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1章:プロローグ

皇国の皇帝陛下の最愛の末っ子の1人

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儂は最愛の妻である正妃を亡くして、ルカスを手放した事を悔い、一時は無気力だった。
しかし、エルビィンの成長をみて、妻に似るエルビィンをいとおしく思い、徐々に気力を取り戻し今では日々政務にいそしんでいる。 嵐の日以外はだが。。

「お父様、お仕事中ですか?」って扉が少し開き、顔をのぞかせるエルビィン。
今は、重要な会議中だが、儂としては、エルビィンが訪ねてくるのが嬉しく、ついつい招きいれてしまいたくなる。
他の家来たちも、会議中であったとしても、儂が拒まない以上何もいわん。

「エルビィンか。 仕事中だが、入っておいで」って儂みずから迎え入れ、儂自身の膝の上にエルビィンを座らせる。 
エルビィンが2歳になってから、儂を訪ねてくると、ついつい、執務だろうが何だろうがしてしまう。

「お父様、今は何の仕事してるの?」ってエルビィンが聞いてきた。
「皇国のな作物が去年不作だったのだ。 民が税収を支払えず、食も困っておるという事で、一時的に国庫を開いて、配ったのだが、それも長くはもたん。 なので、他国の支援を求めるかどうか検討してるのだ。 エルビィンには難しいな」って儂はエルビィンの頭をなでながら言った。 去年の不作といったが、この数年不作が続いている。

「うん、僕わからない。 でも、税が支払えないなら、借金させればいいんだよ。 お兄様が利息つけて貸せばいいってってたよー。」ってエルビィンが屈託のない笑顔で言ってきた。
5歳の子供の発言とは思えない。 なんて、この子は優秀なんだ。
「エルビィン、それは危ういのだ。 不作が続くと、農民は生きていけぬ。」
「うーん、よく分からないけど、代わりの仕事とか? あ、お父様、僕ね魔法習って使えるようになったんだ。 ライトアローが使えるようになったから、お父様にもみせたいの」ってエルビィン。

「わかった。 後で見せてくれ。」って返事した儂だ。 それにしても、5歳でもう演唱魔法の初級が使えるとは、想定以上の成長だ。

その話を聞いていた、宰相、文官たちが、
「エルビィン殿下、さすが聖人様。 5歳で魔法がつかえるとは。」
「それに陛下、エルビィン殿下は神童ですな。 確かに、税が払えぬ民にはお金を貸し付けるという案はありかと。 過去10年の税収から見直せば、無理ない返済計画を提示することも可能です。」
「ふむ、そうか。 とりあえず、計画書を作ってくれ。」と言ってしまった。 確かに、過去を振り返れば、他国の援助なしにいけるかもしれぬ。 だが、不作が今年で歯止めが止まればの話だ。
「御意!」っていう家来。 計画書をみてからの判断としよう。 儂は儂で、エルビィンとの時間が大切だ。

「エルビィン、会議は終わりだ、さぁ我に魔法を見せてくれ」と言ってエルビィンを抱き上げた。
「わーい、お父様大好き」という言葉に、嬉しいそうに微笑むエルビィンは亡き妻の笑顔に似ている。

こうして、儂はエルビィンと一緒に家来たちを残して会議室をでていった。

一方、皇帝陛下とエルビィンが退出し、共に訓練場へ行く陛下と末の王子であるエルビィンの仲の良い姿をみる侍女たち。
「陛下もようやく立ち直れて」
「ええ、王妃を亡くされた時は、もう痛ましくて、私は声もかけられませんでしたわ。」
「エルビィン殿下のおかげで、陛下の笑顔が戻りましたわ」
「それにしても、あの裏切り者のゼバス。 1番陛下が辛い時に、側にいるはずの執事長が逃げ出すなんて!」
「噂だと、陛下の身近にあった金品を退職金とかいって持ち逃げしたようよ。」
「でも、陛下はお優しく。 ゼバスには、暇を与えて、金品も自らお渡ししたって。。」
「陛下のお優しい御心を仇でかえすとわ。」
「はいはい、妄想はそこまでよ。 仕事よ」 
「「はい、侍女長」」

宮廷の侍女達がこんな会話をしてるのをしらないのは皇帝陛下のみだった。
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