元戦闘員の嫁入り

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夕飯!

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 今晩の献立は珍しいことに普段お目にかかれないステーキだった。

 「母さん、これどうしたの?」
 
 「今日はソフィアちゃんの歓迎会だからよ! 奮発しちゃった!」

 「そ、そうなんだ」

 「あっ、春斗はナイフとフォーク出してね」

 俺は言われるがままにカトラリーをテーブルの上に並べ、着席した。

 いつもなら飛び上がって喜ぶメニューだが、あんな事があったので俺の胃は全く食欲をそそられることはなく、寧ろ烈しく痛む程だ。
 
 「ソフィアちゃんは春斗の隣ね! ほら、座って座って」

 純真無垢な笑顔で母さんはソフィアの背中を押し、俺の左隣に着席させた。

 母さんの「いただきます」を合図に食事が始まる。

 胃はまだ痛み、箸が進まない。

 ソフィアはというと、俺の横で静かにステーキを切り分け口に運んでいた。

 会話のない時間が続き、痺れを切らした母さんが口を開いた。

 その表情に先程までの明るい笑顔はない。

 「ねえ、ソフィアちゃん。春斗にあなたのこと話してもいいかしら?」

 「……好きにすれば」

 小さく呟いたソフィアは食事を続ける。

 「春斗。今から話すことは他言無用でお願い」

 深刻な顔つきと低いトーンの口調で事の重大さが伝わる。

 俺は黙って頷き、唾を飲み込んだ。

 「実はね、今朝父さんからメールが来の。それでね、内容がちょっと衝撃的だけど落ち着いて読んでほしいの」

 「……分かった」

 いつになく真面目な母さんの表情が俺の鼓動を早く急がせた。
 
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