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第3章 少年期 学園編
66話 皆んな一緒で皆んな良い
しおりを挟むはい!どうも僕です!先程拾った石や貝殻達はどうやらかなり貴重な物のようです!
(でもどれが、モンドお祖父様の言う“コレ“がなのか分からないんだよね・・・)
手に持った拾得物をジッと見ていると、モンドお祖父様が説明してくれた。
モンドお祖父様「そうだね、まずこの色のついた大きな真珠なのだが、これは“カラーシェル“と言う色とりどりの貝殻を持った珍しい種類の二枚貝がいてね、その貝が貝殻と同色の真珠を体内でごくたまに作り出す希少な真珠が“カラーパール“なんだ、その貝は生きているうちはどんどん大きく育つ種でね、育った大きさによって出来上がる真珠の大きさも異なる、今アトリーが持っている大きさの真珠は、20年以上生きた“カラーシェル“が持っていた“カラーパール“より大きいと思うよ、それにその色、“淡い紫色“なんて初めて見るよ、確認されている“カラーシェル“の色は白色、赤色、青色、黄色、桃色、緑色の6色ぐらいで、濃淡の差はあるが“淡い紫色“は私は初めて見るよ」
と、言ってマジマジとゴルフボールより大きいの淡い紫色の真珠を見つめた。
(こ、コレ、本物の真珠だった⁉︎僕はてっきり適当なサイズの石に色をつけた、おもちゃだろうと思ってた!!!)
「え、え⁉︎ほ、本物ですか⁉︎か、鑑定して見ても良いですか⁉︎」
モンドお祖父様「あぁ、して見なさい」
「は、はい“鑑定“・・・・」(“情報開示“)
====================
+ラージ・カラーシェルの真珠(淡紫のカラーパール)+
詳細:30年生きたカラーシェルが変化し、ラージ・カラーシェルになった事で独自の色彩を持った真珠を作成
この真珠はラージ・カラーシェルが26年抱え込んで作った最高品質の真珠
宝飾品や魔道具などの素材としての用途としても最上級品
価値:時価
====================
「・・・・・おっふ・・・・・、本物だった、26年物って、時価って・・・・・」
(や、やべーのを拾ってしまった・・・・てかこれもはや進化だよね、この真珠作った“カラーシェル“、いや“ラージ・カラーシェル“・・・)
1人で現実逃避したいと思い始めている僕に、モンドお祖父様が追い討ちを掛けるようにこう言った。
モンドお祖父様「26年物⁉︎コレは最高記録だね、今まで出回った“カラーパール“の記録が確か23年物だったはずだ、あの時の“群青のカラーパール“がオークションで、確か1億リトス以上の値がついたと聞いたな」
(い、1億リトスぅ~~~⁉︎、や、やばい、コレ、オークションに出したらいくらになるの⁉︎)
「・・・・・そっと、海に戻そう・・・・・」と呟いたのを聞いたモンドお祖父様に「待て待て」と、止められた。
その話を聞いて他にも色んな色の真珠らしき物を拾った、イネオス達も自分達が手に持っている、そこそこ大きい真珠を恐る恐るつまんで、海に戻そうとしていたのを同じように家族に止められていた。
(どーしろってんだコレぇ!!しかもよく見ると黒真珠もあるよねコレ⁉︎しかもそこそこ大きいし!!)
ニモス叔父様「アトリー、その真珠はとても希少で凄い代物だが、君がまだ手に持っている石はもしかしたら、それよりもっと希少で凄い物だと思うよ」
「・・・え?この石も?・・・・」
ニモス叔父様「うん、それは多分、海底にある“ジュエリーコーラル“のカケラだと思うんだ、この近海のかなり深い所に生息していると言われる、珊瑚の近親種と思われる宝石珊瑚の一種だ、実際に生息しているのを確認したわけではないが、たまに漁師が地引網に引っ掛かっているのを見つけるので、それを鑑定して名前だけは判明しているから、実在はしているのは確かだ、でも何かの拍子で浅瀬に流れてくることは無いとは言い切れないが、こんな波打ち際で見つかったのは初めての事だよ」
ただの綺麗な色した石だと思っていたのは、なんと、存在が明確に確認されてない希少な珊瑚の一部だったらしい・・・
(な、なんじゃそら・・・この石、珊瑚だったの?透明度高いんですけど⁉︎珊瑚って乳白色のイメージしかなかったんですけど⁉︎)
手の中にある色鮮やかな青や赤、黄色の艶々した石を見て、真実か確かめようと“情報開示“を1番大きな黄色い欠片に使った。
====================
+ジュエリーコーラルの欠片(シトリンコーラル種)+
詳細:正式名称ジュエリーコーラル科・シトリンコーラル種
この欠片は深海に生息するシトリンコーラルの一部で不純物も無い最高品質の欠片
宝飾品や魔道具などの素材としての用途としても最上級品
価値:時価
====================
(はい、また来ました!時価!・・・・この“シトリンコーラル種“って、宝石の“シトリン“と関係あるのかな?)
天華『あまり関係は無いですね、色味が似ているからそう名付けられた感じです、黄色い石の代表格みたいな感じでしょう』
(あぁ、そう言う感じ・・・でも、なんで珊瑚がこんなに透明度高いんだろうか?色も沢山あるみたいだし・・・)
天華『そうですね、この世界特有の品種のようです、先程の“カラーシェル“もそうですが、この世界の自然物は色彩が豊かなのが特徴的ですね』
(確かに・・・ティーナちゃんの影響かな?髪色や瞳の色が多彩だったからね)
天華『多分そうですね』
そう納得して、現実に戻り、手に持った“シトリンコーラル“や“カラーパール“達をそっと“無限収納“になおした。
「何も見なかった・・・・」
母様「あらあら、アトリーったら、それを“収納“にしまっても、なかった事にはなりませんよ?」
「むぅ・・・・・、でもコレどうしたら良いんですか?」
そう母様に指摘されて、周りで同じように無かったことにしようと、している友人達を横目に、この高価な拾得物の処遇をどうするべきか、大人に意見を求めた。
母様「そうね、今後の礼服に合う装飾品に加工したり、いらないのならオークションに出してみたりするのはどうかしら?」
父様「それか、魔道具の素材としてアトリーが使っても良いじゃ無いかな?」
「んんぅ・・・、分かりました、何か考えてみます・・・」
(素材としてねぇ・・・どうするべかぁー・・・)
拾得物の有効活用法を考えていると・・・
モンドお祖父様「しかし、何故今日はこんなに希少価値の高い物がそんなに沢山落ちていたんだろうね?日頃 掃除を任せている使用人からは、目立った報告はなかったんだが・・・それに、このアトリーが持っている、“コレ“、“魔石“は何処から来たのか」
「“魔石“?」
(うん?“魔石“・・・どれだ?・・・・・“コレ“か?魔力を感じるし・・・)
*魔石とは・・・
魔石とは、魔物の中で強力な魔力を持った個体の体内で生成される、魔力の塊の事を言う、形やサイズは様々で、色などはその魔物の体の色や使用する魔法属性による。
僕が魔石と判断した物は平たく渦を巻いた、青い貝殻のような物だった、一般的には丸い形や結晶のような形が多いが、魔物の特性によって形が変わる物らしい。
「“コレ“?ですか?」
モンドお祖父様「あぁそれだよ、“コレ“はかなり珍しい魔物の魔石なんだ、アトリー達が拾ってきた物は大体、もっと海の深い所に生息している物が大半なんだよ、なのにこんな浅瀬で発見されるのが不思議でね」
「う~ん?でもいっぱい落ちてましたよ?ねぇ、皆んな?」
ソル「そうですね、砂浜のあちらこちらに落ちていました」
ヘティ「はい、とても分かりやすかったですよね?」
イネオス「僕は波に砂が持ってかれるたびに見つけてましたよ?」
ベイサン「え⁉︎そうなの⁉︎僕は海の方から漂って来ているのを見たよ⁉︎」
漂ってきた物が足元で止まるように落ちてきたので、それを拾っていたと、ベイサンが言った。
「ん、ん?漂ってきたの?」
(それは、変だね、打ち上げられてきてるわけでは無いのか?僕が見た時にはもう砂浜の上に落ちていたからなぁ、それに管理されているプライベートビーチだから危険はないと思って、感知系のスキルは使ってなかったし、見える範囲内で何かしらの生物を見たわけでもないし、海の中に何かいたのかな?)
「「「「「??」」」」」
その不可解な現象に皆んなで頭を悩ませていると、
プラセルお祖母様「それにしても、わざわざ足元に漂ってくるなんて、意図的ね?何か海のなかにいるのかしら?」
と、いつの間にか近くまで戻ってきていたプラセルお祖母様が海を見つめながら呟いてた、丁度その時ビーチバレーをしていた姉様達のボールが海のほうへ飛ばされた、すると膝下ぐらいの深さの場所に落ちたボールが、不自然に起きた波に押される形で砂浜に打ち上げられたのを、年少組と大人達が目撃したのだった・・・
(・・・・うん?もしかしてコレは・・・・)
僕は急いで海の方を“精霊視スキル“を意識して見なおした。
「あ、コレはやっぱり・・・それに海の中に結構いる・・・」
予想が的中したと同時に、感知系のスキルをフルに使用して海の中を感知してみると、砂浜からある程度離れた場所に、野生の生物の気配と魔物らしき生物の魔力を感知した。
(そこそこ、大きい生物だ、魚ではなさそう・・・、危険な生物でもなさそうだし、近寄ってみるか)
そっと、海に近寄ろうと歩き出した僕の腕を父様が掴み、止めた。
父様「アトリー」
「父様、危険はないです、それに父様にも見えているでしょう?」
沢山の海の精霊達が僕を待っている、『一緒に遊ぼう』って手招きしているのだ。
「大丈夫ですよ」
再度そう言って笑うと、父様が腕を離してくれたのでゆっくり波打ち際まで近づき、こう言った。
「色んな贈り物を有り難う、大切にするね、“精霊さん達“」
と、小さな声で言うと、目の前の海が盛り上がり噴水のように水飛沫をあげたのだ、この現象も先程のボールを押し返した現象も、全て海に居た精霊達が起こした現象だった、そして勿論、高級な真珠や珊瑚の欠片、貝殻などを波打ち際に意図的に置いたのも、精霊が僕達にくれたプレゼントだったようだ。
『皆んなからのプレゼントよ』『そう皆んなが君達にって』『嬉しい?』『嬉しい?』
と、次は話しかけてきた。
「うん、綺麗で可愛かった、とても嬉しいよ、有り難う」
と返すと、また海が持ち上がり、噴水ショーのように水が螺旋を描いたり、輪っかを作ったりして喜びを表現していた、そこに遠くにあった生物の反応が海面に上がってきて、勢いよく飛び上がって輪っかめがけてジャンプした。
「わぁ~、イルカだったのか♪それにシャチも?」
キュイキュイッと、嬉しそうな鳴き声を出し、自分達の泳げるギリギリの浅瀬まできて顔を見せてくれた、他にも海亀やマンタらしき生物までいる。
「あ、遠くにクジラまでいる♪」
沖合の方で頭を出して、潮を吹く姿が目に入った。
「「「「「わぁ!」」」」」
他の生物達も次から次に顔を覗かせ、その場で即席の水中ショーが始まった、イネオス達だけではなく大人達やビーチバレーしていた姉様達、皆んなで波打ち際まで来て砂浜に座り込み、その水中ショーを堪能した・・・・
「「「「「わぁ~~~!凄い!」」」」」「素敵でしたわ♪」「大迫力だった!」「カッコ良かったです!」パチパチパチパチパチパチッ
一通りの演目?が終わったのか海が静かになり、あちらこちらから頭だけ出した生物達に、皆んなで賞賛の拍手を送るとイルカやシャチ、アザラシなどが嬉しそうに鳴き、角の生えた魚や変わった形をしたマンタみたいな魔物達が飛び上がった。
父様「素敵なショーを見せてくれて有り難う!」
「「「「「有り難う!!!」」」」」
『『『『『どういたしまして♪』』』』』
「「「「「⁉︎」」」」」
父様が代表して感謝を伝えると皆んなも遅れて有り難うと言った、すると精霊達が皆んなに聞こえるように返事を返してくれた、何処からともなく聞こえた声に精霊だと分からなかった人はとても驚いていた。
バッシャーン!!!
最後に大きな波が掛かって引いていくと、ずぶ濡れになった皆んなの手や水着に色んな色の真珠や珊瑚が引っかかっていた。
『皆んながお土産にあげるって』
(おぉ?皆んなって事は、ここに来た生物達が持ってきてくれたのかな?)
『そう、皆んなが君や君の家族達の為に持ってきてくれた、受け取ってあげて』
(うん、分かった!有り難うってみんなに伝えて!)
そう、お願いすると、精霊は静かに頷いて消えていった。
『そうだ、皆んなが今度は海の中で一緒に遊ぼうって』
「!うん、今度また一緒に遊ぼうね♪」
と、叫ぶと、キュイキュイッ♪ と嬉しそうな鳴き声が聞こえて、気配が遠ざかっていった、その様子を最後に貰ったプレゼント片手にボーッと見送る人達、僕は良い笑顔で・・・
「それね、皆んなにお土産でくれるって♪良かったね♫でね、今度は海の中で一緒に遊ぼうって♬」
「「「「「えぇ~~~~~!!!!!⁉︎」」」」」
夏の暑い日差しの中にこだました驚きの叫び声は海に静かに消えていったのだった・・・
「おっと・・・」
(やべっ!精霊と話せるのは家族以外は秘密だった)
その後、その事で色々質問されたけど、天華達を経由して会話したって事で誤魔化した。
そして、お昼頃になってマルキシオスのお屋敷から、ネニュス叔母様と数十人の使用人達がお昼ご飯を持って現れたタイミングで僕は解放されて、一緒に砂浜にやってきていたマディラを見つけて構い倒すことにした。
(ほぅ、癒される~)
マディラ「ぅあ~、とぉ~」
「マディラ、今日も可愛いね、良い子にしてた?」
マディラ「あー!」
元気よく手を上げたマディラにキュンキュンしながら、
「そう、良い子にしてたんだね♪そんな良い子にはコレをあげよう」
そう言って“無限収納“から取り出したのは、マディラの瞳と同じぐらい綺麗なオレンジ色した、赤ちゃんが口に入れても飲み込めない大きめの真珠。
(コレくらいの大きさなら、飲み込んだり出来ないだろう)
その真珠を一度“生活魔法“の“クリーン“をかけて、マディラの手に渡した。
マディラ「あぁ~♬きゃぁ~♪」
キラキラ光る真珠を見て嬉しそうに笑うマディラに満足していると、後ろの方で、
「すごい軽い感じで、あんな希少なものをプレゼントするとは・・・」とか、
「アレも新色じゃなかったかしら?良いのマディラにあげて?」とか、
「あらあら、まぁまぁ、アトリーったら、マディラちゃんに甘々ね」とか、
言われているが、そこは聞こえないフリを突き通した。
ネニュス叔母様「アトリー様、宜しいのですか、こんなに希少な物をマディラに頂いても・・・」
「良いんですよ、コレは僕も貰い物だし、他の皆んなも持っているので、あ、そうだ!・・・はい!ネニュス叔母様にもコレ!」
と言って、サッと手渡したのは“マンダリンガーネットコーラル種“、ネニュス叔母様の瞳の色に近いオレンジ色の“ジュエリーコーラル“だ。
ネニュス叔母様「・・・え?あ、あら?ア、アトリー様?あ、あのコレは・・・」
「叔母様の瞳の色に似てたからあげます♪返却不可ですので、悪しからず♫ふふっ」
(これで全員に行き渡ったぜ、皆んなと一緒なら怖くない♬)
夜月『そんなにしてまで、高価な品を持つのが嫌だったのか?』
(手元に数億円する物が大量にあると思うと、なんか落ち着かない・・・)
ジュール『周りの皆んなが同じように持ってれば安心するの?』
(うん、皆んな同じ物を持っているとそれが普通だと思い込めるからね・・・ふっ)
天華『嫌な、安心の仕方ですね、暗示の類ですか・・・』
(いいんだよっ、隠すなら森の中ってね・・・それに2人だけ持ってないのは仲間はずれみたいで嫌だし、水中ショーも一緒に見れなかったから、せめて宝石だけでもね・・・)
ネニュス叔母様「まぁ、分かりましたわ、コレらは有り難く頂きますね、ふふっ有り難う御座います、アトリー様」
「どういたしまして、マディラが大きくなったら、それで装飾品でも作ってあげて下さい」
ネニュス叔母様「えぇ、そういたしますわ」
僕が返品を受け付けないと分かった叔母様は、苦笑いしながら真珠と珊瑚を受け取り大切そうにハンカチに包み、上着のポケットに仕舞い込んだ、マディラは真珠を取り上げられたのが不満なのか「むぅ~」とほっぺたを膨らませていた。
「ふふっマディラ、後でいくらでも遊べるよ、今はご飯の時間だからね」
マディラ「あ、ぅう~」
「ふふっ、良い子良い子」
渋々納得した様子のマディラをネニュス叔母様が抱えて、皆んなとお昼ご飯をたべて、午後はマディラと砂浜でお城を作ったりして遊んだ。
午後3時ぐらいまで遊び、マディラがお昼寝の時間になったので、皆んなでお屋敷に戻りマディラのお昼寝タイム中に午後のティータイムをしていると、僕達年小組も遊び疲れてそこで寝落ちしてしまっていた、
起きたらそれぞれの客室のベットの上だった、気づいたら1時間も寝ていて驚いたが、同じぐらいにソルやイネオス達も起きてきて、夕食まで暇つぶしに夏の宿題を済まそうと言う話になり、皆んなで1つの部屋を借りて勉強会をした、その日の内に宿題の半分を終わらせて、また美味しい海鮮たっぷりの夕食を済ませると、昨日と同じように魔法操作の鍛錬を済ませ、その日はすぐに就寝した。
(明日は海の中を泳いでみようかな♪イルカさん達来てくれるかな?楽しみ♪)ムフフッと笑いながら寝入ったのだった。
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