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第3章 少年期 学園編

閑話 ソルお思い

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 僕の名前はソルドア・ノブル・ソンブラ、10歳、ソンブラ子爵家の次期当主となっている、以前はただのソルドア・ソンブラだったが8年前に祖父が急に子爵位を賜り貴族となって僕も必然的に次期当主としての役割が出来た、最初は訳が分からなかったが母上に「これから、ずっとアメトリン様と一緒にいれる様になったのよ」と言われ、アトリーと一緒に入れるのならと、3歳の時に貴族としての知識や作法を学び、5歳でアトリーを守れるのならと祖父や旦那様の専属執事 兼 従者のカイルさん、それに奥様の専属メイドのリアさんの旦那さんなど、他にも公爵家の騎士団の皆さんと色んな訓練をして武術を身に付けた。

 そもそも僕がアトリーの為なら何でもしたいと思う様になったのは、9年前のあの日アトリーと出会わなければ後 数ヶ月で魔力暴走を起こし死んでいたと医者に教えてもらってからだ、それ以外にもアトリーと会った瞬間から僕の中で彼は僕が支えるべき人だと本能的に感じた、なので僕とアトリーとの出会いはそれほどまでに奇跡的な出会いだった、その事は今でも忘れない・・・

+ーーーーー+ーーーーー+ーーーーー+

    9年前・・・・

 あの日はいつもと違い母上が珍しく祖父の務めるお屋敷に用があるので、一緒に出掛けようと僕を抱き上げ家を出た、家を出ると近所の住人達がヒソヒソと僕達を見ながら何か言っているのが分かったが、何を言っているかまではその時は理解できていなかった、後で思い起こすとあれは僕を見て色々と良くない噂をしていたのだと分かった、あの時の僕は体の中にある重苦しく不快な力のようなものが溢れ出すのを一生懸命抑えることに必死で、周りに起こっている事に気を使う事ができなかったのだ。

 母上に連れられて行った場所は大きなお屋敷の綺麗な庭園だった、甘い良い匂いのする木の根元で人を待つように祖父に言われた気がするが、それもあまり覚えていない、
 でも少しすると僕達がいた場所の反対側から数人の人が来た、その人たちはとても美しい顔をした親子で、今まで僕達が生活してきた場所には絶対にいない、洗練された美しさを持った3人の親子に祖父が挨拶をして、僕達を手招きをしたので母上が僕の手を握りゆっくり歩き出した、手を引かれ歩き出す、そのまま歩き美しい3人の親子の前で止まり母上と親子の親達と挨拶する、
 その光景をぼんやり眺め視線を下に下げると、同じような年の子供が先程の自分と同様に親達が挨拶している所を見ていた、そこでやっと その子供の瞳の色が左右違う事に気づきジーッと見ていると、見られている事に気づいた子供がコチラを見て、花が咲き誇る様な美しく可愛い顔で優しく笑ったのだった。

「こんちゃ!」

 可愛く笑って挨拶をしてくれた相手に照れて「ちゃ…」と、しか返事を返さなかった僕。
*この時アトリーがソルを友達にするために逃すまいと思っていた事は、後に分かるがその理由を聞いて呆れる事となるソル。

「あくすぅ、ちよっ」

 まともな挨拶も返せなかった僕に呆れもせずに握手を求めて来た、相手に一瞬何を言われているのか分からず「あくす?」手を差し出しながら聞き返すと。

「う!あい!あ・く・すぅ!」

 と、元気よく僕の手を握り、振った、その瞬間、握られた手の先から今まで体の中に渦巻いていた、重苦しい力から不快感が消え体が軽く感じた、体内に押し留めていた力が握られている手を介し、相手に流れ込んでまた別の力が入って来る、力が循環するのを感じ今までにないほどの爽快感や体調の回復とが見られた、久しぶりの感覚に驚き自然と笑みが溢れる。

「あちょぼっ!あち!」

 自分の中で起こった変化に少しボーッとしていると、握った手を相手が引っ張ってきたので少し驚いていると。

「めんねぇ?あちょぶ、やぁ?」

 と可愛く傾げながら聞いてきた。

(ぼくに、あしょぶ?ってきいてくれた?)

 初めての事で凄く驚いていたが首を横に振り、逆に自分から「あしょぶ、あち、ぃくっ」と、誘った、初めて自分から遊びに誘った、体調の変化でとても気分が良く、高揚して大胆に相手を誘えた、その後は2人で綺麗な庭園を散策したり、花などに集まってきていた虫などを追いかけたりして楽しんだ。

 遊んでいる間に互いに自己紹介をして、相手の名前が“アメトリン“と言い、男の子だと分かった、男の子と分かった時は物凄く驚いた、良く見ると確かに男の子の格好をしていた、最初は女の子だと思っていた自分が恥ずかしかったが、遊んでいるうちにそんなことはどうでも良くなった、アトリーはとても可愛く、活発的で、何にでも興味を示し優しく笑う良い子だった、初めて全力で遊び一休みしていると。

「しょる、あぅね、ぼくちょ、おともらちに なっちぇくらさぁい!」

 と、大きな声で手を出して言われ、僕は・・・

「あい!あちょりー、おともやち!あ・く・す‼︎」

 と返した、その時のアトリーの顔を今でも忘れない、体全体から嬉しさを隠しきれないようで表情も満面の笑み、頬を少し赤らめて瞳も少し潤んでいた、可愛く目を細め笑うアトリーにこの子は本当に男の子か?と再び思ったりもした、
 その後すぐに親達の元に行き友達になったと報告、でも何故か母上達が泣いていた、心配して見ているとすぐに何でもないと笑ってくれたが、今思えば、あれは感動の涙だと分かった、あの時まで自分が普通の子供とは違う生活をしていたので、母上達をとても心配させていた事だろう、今ではちゃんと理解し、日々健康で過ごす事が僕のできる最大の親孝行だと思っている、
 いつかは母上達の面倒が見れるまで立派な男になりたいとは思っているが、今は子供でできる事は少ないと分かっているので、アトリーを見守りつつ健康で過ごすことにしている。

 アトリーと友達になってからすぐに僕達親子は領都の下町の家から、領主である公爵家の屋敷の敷地内にある庭師専用の小屋(十分大きな一戸建て)に引っ越して来て、小屋の2階を丸ごと住居として与えられて、祖父と母上と僕と3人で暮らし出した、
 3人で暮らすには十分な広さがある二階建ての家は、一階は他の庭師の人達の休憩所のような場所で、母上はそこで庭師達の食事や飲み物などを作り、提供する事が仕事となった様だ、母上が仕事をしている間、僕は公爵家の屋敷の母屋でアトリーと遊ぶ事が日課になり、毎日のようにアトリーやその兄弟のカイ様やライ様ヘリー様と過ごし、時にはアトリーの読書の時間に本を読んでもらいながら文字を覚えたりした。

 そして2歳頃に祖父が陞爵され、子爵になった時には公爵家の屋敷の近くにある、それなりの大きさの屋敷を大旦那様から頂きそこに引っ越した、祖父と母上の仕事はそう変わらないと言っていたが明らかに給金が違い、生活も豊かになったのが分かった、それでも僕のする事は変わらず、アトリーと一緒に過ごすことが日課だった、
 その頃からの祖父の仕事は庭師 兼 公爵家の護衛専門の影なのだろう、と、察し、母上は屋敷内のメイドとして外部からやって来る人の監視や情報を拾ってくる、情報収集専門の影となっているようで日々忙しそうに過ごしている。

 その後も楽しい日々を送っていると、冬が来て寒さを感じている頃、王都に行ってらしたアトリーのお祖父様夫婦と、1番上のお姉さんのカミィ様が帰ってきて、アトリーと僕を同じように可愛がってくれた、年越しのお祝いのプレゼントもたくさん貰い、アトリーとお揃いの物がたくさん入っていた、それを2人で喜んでいると周りの大人達が口に手を当て震えていた、あれは身悶えしていたんだろう、喜んで笑顔全開のアトリーはそれは可愛かったから。

 月日が経つ連れに僕もアトリーも成長し、身長が高くなってくる5歳頃、それなりに男の子の特徴が出てくる、やっとアトリーの事を女の子と疑う様な事はなくなったが、無邪気なアトリーを心配になって来ていた、(誘拐されたりしたらどうしよう・・・)
 この時期にはお互い色々な勉強や武術の訓練をしだして互いに切磋琢磨していた、アトリーの勉強の理解力は凄まじく追いつくのがやっとで、武術の訓練はアトリーに内緒で倍の訓練をしていたりしていたが、アトリーは体を動かすのが楽しくなってきたと言って、いつも様々な案を出し、飽きが来ない訓練をした、魔力に関してもアトリーの魔力を扱う訓練法は画期的で、同じ様に扱えるようになるのにはとても苦労した。

 そんな日常を過ごしていると5歳の誕生日の翌日に旦那様に呼ばれ、“教師候補“と言う人達にあった、最初に“教師候補“達に丁寧な挨拶をしたが、返事が返って来ず旦那様が気にするなと言われたが、(挨拶もまともに返さない人達がアトリーの“教師“として務まるのか?)と疑問に思いつつ旦那様に振られた話に返事を返し、その後も
世間話を少し交わしただけで部屋の退出を促されたので、“教師候補達“に退出の挨拶をして旦那様の執務室を出た、アトリーは気にした様子もなく最後のプレゼントを嬉しそうに開けていた、その後あの“教師候補達“は見かけなかった、(やはり、不適合だったのだろう)と思い、そもそもアトリーに教師が必要なのか?とも思った、

 母上に言わせればアトリーは規格外の才能を持っているそうだ、普通の貴族の子供であっても、ありえない速度で学習しているとの事、

「それについて行っている貴方も規格外だと認識しなさいね」

と、言われる始末だった、不思議そうに首を傾げていると母上が、

「貴方が3歳の時にアトリー様を泣かしたの覚えている?」

「あぁ、あれですか・・・・」

 あの時は自分はアトリーを泣かせる気はなかったのだ、母上に「これから、貴方が貴族の子供としてアメトリン様の側にいるには、ちゃんとしたマナーを学び、敬意を表して“アトリー様“と呼ばなければなりませんよ」と、言われたので早速実践したのだが「“アトリー様“」と呼んだ瞬間アトリーの瞳に涙がどんどん溜まって行き、最終的には大泣きされた事件だ、アトリーはあの時よほど悲しかったのか、その悲しみが自分にも伝播し一緒にないた覚えがある。

 あの後も数回似た様なことが起こり、僕達の間に不思議な繋がりができている事が判明した、それを旦那様は“感情共感“と名づけ、その“感情共感“を共有できる僕に、旦那様がいつも感情を表に出さないアトリーの感情の起伏を察知してほしいとお願いされた、
 だがアトリーの感情がない訳ではない、むしろ表情豊かで全身で感情を表している、でもそれは表面上いつも和かに笑い、自分の要望をあまり話さないのをご家族は心配されている様だった、事実アトリーはして欲しい事があっても自分で出来ると思うと、全て自分でこなしてしまう、あまり人に頼らない、
 それを僕も感じている所だったので快く承諾し、何かある度にアトリーの横で彼の感情の起伏を感じようとしていた、でもアトリーの感情は常に平穏で強く激しい感情を出すことが少なく日々穏やかで自分のできる事をする、それにつられて自分もその規格外なアトリーと一緒にそれをこなす、そんな事をしている僕も十分規格外だと、母上は言いたいようだ。

「はい、母上が言いたい事は分かりました、僕達の基準を人に当て嵌めないように気をつけます」

「分かってくれたのならいいわ」

 と会話したのはいつだっただろうか?その会話とは裏腹にアトリーの世間での評価が酷いものになっていた、それを知ったのは7歳の“洗礼と祝福の儀“の為に王都に向かっている時だった。

「母上、あの噂はいつからあったのですか?」

「そうね、貴方が5歳になる前頃かしら」

「そんな前からですか⁉︎なぜその時教えてくださらなかったのですか⁉︎」

「それは旦那様から口止めされていたからですよ、それに旦那様はその噂を使って、アトリー様に近づこうとしてくる者達を減らしたかった様です、もしアトリー様が有能であると分かると、群がってくる貴族達がたくさん領地のお屋敷に来ていたでしょうからね」

「・・・そうですか、でも僕にまで口止めしなくても・・・」

「この事は屋敷の使用人達しか知りません、アトリー様のご兄弟にもお教えになってない様ですからね、それを超えて貴方に話す事はできないでしょう?」

「そうですね、分かりました、でも今後はその噂の元は探るのですか?」

「えぇ、もう既に元凶は特定できている様ですがまだ様子見の段階ですね、今回の“洗礼と祝福の儀“で噂を覆し、それでもって適切に処置なさる様なので、これと言って私達がする事はないでしょう」

「分かりました、では僕はいつも通りアトリー様のお側にいればいいのですね?」

「そうね、それがソル、貴方の1番大事なお仕事ですからね」

「はい、母上」

 そう言って、いつもの様にアトリーの側で執事 兼 従者、それと護衛として過ごしていると、“洗礼と祝福の儀“の前日に行われる王城でのパーティーで一悶着あったが、そこは僕達の専属の執事とメイドになった4人が協力して大きな騒ぎにならず、アトリーに不快感を抱かせる事もなく、友人のとの楽しい時間が持てた、新しく友人として付き合うことになった3人は、貴族の子供にしてはとても素直で優しい常識を持った子達だった、あの時、自分の友人として仲間に入れてもらって嬉しかったのを覚えている。

 翌日の“洗礼と祝福の儀“時の支度をしていると、今日はなんだかアトリーが神聖な雰囲気を纏っている気がする、と不思議に思いつつ“洗礼と祝福の儀“用の服装とそれに合う髪型を専属4人で決め、仕上げると、アトリーはこの世の物とは思えないほど美しい姿に出来上がった、自分達で仕上げたはずなのに感嘆のため息が出た、
 その後すぐにアトリーのご家族に見せる為に移動していると、色々と事故が多発したが気にせずご家族の待つ部屋に入る、皆様一様に驚かれて言葉を失ってらしたが、アトリーの美しい仕上がりに概ね評価が良く、お褒めの言葉も頂き、仕上げたに携わった者としては胸を張れる出来事だった。

 ご家族がアトリーの雰囲気に気圧され、神にアトリーを取られたりしないかと懸念するほどだった、あの時アトリーはご家族に揶揄われていると思い拗ねていたが、あれは多分本気だっただろう、出発の時間になって馬車に乗り、神殿へと着き僕達ソンブラ家はひと足先に神殿内に案内された。

 僕達はソンブラ家はここ最近できた貴族家だから呼ばれる順番も早い、呼ばれて指定された場所に座り、アトリーの家族が入ってくるのを待った、しばらくするとアトリー達が入る順番になり、周りの貴族達が一様にあのアトリーの噂を話し始めた、噂の全てが的外れで意味にの無い内容だった、それでもアトリーをバカにする様な噂に腹が立ち憮然としていると、神殿の入り口付近にアトリーの気配がして振り返る、アトリーの気配や雰囲気がより一層 神聖さを増していた、案内をしていた司祭がアトリーに見惚れて動かなくなっていたので旦那様が声をかけると。

「え、あ!、は、はい、デューキス公爵家様ですね!、こちらになります」

 静かな神殿内に司祭の声が響き、その言葉で神殿内の貴族達が一斉にアトリーを見た、その視線に少し驚いた顔をしたアトリーを見ている周りの人達は、案内をしていた神官に睨まれて、一斉に振り返った人達の大半は姿勢を正し元の様に座り直した、そんな人達とは反対に、少数の人が今だに唖然とした表情でアトリーを見ている、その人達は先程の噂話を本気で信じていた人達の様だった、それとは別にやたらアトリーを睨んでいる貴族が数人いた、(あれはアトリーの噂をわざと撒いた人達だな)と察し、顔をよく覚えて置くことにした。

 そうしていると最後に王族が神殿に入り“洗礼と祝福の儀“が始まった、順調に名前を呼ばれて儀式が進むその中で、先日 友人となった2人も本人が願っていた魔法適性をもらう事ができ、スキルの数も申し分ない様だった、
 順番的に男爵位の最後の1人が呼ばれ“祝福“が終わると、ついに僕の番になり名前を呼ばれて祭壇に向かった、母上と祖父に背中を押され、祭壇前の階段を数段登り置かれている水晶に手を伸ばした、(アトリー様をお守りできるスキルが手に入りますように)と祈りながら水晶に触れた、
 水晶が淡く光、主神像の前に自分の“祝福“の結果が出た、その“祝福“の内容が、今までのどの貴族家の子供よりいい結果だったのはとても驚いたが、1番嬉しかったのは魔法適性の中に“回復魔法“が入っていた事だ、前々からの自分の希望としては“回復魔法“か“時空魔法“があったらいいなと思っていたので、“回復魔法“があってとても驚いて嬉しかったのだ、つい口がニヤけて、祭壇に1番近い場所に座っているアトリーに向かって小さく拳を握って見せたほどだ、
 その間は周りがうるさかったが、アトリーが口パクで(良かったね)と言ってくれた事が何よりの賞賛だった、その後の騒ぎは鎮められ“祝福“が再び進められた、友人になったばかりの最後の1人もいい“祝福“の結果を得られ、とうとう残りはアトリーだけとなった時、周りはさっきまで一つ前の侯爵令嬢の話題でヒソヒソと話していたのに、アトリーの名前が呼ばれると今はシンッと静まり返りアトリーに注目していた。

 自分もアトリーの“祝福結果“に注目した、アトリーが姿勢を正し祭壇に登って行き出すと、周りの空気が神聖な空気に包まれて重苦しく感じて来た、そして、アトリーが祭壇の水晶に手を当てた途端、強烈な光が水晶から溢れ出し目が開けれないほどだった、(アトリーは無事か⁉︎)と、1番に心配したが、光が次第に収まり今までと同じように“祝福“の結果が主神像の前に映し出された。

(?、何か、文字の列が多い?・・・・えっ・・・)

====================

+魔法適性+ 全属性

+スキル数+ 合計41個

+加護+   *異世界の神“月詠“の愛し子
       *異世界の神“天照“の愛し子
       主神リトスティーナの加護

+称号+   *転生者
       神々の寵児
       聖獣を授かりし者

       ※ 上記の*マークは日本語表記です。

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