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深夜!
しおりを挟むふと時計を見ると、もう零時を回っていた。
俺は大きく欠伸をしながらソフィアが荒らした部屋の後始末をしていた。
こんな時は話し相手がいると眠気も冷めてよい刺激になる。
試しに何か訊いてみよう。
「ソフィアさんは何歳なの?」
「十五歳」
「本当に? 同い年だね! 俺も十五歳だよ」
俺は半ばご機嫌取りのように己の発言に気を付けながら会話を続けた。
何が引き金になるか分からない以上野暮な質問は避けよう。
「ソフィアさんは日本語上手だよね。誰に習ったの?」
「漫画と歌」
「そうなんだ。すごいね! 何が好きなの?」
「学園モノ」
「なんで学園モノが好きなの?」
「学校に通ったことがないから」
「な、なるほど」
意外と何でも答えてくれるんだな。
内心そう思いながら俺は手と口を動かす。
「でも明日からその学校行けるね!」
ソフィアは静かに頷くと白い頬を少し赤らめたように見えた。
しっかりと反応してくれる彼女に俺は少し好感を持てたような気がした。
モデルガンを持った時のあの鋭い眼光は忘れられないけど……。
少しずつ彼女の存在に慣れてきた俺は勇気を振り絞ってお願いをしてみる。
「ソフィアさん、片付けるの手伝ってくれる? 一応あなたが散らかしたわけですし」
「わかった。何をすればいい?」
「取り敢えず出したもの中にしまってくれるかな」
「中に出せばいいのね」
「うん。でもこの場合は『中にしまう』だね」
「日本語って難しいのね」
「いや、ソフィアさんは充分上手だよ。寧ろ訛も無くて驚いてるよ」
「そう」
相変わらずの無表情だが、彼女の声色は少し明るくなったように感じた。
俺とソフィアは気が付けば明け方近くまで部屋の片づけをしていた。
床に就いたのはそれからだった。
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