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第3章 少年期 学園編
50話 仲直りと加速する私怨
しおりを挟むどうも!僕です、本日は色々とありましたが今は帰りの馬車の中で盛大に甘やかされています。母様達に・・・
イネオス達を送り届けた後 元の席に戻ろうとした直後、母様にインターセプト、もとい抱き上げられ、そのまま後方にあるソファーセットまで連れて来られた、抵抗は無駄だと分かっているので大人しく抱かれていると、ソファーの真ん中に僕を座らせ両親が両脇に座った、その後はこれでもかってぐらいに頭を撫でられたり、お菓子を食べさせたり(あーんをされた)紅茶を勧めてきたりと散々甘やかされている。
母様「アトリー、今日はよく頑張りましたね、とても素晴らしい歌と魔法でしたよ」
良い子、良い子、と、撫でられた。
「褒めて頂き嬉しいです…」
(うぅ~、今更になってちょっと恥ずかしくなってきた・・・・)
父様「武術の試合も凄く良かったよ、アトリー、よそ見はいけなかったけど相手を上手に無力化できていたね」
上手、上手、と、褒められた。
「でも、少しやり過ぎました・・・」
お祖父様「それはしょうがない、相手が弱過ぎた、最近は騎士団内でもアトリーに勝てなくなっている者が出てきていると聞いているからな、同年代でアトリーに敵うものはそうそうおらんだろう」
ライ兄様「そんな事できるのはソルぐらいだろう?な、ソル」
と、自分の隣に座っているソルをワシワシッと豪快に撫でたライ兄様。
ソル「そうだと良いのですが、僕はたまに負けてしまいます」
カイ兄様「ふふっ、打ち合うことができるだけでも十分凄いよソル」
ヘリ姉様「ふふっそうね、アトリーとソルは武術も魔法も学問もどれも疎かにしないで、努力して誰にも負けない自慢の弟達ね」
カミィ姉様「そうね、2人とも凄い自慢の弟達よ」
立て続けに兄弟から褒め倒されて、2人して照れ笑いしながらお礼を言うと、僕は母様から優しく撫でられ、ソルはライ兄様に少し手荒に撫でられた。
(あぅ~、何か、今日の迷惑かけてきた人の事は完全に無視な方向で褒めちぎられるな、父様達的に僕が気にし過ぎないように気を遣ってくれているんだろうけど、僕的にはあのお花畑さんの方はどうするんだろう?僕には何も詳しいことは言ってこないけど、実際なにかされただわけではないからなぁ、ただ頭痛がした上にイライラしてて八つ当たりしないようにしてただけだし・・・、まぁ、今後はあの人と真正面から顔を合わせなければ大丈夫だろう、多分・・・、しかし実際に“モノホンのお花畑さん“に出会うとは思ってみなかったな)
天華『確かに、あれは酷かったですよね』
(だよねぇ、あれの相手にヘリー姉様はずっと耐えていたなんて凄いよな、そして容赦なく近づくなって言える、ヘリー姉様マジ凄い尊敬しちゃう!僕も頑張らないと!)フンスッ
夜月『よく無理して心配させるんだから程々にな、アトリー』
(うっ・・・、はーい)
そうして、よくするやり取りを賑やかにしている間に、僕は母様の優しい手つきのなでなでを喰らい寝落ち、そのまま帰宅したようだ。
そして夕食の時間になってソルに起こされた。
「・・・なんか最近、寝落ちして帰宅していることが多い気がする・・・」
と、1人呟いていると。
天華『それは仕方ないですよ、4月に入ってから新しい環境の中、慣れない学園生活や冒険者活動をしているんですから、疲れて眠ってしまうのは正常な子供の反応ですよ、それに今日は色々と気を使う事が多くて、いつもより疲労が溜まっていたんですから、寝ないと疲れは取れませんよ』
「それもそうか、ん?あれ?夜月は?」
天華『夜月は今、お父君の所であのレーラー子爵令嬢とのやり取りを詳しく報告に行っている所です、ですがそろそろ戻ってくる頃ですので心配は入りませんよ・・・』
「ふぅん、そう、・・・で、ソル?どうしたの?そんな所で黙って立っちゃって」
いつもならベッドの横で僕の着替えを用意して待機してくれているソルが、寝室の扉付近で顔を伏せたまま黙って立っていたので、僕は様子がおかしいソルに話しかけた。
ソル「・・・今回の失態、大変申し訳ございません!」
急に謝罪し出したソルに驚いた。
「へ⁉︎失態ってなに?」
ソル「僕がもう少し早く“アトリー様“の元に戻っていれば、“アトリー様“があの様な状態になる前に、あの女性を“排除”が出来たかもしれません・・・」
(“排除”って、言い方が怖いよ、ソル・・・、それに今誰もいないよ?)
「そんな…、アレはしょうがないよ、ソルがイネオス達を迎えに行っている間に起きた事なんだから」
ソル「でも、“アトリー様“は先程まで大変うなされていました、今回の事はそれほど“アトリー様“のお心にご負担を強いられていたと言うことでしょう、なのに貴方の従者である筈の僕は、あの時ちゃんとお守りできなかった・・・申し訳ありません」
(また、“アトリー様“って・・・それに何故謝るの?)
「ソル、僕はそこまで軟弱でなはいよ、表面上 感情の起伏が薄れてただけであって、全てがなくなる訳でもないんだ、夢見が悪くうなされていたとしても、そのことまでソルが気に病むことはない、それとも僕が全て君のせいにするとでも?それか家の家族の誰かが君を責めたりしたのかな?」
ソル「っ、いいえ!そんな事思ってません!誰からも責められたりもしてません!」
「なら、何故そこまで自分で自分の犯してもない罪を増やすの?・・・・・ソル、僕は君の事は“親友“だとずっと思っていたのに・・・君はいつの間に“僕の親友“をやめて“・・・僕を守るだけの従者“になっちゃったの?」
(悲しい・・・、僕をただ守られるだけの存在だと思われていたなんて・・・、僕の“大切な親友“だった筈なのに・・・“アトリー様“ってまた僕を突き放すの?悲しいよ・・・、寂しいよ・・・)
心から悲しいと思って無意識に瞳から涙がポロポロとこぼれ落ちていた。
ソル「‼︎、ア、アトリー、な、泣かないで下さい、そんなつもりで言ったんじゃありませんっ!あの時もさっきまで一緒にいたのに!なのに、また何もできなかったのが悔しくて、それで・・・っ、くっ、ごめんなさい、今度こそ守りたかったんです、悲しませたかったわけじゃないんです・・・っ、グスッ、いつも一緒にいる“大事な親友“のアトリーを、ただ守りたかっただけなんですっ・・・・っうぅっ・・・」
(“大事な親友“?聞き間違いじゃないよね?)
ソルが僕と“感情共感“をしてしまったのか、悲しい、寂しいという感情が涙を溢れさせながら自分の思いを話す。
「ソル、・・・本当?・・・僕の事、“大事な親友“って・・・、僕の事ただ守らなきゃいけないご主人様なんて持ってない?」
ソル「っ!そんな!貴方がただ守られているだけの存在だなんて思ってません!アトリーは僕の最初の友達で“大事な親友“です!」
(ソルが初めて、自分の口から僕の事“親友“って言ってくれた!聞き間違いじゃなかった!)
「・・・・う、嬉しい!」
ガバッ!
「ソルが初めて僕の事“親友“って言ってくれた!僕をダメなご主人様なんて思ってなかった!僕を嫌いになってなかった!僕の事ちゃんと“親友“って思ってくれてた!」
嬉しくなって、ベットから飛び出しソルに抱きついた、ソルは驚きつつもちゃんと抱き止めてくれて、急なことで涙がひっこみ困惑した表情で立っていた、1人ハイテンションでピョンピョン飛び跳ねて喜んでると。
ソル「え、え、えっと、ま、待ってください、僕、アトリーに“親友“って言った事ありませんでしたっけ?」
「!、うん!ソルが“親友“って口に出して言ってくれたのは、今日が初めてだよ♪僕が“親友“って口にしていても、君いつもニコニコ笑って頷くだけだったから、僕、ちょっと君が僕との友人関係が不本意だったんじゃないかなって、思ってて・・・」
ソル「え!不本意だなんて思ってません!・・・でも多分・・・、僕が本当にアトリーの“親友“って、口にしていいのか躊躇っていたのあります、それがアトリーを悲しませてたなんて思ってなかったんです、ごめんなさいアトリー」
ソルは自分でも無意識に“親友“と言う言葉を避けていたようだ。
「ううん、ソルは謝らなくて良いんだ、僕も君に本当のことを聞くのが怖くて、ちゃんと確かめられなかったから・・・だから、お互い様だよ!」
(やっぱり、自分から聞いたほうが良かったのかな?)
ソル「アトリー・・・」
申し訳なさそうな表情をして僕を見るソルに・・・
「でも、僕の事を一方的に守らなくちゃいけないなんて考えちゃダメ!ソルは気負いすぎなんだから、それに僕だって君の事を守りたいと思ってること忘れないでね!」
(それだけではなく、家族やイネオス達だって僕は守りたいと思っている)強くそう思っていると、
天華:『私達もいますからね』
ジュール:『そうだよー♪』
夜月:『私もだ』
天華やジュールも負けじと主張して、いつの間にか戻ってきていた夜月も参戦してきた。
「だね♪」
ソル「はい、僕1人じゃないですね、皆んなで助け合わなきゃいけませんよね」
「そうだよ、それにソル、自分をもっと大事にして、ね?」
ソル「お言葉をそのままお返しします、アトリー」
「むー、それは分かってるよー」
こうして 久しぶりの喧嘩?は丸く収まり、着替えを済ませて夕食を食べに食堂に向かった・・・・
・~~~~~・~~~~~・~~~~~・
同時刻、学園内にある留学生専用の寮内で、1人の女子生徒が物に八つ当たりしながら荒れていた。
>=====<>=====<>=====<
第三者 視点
ダンッ ガッシャーンッ! ガラガラッ
「何でっ!何でなのよ!あの男はいつになったら私の前からいなくなるの⁉︎あいつをさっさと捕まえてあの方の贄にすれば良いのにっ!」
誰かに対しての怒りを周りの物にぶつけながら暴れる少女がいた、少女は一目見て身分が高いと思われる装飾品やドレスを身に纏っている、だがその表情は険しく正に憤怒の感情に染まっていた。
「ひ、姫様、おやめ下さい!」
「うるさいわねっ!出て行きなさいっ!」
ヒュンッ ガチャーンッ! 「きゃっ!」彼女を宥めようとした侍女の足元に、自分の手元にあったティーカップを投げ付け、粉々に割って追い出した。
「何でなのよ!あいつは私の大切な“トルペ様“をあんな風にしたのに、あいつは周りからチヤホヤと大切にされて、楽しく過ごしているなんて耐えられないっ!“貴方達“の言う通りにあいつを試合の場に上げたのにっ!いつになったらあいつは自分の罪の報いを受けるのっ⁉︎」
いつの間にか部屋の中にいた顔を仮面で隠し、体形さえも判断できないようなフード付きの黒く大きめのローブを纏った人物が、甘い香りを纏いながら佇んでいた。
?「まだ、その時ではないのです、時が来れば貴方の願いは叶えられる、その時までお待ち下さい、その時は確実に近づいているのですから・・・」
男か女か分からない声で少女に言い聞かせる。
「それがいつなのよ!ハッキリと言いなさい!それに何なの⁉︎この間 私の連れてきたメイドを使って、あいつを誘拐しようとしたのは貴方達の指示なの⁉︎」
?「いいえ、我々ではありません、あれは貴方の“大切な方“のお母君が、あのメイドを使い実行されたのです。」
「え!側妃様が⁉︎・・・でも何故?側妃様もこの計画を知っておられたはずよね?」
?「ええ、知っておられるはずです」
「そうよね・・・、私に貴方を紹介したのは側妃様、叔母上の筈ですもの・・・、計画をしっていても・・・、それでもあいつを攫って報いを受けさせたかったんでしょうね・・・その気持ちは解るわ・・・」
?「・・・私もお気持ちは理解できますが、我が教団の計画が最優先ですので、今後も予定にない行動は慎まれて下さい、それに、あの愛し子が我々の贄になった方があなた方には都合がよろしいでしょう?」
「・・・分かっているわ、あの国を手中に収めるために・・・、あいつが“あの方“の贄になる事で、“あの方“の力が増すのならそうした方がいいのは分かっているわ、その力が本当に“トルペ様“の為になるのなら私は協力を惜しみませんわ、・・・本当ならね・・・」
?「ええ、我々は嘘は申しませんよ」
「いいわ、暫くは様子を見るだけに留めましょう、でも、あまり待たされるのは好きじゃないわ」
胡散臭そうな物を見る目で、黒いローブを着た人物を見ながら告げた少女。
?「分かりました、準備が整い次第すぐにお知らせしますので、本日はこれで失礼致します」
そう言って黒いローブを着た人物はその場から忽然と消えてしまった・・・・
「そう、今だけよ、早くあいつが苦しむ表情が見たい、“トルペ様“にも見せてあげたいわ、待ってて下さいね“トルペ様“・・・」
少女は窓の外を見ながら思い人を思い描いて恍惚とした表情で1人でそう呟くのだった・・・・
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