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第2章 少年期
3話 道中
しおりを挟むその後は何事もなくゆったりとした馬車の旅を楽しんで、その日 泊まる宿がある町に夕方遅くに着いた。
少し薄暗い空模様の中、街の外壁の門をくぐり宿泊予定の宿屋の前に馬車が停車した、馬車の扉がノックされ 外から騎士団長のリカルドさんの声が聞こえてきた。
コンコンッ
リカルド「失礼します、公爵閣下 本日の宿の前に到着致しました 、扉を開けてよろしいでしょうか?」
父様「あぁ、「カシャンッ」良いよ開けてくれ」
ガチャッ
リカルド「失礼します」
父様が窓から外を確認して馬車の内鍵を外した、そしたら扉が開き、リカルドさんが扉を閉まらないように抑えながら父様に一礼した。
扉が開いた時に見えたリカルドさんは赤髪で黒目が<ブラックオニキス>の様な瞳の偉丈夫で訓練の時も とても優しく教えてくれる良い人だ。
*ウサギ騒動の時そばにいてくれたのもリカルドさんだ。
父様「有り難う、リカルド団長 」
リカルドさんにお礼を言いつつ馬車から降りた父様は 周りを確認した後 母様をエスコートして下ろした。
父様「さぁ、おいでアトリー、足元に気をつけて」
「はい、父様・・・」
(このマント動きにくい!)
次はマントを羽織ってフードを被った 私を下ろしてくれる、なぜ こんな事になっているかと言うと、
事前に注意事項の中で基本的に町中での私の顔出しはNGだと言われいてた。
どうやら、私の容姿を見て 誘拐する者が現れる可能性が高くなるからだそうだ、まだ“祝福“をして貰えてない 容姿の良い貴族の子供は狙われやすいから 用心に用心を重ねた結果、このマント姿なのだ。
*本人は知らないが、このマントは魔道具の一種で 着用した人の顔に軽い認識阻害の効果を発動している、貴族のお忍び用として人気の一品だ。
父様「降りれるかい?」
父様の差し出した手をとりゆっくり降りていると 周りからの視線が集まっていた、どうやらこの街の領主である父様を見る事があまりない為 かなり注目を集めているみたいだ。
「「「「「ざわっ」」」」」急に周りがざわついた。
「⁉︎、父様、何かあったんですか?」
周りをキョロキョロ見回してもマントが邪魔で何があったのか分からない。
父様「あぁ、気にしなくて良いよ、さぁ行くよ」
(父様は気にしなくて良いって言ったけどな何があったんだろう?)
父様と母様に手を取られ宿屋の中に入って行った、
入った宿屋の内装は前世で良くある西洋風のホテルの様だった、中でこの宿のオーナー?らしき白髪の優しそうな雰囲気の老紳士が待っていた。
父様「やぁ、ダリス 久しぶり今日はお世話になるよ」
店主?ダリス「ようこそ いらっしゃいませ 公爵様 お久しぶりです、お待ちしておりました もう3年ぶりですかね?」
父様「そうだね、3年前に用事で王都に行った時以来だね、元気にしてたかい?」
店主?ダリス「はい、お陰様でこれと言って病気もせず元気に過ごしております、でも最近 足腰にガタがきてしまい 先頃 息子に経営を任すことにしまして、本日は公爵様御一家が来られるとお聞きまして老体に鞭打ち 手伝いに来ております」
父様「そうなのか、ダリスは私が子供の時からの付き合いだから これから寂しくなるね・・・」
先代店主ダリス「ほっほっほっ、確かに公爵様の幼少の頃からのお付き合いでしたなぁ、あの頃の公爵様は大変ヤンチャでらして懐かしゅうございますなぁ」
老紳士は懐かしそうに笑った。
お祖母様「あの時は大変だったわぁ」
母様「ふふっ、そうなの?ラト?」
父様「母上にシリーまで・・・、ダリス、それは仕方ないよ あの時はまだ4歳くらいだっただろう」
(かなり親しい間柄の様だね 父様の小さい時かちょっと気になる)
先代店主ダリス「確かに、そうでしたなぁ・・・、おぉそう言いますと今年は5人目のお子様の“洗礼と祝福“の為に王都向かわれるとか」
父様「あぁ、この子達が今年の主役だよ、さぁアトリー、ソル、挨拶しなさい」
話題が私になって 父様に促されてマントのフードを取りながら前に出てソルと並んで挨拶をした。
ソル&アトリー「「はい」」
「初めまして 僕はデューキス公爵家 三男 アメトリン•デューキスと申します、今日はお世話になります」
簡単な挨拶をして横にいるソルを手で挿しながら紹介する。
「後こちらにいるのが僕の従者 兼 執事候補のソルドアです」
ソル「初めまして、アメトリン様の従者 兼 執事候補をしています ソンブラ子爵家 嫡男 ソルドア•ソンブラと申します、以後お見知りおきを」
ソルの挨拶が終わって先代店主のダリスさんを見たが、いつもの如く挨拶された ダリスさんは目を丸くして私達を見ながら固まってる。
(そんなに子供らしくないかね?前世では結構いたと思うんだけどねこう言う子供)
*この世界の教育水準はそんなに高くないが固まっている理由はアトリーの容姿も関係している
この光景を仕方ないと思いながら見ている 周りの大人達、 少しすると自力で我に返ったダリスさん。
先代店主ダリス「は!、これは大変申し訳ありません、挨拶が遅れました 私はこの宿“湖畔の憩い“の先代店主のダリス•シファーツと申します、以後もお見知りおき下さい」
ダリスさんは深くお辞儀をして丁寧な挨拶を返してくれた。
ソル&アトリー「「はい、よろしくお願いします!」」
元気よく返事をすると、可愛い孫を見る様な目で優しく笑って頷いてくれた。
先代店主ダリス「それにしても、お二人は落ちつておられますねぇ それに公爵子息様は公爵夫人に似ておいでで、瞳もまた珍しいお色ですね」
父様「そうなんだ、この子達は色々特別でね、だから今回は無理を言って申し訳ないね、ダリス」
先代店主ダリス「そう言う事でしたか、本日はしっかり貸切に致しましたので ごゆっくりなさって下さい、あぁ、後 公爵様 先程”ブーゼ男爵” とおしゃられる方が急に宿泊なさりたいとお越しになられまして、丁重にお帰り頂きました」
父様「あぁ、外で見かけた者達かな?わかった、教えてくれて有り難う ダリス 」
(うん?さっき入り口で騒いでた人たちかな?でもなんで父様に教えたんだろ?その人 宿に何かしたのかな?)
先代店主ダリス「あぁ、忘れるところでした、ご子息様方 こちらにいるのが現在 店主をしております、息子のタイブです」
さっきからダリスさんの横にいたダリスさん似の茶髪の男性を紹介してくれた。
現代店主タイブ「ご挨拶が遅れて申し訳ございません、ご子息様方、私は“湖畔の憩い“の現在 店主を務めています、タイブ•シファーツと申します、何かご要望が御座いましたらいつでもお申し付け下さい」
タイブさんは先ほどのダリスさんの様に丁寧に挨拶してくれた とても人をリラックスさせる声で穏やかな話し方をする 優しそうな人だ。
ソル&アトリー「「はい、タイブさん よろしくお願いします」」
現代店主タイブ「こちらこそ、よろしくお願いいたします、では公爵様御夫妻 ご子息様、子爵様御一家のお部屋の方にご案内いたします」
先代店主ダリス「では、前公爵夫人、カシミール嬢のお部屋は私がご案内いたします」
互いにニッコリ笑い合った後 今日泊まる部屋に案内される どうやらこの宿屋はそれなりに広く階段も3階分上がり そこそこ歩いて 突き当たりの扉で止まった。
先に私達公爵家親子が部屋に案内されて中を見るとシックな装いで落ち着いた雰囲気の内装だった。
タイブ「こちらが公爵様ご夫妻様とアメトリン様のお部屋になります、御用がお有りでしたら こちらの紐を引いていただきましたら すぐにお伺い致します」
父様「ありがとう タイブ。後、セルドス達、荷解きが終わったらこちらに来てくれるかな?」
タイブさんにお礼を言った後 父様はセルドスさん達に後で来るように言った。
(何かする事でもあるのかな?)
セルドス「畏まりました、ソルドアも一緒でよろしいのですか?」
父様「あぁ、構わないよ」
セルドス「分かりました、では後ほど」
父様「タイブ、母上達やリカルド団長にも同じように伝言頼めるかな?」
タイブ「受け賜りました、では子爵様御一家のお部屋にご案内させて頂きます、どうぞ此方へ」
ソルに後でね、と言い 別れた私はいざ、お部屋探検をと思ったら父様から後でソルが来た時にしたら良いと言われた 、
それまでサロンでお茶をしようと誘われ、この部屋にある専用のサロンで母様達とゆっくりお茶をしてみんなを待っていた。
しばらくすると皆んながやってきて私とソルはこの部屋の探検を許可された。
(どうやら、大人達は大人達で話し合いがあるらしいが、・・・・まあいいか!)
と、考えるのを放棄。
(それよりお部屋探検だ!)
この部屋すごく広くて最初に入った部屋はリビングらしくて扉が左右2個ずつあって合計4個ある、さっき入った右手前の扉はサロンの部屋で室内からは湖が一望できるところだったので後は扉は3個。
「ソル、早速 お部屋探検に行こう!」
ソル「はい!」
2人でと言うか3人で探検開始!なぜならお目付け役にイーロさんもついてくる 子供2人でうろちょろするのは流石にダメでした!
探検開始、右手前は入ったから次は右奥!
扉を開けるとそこは小さな給湯室だった給湯室内には小さめの魔道具コンロと魔道具の蛇口にシンク作業台のみ、給湯室からサロンに行ける扉があった
「うん実に簡素だね・・・」
ソル「そうですね、でも宿に付いてる給湯室にしては良い方なのでは?」
「そうなんだ・・・うんよし、次に行こう!」
次は左手前、扉を開いたらシンプルなベッドとテーブルと椅子のセットに小さなクローゼットがそれぞれ1個ずつ。
「僕の寝る部屋?」(なんか落ち着く広さ)
ソル「え⁉︎、ち、違いますよ、アトリー様!ここは使用人の待機部屋ですよ!そうですよね、イーロさん!」
後ろから笑いを堪えている 声がする。
イーロ「ククッ、っ・・・ん゛っん゛っ・・ふぅ、はい、そうですよ ソル君それで合っています、ここは寝ずの番をする使用人の待機部屋です」
「そうなんだ、大きさ的に僕の寝る所かと思った」
ソル「大きさ・・・・」
「うん、僕小さいから、この寝台が丁度いいと思ったんだ、ほら屋敷にある部屋の寝台は大きすぎて余ってたでしょう?あれ大人用でしょ?」
イーロ「確かに、お屋敷の寝台は将来アトリー様が成長なされた時を考えての大きさですが、元々“子供用の寝台“とゆう物が御座いません、
ここの寝台も一応 大人の寝れるサイズですよ?」
(へー、子供用のベットって無いんだ)
「うーん、僕にちょうど良い大きさだと思ったんだけどなぁ、よし、最後 行くよ!」
最後は左奥、扉を開けた、まぁ予想通り寝室だったんだが かなり大きなベッドが1つしか無い 後はサイドテーブルが左右にあるだけ 他にベッドが見当たらない、更に奥に扉があったがそこはお風呂場だった。
「あれ?寝台が1つだけしかないよ?僕はどこで寝たら良いのかな?」
(ソファーの上かな?寝心地は良さそうだったけど)
ソル「そうですね、どこでしょう?」
イーロ「・・・え~と、お二人は今お一人で寝てらっしゃるんでしたよね、何歳頃から お一人で寝ていらっしゃるんですか?」
「うん?3歳になったぐらいかな?」
ソル「僕もそれくらいですね、それがどうなさったんですか?」
イーロ「えー今日は、と言うか旅行中は大体お二人の年齢の方々は普通ご両親とお休みになるのが通例ですよ」
イーロ(この2人何だか常識がずれてる、普通7歳の“洗礼と祝福“の時まで両親と寝るのが一般的だ 貴族でも訓練が始まる5歳ぐらいまで一緒に寝るはずだ、 それにアレだけ溺愛されているのに公爵ご夫妻が夜に子供を1人で寝かせるなんて どう言う事だ?)
イーロは不思議でたまらなかった、なぜスキルも使えない3歳の子供が親と別に寝るのかを。
そもそも、アトリーとソルが3歳から1人で寝るようになったかとゆうと、アトリーが3歳になった時に自分の部屋で寝ると言って譲らなかったのだ、それを聞いたソルが真似して 1人で寝始めたのだった。
それを言い出した本人は前世での習慣で1人で寝るものだと思い込んでいたのだった自分が“3歳児“だと言うことを忘れて…
結局、両親の方が折れて1人で寝るのを許したと言う経緯がある、だがアトリーはその出来事すら忘れている。
イーロ(一応この事も報告しておくか)
「え!、そうなの?母様達の寝るのに邪魔にならないかな?」
(いくら子供とは言え7歳の子供と寝るのには狭すぎ・・・・では ないね、ベットがこれだけ大きかったら平気か?)
ソル「僕も大丈夫かな?」
イーロ「大丈夫ですよ、ここの宿は貴族のご家族向けの宿ですから 寝台の大きさも他の宿より大きくなっておりますから」
「そうだね大きいものねこの寝台、よしこれで お部屋探検終了 したんだけど父様達はまだお話し中かな?」
イーロ「そうですね、私がお声をかけて確認して参りますのでこちらのソファーでお待ちください」
イーロさんがサロンの扉の方に行った、その間 私とソルはリビングのソファーでくつろぎながら 持ってきていた本を読み始めた。
>ーーーーー<>ーーーーー<>ーーーーー<
父:アイオラト 視点
アトリー達がお部屋探検をしている頃…
大人達は先ほどの”ブーゼ男爵”の事で話していた。
「すまないね、皆、疲れている時に集まって貰って」
母上「大丈夫ですよ、先ほどの男爵家の者達の事でしょう?」
「えぇ、そうです 母上、皆を待ってる間にカイルに情報収集に行って貰った所、どうやらその”ブーゼ男爵”はあの”ズローバ伯爵”の寄子の1つらしいです、
それで先程のこの宿への急な宿泊の目的は アトリーを確認する事にあった様です、だから私達の到着を待って わざとすれ違う様に宿から出てきたのではないかと…」
(あの、伯爵家は前々から、やたらと我が公爵家に絡んで来るからね、ここ最近の面会希望の要請が1番しつこかったし)
母上「確認?」
「はい、例の噂の真意を確かめようとしている様ですね」
母上「真意ね…、確かあの噂を流したのは王都にいる伯爵家だったかしら?」
「そうですね、確か”ルマン伯爵”でしたね」
母上「その”ルマン伯爵”とは関係はありそうなのかしら?」
「今の所はないみたいです、それとブーゼ男爵にアトリーを確認する様に指示した者がいる様ですね、まぁ確実に寄親のズローバ伯爵でしょうね」
セルドス「しかし、なぜアトリー様が馬車からお出になった時あのような ざわめき が生じたのですか?私達からは少し遠かったので詳細がわからないのですが」
「あぁ、あれか、多分アトリーが認識阻害 効果のあるフード付きマントで出てきたのが原因だと思うが、あの時 確か、何か話してたな 聞き取れはしなかったが」
(確かにアトリーを見ながら何かを話していたんだが)
と、考えていると。
リカルド「公爵閣下、少し宜しいでしょうか?」
「ん?なんだい?リカルド」
リカルド「はい、先ほどの ざわめき の内容なのですが……」
「会話の内容が聞こえていたのかい?」
(リカルドの歯切れが悪いな)
リカルド「はい、自分からは多少近かった事もあり、耳も良い方なので会話の内容が少し聞こえていたのです」
(なんとなく予想はついてきたなリカルドの態度からして 良く無い内容なんだろう)
皆んなもなんとなく察してきたらしい 怪訝な表情になってきた。
「ほう、それで 何と?」
続きを促す。
リカルド「その者達はアトリー様の装いを見て、
『何故わざわざ、認識阻害のローブを被っているのか』
『もしかしたら あの出来が悪いと言う噂は本当で、容姿についての噂は嘘で 本当は容姿も悪くて何も取り柄が無いから顔まで隠しているのでは?』
と、騒ぎ立てていたのです」
「「「「「「「「「「・・・・・・・・・・・は?」」」」」」」」」」
全員、自分の耳を疑ったに違いない。
母上「よくもまぁ そこまで見当違いの事を言えるものですねぇ、リカルド団長、一応確認なのだけど 聞き間違いではないのですよね?あなたの耳を疑いたくないのだけどね」
リカルド「大奥様、お気になさらないでください、自分も 自分自身の耳を疑ってしまいましたから」
母上「そうよね、あの発言はどう聞いても馬鹿馬鹿しいほど 根も葉も無い内容ですものね」
「・・・・・はぁ、何だかこちらも馬鹿馬鹿しくなってきたな」
カミィ「お父様、少し出てきてよろしいですか?」
先程まで黙って話を聞いていたカミィが目を座らせて 出かける許可を求めてきた。
「はぁ、一応聞こう、何処に行くんだい?カミィ?」
カミィ「決まってるではありませんかお父様、そのブーゼ?男爵とか言う方の元にですよ」
「で、何をするのかな?」
カミィ「あの薄くなり出している頭部に魔法の試し撃ちをしに行こうかと?」
(我が家の長女はいつの間にこんなに好戦的になったのかな?まぁ、多分、アトリーのことに関してだけ…、だと思いたい)
「カミィ 駄目だよ そんな事してるのがアトリーに知られたら、優しいあの子が悲しいそうな顔で君を見てくる事になるよ?」
カミィ「⁉︎、そ、それは 嫌です‼︎・・・で、でも 可愛いアトリーの事を好き放題言ってる あの男爵を野放しにするのも嫌です!」
「その気持ちは 分かるけど、私は“洗礼と祝福“の時の男爵の顔が見てみたいね、
彼は多分 明日の朝早くにこの街を出て 急いで王都に行くだろう、そして王都で滞在するであろう親戚または知り合いの屋敷でこの事を 事実のように話す、
それをまた聞いた者が周りの 今年 アトリーと一緒に“洗礼と祝福“を受ける 子供を持つ親に話す、やがて噂は広まり、今年の“洗礼と祝福“を受ける 子供達にも伝わり、“洗礼と祝福“の時に 初めて アトリーを見る あの男爵含め その噂を信じて アトリーを笑い物にしてきた 貴族達の驚愕する顔を見てみたいよ」
(確実に驚愕するだろうね)
カミィ「それは、私も見てみたいです!お父様‼︎」
母上「それは楽しそうねぇ、でも確か親しか入れないのでは無かったかしら?」
「そうですね、でもその前日のパーティーで子供達にバレる可能性もありますから、“洗礼と祝福“の時の楽しみは半減しそうではありますね」
カミィ「どちらにしても、その方の驚いた顔を見る事は難しそうですね・・・、でも その計画は楽しそうなので協力させて下さい お父様、なので魔法の試し撃ちは我慢します、その代わりあの男爵がどんな顔をしていたか教えて下さいね」
「あぁ、よく見てくるよ、協力 してくれて 有り難う カミィ、まぁ、ブーゼ男爵の事は放置でこの方針で行こうと思う」
(それに、あの“魔道具“を使えばカミィ達に神殿での周囲の様子を見せてやれるかもしれないね)
リカルド「相手の自滅を待つのですね?」
「そう言う事だ、相手は盛大に自滅してくれるだろうね」
リカルドは納得したのか頷いてそれ以降は黙っていた。
カイル「それは楽しそうですね、パーティーの時にバレそうになったら内々に留めるようにいたしますか?」
「そこまではいいよ、普通にアトリーがパーティーを楽しんでくれるのが1番だよ、ただ、何かあるとすれば注目されすぎて居心地が悪そうだったら 人目を避ける所に行けると良いけどね」
カイル「確かに、アトリー様のお顔は注目を集めますからね、当日 パーティーに同行するメイドと執事にその様に言っておきます」
「助かるよ、そう言えば セルドス、ソルに同行させるメイド達は決まったのかい?」
セルドス「それがまだ決まっておりません 皆 自分には荷が重いと遠慮してしまって誰をつけるか悩んでおります」
「それは いけないね、それなら こちらの使用人から選ぼうか?」
セルドス「そうして頂けたら有難いです、私達も悩まなくてすみます」
セラス「はい、お願いいたします」
2人ともため息まじりにお願いしてきた。
(すぐに了承したね、よっぽど選ぶのに苦慮していたみたいだね)
「分かったよ、ではカイルに人選を任す」
カイル「承知いたしました」
(カイルなら対応能力の高い者達を選んでくれるだろう)
「では 明日はあの男爵と鉢合わせないように少し時間をずらしてゆっくり出るとしようか」
みんなの了承をもらいお茶で一息つこうかとしていた時に、2人についていたイーロが2人の部屋探検が終わったと言いに来た、
その後子供達も加えて、お茶を飲んだ アトリーはカミィのご機嫌そうな顔を見て不思議そうにしていたけど 何も聞いては来なかった。
シリーは男爵達の話の内容で怒っていたが アトリーに気づかれないように 怒りの感情が魔力に出ないよう黙って魔力の制御に専念していた、
その後の私の男爵の自滅する話の所で機嫌がなおったがそこも感情が魔力に出ないように専念していた様だ。
>ーーーーー<>ーーーーー<>ーーーーー<
アトリー 視点
父様達の話し合いは終わっていたみたいだがサロンにはやたらご機嫌そうなカミィ姉様が私に隣の席を進めてきた 大人しくカミィ姉様の隣に座るとすごく頭を撫でられた。
(何か良い事でもあったのかな?母様もニコニコしてるし、母様はいつもニコニコ笑ってるけど いつもより何だか楽しそうだ、
まぁ、聞いても、教えてくれ無さそうだから 聞かなくても良いか)
そのまま、お茶をして、夕食を食べて お風呂に入って その日は早めに寝る事となった。
母様「さぁ、アトリー、一緒に寝ましょうか」
母様に手を引かれ大きなベッドに近寄る。
「あの母様?僕 ソファーの方で寝ますよ?」
母様「アトリー、母様達と寝るのはイヤ?」
母様が悲しそうな顔をした。
「いいえ!イヤじゃないです、ただ母様達が寝にくくないかなって…」
(子供と寝るのって大変じゃないかな?)
母様「そんな事ないわアトリーと一緒に寝れて母様は嬉しいわよ」
父様「そうだよ、久しぶりに3人で寝れるんだから アトリーは真ん中にいて欲しいな」
「本当に?」(良いのかな?)
父様&母様「「本当だよ(よ)」」
「じゃあ、真ん中にお邪魔ます」
父様「ふふっお邪魔じゃないよ、大歓迎するよ、さ、おいで」
父様が上掛けのブランケットを持ち上げて歓迎してくれたので、恥ずかしかったけどそこに思いっきり飛び込んだ。
バフンッ!
ベットのマットレスが揺れて弾んで楽しい。
ポヨンッポヨンッ
「ふふふっ楽しい!」
父様「こーら、ベットで飛んではダメだぞ」
さっき飛び込んだ勢いで弾んでた私を捕まえて父様が注意してくる。
「あー!捕まっちゃった!クスクスッ」
母様「あらあら、2人だけで楽しんでずるいわ、私もアトリーを捕まえましょう♪」
父様とは反対側から母様に抱きしめられて その勢いで後ろに3人して倒れ込んだ。
パタンッ
「「「・・・・・ふふっあははwwww」」」
ひとしきり3人で笑った後 父様と母様が顔を近づけてきて 私の頭に両側から同時にキスをしてくれた。
父様&母様「「おやすみなさい、可愛いアトリー」」
何だか胸がいっぱいになって幸せってこう言う事なんだなって改めて思った、その日の夜は両親に抱きしめられて眠った。
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