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第2章 少年期

29話 明日のお出かけの行き先は

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 どうも~皆さん、こんにちは!私です!ただ今物凄く気まずい雰囲気です!

 なぜかと言うと、

父様「さて、アトリー今日のお出迎えの時の話なんだけど どう言う事か説明してくれるかな?」ニッコリ

と、執務室のソファに座って反対側に座っている父様に真正面からニッコリ笑顔で尋問されている次第です…、はい…

 そして先程まで一緒に遊んでいたイネオス達はご両親達がお泊まりの用意を終わらせて戻って来たので今は皆んなお着替えタイム中です、ソルはソルでいつも通り今も私の座っているソファーの後ろで立って待機してたりする。
 聖獣の皆んなは同じソファーの上で各々座っておやつを食べたり私の膝の上で寛いだりして 親子の問題には口を出す気は無いらしい。

(ヒ、ヒエェ~父様の目が笑ってな~い!お、落ち着け私、私は何も悪い事はしていないはず、でもちゃんと順序立ててお話ししないと納得してくれないよね)

「はい父様、あの時何があったかと言うと最初スポルコさんが馬車から降りて来た時に少し違和感を感じたので気配を消して様子を見ていたら 母様との会話でシンセロお爺ちゃんの話題になった時弟さんのイリクニスさんはシンセロお爺ちゃんがお元気なのを喜んでいらしたのにスポルコさんは一瞬 微妙な表情をされて直ぐまた作った様な笑顔で話題を変えて来たので気になって“鑑定“して見てみたら “隠蔽された称号“に“お金に汚い男“と“横領する者“って書かれてあって、その事をシンセロお爺ちゃんが知ったら悲しむと思ったから“早くやめて正直に話した方が良いですよ“って忠告したんです、けど あまり意味無かった様です」

 ほぼワンブレスで言い切った僕の話を聞いていた父様とカイルさんは少し眉間に皺を寄せ考え込んだ。

(あ、これは流石に怒られるかな?勝手に人を“鑑定“して忠告しちゃったから、やっぱり勝手にしちゃダメだったよね)

「父様ごめんなさい」

父様「!、…なぜ謝ったんだいアトリー」

「え…、勝手に人を鑑定してステータスを除いてしまったのと先に父様に報告せずにスポルコさんに忠告したから、父様達が怒ったのかな って」

 少し下を向いてしょんぼりしながら思った事を言うと。

父様「ふぅ……、ごめんねアトリー違うんだよ私はアトリーに怒ってないよ ただアトリーに“鑑定スキル“があったのは知らなかったから驚いているのと、後は忠告する前に相談はして欲しかったけどね、ただスポルコの事を信用していたのに横領していたなんて聞いてしまったらね…」

(そうか、父様は憤りを感じているんだね、そりゃそうかあの人を信用して色んな取引をしていただろうしね)

「そうですよね、僕が余計な事をしてしまったせいで父様のお仕事に支障が出てしまうかもしれないですよね…」

父様「アトリー、そんな顔をしないでおくれ私は本当にアトリーの事を怒ってないよ、仕事の方は横領の事が早めに分かって助かってるぐらいだからね」

「本当に怒ってませんか?お仕事増やしてしまってませんか?」

(余計なことしてお仕事の邪魔しちゃってたら申し訳ないし)

父様「あぁ、本当に怒ってないよ 仕事はそんなに増えてないよちゃんと教えてくれて有り難うアトリー
でも今度からはむやみに人を鑑定してはダメだよ中には鑑定された事に気づく人はいるし、その時に揉め事になる可能性もあるから、もし今後 気になる人がいたら直ぐに私に教えてくれるかな?」

(ほっ、良かった本当に怒ってなさそう)

「はい!父様、今度からはすぐに父様にご報告します!」

父様「うん、よろしくね、でもいつの間に“スキル“を使いこなせる様になったんだい?私にも気づかれないように気配を消していたなんて凄いね、それに昨日貰ったばかりの“鑑定スキル”も“隠蔽された称号”まで見れるなんて どうやったらそんな短時間で“スキルレベル”を上げれるのかな?」

「えっと、ですね先にソルに謝らなきゃいけないんですけど…「バッ!」ごめんねソル!昨日うっかりとは言え勝手にソルのステータス見ちゃったんだ!」

行き良いよく振り返りソルに頭を下げた

ソル「え⁉︎、そ、そうなんですか⁉︎い、いつです?」

「昨日の夜 僕の部屋で今日のお茶会用の衣装を用意している時にソルが何か違和感を感じて振り返ったでしょう?」

ソル「あ!、あの時ですか?確かに何か探られる様な感覚がしてましたが…、あれが鑑定されていた時の感覚なんですね」

「へぇそんな感じなんだねぇ・・・、!、そ、それは横に置いといて、その時 皆んなの邪魔しちゃ駄目だと思ってソファーに座ってたんだけど暇だったから自分のステータスを見返してたら“鑑定スキル“に気づいて試してみたら、丁度ソルが目の前にいてうっかりソルを鑑定しちゃたんです、それになんでソルは気づいたのかなって思ってたら、天華が“ソルみたいに魔力の量や質がいい人は違和感を覚えて気づかれることがある“って、だったら人じゃなくて物なら良いかなって思って、部屋の中にある物を色々鑑定していたらいつの間にか“スキルレベル“が上がってたんです、それから楽しくなっちゃって寝るギリギリまで色んな物やジュール達も鑑定していたらまた“スキルレベル“が上がってました、
 それで夜月が教えてくれたんですけど、“スキルレベル“が低くても鑑定される人より鑑定した人の魔力の量や質が多い場合には“隠蔽された称号“を見ることができるって言ってました、
 だから、スポルコさんが気になって鑑定した時にその“隠蔽された称号“が見えたんです、
それと“気配遮断のスキル“はいつも領地のお屋敷でソルとかくれんぼしていた時の感覚で母様の後ろに気配を消しながら隠れてみたらできてました、
 ソル、本当に勝手にステータス見てごめんなさい」

 少し誤魔化しつつ話し終えた後に再度ソルに頭を下げながら謝った私。

ソル「いいえ、僕は気にしてませんよアトリー様見られて困るような内容でもないですし」

父様「ふむ、確か 似たようなことは聞いたことがあるね、魔力量が多い者には通用しないとか“隠蔽スキル“と“鑑定スキル“の“スキルレベル“差だとか聞いてはいたが魔力の量だけではなく“質“も関係していたとは初耳だ」

 と、独り言を呟いていた。

天華:『そうですね、あまり知られてない様ですが“スキルレベル“の差も多少は関係して来ます 、ですが大半の魔力を使う“スキル“の威力を決めるのは“魔力の量と質“です、“スキルレベル“に満足して魔力を鍛えない者は愚かとしか言えませんね、“戦闘スキル“や“技術スキル“などの魔力を使わない“スキル“と一緒で魔力は鍛えようと思えば鍛えられるのですから』

夜月:『自分自身の成長を止める者は好きにさせておけばいい、そう言う世界だここは…』

天華:『まぁ、それはそうですね、アトリー様はいつも鍛錬をしてやる気がありますから他はどうでも良いですしね』

 天華と夜月のやり取りを聞いた私以外の人は少し複雑な表情をしていた。

「まぁまぁ、僕だけでなく一生懸命 鍛錬してる人はたくさんいるから そう言う人達には今この事が分かっただけでもより一層 鍛錬にもやる気が出るんじゃないかな?教えてくれて有り難う 天華」

クルルッ

 私の膝に頭を乗せて寄り添って寛いでいた天華の頭を優しく撫でていると、

夜月:『私は何も意地悪で言ってる訳では無いのだぞ?』

少し焦ったように言ってくる夜月。

「うん、分かっているよ夜月」

ゴロゴロッ

 反対の手で私の膝の上で丸まって寛いでいた夜月の顎の下も撫でた。

ジュール:『私はソル君も頑張ってると思うよ!』

「ふふっそうだね、ソルは頑張り屋さんだもんねジュールはよく見ていて偉いね」

 天華とは反対側の隣でお菓子を食べていたジュールが褒めてと言わんばかりに尻尾をブンブン振ってソルも頑張っていると言ったので頭をよしよしと撫でると嬉しそうに鳴いた。

キャン♪

(何コレ可愛い!何コレ可愛い!)

 脳内で胸キュンフィーバーをひとしきり開催しながら3人を順番に撫で回していると。

父様「楽しそうだねアトリー、しかしそうなると、明日の王都散策の予定からポリテス商会に寄るのはやめよう その代わりに何処か行きたい所はあるかな?」

「他にですか?うーん」

(冒険者ギルドには行って見たいけどイネオス達もいるから他の所がいいよね、うーん…あ!)

「そうだ!一度 武器屋に行って見たいと思ってました!ねっソル♪」

ソル「はい、アトリー様♪」

 聞かれたソルも嬉しそうに返事をした。

父様「ふふっ武器屋ね、やはり男の子だねアトリー達も、いいよ行こうか武器屋」

「やったー!有り難うございます父様♪ソル武器屋に行けるって♪」

(いやー異世界転生ものとしては定番でしょう武器屋は!やっぱり店主はドワーフさんかな?後どんな武器が置いてあるのか楽しみだよ♪)

ソル「はい!嬉しいです♪」

 2人でワクワクしながら喜んでいると。

コンコンッ

執事「失礼します旦那様、王城よりお手紙が届いております」

父様「手紙?」

 父様が訝しげな顔をしている間にカイルさんが入り口に行き手紙を受け取って戻ってきた。

カイルさん「旦那様、シベラス様からのお手紙です、それとご夕食の準備がそろそろ整うそうなのでお召替えをなさった方がよろしいかと」

父様「ん?またシベラスから?ふむ、分かった先に着替えよう、さぁアトリー達も部屋に戻って夕食前に着替えなさい」

 シベラス叔父様の手紙が気になったけど まだお茶会の時の服装のままだから早く着替えないと夕食に間に合わないかも知れない、直ぐに父様の執務室を退出し部屋に戻ると 専属4人が私とソルの着替えの用意をして待っていた。

オーリー「お二人のお着替えの準備はできておりますのでソル様もあちらでお支度を整え下さい」

 と、言われるが早いか私とソルはあっと言う間に着ていた服を脱がされ 準備されていた服をササッと着せられて 少し乱れていた髪もまた違った髪型に直されてしまった。

(相変わらず、家の使用人達は手際がいい…、あ、また3人とお揃いのリボンだ♪)

 今度は青いリボンをお揃いにして貰いご機嫌な聖獣3人トコトコと私に近寄ってくる。

「またお揃いだね!あ、今度はソルもお揃い!」

 ソルは襟元に青いリボンを結ばれていて今の服装に合っていた。

ソル「そうですね お揃いです♪」

 相変わらずお揃いが大好きなソル、自分の襟元にあるリボンと聖獣達や私の付けているリボンを見て嬉しそうにしていた、互いにニコニコと笑いあった後 夕食の時間まで少し余裕があるので今日貰ったプレゼントの開封を手伝って貰った、プレゼントを10個開けたあたりで休憩してみると・・・

「うーん、やっぱりおもちゃが多いね」

ソル「そうですね、これはおもちゃと言うかボールが多いですね」

「そうだねー聖獣の皆んなと遊べる物を選んでくれたんだろうけどこれは流石に多いかな?」

 プレゼントの中にボールが7個は多すぎだと思うが他に何をやれば喜ぶか分からなかっただろうお披露目会に参加した招待客は16組、その16組中7組のプレゼントがボール、約半数がこれで他にもお祖父様達が王都で色々買い物している噂を聞いてそれを参考にしたであろうプレゼントが入っていた。
 パズルや薬草学や錬金術の専門参考書や動物図鑑など、はたまた魔道具の製作参考書まで入っていた、(これは素直に嬉しいけど)
これでまだ貰ったプレゼントの役3分の2ぐらいだ王家の方々から貰った物が多すぎてまだプレゼントを全て開封できていない状況だ。

「まだプレゼントあるね今日中に全て開けるのは無理かな?まだサフィアス叔父様やロブル大叔父様夫妻のプレゼントが残っているよね」

カイン「はい、後20個ほど残っております」

「後20個かぁ、今まで30個以上は開けたはずなのになぁ」

 招待客は16組だが貰うプレゼントが1組につき大体平均して2~3個ぐらいだからかなりの数になる、イネオス達と庭園で遊んだ後に応接室でジル叔父様から頂いたプレゼントの他にも開けていたがまだ終わらない開封作業に遠い目をしてると、

コンコンッ

執事「お夕食の準備が整いましたので大広間にお集まり下さい」

「はい、今から行きます」

と、知らせが来たのでプレゼントの開封作業は中断して大広間に向かう、今日は人数が多いので食堂では無く大広間でご飯を食べるようだ。
 いつも通り聖獣3人を抱き上げソルと専属4人を連れて大広間に向かっているとチラホラ“半人化“の獣人族の使用人が目に止まる。

(昨日まで窓越しぐらいで1、2人ぐらいしか見なかった獣人族の使用人が今日になって6、7人になってる?しかもかなり近くで見れた!あぁ!あの耳触りたい!)

 何故だろう?と疑問に思いつつ獣人族の耳に意識を奪われているといつの間にか大広間前まで辿り着いていた、中に入ると既にイネオス達家族とソルの家族は案内されていてどうやら夕食も子供と大人は別のテーブルで食べるみたいだ。

オーリー「アトリー様方はこちらの席です」

 オーリーに促されてイネオス達がいる所に案内される大人達のいるテーブルを通るとき軽く会釈して通り過ぎた。

「皆んな先に来てたんだね、少し待たせちゃったみたいで ごめんね」

 聖獣3人用に用意された場所に3人を下ろし自分の席に座ったソルもいつも通り私を座らせると直ぐに自分の席に座った。

イネオス「いいえ、自分達もほんの少し前に案内されたばかりですからそんなに待ってません」

「そう?それなら良かった♪」ニッコリ

「「「っ!」」」

 3人は少し顔を赤くしていた。

「皆んな顔赤いけど大丈夫?」

へティ「は、はい大丈夫です!ア、アトリー様はお茶会の時とはまた違った雰囲気の装いですね お、御髪も先程とは全く違いますね」

「ん?うん僕は普段は余りキッチリしたのを着るのが苦手だから少し余裕がある服装にしているんだ、髪型は今日してた編み込みの後を生かしてくれたみたい、僕の髪はどうしても結んだりしたら すぐ癖がついてウェーブしちゃうんだ そこも生かしてくれるからオーリー達にはいつも感謝してるよ」

 後ろから少し嬉しそうなオーラが漂ってきた、今の言ったように髪型は編み込みの癖を利用したゆるふわ系ハーフアップだそれにいつも着ている少し大きめのシャツに体にフィットしたベストを着たシンプルな格好だ、下はそのままだが大体これが領地の屋敷で着ているスタンダードな服装で動きやすいので気に入っている。
 その後も色々と話していると姉様や兄様、お祖父様達が大広間にやって来て、最後に父様と母様が来て席に着いてから軽く始まりの挨拶してから料理が運ばれてきた一皿づつ運ばれてくる料理に舌鼓を打ちつつ 明日のお出かけに武器屋に行ける事になったと話したら。

ベイサン「え!武器屋に行けるのですか!やった!僕も行って見たかったので楽しみです!」

イネオス「僕も行った事が無かったので嬉しいです!」

 男子2人は大喜びしていたが、

へティ「武器屋ですか…」

と、お友達グループの紅一点のへティは嬉しくなさそう。

(あちゃーやっちゃった、女子にはアクセサリー屋とか雑貨屋のが良かったかな)

 と、思っていると、

カミィ姉様「あらら、武器屋に行くのが楽しみなんてアトリーもしっかり男の子だったのね…、私達は慣れているからいいですけどへティちゃんには退屈よね…
あ、そうだわ お父様、少しよろしいですか?」

(さっき父様にも言われたけど私は今世は立派な男の子ですよ!プンプン!)

何か思いついたカミィ姉様は少し離れた位置に座っている父様に話しかけた。

父様「ん?良いよ、なんだいカミィ」

カミィ姉様「今 聞いたのですが明日の武器屋の見学の時間帯に男性方は武器屋に私達女性陣は近くの宝飾品店でお買い物をすると言うのはダメですか?」

 その提案を聞いて少し考えた後 隣に座っている母様に視線を移した、明日行くイネオス達のご両親も注目して聞いている特にご婦人方が…

(おっ、それは名案だ女性陣と男性陣で別れて別の店に行けば時間を持て余すことも無くなるからいいね)

父様「ふむ、私はいいと思うが君はどう思う?シリー」

母様「私もその方がいいと思いますわ」

父様「分かった、ではそのようにしよう 行く予定だった武器屋の近くに宝飾品を扱っている工房があったからそこに行ってはどうだい?カミィ」

カミィ姉様「有り難うございますお父様、ではそちらで宝飾品の製造工程の見学もさせて頂ければ見学して来ますね」

父様「あぁ、楽しんでおいで」

 別行動が決定されたのでご婦人方とへティが嬉しそうにしている。

お祖父様「ふむ、そうか では私はその時間帯に少し野暮用があるので皆とは後で武器屋で合流するか、いいかなラト?」

父様「えぇ、大丈夫ですよ父上、後 時間がかかる様でしたら武器屋ではなく昼食をとる予定の店で合流でいいですか?」

お祖父様「うむ、時間がかかった場合はそうしよう」

(どこに行くのかな?お祖父様、しかしお出かけするにしては大人数だよねお出かけに参加するのは20名それに+メイドや執事や従者+護衛、
わぁ、これは目立つんだろうなぁ馬車何台で行くのかなぁ?)

 なんて考えていると、

カミィ姉様「へティちゃん一緒に宝飾品店を見て回りましょう?」

「ねっ」とカミィ姉様に言われて嬉しそうに頷くへティ。

「へティ ごめんね行きたい所を聞かれた時に安易に武器屋を選んでしまって、もっとご婦人方の事を考慮すべきだった本当にごめんなさい…、
それとカミィ姉様が別行動の提案していただ無かったらへティが退屈して楽しめなくなる所でした、お気遣い有り難うございます カミィ姉様」

 へティに謝罪しカミィ姉様にお礼を述べると大人達は目を点にしていたり 苦笑いをしていたりと さまざまな表情でこちらを見ていた。

「どうかなさいましたか?」

 首をかしげながら聞くと。

カミィ姉様「ふふっ、何でも無いのよ アトリーは相変わらず紳士ね、けど今回の事は気にしなくて良いのよ 私が宝飾品店に行きたかったから丁度いいと思って父様にお伺いしただけですからね」

「?、はい カミィ姉様、それでも僕がカミィ姉様にお礼を言いたかったのです、だから有り難うございます カミィ姉様」

カミィ姉様「そうなのね、じゃあどういたしまして アトリー」

 仕方ない子ね と言う表情で返事を返してくれた。

へティ「わ、私こそ お二方にお気遣いしていただき感謝申し上げます」

 慌てた様子でへティもお礼を述べてきた。

カミィ姉様「ふふっ、それこそ気にしなくて良いのよ へティちゃんはアトリーのお友達で当家のお客様なのだから」

「ふふっそうだよ へティ気にしないで僕の自己満足だから」

 カティ姉様と顔を合わせ笑い合い 気にしないようにと笑顔で告げると顔を真っ赤にして。

へティ「は、はい、あ、有り難う御座います…」

 と、尻すぼみに返事をして俯いてしまった。

「大丈夫?へティ」

 声を掛けても顔を赤くして俯いたまま「だ、大丈夫です…」と返ってくるだけなので本気で心配になって来た所で、

ソル「アトリー様、追い討ちを掛けてはいけませんよ」

と、言われた。

(?追い討ちとはなんぞ?)

「?、僕 何もしてないよ?それよりへティが病気だったら大変だよ」

ソル「へティはお二人の笑顔の二重攻撃を受けて照れているだけですので心配しなくても、もう少ししたら普通に戻るはずです」

カミィ姉様「あらあら、それは無意識でしたわ ごめんなさいね へティちゃん」

へティ「い、いえ、こちらこそ不作法をお許しくださいカシミール様」

カミィ姉様「良いのよ、私もだけどアトリーも自分では気づかない内についやってしまうの だからへティちゃんは悪くないのよ」

へティ「は、はい、有り難う御座います」

 まだ顔が赤いが顔をあげて話している。

(?笑顔の二重攻撃ってなんぞ?)

「うん?大丈夫なの?本当に?」

ソル「はい、大丈夫なので今はそっとしといてあげて下さい」

(?、大丈夫なら良いんだけど)

「う、うん分かった、でも本当に気分が悪くなったら遠慮せずに言ってね へティ」

へティ「は、はい 分かりました」

 まだ少し赤い顔で返事を返してくれたへティにホッとしつつ食事を続けた。

 このやり取りを大人達はコソコソ喋りながら見ていた、兄弟は微笑ましそうにその光景を見ていた。

>=====<>=====<>=====<

 その時の大人達のやり取り。

  第三者 視点

公爵当主「すまないね、ツァルト殿 家の子供達がヘンティル嬢の心臓に良くない笑顔を向けてしまって」

准男爵「い、いえ、こ、こちらこそ お気遣い頂き有り難う御座います、むしろ家の娘が不作法をしてしまい申し訳ございません」

前公爵当主「いやいや、あれは仕方がない、我々 公爵家と言うより王家の血が入っていると 人を惹きつけるような性質が多少なりと出てくる、それを自覚して使い分けるにはまだあの子らには早すぎた、カミィはだいぶ使い分けているようだがアトリーは今まで屋敷内の者以外と喋る機会が少ないので自分の無邪気な笑顔が他者にどんな影響が出るか全くもって理解してないのだ、特にアトリーは王家の血筋の中で珍しく母方似の容姿で魔力もかなり多い、上に特殊な魔力の性質も受け継いでいてね、そのせいか人を惹きつけると言うより魅了すると言う方が近い性質が出ているんだよ、領地の屋敷の者達は慣れて来ているのだが ここ 王都の屋敷の者達ではまだまだ慣れずにヘンティル嬢のような被害を受けているものが続出しているのだよ」

子爵当主「そ、そうなのですね、し、しかし御子息のお気遣いの仕方が大人顔負けですね」

公爵当主「あぁ、あの子は小さい時からあの様に常に周りを気遣う優しい子なのだよ、まあ それが私達大人としては気がかりなんだが悪い事をしている訳でも無いので咎める訳にもいかなくてね、今は見守りつつ自由にさせているんだよ」

男爵当主「そ、それは確かに咎める事はできませんね、私より気遣いがお上手ですし」

 チラッとアメトリンを見た、丁度 気分が悪くなったら遠慮せずに言う様にと言い含めている所だった、それを見た大人達は皆 苦笑いだ たった7歳の子供がする気遣いの仕方ではないと。

>=====<>=====<>=====<

 時は戻り・・・

  アトリー 視点

「あ、そうだこれから食事が終わったら 就寝時間までの間に僕の部屋に来ない?、今日 頂いたプレゼントの中にたくさんパズルが入っていたから 一緒に遊ぼうよ」

 そう提案すると、

イネオス「え、良いんですか?お部屋にお邪魔して」

「ん?いいよ別に大した物は無いけどね、あ、でもさっき開けたプレゼント出したまま来ちゃった、まぁすぐに片付けるから良いかな?」

ベイサン「?、アトリー様はご自分で片付けをなさるんですか?」

「うん、するよ じゃないと使いたい時にわざわざ使用人の皆んなに頼んで持って来てもらってたら時間がかかるでしょう?その点 自分で片付けたらどこに入っているか分かっているからすぐに使えて良いよ」

その後も片付けやパズルの話で盛り上がって、食後のお茶も飲み終わる頃にはへティの顔の赤みも治っていたので私の部屋で今日プレゼントで貰ったパズルをみんなで就寝時間まで楽しんだ。

オーリー「皆様そろそろ就寝のお時間となります」

「え!、もうそんな時間?」

オーリー「はい、アトリー様 皆様もそろそろ ご入浴なさってお休みになられて下さい」

「はーい、しょうがないね もう少し遊びたかったけど明日はお出かけだから早く寝ないとね」

イネオス「そうですね、明日は朝早いと聞いてますし」

へティ「アトリー様 お誘い 頂き有り難う御座いました パズルとても楽しかったです♪」

「ふふっどういたしまして僕も皆んなと遊べて楽しかったよ、それにまた明日も一緒にお出かけだし今から楽しみだよ♪」

ベイサン「僕はパズルも楽しかったですが、明日も楽しみです♪」

ソル「僕も楽しみです♪」

「よし!、じゃあ明日の為に今日はもうお風呂入って寝ちゃおう!」

「「「「はい!」」」」

 皆んな元気よく返事をしてそれぞれの部屋に戻った、
私は聖獣皆んなと風呂に入り寝る用意を済ませ日課の魔力循環と魔力操作の鍛錬をして、今日シベラス叔父様に貰った白猫のぬいぐるみを抱き枕にしてすぐ眠ってしまった。
 聖獣の皆んなは私の頭の周りで私に寄り添うように一緒に眠ていた。

 あ!、鍛錬をした後にちゃんと家族にお休みなさいのハグはしたよ じゃないと母様や姉様達が拗ねちゃうからね、まぁ、朝の約束通りすごく頭を撫でられたけどね、しかし母様に頭を撫でられると眠くなるのはなんでだろうね?



(明日は生まれて初めての町の散策だ、何があるか楽しみだなぁ、ふぁ~っ・・・流石にもう眠いやお休みなさい皆んな・・・・Zzzzz)









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