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2章:白銀の黒帝の誕生

帝会議 前編

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帝会議の日。

帝会議は不定期であるが、ときより王都のとある会議館で開催される。
今回は、黒帝となったシュンの顔合わせと、帝国軍の動向についての意見交換が目的だった。

◇◇◇

総帝ローブにフードを被ったジルに連れられて会議場の手前まできている、シュン。 
新たに新調された黒帝のローブでフードを深く被っている。 ただ、0番隊隊長コートのフードより大きく、被り心地が悪いし、ローブは動きづらい。 それだけで、既に機嫌が悪いシュン、その上に出席したくない会議にきているので、この時点で既に機嫌が悪いのであった。


3階建ての会議場の3階の会議室の扉の少し前で、急に立ち止まるシュン。

「急に立ち止まってどうしたんじゃ?」

「この中から、殺気放つ奴がいる。 殺していいの?」

「討伐や暗殺任務以外で、殺しはダメじゃと何度言ったらわかるんじゃ」
呆れた声でいうジルだった。

「殺気放つ奴がいたら殺していいって、アークが言っていた。 ここではダメなの?」

「ああ、ここではダメじゃ。」
再度念を押していうジルだった。

「アークは、一般常識を教えないで、何を教えとるんじゃ」
聞こえるか聞こえないかわからない声でボソッというジルだった。
ますます早急に一般常識を教えないといけないと強く決心するジルであった。

そんなことを考えながら、扉を開けて中に入ろうとすると、シュンが速攻帰ろうと振り向くのだった。
シュンの首根っこを捕まえたジルであった。

「我慢するのじゃ。 お主は儂の隣じゃ。 離してある」

そう言って、無理やりシュンを引きずりながら部屋へ入室するのだった。
既に到着している他の帝達は、わがままな子供を無理やりつれてくる親という図式の登場に苦笑いを浮かべていた。

シュンが速攻帰ろうとした理由は、ただ一つ。 女がいたからだ。 水帝が女なのである。 そのため、女嫌いのシュンは匂いを感知して帰ろうとしたのであった。


ジルとシュンが席に座ると、ジルが黒帝の紹介をしようとする。

が、「儂はこんなチビが帝など認めないぞ!」
土帝が罵しるのであった。
それを起点に、氷帝、水帝も騒ぎだすのだった。

あれ、俺ってチビなのか?と思いつつも、俺はただでさえ出たくない会議だ。
直ぐにでも転移して帰るつもりが、ジルが帰さないぞという形で、ずっとローブのすそを足で踏んでいた。 ジルも考えていたようだ。
仕方なく、俺は、誰にも気づかれないうちに防音結界を自分の周りにはった。 うん、静かになった。

一方、シュンがそんな事をしていると知らないジル、他帝達は、話かけても、罵っても全く答えないシュン。
そんなシュンに、周りはあきらめたのか会議はいろいろと進行しているようだった。
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