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第3章 少年期 学園編
7話 サプラ〜イズ!
しおりを挟む父様に呼ばれて行った場所に思いがけない人がいて凄くビックリした僕、そんな僕の様子を悪戯が成功した時の子供のような顔をした父様とその人物その2人はニヤニヤしながら途中で立ち止まっていた僕を手招きする。
(もう、父様はこんな所は子供っぽいんだから・・・はぁ、でもこの人がここに来るなんて思っても見なかったなぁ~)
手招きに素直に応じて近づくと。
「ガハハハハッ!驚いたか?アトリー坊!」
「えぇ、とても驚きました“ハント親方“、いらしてたのならちゃんとご挨拶させて下さいよ」
ハント親方「ガハハハッ!それじゃあ面白くねえじゃないか!ガハハハッ‼︎」
そう、いつの間にか父様の隣でニヤニヤ笑っていたのは《ファッブロ武具店》の店主の“ハント親方“だ、彼には王都についた次の日に用事があって会いに行ったのだが、その時 ハント親方が今日ここに来るとは聞いてなかった、なので頼んだ物が出来上がる頃に受け取りに行くと約束もしていたくらいだ、それに以前ハント親方が特定の貴族の屋敷に出入りする事は無いと父様に聞いていたのにハント親方と父様は仲良く2人並んで僕を驚かせていた。
(父様の言ってたのは何だっただろうねぇ)
父様「ふふっ、驚いてくれたようで満足だよ」
「父様、また内緒で僕を驚かせてくれましたね、でも、ここにハント親方がいると言うことは…」
父様「そう、例のアレができたから持って来てくれたんだって」
「!、本当ですか⁉︎、やった!」
ハント親方「おう!持って来てるぞ!ちょっと待て!」
そう言ったハント親方は背後にあったテーブルの上に置いてある細長いトランクケースを開けた、その中にしまってあった物を慎重に持ち上げた。
ハント親方「これがお前さんから依頼されていた、“アダマンタイト鉱石“を鍛えて作った“太刀と脇差“だ、・・・俺は、この刀達に全身全霊を注いだ、うまく使えよ、アトリー坊」
ハント親方は神妙な顔で太刀を差し出した、差し出された刀の拵えは美しくでも豪奢になりすぎない程度の品の良さが伺える。
刀の鞘は漆器のような綺麗な光沢を放つ黒に白や灰色で植物の蔦の模様が描かれている、
そして刀の鍔にはアダマンタイトを使って繊細な草花の模様が透かし彫りしてあって、柄の頭と鞘の鐺にも同様の模様が彫ってあるようだ、柄の部分の柄巻きには光沢のある灰色の布が巻いてある。
他の金属製の部品は全て“あの時“ 手に入れたアダマンタイトを使用しているので全体的にモノトーンな配色の一見地味な作りに見えるが細部にわたって細かく模様が施された見る者が見ればとても芸術的価値がある一品だと分かるだろう、同じ拵えの脇差とセットで見るとよりこの刀達の存在感がます仕上がりになっていた。
「はい、この刀に恥じない使い手になります・・・!」
僕は太刀をしっかり受け取り手に太刀の重みを感じると同時に僕と太刀の間に何かがつながった感覚がした、僕は太刀の刀身を鞘から少しだし自分の目を刀身に移しつつ見つめた、その刀身はアダマンタイトを使用しているので色が黒に近いブラックシルバーの輝きを放っていた。
(綺麗な刃文・・・拵えも僕好みで派手過ぎず、でもどこか品のある美しい装飾が施されている、それに・・・)
僕が受け取った刀に見惚れていると。
ハント親方「名をつけてやってくれ」
「え、僕がですか?」
ハント親方「あぁ、その方がその刀も喜ぶだろう」
「・・・、分かりました、今は思いつかないので後でも良いですか?」
ハント親方「おう、それで構わねぇよ、良いのが思いついたら教えてくれ」
「はい、その時はご報告しますね、君もそれで良いかい?」
刀に話しかけてみると、
「リーンッ」
僕の言葉に応えるように高い鈴の音が刀から聞こえた。
「「「「「⁉︎」」」」」
「そう、良い名前を考えるね」
「チリンッチリンッ」
ハント親方の背後にあるトランクケースの中にある脇差から聞こえてきた。
「あー、君の分もちゃんと考えるよ だから少し待ってくれるかな?」
「チリンッ♪」
「ふふっ、良い子だね」
この時アトリーの瞳には刀達に宿る、精霊が見えていた。
(あちらの子は幼い感じだ、しかしこれは大丈夫なんだろうか?どちらの精霊も上位の精霊に見えるけど、この刀に宿っていると自由に動けなくなったりしないのかな?)
この事は後でゆっくりと精霊自身に聞くとして、先程の現象の事で周りの視線がグサグサ刺さるが今はこの場を誤魔化そうと考えた。(初めて会ったばかりの人達もいるからね)
「ハント親方、素晴らしい刀達を作っていただき有り難う御座います」
ハント親方「お、おう・・・」
周りの人達の疑問の視線(特にコミス伯爵家の方々)を親方への感謝の言葉とニッコリ笑顔でうやむやにしといたWW
受け取った刀をケースにいれニマニマしていると刀を装備するための専用のベルトまで頂いて超ご機嫌でその後のパーティーを楽しんだ。
暫くして、お昼もいい具合に過ぎた所でパーティーがお開きになり招待客を見送り終わった僕は自室に入ってやっと制服を脱ぐことができた。
(この制服ちょっと軍服チックでカッコいいけど、詰襟は着ていると息苦しい感じがするよねぇ~)
天華『まぁ、制服と言う物は多少なりとキッチリした物でないと風紀が乱れてしまうからではないでしょうか?』
制服からの開放感を感じているが別に嫌いなわけではない、学園のこの制服は僕の趣味ドストライクの白の上下の軍服風 で上着は基本白色のダブルボタンの詰襟で左肩から背中にかけて青と言うより群青色の小さめのマントがついていて、そのマントには校章が銀糸で縫い込まれている、詰襟と袖口の折り返しの部分も同じ群青色でそこには金糸で繊細な刺繍が施されているが派手では無い、上着の後身ごろの裾は長くシュッとした感じでズボンも細身で全体的にスタイリッシュな感じのオタク心をくすぐる仕様となっていた。
それと本日の髪型は両サイドの髪を残し、後ろの髪を三つ編みした後三つ編みした髪でお団子にしたスッキリした髪型だ
最後にこの学園から指定された制服を貴族や裕福な商家の子供達は自分の家の財力を誇示する為に色々と装飾品をつけていたが、僕は首元を飾っている宝飾品はいつもの“アメトリンの対のブローチ“をつけ、あとは今朝 学園に行く前に父様から貰った公爵家の紋章の入った懐中時計はチェーンを左肩の肩章から胸元まで垂らし懐中時計本体は内ポケットにしまってあるぐらいだ。
(それは確かに必要かもしれないけどねぇ~・・・しかし、僕は今日見て思ったけど僕の着こなしは他の人達よりシンプルな着こなしだったなぁ、あれを見てもっと着飾った方が良いのかと思ったけど あまり宝飾品を付けるとケバケバしくなるんだなぁとも思ったね)
夜月『確かに、この国の貴族だけではなく留学生の王族と思われる者達の中にもケバケバしいのがいたな』
(あぁ~、なんかいた様な感じがする?)
天華『相変わらず、興味が無い物にはとことん覚えていませんね、アトリーは…』
夜月『他のクラスの奴だったから、覚えてないのも仕方ないだろう』
オーリーが僕の脱いだ制服を綺麗にハンガーにかけてなおしてくれているのを聖獣皆んなでソファーで眺めながら念話をしているとソルが着替えを済まして僕の部屋に入ってきた。
ソル「失礼します、アトリー様、旦那様がお呼びです、執務室までお越し下さいとの事です」
「うん?、あぁ、分かったすぐ行こう」
(何の用かなって思ったけど、どうやらハント親方もまだ屋敷内にいるみたいだから、刀の事かな?)
気配感知で屋敷全体を見てみるとハント親方の気配が父様の気配の近くにあったので先程の刀の件だろうと予想して受け取ったばかりの刀のトランクケースを持ち 皆んなで部屋を出た、ジュールと夜月がいつもの大きさで歩いて両脇をついて来ていて、天華は肩乗りサイズで僕の肩に乗っている、少し後ろを歩いているソルが、
ソル「そちらのケース持っていかれるのですね?」
「うん、どうやらハント親方が父様と一緒にいるみたいだからね」
ソル「・・・、確かに居られますね…、やはり先程の事をお聞きなりたいんでしょうか?」
「まぁ、そうだと思うよ、多分ハント親方にはあの子達が見えていたと思うし」
ソル「そうですね、ハント親方はドワーフ族の血が濃いですからね、それに精霊と契約なさっている様ですから」
「それに、加護も持っているみたいだしね」
ソル「その噂は事実でしたか…」
「うん、前に夜月達が教えてくれたんだ、その時は僕がちゃんと精霊の見方が分からなかったから確かめられなかったけどね、ま、他の事に夢中だったのもあったしね」
精霊王の加護を貰ってから精霊を見ることが出来る事は分かっていたけど、ちゃんと意識して見る事が出来る様になったのは8歳になってからで最近になって“魔力視スキル“が“精霊眼スキル“に変化してより精霊や魔力、魔素を意識して見る事ができるようになった。
そのお陰かやたら精霊達が僕に近寄って来た事で触発されたのかソルの目まで精霊眼になってしまったらしい。
(スキルって不思議だねぇ~)
なので今日のパーティーでの出来事で精霊を見れたのは僕とハント親方にソルの3人ぐらいだろう、あと怪しいのは父様とカイルさん辺りが見えていた可能性があるけどね。
そう会話しながら歩いているとすぐに父様の執務室に到着した、ソルが声をかけて入室許可をとり扉を開いてくれた。
「失礼します、父様、お呼びとの事で参りました」
父様「あぁ、アトリーに少し聞きたい事があってね、こちらで座って話そうか」
いつも通りにこやかに笑いながらソファーを勧めてくれた父様の反対側にハント親方が座っていた。
「やはりハント親方もおいででしたね、ご用件はこちらの事で間違いない様ですね」
「「!」」
と、持ってきたトランクケースを少し持ち上げた。
父様「いつも通り、察しがいいねアトリー、まぁ、まず座ってお茶でも飲みなさい」
「はい、父様」
父様に促されて父様の隣に座りトランクケースをローテーブルの隣に置いてカイルさんがいれてくれた紅茶を一口飲むと。
父様「さて、アトリー、父様に少し教えてくれないかな、父様の目にはそのケースの中に入っている刀達に精霊が宿っている様に見えたんだけど、それは何故か分かるかい?」
「いいえ、僕にも何故精霊が刀に宿っているかは理由は分かりません」
僕達親子の会話を聞いてハント親方は驚いた顔をしていた。
ハント親方「お、おい、ラト坊にアトリー坊、も、もしかして2人とも精霊が見えんのか?」
父様「えぇ、私達だけではなく多分ここにいる全員が見れますよ」
ハント親方「はぁ⁉︎ここにいる全員⁉︎」
驚愕の事実を告げられて目を見開き口をポカンと開けたまま固まった親方、そんな親方を横目に僕達親子はまた紅茶を飲み始めた。
(まぁ、そうなるよね、普通は人族で精霊を見る事ができる人は殆どいないのにこの部屋の中の全員が精霊を見れるなんて聞いても信じられないよねぇ~、まぁ事実だけどね、てかサラッと父様が自分達も見れるって宣言したね、いいのかな?ハント親方に知られても、まぁ言わないと話が進まないからそうしたんだろうけどさ…)
夜月『そうだな、この者に話しても問題ないと判断したのではないか?』
(確かにハント親方なら他の人に言いふらしたりしないだろうしね)
部屋に入ったあと聖獣の皆んなは各々好きな場所に陣取るように座ってくつろぎながらこちらの様子を伺っていた。
その後はのんびり親方の再起動を待っていると数分して現実に帰ってきた親方は「ありえねぇだろう⁉︎」と叫んだ後少し考えて真剣な顔で、
ハント親方「しかし、お前さん達が精霊が見えるのは今いいとして、何故かこの刀を作る時にやたらと俺の契約している火の精霊や他の精霊達が協力的だったのが腑に落ちないんだが・・・、アトリー坊、お前さんなにか精霊に関する加護を持ってるんじゃないか?」
確信をついた親方の発言に父様が表情を引き締め聞いた。
父様「何故そう思ったんですか?ハント親方」
ハント親方「簡単なことだ、刀に“わざわざ“宿ってまでお前さんの所に行こうとする精霊達がいることの事実をどう説明できるってんだ?」
こわもての親方がニヤッと笑いながら言うと
父様「はぁ・・・、まぁ、そうなりますよね・・・、分かりました、今から話す事は誰にも話さないで下さい良いですか?」
父様は諦めた様子で親方に条件を出した。
ハント親方「おう!分かった!誰にも喋らねぇよ!それに俺は口が硬い方だぜ!」
親方は先程からの真剣な雰囲気をガラッと変え楽しそうな表情で返事をした、その返事を聞いたカイルさんがすかさず防音結界の魔道具を発動させた。
それからは父様が僕の精霊王の加護の事を話し、その影響で“魔力視“持ちの4人全員の目が“精霊眼“に進化した事なども話した、ハント親方は話を聞いて凄く驚いていたがそれよりも納得の方が強かったみたいだ。
ハント親方「わざわざ、刀を持ってきて正解だったな!、人生何が起こるか分かったもんじゃねぇと思っていたが今回ばかりは心底驚かされたぜ!・・・・・それで、アトリー坊、刀達の名は決まったのか?」
「いえ、まだですよ、こちらに呼ばれた時は服を着替え終わって少しした時ぐらいですから…、それに刀に宿っている精霊がどの属性なのか聞いてみてからでも良いかなと思ってましたから」
トランクケースに視線をやるとソルがトランクケースを僕達の前にあるローテーブルの上に置いて全員が見えるように開けてくれた、その前にカイルさんが飲んでいたお茶のカップなどを素早く片付けていた。(連携すご!)
開いたトランクケースから2人の精霊が飛び出し僕を見つめる。
「やぁ、こんにちは、君達に少し聞きたい事があるんだけど、良いかな?」
「リーンッ」『勿論良いわよ』
「チリンッチリーンッ」『なんでも聞いて下さい♪』
「ふふっ、有り難う、じゃあ・・・・・・・・」
この後刀に宿った精霊達に属性を聞いて、この刀達に名前を付けると中にいる精霊達に何か影響があるのかとか、色々疑問に思っていた事を聞き出す事にした。
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