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第2章 少年期
31話 初めてのお買い物
しおりを挟む店内で待っててくれたソルやイネオス達に再度遅れた事を謝り一緒に店内を見て回ることになった、その前に私達が来るのを待っていたヘンドラー夫妻に挨拶をして、後ほど用意した例のケースがある所まで案内するので今は自由に店内を見て回って下さいと言われ、それを聞いたお子様組は早速 店内を探検することに。
「わぁ沢山 おもちゃがある!」
そこには見覚えのあるパズルや積み木、魔力で動いているのかキラキラ光るボールなど 前世でも見た事のある木製のピタゴラスイッチみたいな おもちゃや輪投げのおもちゃなど 様々な商品が置いてあり見ていて飽きない、
店内をよく見ると会計用のカウンターを中心に商品棚が円を描くように並べられていた、入ってすぐの商品棚には人気商品がジャンル問わず置いてあったけど そこから右回りに年齢の低い順に商品が並んでいた。
他にはぬいぐるみが少々あるだけで どうやらここはおもちゃ専門店のようだ。
へティ「ここは赤ちゃんのおもちゃが沢山ありますね」
「そうだね、僕達の年齢のおもちゃはもっと先かな?」
そのまま右奥に進み棚の側面に7と書いてある場所まで来たのでその棚を見ることに。
(うーん、これはアレだね、本当の7歳児が欲しがるおもちゃだね)
ジュール『?、どうしたのアトリーちゃん?』
(ん?、あぁ私が持ってるおもちゃはもっと対象年齢が上のおもちゃなんだよね、ほらここにあるおもちゃはヨーヨーと木製の車輪が動く馬車とかメンコ見たいのとかね、私の前世で言う昭和の頃の7歳の子供のおもちゃって感じ、でも私が遊んできたおもちゃは多分 12歳以上が年齢対象の知育玩具だから私的には今ここには興味がそそられるおもちゃがないんだよね~、でもこの中で1つぐらいは選ばないとイネオス達と共有できる話がなくなるんだよね何が良いかなぁ)
ジュール『ふーんじゃあ気になるのを試してみたら?』
(そうだねー、どれにしようかな?)
と、変な気を利かせてこの中で自分でも楽しめるおもちゃを探し出したアトリー。
天華『アレならアトリー様でも楽しめるのでは?』
と、そのおもちゃの前に行って指差したおもちゃは前世で言う“けん玉“だった、持ち手が多少 華美な装飾がされていたが紛れもなく形は“けん玉“だった。
(おぉこんな所で“けん玉“に再び会うとは・・・だけど私、前世でもそんなに“けん玉“得意では無いんだよね)
と、言いつつ手に取りチャレンジしてみると。
かんっ こんっ とんっ 「よっと」ひょい すぽっ
(え!できた!初めて左右のお皿と取手の部分に乗せて最後にテッペンの棒にちゃんと玉が入った!)
自分でした事に驚きを隠せない私の隣でソルが、
ソル「凄いですねアトリー様そのおもちゃはそんなふうに遊ぶんですね」
と、言ってきたから、
(ん?、・・・あぁ!確かにこれは見ただけでは遊び方が分かんないか!)
それもそうだ一見ただのてっぺんに丸い球が乗っているT字の木の棒だから。
「う、うん、なんとなくこんな感じかなって適当にしてみただけど本当の遊び方は知らないよ?」
と、内心焦りつつ誤魔化して“けん玉“を棚に戻しそこを離れた。
(やばっ!前世の常識とこの世界の常識がまだ吊り合ってないから無闇矢鱈に手に取って遊べないよ!)
焦っているとイネオスとベイサンの男子勢が商品棚の横に設置いてある机を熱心に見ているので何があるのか気になり そこを覗き込んで見ると。
(これは“独楽《コマ》“かな?でも不自然な動きをしている?)
普通ならすり鉢状の台に入れて傾斜を利用してコマ同士がぶつかって押し負けて止まったり弾き飛ばされたりして勝敗を決める物なのだが、その2つのコマは平らな場所で回っているのにも関わらず互いに引き合うように近づきぶつかって離れたと思ったらまた互いに近いて行っていた。
(うーん?微かな魔力を感じる、コレは魔道具?)
夜月『そうだな、コレはこのコマを回した人物がコマに込めた魔力の多さによって持続時間が変わる代物のようだ』
(へー、凄いねじゃあ沢山コマに魔力を込めれた方が勝ちなのかな?)
夜月『そうなるな、だが魔力を込めれる容量にも限界もあるから気をつけないとその容量をオーバーするとコマが壊れてしまうな』
(おぉ、それは嫌だな、でも容量に気をつけて遊べば十分遊べるって事だね、…うん、このコーナーで買うのはコレにしようかな このコマなら容量のギリギリを見極めたりして魔力の放出の手加減をする練習に良いかも♪)
夜月『うーん、使い方は間違っているがアトリーがそれで良いなら それにすると良い』
(うん!そうするよ♪)
と、返事を返していると赤色と青色にそれぞれ色分けされていたコマの赤色の方が回転が緩くなり近づいてきた青色のコマに弾き飛ばされて飛ばされた先で転がったまま動かなくなった。
イネオス「やった!僕の勝ち!」
ベイサン「あーあ、負けちゃった~」
どうやら青色のコマを回したのはイネオスだったようだ、負けた赤色のコマを回したベイサンはしょんぼりしつつもどこか楽しそうにしているのでそんなに悔しい訳では無いようだ。
「面白そうだね、うーん…僕はコレにしよう」
と、2人がお試し品の赤色と青色のコマで遊んでいたので、他には何色があるかなっと思い商品棚にあるコマの中から紫色のコマを見つけたので、それを手に取り紫色のコマを眺めていると後ろでカゴを持って待機しているオーリーが預かると言うのでコマをオーリーに渡し再度コマのあった商品棚を見た。
(うーん 値段を見るのを忘れてた)
前世では絶対に値段を確認してお財布と相談してから買い物をしていたが、今世は買い物をするのが初めてと言う事もありうっかり値段を確認するのを忘れていた。
(おぉ、5400リトス…うん?コレは高いのか?さっきのお菓子?が100リトス前後だったね物価は前世とあまり変わらないみたいだから100リトス 約100円だとして…えっ!高っ !このコマ 高っ‼︎ コマ一つに5400円って高すぎじゃない⁉︎、あ、でも魔道具だからそんな物なのか?うーん分からん!)
天華『アトリー様このコマは魔道具にしてはシンプルな構造をしていますからそれぐらいが妥当ですよ、より機能が増えて構造が複雑になるほど値段は高くなります』
(そうか~まぁ前世で言う精密機器が詰まったゲーム機がそれなりのお値段するのと同じような感じかな?)
天華『大体そう言う感じです』
(うん、よし気にするのやめよう、それにこれ支払いするのは多分 父様かお祖父様だろうから、その2人に止められない限り値段を気にするのはやめよう!)
夜月『開き直ったな、まぁ事実ではあるがそれにアトリーはお金を持ってないだろう?』
(うん!現金は持ってないけど、商業ギルドの口座には多少入っているんじゃ無いかな?)
夜月『あぁ昨日話していたレシピの使用料の配当金か』
(うん、そうだよ、まぁいくら入っているかは知らないけどね、確認の仕方も分かんないから今度父様に聞いてみなきゃね)
時にこの世界には全ての国で使用出来る“世界共通通貨“とそれぞれの国が独自で発行している貨幣が何種類かが存在する。
まず、この世界の“世界共通通貨“の発行元はどこかの国が一括で発行している訳ではない、
その発行元は世界各地に点在するダンジョンから得ることが出来る、その入所方法はダンジョンに入り襲い掛かってくる魔物を倒すと、その倒した魔物の遺体がその後すぐに跡形もなく消えた場所にアイテムや硬貨が残ると言う不思議な現象で得られるのが“世界共通通貨“なのだ ・・・
その硬貨を得られるダンジョンはどれだけ小さい国にも最低3ヶ所は必ずある、
そして、国の面積によってダンジョンの数は変わってくるがそのダンジョンから得られる硬貨の量は国の規模に比例して一定量の硬貨が出現したら、その後はいっさい出現することが無いそうだ、硬貨が出なくなったダンジョンはその後は貴重なアイテムを出現させているらしい。
その貴重なアイテム目当てで大昔の大国が物量作戦で大量確保を目論んだ時にはどんなに魔物を倒しても貴重なアイテムは手に入らなかったそうだ、
それと同じようにどこかの国が硬貨を独占しようと目論んでダンジョンを封鎖し硬貨を得ようとした時もいくら魔物を倒しても硬貨が出ない上にアイテムも出現しなかったと言い伝えられている 。
近年ではそのような愚かな事をする国がいなくなったのでダンジョンは通常通りにアイテムや硬貨を出すようになったらしい。
(楽して利益を独占する事はできないと言う事だね!)
そして“世界共通通貨“の通貨単位はリトスで通貨の種類が、
鉄貨1枚で10リトス
↓
小銅貨1枚で50リトス
↓
銅貨1枚で100リトス
↓
小銀貨1枚で500リトス
↓
銀貨1枚で1000リトス
↓
大銀貨1枚で5000リトス
↓
小金貨1枚で1万リトス
↓
中金貨1枚で5万リトス
↓
金貨1枚で10万リトス
↓
大金貨1枚で50万リトス
↓
青銀貨《ミスリル硬貨》1枚で100万リトス
↓
白金貨《プラチナ硬貨》1枚で1千万リトス
↓
黒星鉱貨《アダマンタイト硬貨》1枚で1億リトス
↓
日緋星鉱貨《オリハルコン硬貨》1枚で1兆リトス
合計14種類となるが下2つの硬貨は主に国同士でのやり取りに使われている。
1番下の日緋星鉱貨《オリハルコン硬貨》に至っては出現する確率も極稀で国家でさえ所有している所は少ないだろう。
この様にダンジョンから出現する硬貨は限りがあるのでそれとは別に国家自体が発行している貨幣もある、
私が暮らしている国 ウェルセメンテ王国は“世界共通通貨“を主体に経済を回しているが他国の貨幣も少しは保有しているようだ。
貨幣の事は領地の屋敷で見つけた“ダンジョンの不思議“と言う本で学んではいたが実物を見たのは今日が初めてだった。
(しかし、口座にはいくら溜まってるのかなぁそのお金で皆んなにプレゼントを買いたいな)
母様「アトリー他に気に入ったのはないの?」
ボーッと考え事をしていたら母様が近くに来ていたのに気づかなかった。
「え、あ、はい、この棚には無い ですね…」
母様「そう、では私と別の棚を見に行きましょう」
そう言いながら手を出されたのでその手を取り皆んなに別の棚を見に行くと告げてそこを離れた、それにソルも後ろからついてきていた。
「ん?ソルは良いの?あの棚のおもちゃ見なくて」
ソル「はい、僕はアトリー様が試しておられた“けん玉“と“コマ“をカゴに入れてきました、他のおもちゃはあまり興味が湧かなかったのでこちらについて来ましたがご迷惑でしたか?」
(“けん玉“に“コマ“って名前まんま日本語じゃん!これはまたもやティーナちゃんがやらかした系なのかな?)
「ううん、迷惑ではないよ、じゃあ一緒に他の棚を見てみる?」
と、手を出して誘ったら、
ソル「はい、ご一緒させていただきます」
と、手を繋いできたので嬉しくて手を振りながら歩いた。
母様「ふふっ2人はいつも仲良しね」
アトリー&ソル「「はい♪」」
と、声を合わせて返事をして笑い合いまた歩き出した、
ルンルン気分で歩きながら一つ一つの棚を覗きながら興味が惹かれる物を手にとって試してみて欲しい物はカゴに入れる そうしている内に15と書いてある棚まで来て2人でそこの商品棚を覗き込むと。
「あ、コレした事あるパズルだ!」
そこには最近した覚えのあるパズルが沢山あった。
(あれ?ここって対象年齢が15って書いてあったよね?)
どうやら ここ2、3年の私達がプレゼントで貰っていたパズルは対象年齢が15歳以上の物ばかりをだったようだ。
ソル「そうですね、僕も見覚えがあります」
「うーんこれがここにあるなら他にも面白そうなおもちゃがありそうだね」
ソル「確かに、見てみますか?アトリー様」
「うん!そうしよう!」
母様「ゆっくり見ていらっしゃい私はここにいますからね」
と、棚の横で待ってくれるようだ。
「はい母様!ちょっと見てきますね」
母様の手を離しソルとおもちゃを物色していると、前世でもしていた木製の立体パズルを発見したコレは知恵の輪ぽい要素も含めれたパズルで普通にはバラすことも組み立てることも少し難しい代物だ、それを手に取り眺めていると昔にしていた懐かしさを感じ、また挑戦してみるのも良いかと思い 後ろについて来ていたオーリーに木製立体パズルの商品 全9種類を渡す。
(他の組み立てる系の立体パズルも好きだけど知恵の輪風のパズルも大好きなんだよね 私 後は折り紙でもあれば最高なんだけど)
天華『折り紙ですか?』
(うん昔、前世で一時期ハマってて折り紙を折るのも好きだけど折り紙を折り畳んで切り絵アートを作るのにもハマってたんだよね)
天華『切り絵・・・それは見てみたいですね』
(そう?じゃあ、後で折り紙がないか探してみようか)
おもちゃを選んでいるソルを見ながら念話しているとイネオス達がこちらにやって来た。
イネオス「お二人ともここにいたんですね でもここ15歳が対象のおもちゃですけどお二人は何か良い物を見つけられましたか?」
「うん、良い物あったよ♪」
カゴに入れた商品と同じ物を取り見せた。
ベイサン「木のおもちゃ?」
へティ「不思議な形をしてますね」
イネオス「どうやって遊ぶ物なのですか?」
と、聞かれたので遊び方を説明してみたけど実際にやって見せないと少し分かりずらかったみたいだ、皆んなの頭の上に?マークが出ているのが分かったため同じ立体パズルでも分かりやすい組み立てる系の立体パズルを見せてコレの難しいバージョンだと説明して何となく分かって貰えた・・・はず・・・多分、
話題を変えて折り紙が存在するか聞いてみた。
イネオス「オリガミですか?」
ベイサン「僕はオリガミは知らないですね」
(無さそうな予感)
へティ「私も聞いた事ないです」
「そうか~うん、ならいいや気にしないで、そうだ皆んなもこの棚の商品で何か欲しいのある?」
(折り紙は後で作ってみよう、父様に相談して腕のいい顔料屋さんに滲まない絵の具を作って貰おう、後 押し花を入れ込んだ和紙っぽい紙も作れないかな、あれワンポイントで花が入ってると可愛いんだよね、便箋にすると母様達が喜びそうだし)
と、後の課題としてそのまま折り紙の事はうやむやにして買い物を続けた、私は組み立て系立体パズルの中で自分が持ってない物を難易度関係無く数個カゴに入れ ソルも似たような商品を入れていた、イネオス達は「挑戦してみるっ」と組み立て系立体パズルの難易度が軽いものを1人一個カゴに入れていた。
丁度、区切りの良いタイミングでヘンドラー夫妻が専用ケースを見せてくれる事になったので皆んなで見に行くことになった。
商会長「こちらが特注の立体パズル専用ケースになります、コチラのケースは前公爵様からご注文頂いた立体パズルを製作していた職人が今までご購入いただいた立体パズル、全てを綺麗に飾るために製作した専用ケースです、コチラの台座部分に番号が書いてありますのでお手元の立体パズルの裏にも同じように番号がありますので番号が合う場所にピッタリはまるようになっていますので ぜひ番号が合う場所を探しながら飾って楽しんで頂けると幸いです」
そこにあったのは液晶テレビの40インチほどの広さの装飾がされた土台に高さ60センチの大きさの箱型ガラスで覆われた専用ケースがあった。
「わ~大きい!最後まで楽しそうですね♪すぐに持って帰って立体パズルを飾ってみたいです!専用ケースを用意して頂き有り難う御座います♪」
ソル「完成が楽しみですね♪」
「そうだね♪、ん?…あれ?ソルの立体パズルはどうなるんだろう?お城のパズルは一つしか無かったよね?」
ヘンドラー夫人「あ、それはですね ソンブラご子息様の立体パズルも含めて一つのケースに飾れるようになっておりまして お二人が大変仲がよろしいとお伺いしておりましたのでお二人で楽しんで頂けたらと思い最初から専用ケースは一つしか用意してないのです、もし それぞれのお家でパズルをお飾りになりたい様でしたらコチラで別のケースを製作してお届けいたしますが…どういたしますか?」
それを聞いてソルと顔を見合わせて一緒に頷くと。
アトリー&ソル「「このケースが良いです♪」」
と、声を合わせて返事をするとヘンドラー夫妻は目を点にした後 優しく笑い。
ヘンドラー夫人「はい、承知しましたではコチラの専用ケースをお包みいたしますね」
アトリー&ソル「「宜しくお願いします!」」
2人で無言で手をタッチさせて喜んでいると後ろにいたイネオス達が、
イネオス「お二人は本当に仲が良いんですね」
ベイサン「今、会話なさって無かったですよね」
へティ「息ピッタリでしたわ」
と、驚いている事に2人で首を傾げながら、
アトリー&ソル「「幼馴染なら普通では?」」
*アトリーの前世では母方の友人の子供で同級生はいたがソルのように1歳からずっと一緒にいた訳では無いのでそこは幼馴染としてはカウントされていない。
イオネス達「「「いやいや それはないですよ」」」
アトリー&ソル「「え?今 息ピッタリ」」
イネオス達「「「え?」」」
アトリー&ソル「「え?」」
互いに息ピッタリの返しを繰り広げているとそれを見ていた大人達は必死に笑いを堪えていた そこに、
母様「ふふっ皆んなそろそろ次の場所に移動しますよ」
お子様組「「「「「はーい」」」」」
今度は皆んなで仲良く返事をして店舗入口に向かった。
そのまま外に出るのかと思っていたら入り口の扉前で店内から外の様子を伺っている父様、
不思議に思い少し離れた位置にある窓から自分も外を見ようとそちらを見ると窓の前に店内に一緒に入ってきていた護衛騎士が窓の前に立っておりそこの窓のカーテンを半分閉めた状態で外を観察していた他の大通り沿いの窓も同じように外を見ている護衛騎士達。
(?、あれ?護衛騎士も外を見ている何かあってのだろうか?)
近寄って騎士に話しかけた。
「どうしたんです?外で事故でもあったの?」
騎士A「あ!アメトリン様!」
私が近づくと開いていたもう片方のカーテンも閉めてコチラを振り向いた、窓の向こうの大通りからは人の声が沢山 聞こえてきていた。
「?、外が少し騒がしい?」
騎士A「えっと、い、今は外の通行人が少しが多いのでもうしばらくしてから馬車の方にご案内出来るかと…」
「そうなの?それなら仕方ないね 入る時も沢山の人が足止めされちゃって迷惑になっていたしね」
(入る時はすごい人だかりだったものね)
騎士A「そ、そうですね、なのでもう暫くお待ち頂いても宜しいですか?」
「うん、分かったよ 母様と待ってるね お仕事中にお邪魔してごめんなさい」
挨拶を交わして窓際を離れ母様にその事を話すと 仕方ないので購入した おもちゃをここで遊ばせて良いかとヘンドラー夫妻に確認をして了承を得られたので購入したばかりのコマで皆んなで遊ぶことに。
・・・・・数分後
父様「お待たせ皆んな、外も落ちつてきたから そろそろ馬車に行こうか」
お子様組「「「「「はい」」」」」
遊んでいたコマを片付けて入り口に向かうと確かに数分前とは違い外は静かになっていた外を見ると入った時と同じように店舗入り口と馬車の入り口の間を繋ぐように両側を護衛騎士達が並んでいた。
(あれ?入った時より護衛騎士が増えてる?)
明らかに入った時より並んでいる護衛騎士の人数が多くなっている事に気づいた、それにより並んでいる護衛騎士達の間隔が狭くなっていて周りの状況が殆ど分からない。
父様「さぁ早く馬車に乗って次の場所に行かないと少し時間が押しているからね」
と、促され素早く馬車に乗り来る時と同じ場所に座り出発するのを待った。
(なんで護衛騎士が増えていたんだろう?)
天華『アトリー様“気配感知“のスキルを使ってみたら分かりますよ』
と、天華が言うので“気配感知“のスキルを意識して気配を探ると。
(…うん?なんか10m先ぐらいで人が沢山溜まってる?)
天華『そうですね、10m先で通行規制されている様ですね』
(何でそんな場所で通行規制してるのかな?)
天華『多分ですけど、アトリー様を一目見ようと野次馬が多くなり過ぎたので安全のために距離をとって通行規制しているみたいですね』
(ふぇ!な、何で⁉︎わ、私⁉︎天華達ではなくて⁉︎)
夜月『まぁ、それもあるだろうが大半はアトリー目当てだと思うぞ』
天華『聞こえて来た会話によると入店前にあった出来事でアトリー様の対応を見ていた人達の中で好感度が上昇し それに加えてアトリー様の容姿も合間って「慈悲深い聖女のようだ」と言い出した人がいて、そこに神殿での出来事を知っていた者がいたようで私達を聖獣だと教えた者がいるようですね、それと同時にアトリー様の素性がバレてしまったようです、
なのでその話題の私達や“慈悲深く見目麗しいアトリー様“をまた見ようと店舗前で出待ちしている人達にたまたま通った人達が興味を示し事情を聞いて、たまたま通ったその方も話題のアトリー様を一目見ようと出待ちしている方々に混じっていくと言う事が連鎖的に起こり最終的には人が多くなりすぎて馬車の通行を妨げてしまった事により衛兵隊が出動する事態となったようです』
(う~わぁ~元凶私だった⁉︎しかも何!その“慈悲深く見目麗しいアトリー様“って天華が言ってるだけだよね⁉︎)
天華『いいえ、正確には外で騒いでいた方々が“慈悲深く美しい公爵家のご子息様“や“聖獣を連れた見目麗しい公爵家の聖人様“などと口走ってましたね』
(おぉぅ、・・・さらに大袈裟になっている!恥ずかし過ぎて今 穴があったら全力で飛び込みたい気分だよ!、後 どこから来たよ“聖人様“ってそれに私は慈悲深い事なんて大袈裟な事はしてないよ⁉︎)
天華『そうですねぇ、“聖人様“は最初に誰かが「慈悲深い聖女のようだ」と発言した事により近くにいた別の方が「服装が男性ものだから男性なら聖人じゃないか」と言い出したの“聖人様“で皆さんに広がったようですね』
夜月『それにアトリーは当たり前の事をしたと思っているだろうが この世界の貴族階級の者が自分の服を汚した者にあのような優しい対応はしない、むしろ汚したことで刑罰を課すだろう』
(マ、マジかぁ、・・・・・でも私はあの時した事は間違いじゃないって思ってるよ?)
夜月『そうだな、アトリーはそのままで良いんだ 自分の心に恥じない事を好きなようにすれば良い その為の私達と神々の加護なのだからな』
ジュール『私は優しいアトリーちゃんが大好きだよ♪』
天華『ふふっ私もですよ、でも無礼な方にはしっかり釘を刺すアトリー様も私は好きですよ』
夜月『私はありのままのアトリーが好ましい』
(ふふっ皆んな有り難う、私も皆んなが大好き♪)
ギュッと両手で抱き上げていた皆んなを一緒に抱きしめた。
そうしているといつの間にか出発して動き始めていた馬車がちょうど通行規制になっている場所を通りすぎる所だった。
「わー直に見ると凄い人の数だね、ん?あれ?皆んなコチラを見てはいるけど誰とも目が合わない?」
と、呟いた私に飲み物を配りに来ていたオーリーが、
オーリー「あぁそれはですね、この馬車は外から見ると窓にカーテンがかかった様に見えているからです」
「?それは魔法的な効果でそうなっているって事?」
オーリー「はい、窓の周りのだけに幻覚作用のある魔法が付与されています、この効果は切る事もできますが流石にいつも人目を気にしなければならなくなるので幻覚作用は付けたまま使用している事がほとんどの様ですよ」
「そうだよね、ずっと人から見られるのは嫌だもんね、でも目立つから仕方ないのかな?」
オーリー「ふふっそうですね、えっ?・・・」
「?どうしたのオーリー?」
オーリーが会話をしていた私から窓の外に視線を移した途端少しびっくりした様な声と表情をした。
オーリー「あ、はい今エルフの方が…いえ、気のせいですね…」
「?、エルフ?王都にはエルフは珍しいの?そう言えば王都に着いた時も綺麗なエルフの人を見かけたよ、あの時 視線が合った気がしたけど何だったんだろう?」
オーリー「⁉︎、そ、そうですね、エルフ族の方はあまり人族の国にはいないですね、ですが人族の国の中でもウェルセメンテ王国は人種差別などは殆どない国ですから多種多様な種族の方がおられます、今でも人種差別が色濃く残る国よりはエルフ族の方は多くいらっしゃるかも知れません」
「そうだね 今日も外を見ていると沢山の種族の人達を見る事ができて楽しいよ♪」
オーリーと会話をしていると隣に座っていたソルが、
ソル「僕も見ていて楽しいです、領地の使用人の方達の中にも様々な種族の方はいらっしゃるのですが皆さん“人化“してらっしゃって ここを歩いていらっしゃる方々みたいに“半獣化“や“半人化“の姿は見た事がないので興味深いです」
「確かに見た事ないから失礼かも知れないけどずっと見ちゃうね」
イネオス「そう言えば、お屋敷の使用人の方々で“半人化“の方を数人見かけてはいましたが“半獣化“の方は1人もいませんでしたね 他の皆さんは“人化“されているのでしょうか?」
「僕はつい最近 屋敷の中で“半人化“の獣人族の使用人を初めて見たよ?それについ最近まで領地の屋敷の使用人は人族だけだと思ってたし」
ベイサン「そうなのですか?では皆さん“人化“になるのが上手なんですね」
へティ「私としては獣人族の方の“半獣化“なさった時のお耳や尻尾の動いている姿が気になってつい触りたくなってしまうぐらい好きです」
「あ、それ分かるかも僕も初めて“半獣化“した獣人族の人を見た時その耳触りたい!ってつい思っちゃった あの耳がピクピク動いてる時が気になって仕方ないんだよね」
へティ「そうなんですよね、つい目で追って見てしまうんですよね!」
「そうそう分かる~」と2人で共感しあっているといつの間にかいなくなっていたオーリーの代わりに後ろから椅子の背もたれに手置いて私達を覗き込んでいたヘリー姉様が
ヘリー姉様「ふふっそんな2人には今から行く所はとても嬉しい所かも知れないわね」
アトリー&へティ「「?」」
2人で首を傾げた。
「それはどこですか?ヘリー姉様」
と、聞くとへティも頷きながらヘリー姉様を見ていた。
ヘリー姉様「もうすぐ着くからそれまで内緒ね」
「うーん気になる!けど、もうすぐ着くんですよね?それなら着くまで我慢します!」
へティ「私も気になりますが我慢します!」
ヘリー姉様「ふふっ良い子ね」
と、へティと私の頭を優しく撫でてくれたヘリー姉様、それ以降も私達お子様組の話相手になってくれて次のお店まで退屈する事はなかった。
>=====<>=====<>=====<
第三者 視点
アトリー達が楽しく会話している時オルガノ(オーリー)はアトリーの家族の大人達がいる場所に来ていた中央のソファーに座る父アイオラトに近づき小声で話しかけた。
オルガノ「失礼します旦那様、少しよろしいでしょうか」
父アイオラト「オルガノか どうしたんだい?」
オルガノ「それが先程のアトリー様との会話で少々気になることが…」
父アイオラト「あぁ、それは聞こえていたよそれが何かあったのかい?」
オルガノ「はい、その事なんですが・・・・・」
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そして、レクティタ自身もまた、変人だが魔法使いのエリートである彼らに囲まれて、英才教育を受けていくうちに己の才能を開花していく。
ほのぼのとコメディ七割、戦闘とシリアス三割ぐらいの、第七部隊の日常物語。
*小説家になろう・カクヨム様にても掲載しています。
異世界転生は、0歳からがいいよね
八時
ファンタジー
転生小説好きの少年が神様のおっちょこちょいで異世界転生してしまった。
神様からのギフト(チート能力)で無双します。
初めてなので誤字があったらすいません。
自由気ままに投稿していきます。
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