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第2章 少年期

44話 鑑定の魔道具

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 父様にいきなり“鑑定スキル“の付与が出来るかと聞かれたが、そもそも自分が持っているスキルは“鑑定スキル“では無く“情報開示スキル“なので“特殊スキル“に当たるスキルって付与出来るか分からなかった。

(え?、あれ?そもそも“技術系スキル“って付与魔法で付与できたっけ?)

 自分が付与魔法を使用して付与したのが魔法スキルの“結界魔法“だけなので他のスキルを付与出来るか判断が付かないのだった。

天華『出来ますよ』

 父様の頭の上から天華ができると教えてくれたので詳しく聞く為に父様に了承を得て天華の話を聞くことに天華が父様の頭の上から降りてきて僕の膝の上に着地した。

(おっと、で、本当に“技術系スキル“の付与って出来るの?)

天華『はい、出来ますよそもそも、鑑定の魔道具は存在しますからお父君は“アトリー様自身が鑑定スキルの付与が出来るか“が聞きたかったのではないかと』

(ん?、あぁ、僕の技量の問題だったのね、でもそっか鑑定の魔道具は生産されてると本に書いてあったね、急に聞かれてちょっと混乱したや・・・で、“特殊スキル“も出来るの?)

天華『一応できるのは出来ますが開示する範囲を狭めないと魔力消費量が多くなりすぎて一般的な魔石ではすぐに使い物にならなくなってしまいます』

(あー、そう言う事か僕は魔力量が多いから気にせず使ってたけどそんなに魔力消費量が多いんだ)

天華『えぇ、それに魔力質も高くないと偽造も看破できませんからね』

(そうなんだね、じゃあ父様にどこら辺までの情報が見れたら良いのか聞いて範囲指定の魔法陣を作成した方がいいのかな?)

天華『そうした方が良いと思います、用途に合わせた物を作るにあたって無駄が省けますし運用効率も良くなるでしょう』

(うん、分かった聞いてみるね、作るときはまた相談に乗ってね天華)

天華『はい、いつでもお手伝いしますよアトリー様』

(有り難うよろしくね♪)

「キューッ♪」

 お礼に天華を撫でると嬉しそうに声を上げた、その後すぐに父様にどの範囲の情報が“鑑定“で見たいのか聞いてみたら。

父様「そうだねぇ、今 王城で各部署の人材の採用期間中でね、それに役立つ“鑑定の魔道具“が欲しいそうなんだ、今王城で使われているダンジョン産の魔道具では名前、年齢、性別、種族、加護と犯罪の有無ぐらいしか分からないんだよ、問題は犯罪の部分でね称号の中に犯罪を犯していたら犯した犯罪の名前が表示されるんだけど、その他の称号は表示されないから昨日みたいに犯罪予備軍みたいな者達を事前に確認したいそうなんだ」

「そうなんですね、でも王城に“鑑定スキル“を持った方はいらっしゃるのでは?あ!、でも人数が多いと大変だから魔道具で負担を減らしたいのですね?それにその人のスキルレベルで見れる範囲が変わりますしね!」

父様「そうだよ、アトリーは凄いね説明する前に使用目的が分かるなんて」

 父様に褒められて少しくすぐったくなって父様からちょっと目を逸らしつつ要点を纏めた。

「じゃあ今の魔道具より称号の部分を詳しく“鑑定表示“できればいいんですか?」

父様「そうだね、まぁできれば“全てのスキル“も見れるようにしたい所だけど、どうしてもダンジョン産の“鑑定の魔道具“より人が作る魔道具は付与する人の“鑑定スキル“のレベルで“鑑定“できる範囲が決まってしまうし魔道具に使用する魔石の量も増えるから経費面でもそこら辺で妥協しなきゃだね」

(うん?、・・・レベルねぇ、そうか!“鑑定スキル“はレベル10にならないと全部のステータスを見れないのか、やばっ!もうちょっとでうっかり魔法スキルや支援スキルまで見れるって言っちゃう所だった!でもあれ?“鑑定スキル“のレベル4ってどこまで見れるんだっけ?)

天華『そうですね、レベル1で名前、年齢、性別まででレベル2で種族と加護が、レベル3で称号が、レベル4で魔法属性ですかねそれ以降は個人差がありまして レベル5からレベル9までは魔法スキル、戦闘スキル、支援スキル、耐性スキル、技術スキルの中のどれかがレベルが上がる度に1つ見れるようになります、そして必ず最後のレベル10で特殊スキルを見ることが出来るようになりますね』

(そう言えばそんな感じで貰った本に書いてあった様な?・・・ん?あれ?今思い出したけど“鑑定スキル“で魔力値や体力値がみれるんじゃないの?ティーナちゃんが見れるって言ってたと思うんだけど…違ったかな?)

 聞き間違えかと思っていると。

ジュール『・・・・・、あ、主神様が今“鑑定スキル“の設定を昔変えたのを忘れてたって、それで魔力値なんかは“情報開示のスキル“がレベル10になると見れるようにしてたってよー、ごめんね~って謝ってる』

(・・・ティーナちゃん、またうっかり忘れてたんだね・・・これは一度自分のステータスのスキルの内容の見直しした方が良いかな?)

天華『その方がよろしいかと…、私達はスキルの詳細な情報を持っていますのでアトリー様の知る情報と少しづつ照らし合わせましょう』

(うん、お願いします、それとティーナちゃん、他にスキルの設定変えたのを思い出したらその都度教えてね~、・・・これで届いたかな?面と向かって会話できないのは何だか前世での携帯電話のチャットアプリやメールしてる感覚だよ)

天華『まぁ、届いていると思いますよ…』

 天華もちょっと呆れた感じだ、夜月に至っては呆れてコメントすら無い。

ジュール『・・・・分かったー思い出したら教える~って』

(そう、有り難うティーナちゃん、ジュールも通信ご苦労様)

ジュール『えへへーどういたしまして♪』

 ジュールが照れているのが可愛い!と心の中で叫んだ。

(ふむ、しかしスキルも見れるのが欲しいのか…、まぁ、お城で働くにあたってスキルは大事だよねそこを見極めなきゃいけないし適材適所って言葉もあるし…、
うーん、どうしたものかコストがかかるって言ってたからかなり魔力を必要とするんだろうなぁ~、
・・・あ、でも、スキル解説書の中に鑑定スキルの熟練者の中には見たいステータスの項目をピンポイントで見ることができる人がいるって書いてあったはず、それにその方が全ての項目を見るより魔力量が軽減されるとも書いてあった!うん!よし!これで行こう!)

 今思いついた事を天華に話して見ると天華も賛同してくれたので父様にある提案した。

「父様、“鑑定の魔道具“を二種類作ってはいかがですか?」

父様「“鑑定の魔道具“を二種類?」

「はい、1つは通常の“鑑定の魔道具“と同じ内容に称号の項目を見るのに特化した物と、“その他のスキル“を見るのに特化した物との項目を分担した“鑑定の魔道具“を二種類作ったら運用経費もそれほど負担にならないと思いますよ、あ、でも今の僕の“鑑定レベル“では魔法属性までしか見ることができませんから“その他のスキル“を“鑑定“する魔道具は“鑑定スキル“のレベルが高い方に付与して頂かないといけませんね」

(多分 人が使う“鑑定スキル“と一緒で1つの魔道具だけで全てのステータスを見ようと思うから使用するエネルギー=魔力の量が増えるんだと思うんだよね 、魔道具にもその分 負荷がかかるし役割を分けて作れば魔力量、この場合は魔石のコスト面も解決できるはず、空気中の魔素供給の魔法陣も併用すれば魔石の消耗も軽減できる、と思う…、要は役割分担だよ、うん、
・・・しかし“鑑定レベル“が高い人で“付与魔法“できる人っているのかな?まぁ国中を探せば何人かいるよねそれにジル叔父様も“鑑定スキル“持ってたし、そこはジル叔父様に付与魔法のスキルがあれば問題ないし、無くても習得すれば良いだけだしね!うん!)

 うんうん、と1人心の中で解説しながら納得し1つの魔道具に関しては他の人に丸投げする気満々のアトリーは周りの皆んなが目を見開きポカンっとしている事に気づかなかった。

室内の人全員「「「「「・・・・・」」」」」

 1番最初に正気に戻った父親のアイオラトだった。

父様「ア、アトリー、凄いねそんな事を思いつくなんて私達は1つの魔道具で全てを見るのが普通だと思っていたからね、2つの魔道具で項目を分けると言う事すら思いつかなかったよ…それにアトリーの“鑑定スキル“がまた上がっていたなんて驚いたよ」

母様「本当凄いわアトリー」

 母様が頭を優しく撫でてくれてムフフっと少しドヤ顔してみた。

(褒められるのは嬉しいけどちょっとむず痒いというか照れるなぁ)

「あ、でも僕が作れるのは通常の“鑑定魔道具“を参考に少し強化して“称号“を見るのに特化させたぐらいの物しか作れませんよ?」

 作ってくれと言われる前に もう、称号特化の魔道具を作る気満々のアトリーはもう一つの魔道具を心配していた。

お祖父様「あぁ、それは心配いらない、国の方で人材を確保すればいいだけだからな、しかし、これは商業ギルドに特許申請した方が良いのではないか?“結界の魔道具“と“新しい魔法“の事も含め」

父様「そうですね、カイル手続きを頼む」

カイルさん「はい、畏まりましたアトリー様の名義で特許申請しておきます、詳細な書類もこちらで制作しておきますので後ほどご確認いただけますかアトリー様」

 とんとん拍子に魔道具と“ヒートスタンプ“の特許申請の用意が整えられていく。

「え、あ、はい大丈夫 です、えっと追加で空気中の魔素供給の魔法陣もつければ魔石の消耗も抑えられんじゃ無いかと思っているのでそれを組み込んだ魔法陣も登録時に記載した方が良いですか?まだちゃんとした魔法陣があるわけでは無いですが…」

室内の人全員「「「「「!」」」」」

カイル「え、えぇ、お願いできますか?」

「はい!、じゃあ今から既存の魔法陣の文章を改編して詳細を紙に書いておきますね♪」

父様「そ、そうだね、“鑑定魔道具“の本体は今から取り寄せよるのに少し時間がかかるから、その間に魔法陣の文章を一緒に考えようか」

「はい!あ、でも描くものが無いので部屋に戻って持って来た方が良いかな?」

 そう呟くと何処からかジョルジュさんが紙と筆記用具を出して静かに僕に差し出してきた。

(ジョルジュさん、何処から出したんだろう?マジックバックの類いかな、てか、用意いいな!)

「あ、有り難う御座います…」

 その後は家族や聖獣皆んなに相談しながら魔法陣に記入する文章を既存の魔法陣の文章を元に魔素供給の魔法陣からもエネルギーを供給できるように文章を改編するために頭を捻りながら考えて魔法陣を完成させた、この時 母様の膝の上から降りてソファー前のローテーブルで作業していた

「よし、これで大丈夫なはず!」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 水晶に触れた対象から100分の1の魔力を吸収し付与された鑑定スキルを発動、発動された鑑定スキルを内側の円内に記入された条件を魔道具内にある魔石の魔力と供給される魔素を魔力に変換し動力源として行使する。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 発動された鑑定スキルを以下の項目を対象にスキルの行使を制限する、

1、名前

2、年齢

3、性別

4、種族

5、加護

6、称号

以上の項目を偽造看破し嘘偽りなく全てを水晶に表示する。
 水晶に表示された内容は1分間 表示されたままにする事、次の対象が水晶に触れた時は表示を次の対象に切り替える事。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「書き上げた 魔法陣に 魔素供給の 渦巻きの 魔法陣を 繋げて、完 成!」

 最後に魔素供給の魔法陣を書き込み繋げて書き終わった紙を皆んなに見えるように持ち上げて見せた。

室内の人全員「「「「「おぉ~」」」」」

「ふぅ、コレくらいの大きさなら魔道具の本体に刻めますか?」

父様「う、うん十分だよアトリー、この魔法陣かなり小さいと思うよ?」

「?」

 魔法陣の大きさは前世で言うスタンダードな炭酸ジュース缶の底 程度の大きさだ、横にある魔素供給の魔法陣に至っては日本硬貨の500円玉サイズだあまり大きくし過ぎると周りの魔素が吸収され過ぎて環境に影響が出るから駄目だと本に書いてあった、それに夜月がコレぐらいの大きさが魔力還元率も妥当だと言っていた。

(ふむ、僕的には結構な大きさなんだけどなぁ、むしろもっと縮小して限界に挑戦してみたい!でも これ以上縮小して文章を削ると正確な発動ができないから駄目って天華に言われちゃったからなぁ、残念…)

 そう1人でしょげているとカイルさんが魔道具の本体を持ってきた、本体はバスケットボールぐらいの水晶が嵌った金属製の台座だが水晶を表示画面とスイッチがわりに使うので水晶が外れないようにガッチリ台座に固定されている、側面に魔石を入れる魔石投入口があった。

「わぁ、思っていたより結構大きい」

ソル「そうですね」

 ソルと僕は初めて見た“鑑定の魔道具“の大きさに驚いていた、
その魔道具本体をカイルさんが僕の前のローテーブルに置いてくれて、どこに魔法陣を刻もうかと まじまじと観察しながら考えていると。

父様「アトリー、この本体の裏側に魔法陣を刻んでくれるかな?」

「はい、裏側ですね…ん?台座の裏じゃ魔素供給の魔法陣があまり意味をなさなくなるかな?もっと広い空間がある方につけないと魔素の吸収率が落ちるよね?ね、天華?」

 台座の裏側には小さい突起が四隅にあるだけで置いてあるテーブルと台座の裏面との間が1センチぐらいしか空いてなかった。

天華『そうですね…、それでしたら魔素供給の魔法陣だけ台座の側面に刻むのどうでしょうか?』

「!、うん、そうだね そうするよ少し線を伸ばして角度を調整すれば一気に刻めるね、有り難う 天華」

 膝の上にいる天華を撫でて台座の側面と裏側の角度を確認した側面には軽く装飾がされている所もあるが魔石投入口の近くにある程度平らな部分を見つけて そこに魔法陣を刻むイメージをした。

「うん、ここなら大丈夫かな?」

 ソファーから降りて天華をローテーブルに下ろし魔道具本体を慎重に掴み側面の平たい場所を上にして斜めに傾けて裏側と側面がよく見えるようにした、
僕の意図に気づいたソルとカイルさんが一緒に魔道具を支えてくれて動かないように固定してくれたので、魔石を入れる場所の魔石投入口を確認して僕は“ヒートスタンプ“の魔法を意識しつつ魔石投入口を線で囲むように丸い円を想像する、先に紙に書いた制限の魔法陣と投入口の円を直線で繋げた魔法陣を思い描きながら、魔素供給の魔法陣と制限の魔法陣を繋ぐ線と魔石投入口の円と制限の魔法陣を繋ぐ線の2本の線を“く“の字型に曲げるイメージをした、
魔道具の裏側と側面の折れている角度を目視しながらイメージを調整していった。

(コレくらいかな?後は紙に書いた魔法陣に記入してある“鑑定スキル“の部分を“情報開示スキル“に置き換えてっと)

 イメージを固めた僕はそのイメージが崩れる前に魔法を発動させた。

「“ヒートスタンプ“」

 手のひらを魔道具本体に向けて魔法名を詠唱するとイメージ通りの“く“の字型に折れ曲がった魔法陣が現れ真っ赤に光っていた、
そこから僕は慎重に手を魔道具に向けて動かし、ゆっくり裏面と側面の角に合わせて近づけた近づけている最中に少し曲げる角度が足りない事に気づいたので、その場で角度を修正したピッタリ角度があった所でそのまま真っ赤に光る魔法陣を魔道具本体に押し当てた。

ジューッ

 と、音と共に少し金属の焼ける匂いがした、3秒ぐらいして魔法を解除するとクッキリ魔法陣が刻まれていた。

「ふぅー、ちゃんと出来たかな?」

 色んな角度から文字が潰れた所はないか よく確認して、不備が無いようなので成功と判断した。

「うん、成功したね!次は“鑑定スキル“の付与だね」

(“情報開示“を付与っと)

 手を魔道具本体の台座に触れながら付与魔法を発動させると魔道具本体が淡く白に光った光が収まると付与が完了した合図だ、光が収まったのを確認して自分で“情報開示のスキル“を使って魔道具を見た。

====================

   +鑑定の魔道具+

詳細:高品質な素材でできた素体に高度な魔法陣を刻んだ最高品質の鑑定の魔道具

付与:素体に“情報開示スキル“が付与されている

効果:水晶に触れた対象のステータスの一部を自動で強制的に鑑定し水晶に表示できる

価値:新発明のため市場価格が未知数

備考:表示される項目は以下の通りです
   1、名前 2、年齢 3、性別 4、種族 5、加護 6、称号

====================

(おっふ、やばい!“付与の項目“が“情報開示“になってる!ど、どうしよう⁉︎この魔道具自体を鑑定されたら僕のスキルがバレちゃう‼︎)

夜月『落ち着けアトリー、そのままの“情報開示“を発動しながら“特殊隠蔽のスキル“で“付与の項目“を見ながら“鑑定スキル“に変更と魔力を込めながら念じるんだ』

(う、うん、分かった!やって見る!)

 言われた通りにすると“付与の項目“の表示が歪み崩れたかと思うと“情報開示スキル“から“鑑定スキル“にスキル名が変わっていった、それと同時に魔道具に刻まれた魔法陣の文章も“情報開示スキル“から“鑑定スキル“にスキル名が変化していた。

(ふ、ふぅー、有り難う夜月うっかり“情報開示“のスキルが他の人にバレる所だったよ…)

 表情はそれほど変わらずに内心は焦りまくったが皆んなに気づかれてないかちょっと心配になって周りを見ると。

(おや?、皆んな何故か魔道具を見つめてらっしゃる?)

夜月『多分、初めて見た魔法に驚いているんだろう』

(ソルまで…)

 全員 魔道具を見つめたまま固まっている中でソルは“ヒートスタンプ“の魔法を見るのは初めてでは無いはずなのにじっと魔法陣を見つめていた、
なので魔道具を支えたままフリーズしているソルの目の前で手を振り気づいて貰えるか試してみた。

「おーい、ソルー、大丈夫かい?」

室内の人全員「「「「「!」」」」」

ソル「あ…、はい、大丈夫です…、先日見た魔法とは形が違ったので少し驚いたのですが…、アトリー様、魔法行使中に少し魔法陣の形を変えましたか?」

(‼︎、え!隠蔽に気づかれた⁉︎ ん⁉︎・・・ちょっと待てよ?魔法行使中の魔法陣の形?文章じゃなくて?・・・あ!線の角度の時のことかな?なら隠蔽に気づいた訳ではないのか?ちょっとシラを切ってみるか…)

「ん、ん?、うん、変えたよ?最初に出した魔法陣の角度が魔道具本体の焼き付けたい部分より少し広かったからね、本体に近づけながら修正しただけだよ?」

ソル「そ、そうですか・・・」

 ソルその一言を言ったきり言葉は続かず 少し遠い目をしていた。

(ふぅぃ~文章に言及して来なかったからアレで間違いなかったんだね一瞬、隠蔽がバレたかと思ったけど違ったみたいだね、でも それが どうしたってのさ?)

 首を傾げながら何の確認だったのか不思議に思っていると、いつの間にかフリーズ状態から脱していたお祖母様が苦笑いしながら話しかけてきた。

お祖母様「あらまぁ、アトリーは今自分がした事の凄さを分かってないのね?」

「僕がしたこと?」

お祖母様「そうよ、発動させた魔法の形を発動途中で変えるなんてとても難しい…いえ、普通は無理なのよ?」

「・・・・・そう、なんですか?」

 頭を反対に捻り聞くとその場にいた皆んなが一斉に苦笑いした。

(むー、父様に至っては仕様がない子だね見たいな視線を向けてくるんですけど!)

 頬を膨らませて少し拗ねた。

天華『ふふっ、普通の方は発動した魔法の形を途中で変えようとはしませんからね、“魔法名“が定着したことで発動後の魔法の形も大体固定されていて、人や地域によって多少形が変わってくるぐらいですから、それに“特殊隠蔽スキル“は人の認識そのものを誤魔化すのでスキル名が変わった事も気づきませんよ』

(そうなんだ…それを早く言って欲しかった…、でも、魔法は自分の想像1つで形が変えれるんだから発動途中でであろうと形を変えても害はないなら そこは有効活用した方がいいよね?)

天華『そうですね、コレと言って制限がある訳では無いですから、アトリー様の自由に魔法を使ったらいいですよ』

(うん!分かった!コレからも色々思いついたら天華達に教えるね♪)

 そう言うと天華達は嬉しそうに鳴いた。

 その後は頬を膨らませたままの僕を見て母様が笑いながら頬を突いてきて、

母様「ふふっアトリー、そんなに頬を膨らませたらほっぺが伸びちゃうわ」

ツンツンッ プシュー

空気の抜けた音と共に頬が萎む。

母様「ごめんなさい アトリー、さっきはアトリーを馬鹿にして笑ったのでは無いのよ?だからそんなに拗ねないで?」

 母様が優しく頭を撫でながらいつもの穏やかな微笑みを浮かべ謝罪してきた。

「はい、分かってます 母様、もう気にして無いですよ ふふっ」

 そう笑いながら返すと母様も笑い返してくれた。

母様「ふふっ、よかった、それでこの“鑑定の魔道具“は完成したのかしら?」

「あ、はい!これで完成しました!さっき僕の“鑑定スキル“で確認したのでちゃんと使えるはずです!」

「「「「「おぉーっ」」」」」

 そう言うと父様達は歓声上げ魔道具をキラキラした目で見つめていた。

お祖父様「早速、試して見るか!」

 と、お祖父様がワクワクした様子で言うと。

ライ兄様「あ!、はい!俺、じゃなかった自分が試してみたいです!」

 と、僕の左側にあるテーブルセットで他の兄弟達と座っていたライ兄様が提案してきた。

お祖父様「ふむ、ではライに頼もうか」

 兄弟達の座っているテーブルセットから離れて僕達が座っているソファーセットに来た、ライ兄様はローテーブルの上に置いてある出来たばかりの“鑑定の魔道具“を興味深々で眺めた後 魔道具の水晶部分にそっと手を置いた。

ブゥンッ

====================

+名前+ シーライ・ノブル・デューキス

+年齢+ 11歳

+性別+ 男性

+種族+ 人族

+加護+ ーーー

+称号+ 火魔法の使い手
     剣術の才
     デューキス公爵家のやんちゃ坊主

====================

全員「「「「「・・・・・!」」」」」

(おぉー成功した!、ん?あははっライ兄様“デューキス公爵家のやんちゃ坊主“だってWW)

 1人心の中でライ兄様の“デューキス公爵家のやんちゃ坊主“称号に大笑いしていると父様達がライ兄様の顔を見ながら驚いていた。

父様「ライ…、いつの間に“火魔法の使い手“なんて称号を得たんだい?凄いじゃないか!」














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