様達が知らないなんて、不思議なこともあるんだね・・・〕
と呟き、水面に向かって浮上し出した。
何故今、僕達が海の中で会話をしながら泳いでいるかと言うと、遡ること数時間前・・・
+ーーーーー+ーーーーー+ーーーーー+
美の探求者達から逃れて、無事朝食を食べ終えた僕は、昨日も遊びに来たマルキシオス侯爵家所有のプライベートビーチにやって来ていた。
「よーし、今日は泳ぐぞー!」
と意気込んでいると、
父様「え、アトリー、泳げるの?」
(あ、やべ、・・・またやらかした・・・・どうしよう)
前世の学生時代に学校で習った水泳+、近所の市営プールで泳ぎまっくっていた僕には、今世でも問題なく泳げると思い口走った言葉だったが、今思えば転生してから今まで一度も泳いだ事はなかった・・・(ついでに言うと背泳ぎと潜水が得意)
(マジどうしよう、うーん、・・・あ、そうだ!いつもお風呂で泳いでたって言ったらだめかな?)
天華『それは流石に無理があるんじゃ・・・、いくら公爵家のお風呂が広いからと言っても、深さはそんなになかったでしょう?』
(あ~、そうでした、意外と深さないんだった、あの風呂・・・う~、でも泳ぎたい!)
夜月『泳げる前提で話すのではなく、泳ぎたいからと、素直に教えを乞おうてみたらどうだ?』
(あ、そうだね!まだ泳げるとは言ってないもんね!アドバイスありがとう、夜月!)
「えっと、泳ぎ方は本で読んで知っているんですけど、でも本当に泳いだことがないので泳いでみたかったんです、父様に本当の泳ぎ方を習おうと思って・・・ダメでしたか?」
キュルルンッと上目遣いで首を傾げながら父様に聞いてみた。
父様「っ!・・・・・、ダメじゃないよ!分かった父様がアトリーに泳ぎ方を教えてあげるよ!ソルやイネオス君達も一緒にするかい?」
天華『アトリー、今のはワザとやりましたね?』
(ふっ、誤魔化すのには強いインパクトが必要なんだよ・・・)
ジュール『アトリー、そんなんだから称号に“誤魔化し上手“って出るんだよ?』
(グフッ・・・・・、それは言わない約束・・・・_:(´ཀ`」 ∠):)
夜月『隠し事が多いアトリーには仕方ない称号だな』
気を取り直して、ソルやイネオス達と一緒に、基本的な泳ぎ方を浅瀬で父様やモンドお祖父様達大人から学び、皆んなの飲み込みも早かったのか、ある程度1人で泳げると判断されて、大人達の目の届く範囲で泳ぐ事を許して貰った。
(よっしゃ!これで好きなだけ泳げる!)
モンドお祖父様「皆んな、あそこに見える小さな岩場、あそこまでなら自由に泳いでも大丈夫だけど、あれより沖には出てはダメだよ?」
と言われ「「「「「はーい!」」」」」と、元気よく返して海に入った、足が届くか届かないかぐらいの深さまで来て、クロールを本気で泳いでみた。
ザバッザバッ!
(わぁ~!前世で泳いだ時より軽快に泳げる!!楽しい♪)
『ピロリンッ、“水泳スキル“を習得しました』
(おっ、久しぶりにアナウンス聞いた)
随分前に、アナウンス機能をスキル習得した時だけお知らせしてくれるように設定していたので、最近はあまり鳴らなくなっていたのだった。(スキルのレベルが上がるたびに、ピロリンッ、ピロリンッ、って、うるさかったので)
(しかし、水泳か、初めてしたのにこんなに簡単に水泳スキルって取れるもの?)
天華『アトリーの前世でしていた事も相まって習得がしやすかったのではありませんか?』
(ふむ、そう言えばティーナちゃんが僕の持っているスキルは、前世由来のものが多いって言ってたっけ?前世での経験値も考慮されているなら習得が早いのも頷ける)ふむふむ
天華『前世でのアトリーは多才だったようですし、これからもちょっとした拍子に新たなスキルが習得できるかもしれませんね?』
(そうかも、前世でやっていた事を今世ではまだやってないものがあるのは確かだもんね、ふふっ、これからももっと色々挑戦してみよう!)
夜月『程々にな』
天華『無茶はダメですよ?』
ジュール『やり過ぎは良くないからね?』
いつも僕の心配をしてくれている聖獣達は、本来の大きさになった天華の上にジュールが子犬サイズで乗って、泳いでる僕の上を飛んでいる、夜月は自分の種族特性で浮かんで僕を追いかけて来ていた。
(はーい!)
やりたい事が次から次へと思い浮かぶ僕は夢中になっていて、気づいたらモンドお祖父様が言っていた岩場まで泳ぎ着いていた。
「おぉ、意外と近かった?・・・・そうでもないか・・・」ザバッ
岩場にしがみつき振り返ると思った以上に浜辺が遠かった、岩場に上がり休憩をしていると少し遅れてソルが岩場まで泳いで来た。
ザバッ!
ソル「アトリー、泳ぐの早すぎです!」
「あ、ソル♪、ソルも泳ぐの早いじゃん!」
ソル「僕は必死に泳いで来ただけです!もう、アトリー、あまり1人で遠くに行かないでくださいよ!心配になります!」
「ぅ、ごめんね?楽しくて夢中になって泳いでいたら、気づいたらココに到着してたんだ」
ソル「っ、・・・・はぁ、もう良いです、ですが今度からはもっと周りに気をつけて下さいね」
「うん!、分かった!」
ソル「返事だけは宜しいんですから・・・」
とため息を吐くソルをニコニコ笑いながら見ていると、岩場の周りに大きな魚影が複数浮かび上がって来た。
(んん?これは・・・あ!来てくれた⁉︎)
ザッパァ~ン!!
水中から飛び出て来たのは昨日もあったイルカ達だった。
「わぁ!イルカさん!!」
ソル「わぁ、昨日あったイルカ達ですかね?」
「キュィ~ッ♪」
「ふふっ、そう見たい♪」
(可愛い鳴き声♪それに顔出している格好も可愛い!!)
楽しそうに鳴くイルカ達が岩場のギリギリまで来て顔を出しているのが可愛くて仕方ない。
「イルカさん達、昨日の約束を果たしに来てくれたの?」
「キュキュ~ッ!」
天華『そう見たいですね』
「じゃあ、一緒に泳ごう!」
「キュゥ!」
ソル「僕も一緒に泳ぎたいです!」
「うん、一緒に行こう!」
バチャーンッ!!
〔キュィ!〕〔〔っ⁉︎〕〕
そうして、ソルと一緒に海に飛び込むと、イルカ達が僕達の足元に来てその背に僕達を乗せてくれた、とっさに背鰭に掴まるとスピードを上げて泳ぎ始めた。
ザバッ!!
「あはははっ♪早い、早い♪」
「キュイキュイッ♪」
「アトリーーーーー!」「ソルーーーーー!」
イルカの背に乗りはしゃいでいると、浜辺の方から僕達を呼ぶ声が聞こえた。
「?、なんだろう?呼ばれたみたい」
ソル「旦那様方がお呼びのようですね」
「そうだね、うーん、仕方ないか、イルカさん達、浜辺の方に連れてって貰えるかな?」
「キュゥイッ!」
元気な返事が返って来たと持ったら、凄い勢いで泳ぎ始めたイルカ達、あっという間に浜辺の近くまで連れて来てくれた。
「「「「「アトリー!ソル!」」」」」
「?どうしましたか?」
イルカから降りて浜辺に上がると、大人達が慌てて一斉に近寄ってきた。
父様「どうかしましたか?じゃ、ないよアトリー、いつの間にあんな遠くまで行って、あのイルカ?いや、多分魔物だろうが、魔物の背中に乗っていたんだい?」
(まぁ、父様が焦るのも分かる、あのイルカ、いや、イルカみたいなあの子達は確かに魔物だもんね・・・)
僕達が乗っていたイルカの見た目をした動物達は、イルカにしては全体的に一回り大きく、尾鰭も体のサイズにしてはとても大きい、そして何よりこのイルカのような魔物、体の色が鮮やかな水色をしている、名前は“ヴィテスドルフィン“大抵の海に生息している、人に懐きやすい魔物、悪戯もたまにする。
「岩場まで全力で泳いで行ったら、あの岩場の周りであのイルカさん達に会って、それが昨日一緒に遊ぼうって約束をしたイルカさん達だったので、約束通り一緒に遊んでたんです」
父様「・・・・・そうか、昨日の・・・それにしても、アトリー、またいつの間に魔物や動物達に懐かれたいたんだい?」
(いつの間にって、言われてもなぁ・・・)
「・・・うーん昨日?でしょうか?多分?」
父様「そう、か、確かに、昨日は凄かった・・・・」
昨日の水中ショーの事を思い出しているのだろう、あの時の魔物や動物達の歓迎っぷりは確かに凄かった。
「あの、父様?それで、イルカさん達と遊んではダメですか?」
父様「うーん、良いよ、でもあまり遠くまで行ってはダメだよ?聖獣様方からも離れないように、いいね?」
「はい!」
(わぁ~い、遊んで良いって許可が貰えた~!)
「じゃあ、一緒に遊んで来まーす!あ、イネオス達も一緒に行こう♪」
許可を貰えたので再びイルカ達の所に戻る途中で、近くで泳いでいたイネオス達も誘いイルカ達の所に戻った、イネオス達は最初驚いていたけど、そんなに怖がることもなくイルカと触れ合った。
「意外とプニプニしてるよね」
プニプニとイルカを突いていると、イルカがくすぐったいように身を捩った。
ソル「見た目はツルツルして硬そうにしているのに、意外と柔らかいですんですね」
ソルは自分のそばにいるイルカを優しく撫でている、皆んなもそれぞれ自分の近くに来たイルカ達を撫でたり、抱きついたりしながら楽しんでいると、
「キュゥ~・・・」
「ん?どうしたの?触られるのは嫌だった?」
僕の触っていたイルカが少し不満そうに鳴くので聞いてみたが、首を横にイヤイヤと振った後、僕のお腹に頭をグリグリ押し付けてきた。
「違うのかな?」
首を捻り考えていると、
天華『どうやら、アトリー達を何処かに案内したいようです』
「うん?何か見せたい物があるのかな?うーん、あまり遠いと父様達が心配しちゃうからなぁ」
小さいサイズで僕の頭に乗っている天華が通訳してくれている。
「キュキュゥ~」
天華『そこまで遠くないようですよ、海の中らしいです』
「海の中?潜るのかな?近場ならそんなに深くはないか・・・、ふむ、父様に聞いてみよう、潜るのは魔法でどうにかなりそうだし」
イネオス「潜るのはどうにかなるんですね・・・・」
ソル「どうするんでしょうね?」
ベイサン「魔法って凄い・・・」
ヘティ「まぁ、海中散歩でしょうか?楽しみですね♪」
そうして、一旦父様達の元に戻り今の話をしてみた。
父様「うーん、海の中か、アトリー、潜るのはどうにかなると言っていたけど、どうやって行くつもりだい?」
「あ、それはですね、結界魔法の“プリズン“を応用して水中に入る前に外の空気ごと自分を包み込んで、海水を阻むようにしておけば良いのです、後は結界にある程度、質量を持たせて重くし水に沈むようにすれば、結界の中の空気で浮かび上がるのを阻止できると思います、海中での移動はイルカ達がしてくれるそうなので、移動には問題はないはずです、それと結果以内の空気が心許なくなった場合は、結界の質量をなくしてすぐに浮上してくれば良いと思います」
(まぁ、もしくは海中の酸素を取り入れるようにしておけば、長時間の潜水も可能だけど、今回はそこまでしなくても良いだろうから話さなくていいか)
天華『それぐらいが妥当ではないですか?あまり革新的な魔法を作ると怪しまれますからね、特に仁さん達に・・・』
(だね)
天華『それはそうと、アトリーにはその結界を自分にかけなくても良いと思いますよ、常に神々の結界が展開してあるんですから』
(うん?どうこと?さっき泳いでいる時は海水に触れてたよ?)
天華『そうですね、深く潜ると結界が海水を危険と判断して排水してしまうと思われます、神々の結界はアトリーに害があると判断すると、それを遮断、排除するしようになっていると聞きました』
(あぁ~、この結界が最大のチートだったわけか・・・うん?そうなると僕が日に焼けない原因はこの結界か?紫外線は肌に影響が出るから遮断されっぱなしなのかも・・・)
天華『その可能性は大ですね、後、害のない範囲の紫外線を浴びたとしても、アトリーの“超回復スキル“で日焼けがすぐに治っている可能性がありますね』
(おうぅ、それじゃあどっちにしろ僕は一生日焼けしない体だったんだね・・・チートやべぇ・・・)
父様に今判明した結界の効果も言うと、周りで聞いていた女性陣が衝撃を受けていた。(“超回復スキル“のことは内緒だ)
モンドお祖父様「それにしても、ここら辺の海底に見せたいものか・・・なんだろうね、私は聞いたことはないが、珊瑚礁とかならあるにはあると思うが・・・」
父様「まぁ、潜る手段があるのなら止めないが、危なくなったらすぐに引き返して来なさい、分かったね?」
「「「「「はい!」」」」」
他の兄弟達や仁達も行きたそうにしていたが、案内をしてくれるイルカ達が5頭しかいないので、年少組だけで行く事になった、まぁ、保護者枠で聖獣達がついて行くから、渋々だけど許可が降りた。
そして、浜辺でさっき説明した結界を僕が展開すると、直径1メートルの円筒状の薄い膜が張られて海水を弾くしようになった、後は人間とイルカだけは通れるようにしてあるのでこれでイルカの背鰭に捕まれば、イルカの泳ぎも阻害しないので大丈夫だろう。
いざ!、海の中へ探検だ! と、海に入っていって、海中散歩を楽しんでいると、途中で昨日も会った海の生物達が僕達の周りをクルクルと周り、楽しそうに挨拶をしてくれる。
〔ふふっ綺麗な色の魚達が沢山いるね♪あ!大きなイカがいる!〕
夜月『あれは“クラーケン“の子供ではないか?』
〔え!、あれで子供なの⁉︎〕
岩場の間から体調5メートルほどあろうかと言う、大きなイカが長い足を楽しそうに振ってくるので驚いていたが、あれは子供だと言われさらに驚いた。
(イヤイヤ、あれって前世で言うダイオウイカ並みに大きかったのに、あれでまだ子供とか、さすが海のモンスター代表の“クラーケン“の子供だけはある、のか?)
他にもゆらゆらと揺れている、可愛いクラゲや綺麗な赤い鉱石を背負った蟹、昨日話題になった色とりどりの“カラーシェル“、小さくて可愛いタツノオトシゴや小魚達、沢山の海の生物達を見ながらどんどん潜っていくと、それは深く澄んだ海の中にあった・・・・
+ーーーーー+ーーーーー+ーーーーー+
そして、時は戻り・・・現在・・・
ザバンッ!!
海面に出てすぐに父様達の元に戻った。
「父様、モンドお祖父様、海底に凄いものを見つけました!」
と、少し興奮気味に告げた・・・・
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