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第3章 少年期 学園編

47話 様々な視点

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 その様子をとある重複した神域内でこの3人を見守っている神々がいた・・・・


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  主神リトスティーナ 視点

 召喚された3人の様子を伺っていた私達は・・・

『なんか、盛り上がってる?・・・意外と平気そうね?』

『しかし、いつの間にそんなゲームが出ていたんだ?』

『“アース“側にこちら側と繋がりやすい人がいたんですかね?』

『そうだな、たまに夢で異世界の情景を視ることの出来る人間がいるな』

『それにしても、やたら“アメトリン”、アトリーちゃんの性格の設定に悪意がありますね、けど行動がやたら似通ってるのが腹が立ちます・・・』

『うーん、なんか“勇者召喚“の設定もニアピン気味なんだよなぁ』

『あぁ、確か“勇者召喚“は“世界の危機“に召喚してそれが解決できると元の世界に帰るか、その場に残るか、決めれると言う話だったな』

『そう、でもこれって元は改訂前の“世界共通異次元協定法“を基礎に設定していてね、そこにその協定法の新法案が出て異世界召喚の為の申請手続きが加わってるの、だから人間側にも“勇者召喚“の条件を満たしてからリトス教会に申請を出すようにしている、そして私の許可がないと“勇者召喚“はしては行けないって、その部分がマルッと抜けてるのよねぇ~、しかもあの子達、私を見ても何も言わなかったじゃない?」

『む、確かに、この世界の神の顔を知らない?それはおかしいな、ティーナは教会で神像などになっているだろう?』

『そうなのよね~、この世界の人間と繋がっているなら一回は私の姿を見ているはずなんだけどなぁ~、まぁ山奥の教会とかで神像とかがない場所もあるけど・・・、でもアトリーちゃんの顔は知ってるっておかしな話よね?』

『うーん、複数の人と繋がっているのか、見れる内容に偏りがあるのか・・・もしくはゲームの都合上 設定を変えたのか?・・・』

 3人で頭を捻りながら考えてみたが、

『そうかもしれないわね、まぁでもあの子達の目標がまず学園に行くことになったみたいだから予想より早く保護できそうね!』

 そんな事もあるだろうと気にしないことにした。

『そうですね、しかし、あの国は平気であの子達を騙してましたね、まぁ、あの姫君も事実を知っているか怪しいですが自分達が先に資源欲しさに手を出しておいて魔族が一方的に攻めて来たなんて、嘘を教えるとは愚かにも程があります』

『そうよね、あの子達があの国を出ることができたら真っ先に神罰を下してやるっ!」

『やるのは反対しないが、ティーナ、この件の報告書を“次元神様“にあげなくて良いのか?』

『そうですよ、いくら他世界の神の不法侵入にあっている間だからって、イレギュラーが起こったら報告しないと例え自分のせいじゃなくてもペナルティーを貰いますよ』

『あ!そうだった!今すぐ報告あげるわ!』

 バタバタと今あった出来事を報告書にまとめ、“勇者召喚“の様子の映像も纏めて“次元神様“の神域に送った・・・・

『よし、これで、大丈夫♪』



 この時、この報告書が後々の思いもよらない出来事をもたらすとは神にも予想できないのであった・・・・


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 山奥の洞窟内・・・・

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    第3者 視点

 数分前・・・“勇者召喚“が行われたその瞬間、何かが目覚めた・・・・

 リィーン

「フィズィ様、お目覚めですか」

『我はどれぐらい寝ていた?』

 暗がりから人のような影が高く立ち上がり、中年の男を見下ろした。

「3年程でございます」

 男は恭しく影の前に膝まつき頭を垂れた。

『そうか、ではあの子供はどうなった?』

「今 現在は自国の教育機関に入学し王都を中心に冒険者として活動をしているようです」

『・・・ふむ、分かった、ではお前達の計画の方はどうなっている?』

 影は満足そうに頷いた後 計画の進捗具合を聞いてきた。

『はい、今の計画は順調に進んでおります、フィズィ様のお言い付け通り周辺国の信徒の獲得を進めつつ、現在は“ズューウス王国“の王侯貴族と手を組み国内で“勇者召喚“を結構し主神の力を削ぎ、ご指示にあった人物の召喚に成功しました、おまけが2つ程ついてきていますが概ね筋書き通りです」

『・・・では、そのまま計画を進めろ、我は今 暫く気配を消しつつ力を蓄える、そして準備が出来次第 例の儀式に入る』

「畏まりました、全ての準備ができるまで今 暫くお待ち下さい、良いご報告ができることを心がけます」

『・・・期待している・・・』

ズルズルッ

 そうして影は闇に溶けるように姿を消した・・・・・

「我が主人フィズィ様と我らの念願の為に全力を尽くします・・・」

 と、男もその場を離れた


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 ウェルセメンテ王国:王都・オヌールユウェル王立学園

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  父:アイオラト 視点

 会議は順調に進み“勇者召喚“が行われた事は各国の使者達に周知され、イエロザーパト聖教国からも知らせが入り本格的に無断で“勇者召喚“を行った“ズューウス王国“に周辺国からの抗議文を送る準備が進められる事となった。

陛下「では、抗議文を送り“勇者候補達“の保護する事を我が国、ウェルセメンテ王国主導で行う事とする」

ヴェステ王国使者「よろしいでしょうか?」

陛下「何かな?」

ヴェステ王国使者「失礼、少し、疑問に思ったのですが、保護した“勇者候補達“の滞在先はどうなるのでしょうか?」

陛下「それは勿論我が国が責任を持ってお世話させて頂く」

ライヒスル帝国使者「なっ!それは聞き捨てなりません!“勇者候補達“の滞在先は我が帝国でも良いはずです!」

ショウスデット獣王国「そうです!我が国でもいいではないですか!」

「そうだ!そうだ!」「我が国でも!」と、集まった国々のが次々に手を上げ、自国に“勇者候補達“を招きたいと言い始め会議場内は混乱を極めた。

マルキース宰相「皆様!、落ち着いて下さい!お静かに!」

 この会議の為、急遽 王城から呼び出された新宰相のロワヨテ・ノブル・マルキースが使者達を宥め静かにさせる、周りが静かになってきたタイミングで陛下が話し出した。

陛下「貴殿達の言い分は分かった、・・・だが、“勇者候補達“の滞在先に関しては我が国は譲れないのだ」

ドンチョク朝廷国使者「それは横暴というものです!」

マルキース宰相「お静かに!」

 ドンチョク朝廷国使者が興奮気味に強く反発し、再び周りが騒ぎ出そうとする前にマルキース宰相に嗜められた。

陛下「私は何も“勇者候補達“を独占しようとして言っているのでは無い、これは我々が主神様から直接仰せつかった事であり何より神々もそう望んでいるいらっしゃる、それを無碍には出来ないのは貴殿らが何よりも理解できるはずだ」

「「「「「っ!」」」」」

 そう、この事は神託であり、“神々からの直々のお願い“なのだ、それを無視するとどうなるか、各国の使者達はよく理解しているのだ、それは各地に残された歴史が物語っているのだから・・・

 数百年前、ある国が当時のリトス教会の神託の聖者からの神託を無視した際 大災害が起こりその国は滅んだとされている、そして先程まで外で起こっていた嵐を目にしていた使者達は何も言えなくなっていた、(だが数ヶ国程はまだ諦めていなさそうな目をしているな)

陛下「それに何の理由も無しに我が国を神々が選んだ訳ではない、今 現在 我が国には貴殿らも知っての通り“神々の愛し子“が存在している、預ける場所として最適であり、神々は“勇者候補達“にはその者の側にいて欲しいと仰せだ、この事はイエロザーパト聖教国からの知らせの中に記されていたことでイエロザーパト聖教国も承知の上の決定事項だという事を周知して頂こう」

 リトス教の総本山のイエロザーパト聖教国も承知の上だと分かると諦めの表情が各国の使者達に現れ出し、その内の3ヶ国が悔しそうな表情をしていた。

(何とも諦めの悪い人達だな)

ジル「陛下、私からも少し宜しいでしょうか?」

陛下「うむ、発言を許す」

 つい先程イエロザーパト聖教国からの知らせを持ってきた王弟のブルージルが発言の許可を取り 話し始めた。

ジル「今回の会議を機に各国の使者殿達に知ってもらいたい事がある・・・、先日、話題に登った帝国所属の冒険者から検出された“薬物“に関してだ」

「「「「「ざわっ!」」」」」

ライヒスル帝国使者「急に何の事ですか!」

 先週の土の日に行われた“説明会“の最中にアトリーを襲った冒険者で、その冒険者はライヒスル帝国の使者と学園に留学する前の王族2人の護衛をしていた、その事で帝国側が意図的にアトリーを襲わせたのでは無いかと話題にもなったが帝国側は強く否定していた、それを掘り起こされて不機嫌そうだ。

(まぁ、あの件は偶然だとしても、もう一件のアトリー誘拐未遂の方は確実にあの王家の仕業だろうね)

ジル「最後まで話を聞いて頂きたい、昨今この“薬物“が我が国の周辺諸国から頻繁に流入し民の中で長期使用による依存症と使用者の凶暴化が問題視されだし、その事に私は危機を覚え調べてみると、それは何故かこの“薬物“はただの“痛み止めや頭痛薬“として我が国に隣接する国々でこの“薬物“に国の認定証が発行されていた」

「「「「「何っ!」」」」」

「国の認可がある依存性薬物だと?」「そんな!いつの間に⁉︎痛み止めなど種類が多すぎて見当もつかないぞ⁉︎」

「どういう事です⁉︎」「周辺諸国とは⁉︎」「何故そんな物が認可されているのです⁉︎」

「やはり、帝国側からですか⁉︎」「それなら今回の件の大元である“ズューウス王国“だろう⁉︎」「いや、イエロザーパト聖教国もだろう!」

ジル「落ち着け!最後まで話を聞くようにといっただろう!」

 ジルの一喝で周りが静かになったのを見計らい陛下が、

陛下「この事は神々もご存じだ、この“薬物“で“愛し子“と“勇者候補達“が害されるのを懸念しておられる、早急に排除せよとのことだ、今の所、販売元は複数確認されているがどれも売り込まれたものを買い取り販売しているようで製造元の発見には至っていない、なので今 我々に出来るのはこの“薬物“の認可を取り消し、新たなる法を作りこの様な“危険な薬物“を見逃さない仕組みを確立させる事だ、勿論 製造元の捜索は抜かりなく行う…、・・・さて、そこで各国の使者殿達はどのように協力してくれるのだろうか?」(協力しないなんて言わせねぇよ?)

ニッコリッ

 と、笑顔の陛下に見つめられて各国の使者達は固まり小刻みに震えていた。

(うん、頑張れ・・・)

 その後の会議では順調に話が進み、今後の方針として今回“勇者召喚“を無断でやらかした“ズューウス王国“を囲む“ヴェステ王国“、“イエロザーパト聖教国“に、我が国“ウェルセメンテ王国“この3ヶ国でまずは“ズューウス王国“に“勇者召喚“に関しての情報の開示を求めると同時に各国から遺憾を示す抗議文を出し、早急に“勇者候補達“のお披露目会をする様に要求する、
 それと並行に“ズューウス王国“の内部調査を進め内部の腐敗具合を確認し、病に倒れたと噂の国王の安否確認をして病を治せそうなら治療し国の舵取りをお願いする様に決まった、その時 王太子や他の王族の身辺調査する事になった。
 その際に他の国々からも外交的な圧力をかけて貰い徐々に“ズューウス王国“から“勇者候補達“を離す計画となった。

 その上であの“薬物“の件も各国の協力のもと、製造元の捜索と販売の中止を全国に広め“危険な薬物“に関しての国際基準を定めるための機関をも設立される方向になり、その機関は参加国から3つの国を選出し持ち回りで機関の代表を務めるようにした、まずはこの大陸の三大大国の我が国と“ライヒスル帝国“そして“イエロザーパト聖教国“の3ヶ国が“危険薬物禁止指定委員会“の初代代表となり、今まで見過ごされていた既存の医薬品の中から依存性薬物や人体に有害な薬効をもたらす薬などの検閲し製造の禁止や使用制限などの決まりを急いで決めていく事となる、
 その決められていった制限を国の法として確立し実行して行く最初の国として我が国が手を上げ、後にこの法案を取り込む国々の手本となる事になった。

 我が国内でも先んじて我がデューキス領が“特定危険薬物禁止法“を制定公布することになり徐々に他領に浸透させることになるだろう。



 そして、この“危険薬物“を神々がこう名づけた“イーヴィル・ドラッグ“《邪悪な薬》と・・・

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