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第3章 少年期 学園編
54話 その頃の“勇者候補達“2
しおりを挟む「まぁ、確かにそうかもしれないけどね・・・、それにしても皆んな来るの遅くない?」
と、のんびりとソルと会話をしていた、その頃、召喚された“勇者候補達”は・・・・
・~~~~~・~~~~~・~~~~~・
ズューウス王国 王城内
>=====<>=====<>=====<
第三者 視点
「ねぇ、私達いつまでこうしてれば良いのかな?」
ここ最近、この国の歴史や世界の常識などを学ぶために、王城内で缶詰状態で勉強をさせられて、ついに飽きて来たユメカが漏らしたのがこの言葉だ。
「そうねぇ、ここに来てもう1ヶ月経つけど、一向にお披露目の相談とか無いわね、ゲームでは丁度1ヶ月後にお披露目の話が出てたわ」
「1ヶ月かー、もう1ヶ月って言って良いのか、まだ1ヶ月って言って良いのか、悩むね、でもお披露目しちゃったら、とうとう戦闘訓練させられちゃうのかな?」
「どうなんだろうね?“お姫様“は私達を戦争には“使わない“とか言ってたけど、実際は怪しいと思うわよ、どうやってもあの手この手で戦争には駆り出すと思う、その為にわざわざ私達を召喚したんでしょうから」
「だよねぇ~、“お姫様“達は私達に丁寧に接してくれるけど、なんか信用できないんだよねぇ~」
「ユメカっ、“遮音結界“・・・気をつけて、どこでこの国の人が聞いてるか分かんないんだから・・・」
ユメカの不用意な発言に、すぐさま室内に“遮音結界“を自分達が座っているソファーセットの周りに発動させた、これで内側にいる自分達の会話の内容は聞かれないが外側の音は通すことができる、それをしっかり確認して慎重に周りを警戒するアヤ。
「あっ、ごめん!」
「ここは知ってるゲームの世界だからと言って、本物のゲーム内じゃ無いんだから、油断しちゃダメ今いる場所は色んな人間の思惑渦巻く王城内なのよ」
「うん、気をつける・・・」
強く嗜められて、すぐ謝るユメカの素直さが垣間見える。
「でもあれだよね、いつ お披露目するとか先に予定を言わなかったってことは、やましい事でもあるのかな?」
ジンは現在の自分達の置かれている状況を把握しようと話を切り出した。
「あるんでしょうね、“お姫様“も言ってたじゃない、私達を召喚した事で各国に支援を取り付ける為に交渉するって、多分、その交渉が難航してるんじゃ無いのかな?」
「そうかぁ~、その可能性はあるよねぇ~、だってウェルセメンテ王国にはあの“アメトリン“がいるから魔族の脅威なんて全然へっちゃらだろうし、聖教国は山一つ向こうで攻めて来る確率は低そうだし、魔族に対抗できる術はあるもんね、だからどちらもこっちの支援要請には強気に出れるもんね」
「それもあるでしょうけど・・・、1ヶ月ここにいて1回も魔族が襲って来たって言う話題、聞いてないわよね、変だと思わない?」
「ん?そう言えば聞いてないような・・・・?」
「私も聞いてないと思う~」
「でしょ?多分、今 魔族の侵攻が止まっているか休戦中なんだと思うのよ、それだったら今 支援しなくてもいいじゃないかって、言われているんだと思う」
一様にそれだけが原因では無いと考察したアヤに2人は、
「あぁ~、確かに、それだったら渋られてそうだな」
「それで、様子見されてる感じ?」
と、同意の意思を示し、少し考える。
「それなら、今のうちに停戦の提案や和平公約の交渉なり、してくれるといいんだけどね、もし 大きな戦いの前準備、嵐の前の静けさだったりすると私達が戦場に駆り出されるのは確実でしょうね」
「・・・・やだなぁ、私 “戦いって“なると無理だと思う・・・」
「私もよ・・・」
「僕も無理かな・・・」
ユメカの言葉に少し凹んでしまう2人
「そうなる前に、一度でもいいからウェルセメンテ王国の学園に言ってみたいなぁ」
「そうね、私も行ってみたい」
「だよね、だよねっ!」
「そうだ、その学園にこの休戦状態のうちに行けないか聞いてみるのも手じゃないかな?」
「それいいかも!2日ぐらいでもいいから行きたい!」
「うーん、交渉させて貰う?今のままだと“アメトリン“とここで面会ができないならここに居ても意味ないし、それに戦争支援の交渉が難航してそうなら、自分達が直接説得して見るとか言って」
自分達でウェルセメンテ王国に戦争の支援物資の交渉をしに行く、と言う理由で行こうと画策し始めた3人、その時・・・
コンコンッ 「「「っ!」」」
メイド「勇者様方失礼します、只今、ウェルセメンテ王国の大使館より知らせが入ったので、姫様がご報告までにご一緒にお茶でもいかがですか?との事です」
扉の向こう側から、メイドの声が聞こえそれに対応する為に“遮音結界“をといた。
「はい、準備が出来たら伺いますと、お伝えください」
メイド「畏まりました、ご準備が整いましたらお声掛けください」
「分かりました」
メイド「では、失礼致しました」
扉の前から人の気配がなくなり暫くすると・・・、再び“遮音結界“を発動させた。
「はぁ、やっぱり、急に声かけられるのってびっくりするねぇ」
「そうだよねぇ~、いつまで経ってもなれないね~、最初 部屋の中で待機されたりするのも凄くお願いして、やっとやめて貰ったもんね」
「そうそう、あれは驚いたよね、さすが、お城って感じで落ち着かなかったよねぇ~」
「そうね流石にずっと見られてるのは無理だったわ」
と、話していると・・・
ひらり、ひらりっと何も無いはずの天井から紙が落ちて来た。
「「「へっ⁉︎」」」
突然 舞い落ちて来た紙に驚き距離を取る、最初は周りを見て何もない事を確認し、警戒していたが自分達に害が無いと判断し、ジンが意を決して紙を拾い上げた。
「なんだこれ?」
拾ってみるとそれは洋風の封筒に入った手紙だった、表には日本語で“ジン君達へ”と、書いてあり、裏面には“神より“と書いてあった。
「「「神様⁉︎」」」
「なんで神様⁉︎」
「神様ってここに来る時にあった神様?」
「の、ど、どなたかしら?」
「な、中を見てみよう」
急に現れた手紙に驚きつつ内容を確かめようと手紙を開けた、すると中にはこんな内容の事が日本語で書かれていた。
====================
ジン君、ユメカちゃん、アヤちゃん、皆んな元気にしてますか?
現在、皆んなを召喚した国のお城から出れなくて退屈しているのは知っています、
でも、今から行われるお茶会で報告される他国との交渉はうまく行っていません。
ですが、あなた方の行きたがっているウェルセメンテ王国からはこんな提案がされています。
“アメトリンはそちらに出向く事は出来ませんが、ウェルセメンテ王国にいらしていただければ紹介できます、それとご希望であればオヌールユウェル王立学園に留学できるように取り計らいます“・・・と、あちらの交渉役がこちらの交渉役に提案して来たのです。
すでに、向こうの受け入れ体制はできています、後はあなた方の“行きたい“と言う言葉だけです・・・
ですが、この国のお姫様はその提案をあなた方に教えるつもりはないようです。
私達はあなた方の願いを叶えて差し上げたいのですが、私達には援助できる範囲が限られているのです。
なのでまず、あなた方の意思を国に示す事から始めてみませんか?
この後、行われるお茶会の席であなた達の願いを強く訴えて見て下さい、そうすれば私達もほんの少しですが後押しいたします。
あなた方の生まれた世界の神より・・・
PS、この手紙は読み終わると消滅致します。
====================
ボッ!
「「きゃっ!」」「うわぁっ!」
手紙は読み終わると急に発火し灰も残さないように燃えて消えてしまった。
「びっくりした~・・・」
「本当に消えちゃった・・・」
「驚いたわ・・・、神様が私達を気に掛けていたなんて・・・」
「そうだね・・・、しかし、やっぱり交渉はうまく行ってないみたいだね」
「だね、それにやっぱり“お姫様“信用できないね」
「そうね、ここまでやるぐらい神様達的にも私達の、この状況が本意では無いようだし、まず神様の提案に乗って、私達からウェルセメンテ王国に行きたいと言ってみるしかないか・・・」
「うん、そうしよう、神様がどんな後押ししてくれるかは分からないけどね・・・」
神々の提案に乗って自分の希望をこの国の姫にぶつけてみる事にしたようだ。
「うん、そうしよう!・・・んー?でも、何でそんなに交渉がうまく行ってないんだろうね?」
と、ユメカが首を傾げていると。
「確かに、それに戦力もしくは物資の援助を申し込んでいる筈なのに、何故“アメトリン“の話になっているのかしら?」
交渉の進捗具合に疑問を持ったアヤの発言に、
「うーん、確かに、変だね?“お姫様“に直接聞いてみる?」
と、ジンが提案してみる。
「えぇー、素直に答えてくれるかなぁ?」
ユメカは相手が理由を話さないと思っているようだ。
「そうよね、素直に理由を話してくれるかは疑問だけど、聞いてみないよりはマシかしら?うーん・・・その時の話の流れで聞いてみることにしましょう」
「チャンスがあればね」
「りょーかい♪」
話しが纏まり、身なりを整え部屋を出て、外で待機していた先程知らせを持ってきたメイドに話しかけ、“お姫様“のいる場所に案内をしてもらった。
メイド「姫様、失礼します、“勇者様方“をお連れしました」
第2王女「お待ちしてましたわ、ジン様、ユメカ様、アヤ様、どうぞコチラにおかけになって下さい」
案内されたのは、ズューウス王国の王城内にある、比較的小さいと言われている庭園の一角にある、優美なテーブルセットに連れて来られた僕達、“お姫様“はそのテーブルセットで優雅にお茶を楽しんでいた。
ジン「お待たせして、すみません」
遅れた事を謝罪し、席に着くとすぐにお茶が用意された。
第2王女「いいえ、お気になさらないで、まずはお茶をどうぞ」
と、進められお茶を飲み一息つく。
アヤ「このお茶、美味しですね、お誘い頂き有り難う御座います、フィーリア様」
第2王女「ふふっ、お口に合って良かったですわ、・・・早速なのですが“勇者様方“に残念なお知らせがありますの・・・」
ユメカ「残念なお知らせ?」
第2王女「はい、ウェルセメンテ王国との交渉の結果、皆様がお会いしたいと仰られていた、“アメトリン・ノブル・デューキス様との面談“はどうやら実現できそうにありません・・・、私達の力不足です・・・、申し訳ありません・・・・」
と、お姫様は頭を下げた・・・
ジン「えっ!ちょ、ちょっと待って下さい!どうか、まず頭をあげて下さいフィーリアさん!」
ジンに言われておずおずと頭を上げるお姫様。
ジン「・・・・あ、あの、お聞きしたいんですが、なぜ、ウェルセメンテ王国との“支援要請“の交渉がその、“アメトリン・ノブル・デューキス様?との“面談“の交渉になったんです?」
と、チャンスとばかりに事前に話し合っていた話題を振る。
第2王女「?、何故と言われましても、皆様のご希望に答えるのが第一ですので・・・」
さも当然と言う様に“勇者候補達“の願いが最優先だと言った、その答えにアヤは・・・
アヤ「・・・・そう、じゃあ、私達の今の要望は“ウェルセメンテ王国に行くこと、そして出来ればあの国にある学園に行くことができれば言ってみたいわ“」
と、神の提案した“自らの意思を国に示す“行為をして見た、すると・・・
第2王女「⁉︎、っ、・・・・どう言う事でしょうか?・・・・・この国での待遇がご不満なのでしょうか?」
急な要望に困惑したお姫様は今の待遇に不満があると思ったみたいだがユメカが、
ユメカ「うーん、ちょっと違うかなぁ、待遇と言うか衣食住に不満は無いんだけど、ただ暇なんだ、勉強も大事なのは分かるから勉強にも不満は無いんだけど、ここには娯楽がないんだよね、“会いたい人“にも会えないし、街とかも見て見たいのに王城から出して貰えないし、はっきり言って、退屈なんだ、だから“会いたい人“がいて、勉強ができる向こうの国の学園に行って見たいの・・・・・ダメかな?」
衣食住と勉学に不満は無いが娯楽が無いと言い、そして会いに来て貰えないのなら自分が行けばいいと、その上で勉学もできる学園に通えばいいと提案してみた。
ジン「僕も向こうの国の教育機関がどんな所なのか気になりますし、“アメトリン様?“がどんな凄い方なのかこの目で確かめに行きたいです」
ジンは自分の足で赴き、自分の目で見て見たいと言った強い意志の籠った瞳でお姫様に告げた。
この時、3人が自分が行きたい場所としたい事を自分の意志と口で告げた、この行為により“勇者召喚“を行った国の権力者、この場合はこの国の王族である第2王女が“勇者候補達“願いを聞いた事で、この世界での“勇者候補に対する取り決め“によって、実行せねばならなくなったのだった。
第2王女「っ!それはっ!「姫様!あれを!」えっ⁉︎」
「「「何⁉︎」」」
お姫様が何か言おうとした時、少し離れた場所から護衛していた近衛騎士が空を指し、お姫様に声を掛けた、その騎士の指差す方向を全員が見ると、空から強い光が差し城下にある神殿を包んでいた。
第2王女「あぁ、なんて事・・・・・」
「「「綺麗・・・」」」
光は数秒で収まり周りはあの光を見て「奇跡だ!」とか「神託が降りたんだ!」とか騒いでいたが、1人だけその場で跪き青い顔で手を前で組んで空に祈り始めた人が居た、それはこの国のお姫様だった、暫くするとお姫様は立ち上がり、「み、皆様、先程のご要望を兄、王太子殿下に進言しに行って参りますので、皆様はお部屋でお待ちいただけますでしょうか?」と、青い顔をして告げたので戸惑いつつも了承し、何も説明が無いままジン達は元の部屋に戻ってきた。
バタンッ
「“遮音結界“」
部屋に入ってすぐに自分達の周りに“遮音結界“を展開させ3人は話し始めた。
「ねぇ、今さっきの光ってやっぱり神様の仕業かな?」
「多分、そうだと思うよ、あんなこと出来るの神様以外できないと思うし・・・」
「そうね、あのタイミングだったし神様で間違いないと思うけど、それより、姫様あの前に何か言いそうだったじゃ無い?それを遮る様にあの光が降りてきたように見えたのは私だけかしら?」
「うーん、私もそう思ったけど、姫様何を言おうとしたのかな?何かいけない事?」
「なんかさ、僕達がこの国を離れるのを嫌がったように見えなかった?」
「確かに、私達がこの国を離れると都合が悪いのかしら?支援が受けられなくなるから?でも、それは私達を“召喚した事“ですでに約束された様なものって感じの事を言っていたはず・・・それとも・・・・」
「それとも?」
「・・・それとも、実際は支援が受けられるのは私達だけだったりして・・・」
「「!!」」
「・・・・・でもそれなら納得が行くね、僕達をこの国から出したくないのも、王城からすらも出したく無いのも・・・」
「・・・やっぱり、あのお姫様お腹真っ黒だったんだ・・・」
「多分、少なくともこの国の王族と貴族達もこの事を知っていたでしょうね、そしてさっきの光は神様からの警告だったのかも・・・」
「・・・警告か、・・・・“勇者“の独り占めは許されないってことかな?」
「・・・多分」
「ん?じゃあ、私達もしかしたら この国を意外と早く出られる?」
「うーん、どうだろう?僕達はまだ“支援が受けれるのが僕達だけって“知らない事になっているから意外と引き延ばされたりするかも」
「私は危害が加えられないか心配よ、特にジン、貴方、お姫様が夜中に迫ってきたらどうする?ここに留まって貰いたいが為にハニートラップ仕掛けてきたら、貴方、お姫様 跳ね除けられる?」
「えっ!ハニートラップ⁉︎・・・そんな事あるわけないよ!」
一瞬何を言われたか分からなかったジンだが、その後すぐに顔を真っ赤にしてハニートラップを否定した。
「えぇ~、でもあるかもよ~」ニヤニヤッ
「無いよ!そんな事!それを言うなら2人だって危ないじゃないか!」
「私達は大丈夫、“結界魔法“があるからね」クスクスッ
「うっ、ずるいぞ!」
ジンを2人で揶揄うだけ揶揄っていると、その日の夕食時にお姫様から、急遽1週間後にジン達のお披露目をする事になったと言われ、ウェルセメンテ王国行きの話はお披露目が終わってからと言う事になった。
夕食後、部屋に戻った3人はいつも通り“遮音結界“を張り話し始めた。
「意外と早く話しが進んでるね」
「でも多少 自国の面子を保とうとお披露目だけはこの国でするって、息込んでるのが分かるわね」
「だね~、でもどうなんだろう?ウェルセメンテ王国行きの話はそれからとか言ってるけど、行かせる気あるかなぁ?この国の王族さん」
「そうね、国境まで行ってちょっと入ってすぐ帰るとかだったら流石にキレるわ、私」
「あぁ~、それありそう」
「まぁ、その時は向こうの偉い人に相談するってのも手じゃ無いかな?」
「うん、そうしよう!」
「そう言えば、向こうの交渉役の人は私達に留学を薦めて来てくれていたって、神様の手紙に書いてあったから その交渉役の人を探して頼んでみましょう」
「「良いね!」」
満場一致で今後の展開次第ではウェルセメンテ王国の交渉役に相談することに決定し、自分達の願いを叶えてもらえるように行動を起こす事にした3人だった、ちなみに心配していたハニートラップや、この国に残って欲しい的なお願いはその後も起こらなかった。
だが、3人の見えない水面下でその様な工作をしようとした者達が密かに動いていたが、全て何者かの手で妨害され失敗に終わっていた、陰ながら3人を守る数人の影達が居るとかいないとか、ハッキリとは認識されていない、“信じるか信じないかは貴方次第“と言った都市伝説が出来たのだった・・・
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