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第2章 少年期

39話 自覚

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〈守護の短剣〉をイネオス達に渡し、皆んなが各々部屋に帰った後、お風呂に入り家族がまだリビングでくつろいでいると聞き、お休みの挨拶をする為に聖獣達を連れて向かった、
リビングに入ると家族全員が揃っていた、私が入ってきたのに気づかず、大人達は何かを話し合っていた それを兄弟が静かに聞いている。

(あれ、何の話をしてるんだろう?聞いても大丈夫な話かな?)

 私はリビングの入口付近で中の様子を見ていると、カイルさんが先に私に気づき、まだ気づいていない父様に私が来た事を知らせた、そうすると家族全員がこちらを見たので、

「あの、お話のお邪魔をしてごめんなさい、お休みの挨拶に来ただけなのですぐに部屋に戻りますね」

そう言うと父様がこちらに来て私の前で屈んだ。

父様「すぐに戻らなくて良いんだよアトリー、今話していたのはアトリーが作った魔道具の事を話していたんだ」

 魔道具の事は専属4人の誰からか聞いたのであろう、

(あ!やばい!父様達に魔道具作るの言うの忘れてた!お、怒られる‼︎)

「あ、ご、ごめんなさい父様!また僕 父様達に相談もせずあんな物を作ってしまって!本当にごめ「アトリー」っ!」

謝ってる最中に止められしまって これはかなり怒ってると思い、ギュッと目を瞑り両手で寝間着を握りしめた。

父様「アトリー、そんなに怯えなくていい、誰も君を怒ったりしないよ」

 かたく目を瞑っていると予想に反して優しい口調で父様が話しかけてくれた、びっくりして目を開けると、父様は少し困った顔で笑い優しく頭を撫でてくれた。

父様「まぁ、事前に相談はして欲しかったけど、あんな素晴らしい物を作ったのに怒ったりしないよ」

 頭を撫でた後 父様は私を抱き上げ 家族皆んながいるソファーセットまで来て 先程まで座っていた所に私を抱いたまま座り自分の膝の上に私を乗せた。

「父様?」

(怒ってないんだ?でも困った顔はしてる・・・あれ、最近 父様を困らせてばかりいる?どうしよう、どうしたら父様を困らせないで過ごせるかな?しばらく領都の屋敷から出ないで勉強しようかな、そしたら迷惑にならないし父様も困らないかな…」

父様「アトリー、そんな事 気にしないで 私はアトリーの父様なだからいくらでも頼って困らせてくれて良いんだよ、お願いだから屋敷から出ないなんて言わないでくれ」

 父様が眉尻を下げ悲しそうな顔でこちらを見ていた、よく見たら家族全員が悲しそうに私を見ていた。

「⁉︎、あ、え、ご、ごめんなさい」

(途中から声に出してた⁉︎、それにあんな顔を家族にさせてしまった…あぁ~私のばかっ!)

 私は父様を困らせてばかりいることに気がついたけど父様は親なのだから頼って困らせてもいいと言ってくれた、でも声に出してしまっていた言葉を聞いて家族全員を悲しませていた事にも気づき自分の迂闊さに嫌気がさした。

(皆んなに悲しい思いをして欲しくないのに…どうしたら皆んなが悲しまないかな、どうしたら心配かけないかな、どうしたら皆んな笑ってくれるかな、どうしたら・・・)

 思考がぐるぐると同じ場所を回ってしまって良い答えが出ない。

(私、なんで作る前に父様に相談しなかったんだろう、相談していたら父様達にあんな顔させなかったのに、いつもならちゃんと事前に話したはず、それに今日みたいな危険なこと絶対しなかったのに私ってこんなに迂闊だったかな?精神年齢42歳のおばさんだよ⁉︎ちゃんと報連相するっていつも自分に言い聞かせていたのに忘れるなんて・・・あぁ最近 感情のコントロールもうまくいかないし・・・は!、まさか、ボケてきたのか⁉︎)

 最終的には思考があらぬ方向に飛びそうになっていると、

夜月『落ち着けアトリー』「なぁう」

(っ‼︎)

父様の後ろをついてきていた夜月達が父様の膝の上に座らせていた私の膝に飛び乗ってきた。

天華『アトリー様、落ち着いて下さい、それに今あなたは“7歳の子供“なんですからまだボケるには早すぎますよ』

(うっ、で、でもっ…)

天華『今日 一日、色々ありました そして今日アトリー様がしたことは“7歳の子供“がするには規格外の事なのは確かです、ですがその行動の根本的な動機は“7歳の子供“としては普通のことなんです』

(根本的な動機?)

 天華が“7歳の子供“を強調してくる。

天華『えぇそうです、おもちゃ屋では自分が楽しめる“おもちゃが欲しい“、人形店では可愛い“ぬいぐるみが欲しい“、武具店では自分にあった“武器が欲しい“、サーカスでは可愛い動物を“沢山見たい“、と“7歳の子供“としてごく真っ当な感情で楽しんでいらっしゃいました、
その中で襲撃犯に対峙した時は“して見たかったことを試したい“、魔道具に関しては友人に思い出の記念になる“物を上げたい“尚且つ“友人を守りたい“、
どれも普通の子供がしたがる行動と感情です、ただ状況と規模が規格外なだけで“7歳の子供“としておかしいことはないんですよ』

(“7歳の子供“の普通…)

夜月『それにアトリー、したい事の感情が先走り 父親に相談し忘れたのも感情のコントロールが上手くいかないのも“7歳の子供“なら普通に起こり得ることだ』

(え、私、体の年齢に精神が引っ張られている?)

夜月『いいや、本来なら前世の記憶があるとはいえ赤子の時から年齢に合わせて感情が育つはずだった、それが様々な要因で屋敷の敷地内から出ることのない閉鎖的な環境で育ったことで本来の子供としての感情を無意識に自分で抑え込んでいた節がある、今のアトリーはむしろ本来の子供としての感情が戻ってきているんだ』

天華『多分ですが、イネオス君達と過ごすことで本来の“7歳の子供“としての感情が触発されて元に戻ってきたんでしょうね』

(イネオス達と遊ぶことで?、でもソルといつも一緒に遊んでいたよ?)

 同じ“7歳“のソルといつも一緒に遊んでいた事を話す

天華『それはソル君も規格外に優秀だったからです、素直で物覚えが良く穏やかな気質でアトリー様ととても気があっていたでしょう?』

(うん、いつも一緒にいても苦にはならなかったよ 勉強もできて専門的な話もできたしね、・・・そっか私、いや私達“子供らしさ“がなかったんだった)

天華『そうですね、今まで“子供らしさ“が足りなかった様ですね、ですから今のアトリー様は逆に正常なんですよ なので何も心配することはないんです、だからご家族が心配するのも普通なんですぅ~“7歳の子供“は何かしらやらかす物ですからねぇ~♪』

 最後は雰囲気を変えて体を揺らしながら、揶揄うような言い方をした天華が可笑しくて、つい吹き出してしまいそうになったギリギリ声に出さなかったが顔はニヤけていたと思う。

(・・・ふっ、あははっ、そうだね そうだった、“私“はこの世界に生まれ変わった事を理解していると思っていたけど本当の意味で理解できていなかったんだね“僕“まだ“7歳の子供“だった!)

天華『えぇ、なのでご両親やご家族に沢山 甘えて、頼って、盛大にやらかしたら良いんです』

ジュール『だから私とも沢山遊んでね!』「キャンッ」

 僕達が話している間 父様の隣にいた母様の膝の上で大人しく座っていたジュールが横から僕の膝の上に飛び移ってきて“子供らしく“自分の要求を伝えてきた、そんなジュールを見て僕は(これが“子供らしさ“か)と思った。

(ふふっ分かった!沢山遊ぼうね!有り難う皆んな、大好き‼︎)

 ギューッと皆んなを纏めて抱きしめた。

 “僕“は今日 本当の意味でこの世界で転生して生きてきたと自覚できた気がした、皆んなと話すことで今までどこかがずれているような違和感があった意識がやっとしっかりとはまったような馴染むような感覚をこの時強く感じた。
 そして言い知れぬ解放感と安心感に包まれた。

父様「アトリー?大丈夫かい?」

 今まで天華達と話している間は声をかけて来なかった父様が心配そうに声を掛けてきた。

(あ!、“僕“ずっと父様の膝の上にいたの忘れてた!)

「ごめんなさい父様!お話の途中でしたよね、えっと、その…」

(き、気まずい!またご心配かけましたとか言ったら余計に心配されてしまう!でもなんて話せば良いんだ!)

父様「アトリー、謝らなくて良いよ聖獣様達とお話ししていたんだよね?」

「は、はい…」

(うぅ~父様との会話の途中で皆んなと話し し始めちゃったのがバレてる~!やっ、会話の途中で黙り込んだらすぐバレるか!でもなんで謝らなくて良いのさ⁉︎謝らせてよ!話してる間も声かけられなかったし)

父様「アトリー、父様は怒ってないよ先に聖獣様達がアトリーとお話しするって仰られていたからね、それで聖獣様達のお話が終わるのを待っていただけだからアトリーに怒ったりしてないよ」

 頭を撫でながら話してくれた、、周りにいる家族も頷いたりして同意してくれていた。

(そうなんだ、よかった、皆んなが先に許可とってくれていたんだ)

「ほっ」

父様「ふふっ、安心した?それに最初の話に戻るけど最初に言っておくよ、父様達はアトリーに怒って無いからね、むしろアトリーがとても素晴らしい魔道具を作ったって喜んでいるんだから」

「え、?とても 素晴らしい?」

父様「そう、とても素晴らしいと思うよ、小型の結界魔道具は存在はしているけど大きさとしてはそんなに小さくはないからね」

「そうなんですね、大体どれぐらいの大きさなんですか?」

(良かった、本当に怒って無さそうだ、それにしても結界魔道具が存在しているのは知っていたけど大きさは知らなかったな)

父様「そうだね、今 現存している結界魔道具で持ち運び可能な大きさは作られている物で50センチ四方の箱型の物が小さいかな?ダンジョン産の物でも30センチ四方の箱型が1番小さいと言われているね」

「え!、意外と大きですね、それに箱型なんですね 常に持って歩くのはでき無さそうですね」

(ふむ、それで、僕の作った短剣型の結界魔道具が携帯するには便利だから評価されたのかな?)

お祖父様「そうだな、常に持ち歩く事を元々想定していなかったのだろうな、もし持ち歩けたとしても性能がいいとは言い切れないからな」

「性能?」

 お祖父様が言うには魔道具の大きさに比例して展開される結界は大きくなるけど強度は まちまち なんだそうだ。

「魔道具によって強度の当たり外れがあるんですか?」

お祖父様「いいや、魔道具の良し悪しではなく その時々で強度が変わるそうだ」

「そうなんですね、急に強度が弱くなったりすると大変ですね」

父様「ふふっだからアトリーの作った結界魔道具がとても素晴らしいんだよ」

「?・・・、!、あ、強度!」

 手をポンッと鳴らした。

カイ兄様「ふふっアトリー、やっと気づいたんだね」

ライ兄様「あははっアトリーは賢いのにどこか抜けてるよな」

カミィ姉様「ふふっそれがまた可愛いからいいのよ」

ヘリー姉様「ふふっ、えぇ可愛いし 後ちゃんと気付く事もできる良い子ですものね」

 と、兄様達に揶揄われ姉様達に可愛いと連呼されて少し恥ずかしく思っていると。

母様「ふふっ私達の子供達は皆んな可愛くて良い子ですもの、本当にしてはいけない事をしない限りアトリー、貴方を怒ったりしないわ、何かやりたい事があったら事前に相談して欲しいけれど、アトリーが悪いことしないって分かっているわ だからアトリーのしたい事を好きなだけして良いのよ?遠慮しなくていいの」

「母様…」

「分かった?」と母様が僕の頭を撫でながら言ってくれた、母様の言葉で胸がじんわり温かくなった少し泣きそうになったけど笑顔で返事を返せたと思う。

「っ、はい!今度からちゃんとご相談してからやります!」

母様「ふふっ有り難うアトリー、母様は貴方がしたい事を楽しくしていてくれるだけで嬉しいの、そこに母様達も入れてくれるともっと嬉しいわ」

「!、ふふっ、はい、僕も母様達と一緒に何か作りたいです♪」

母様「じゃあ 約束よ?」

「はい、約束です!」

 そう言うと家族全員が僕と何かしらを一緒にする約束の順番の取り合いをしだした。

カミィ姉様「じゃあ、お母様の次は私ね」

ヘリー姉様「だったらその次は私で」

ライ兄様「それはずるいぞ、次は僕だ!」

お祖母様「あらあら、年齢順にしたどう?」

 それを見て、自分は愛されてるなぁと思いつい。

「ふふっ」

父様「どうしたんだいアトリー?」

「なんだか幸せだなぁって」

父様「ふふっそうだね、私もそう思うよ」

母様「ふふっそうね、幸せね」

 父様と母様2人と一緒に笑い合い 今だに順番を取り合っている家族を嬉しそうに見た・・・


 しばらく順番の取り合いを微笑ましそうに眺めていたが父様がこう聞いてきた。

父様「あ、そうだアトリー、作った結界魔道具は今も持っているのかな?」

「?、はい持ってますよ?」

父様「見せてくれるかい?」

「はい」

 父様に頼まれて“無限収納“にしまっていた“守護の短剣“を取り出し見せた。

父様「ほう、これが、短剣自体はハント親方の店で購入した物だね、そこに付与魔法で結界魔法を施したんだね、それに魔法陣まで…凄いねアトリーはこの魔法陣の中はなんと書いてあるのかな細かすぎて読めないよ」

「あ、それならこの紙に詳細を書いてあります」

 と、また“無限収納“から一枚のメモ紙を取り出し父様に手渡す。

お祖父様「む、私にも見せてくれ」

 お祖父様が席を立ってメモ紙を覗き込んだ。

父様&お祖父様「「・・・・・これは…」」

父様「アトリーこの制限設定はどうして付けたんだい?」

「?、あ、はい それはですね・・・・」

 父様に説明を求められたので製作中のソルとのやり取りから、疑問に思ったことに対して天華や夜月にアドバイスを貰いながら作ったことを話した。

「・・・・・と言う感じでわざわざ制限を掛ける事で安定した強度の結界を展開できるようにしたんです、それで新しく作った魔法の“ヒートスタンプ“で「ちょっ、ちょっと待って」はい?」

父様「他にも色々聞きたいことがあるが、い、今、“新しく作った“って言ったね、それもアトリーが作ったのかな?」

 少し焦った雰囲気の父様の言葉で部屋の中にいた皆んながこちらを見た。

(え、あれ?これはやらかしたか?)

「え、あ、はい、そうですけど…夜月に教えて貰って作りました、ダメでしたか?」

僕以外全員「「「「「‼︎」」」」」

父様「駄目ではないが、アトリーが規格外なのは元々分かってはいたけど…、新たに魔法まで作り上げるとは・・・」

お祖父様「全くもって予想外だったな…」

お祖母様「アトリーは凄いわねぇ…」

母様「本当に凄いわアトリー」

 と、言われどこが凄かったのかいまいち理解できない。

(?、え、魔法ってイメージ力でも使えるんじゃなかったの?確かに魔法名は新しく付けたから新しい魔法だろうけど“ヒートスタンプ“って誰かが似たような魔法は使ってるんじゃ ないのかな?、魔法名が無かっただけで…)

 首を傾げながら考えていると。

父様「アトリー、新しい魔法はここ数百年 新たに作られた記録はないんだよ、そもそも魔法名に使われている言語も何語を使われているか未だ判明していないんだ、伝承によれば数千年前に他の世界から召喚されたとされる勇者が使用していたのが起源だとされ、その後は魔法を発動させるための補助的な役目を果たす詠唱呪文が開発され魔法名の前に呪文を詠唱することで安定的な魔法の発動が可能になったと言い伝えられているんだよ」

お祖父様「そもそも魔法名に使われている言語は今も謎が多く、全国の魔法に関する研究機関が魔法名の言語を研究をするなかで数百年前に北にある国で新しく出来たとされる魔法も様々な魔法名の組み合わせで偶発的に出来た魔法も威力が弱く全く使い物にならなかったと記されていた、アトリーこの“ヒートスタンプ“とはどう言う意味なのか分かっていて付けたのか?」

 と、聞かれ 冷や汗が背中に流れた。

(わぁ~!他の世界からの勇者が名付けたってバリバリ地球からの召喚じゃん!魔法名“英語“だし!てか、皆んなが普通に魔法発動に使っているから“英語“が古代語だと思っていたよ!未だ解明されてないってなんなのさ!どうしよう意味も判明されてない言語で適当に名前をつけたなんて言っても納得しないだろうし・・・・)

 心の中で大いに焦っていると。

天華『アトリー様 落ち着いて、今回の件は神に頂いた加護の影響を建前に 意味に関しては深い意味は知らない事にして私達が問題ないとしたから魔法名を付けたと言っておけば それ以上は追求されないでしょう』

(う、うん、分かった、ごめんね僕が迂闊に魔法名を付けたから天華達に迷惑かけて…)

天華『いいえ、今回のことは私達も迂闊だったのでお互い様ですよ、まぁ今度から魔法を作るときは私か夜月に確認をとる振りをしながら作りましょうね』

(うん、そうだね、よし!)

「あ、あのお祖父様、魔法名は神の加護の影響で何となく付けただけなので僕も深い意味は知らないんですけど天華達が問題ないと言っていたのでその名前をつけました」

お祖父様「そうなのか、神の加護で・・・ではしょうがないな、しかしこの制限を設ける仕組みはよく出来ているな、個人の魔力の質を考慮して量を増やすことで規定の硬度で発動させるようにするとは平民達の平均魔力量では難しいかもしれないが貴族達の平均魔力量ならばさほど難しくないだろう」

父様「そうですね、それにこの悪意を持つ者を弾くと言う制限は個人で使用するには良い仕組みです、一般的な結界魔道具は展開できる範囲にいる者は発動した時に一緒に結界内に入れるが後から入るには一度解除してまた展開し直さなければ入る事はできないし、人の判別もできない、また硬度の数値を書き込んで一定の強度を持たせるなんて考えもしなかったよ、は!この魔法陣を組み込めば王城の結界装置の硬度も保たれるのでは⁉︎ 父上!」

 と、あの王城を覆うムラのある結界を展開させている結界装置の事を思い出した父様はお祖父様を見た。

(うん、あの結界は流石に頼りなさすぎだもんね、多分できないことは無いはず)

「そうですね、展開範囲の数値と硬度数値の部分を書き換える事で転用は可能だと思います、それと個人用の物も硬度数値を下げることで一般市民の方々も使用できる結界魔道具ができると思いますよ?」

僕以外全員「「「「「‼︎」」」」」

バッ!

 室内にいた全員がバッと音がするぐらい、いや、音がした、凄い勢いでこちらを見た。

父様「本当かい!アトリー!」

(おぉ、食いつきが良いな父様)

「えっ、はい、この魔法陣に書いてある展開範囲の数値はあくまで個人用としての範囲なので硬度数値も大きさに合わせて少し高めに設定してありますからもっと硬度を高くしたいのなら数値を書き換えるだけですみます、まぁその分 魔力はかなり必要ですけど、その点は 常時展開させる事が前提の装置には元々魔石で魔力を供給してあるので問題はないですよね、個人用の物でも魔石を使えばさらに使い勝手がよくなるとは思います」

お祖父様「それは、そうなんだがここだけの話 今 王城で使われている結界装置は新たに魔法省の研究機関が開発した最新の装置なんだが以前使用していた結界装置の燃料になる魔石を入れれば入れるだけ結界の展開領域が広がると言う構想の物から、最新の装置は必要最低限の魔石で王城をきっちり覆う大きさを計算された結界を発動させる物へと発想を大きく変えた物なんだが、先日アトリーも見たようにあまり成果が発揮できていないのだよ」

(?、省エネを推進しすぎて役に立たない物を配備しちゃったのかな?)

「それは、魔石の量が計算より足りなかった、とかでは無いんですよね?」

お祖父様「あぁ、そうなんだが、なぜか魔石の量は多少多めに用意して使用しているのに対して強度はお粗末な物だったようだ」

 顎に手を置き腕組みして考えていると、

(魔石はやや多めに供給されているにも関わらず強度は脆い、だがこれは、もしかすると…)

夜月『正解だアトリー』

(あぁ、やっぱり、有り難う 夜月)

夜月『礼には及ば無い、アトリーはすでに自分で答えを出していただろう?』

(ふふっそれでも有り難う)

夜月『ふふっどういたしまして』

お礼に夜月を撫でて 僕は予想の答えを貰い 自分の予想をお祖父様達に話した。

「あの、お祖父様その使用されている魔石はどのように選んでいるんでしょうか?」

お祖父様「ん?、それは魔力量を計測する魔道具で魔石の内包する魔力量を計測して規定に合った物を一定の間隔を開けて供給している」

「では質は考慮されていないですね」

父様「質・・・、!、そう言うことか!人間によって魔力の質があるように魔石にも魔力の質が関係していると言いたいんだね?」

「はい、王城の結界装置の強度が低いのは使用されている魔石の魔力の質が低い物が多く含まれているから結界の強度が低くいのではと、従来の結界魔道具は硬度数値の設定はされて無いので魔力の質で強度が決まっていたんでしょうね、だから持ち運び可能な結界魔道具も発動時の強度がその時々で変わっていたのかもしれません」

お祖父様「これは盲点だった、魔石は一定の質だと思い込んでいたようだな、魔力量を測る魔道具は普及していても質を測る魔道具は無かったからな」

父様「父上、これは王城に報告した方が良いですね、それに新しい魔法と魔法陣の強度設定も・・・・」

 その後は父様とお祖父様が王城にどう報告をあげるかと話し合い出したので僕は暇になって眠くなってきて思わずあくびが出た。

「ふぁ~」

母様「あらあら、眠くなったのアトリー?もうだいぶ遅いものね、貴方、私はアトリーを部屋に寝かしつけて来ますね」

 と、父様の膝の上に座っていたを抱き上げた、僕の膝の上にいた夜月達は飛び降り母様の周りに集まった。

父様「あ、あぁ、すまないシリー、お願いできるかい?さぁ、他の子達ももう寝なさい」

 父様に促されて姉様達が立ち上がり 父様やお祖父様達にお休みの挨拶をした後に母様と僕にお休みの挨拶をして僕の頭を撫でて先にリビングを出た、母様は僕を抱えたままお祖父様とお祖母様にお休みの挨拶をした 一応僕もお休みの挨拶はしたと思うけど、その時も頭を撫でられもう既に目が半分閉じかけていた僕はその場で寝てしまっていた。

 翌朝、自分のベッドの上で起きた僕の周りには昨日買って貰ったぬいぐるみに囲まれていた夜月達もいて朝からモフモフパラダイスを堪能した。












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