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1章:プロローグ

閑話:皇国の皇帝陛下の回想①

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「陛下、陛下」という執事の声で儂は、ふと我に返る。
今日は、外は嵐で、雷が降り注いでいる。

儂は、ついつい5年前の出来事を思い出す。
儂は正妃の事を心から愛していたが、正妃と結婚して5年経過しても、なかかな懐妊しない正妃。 
それを危惧した家来どもや、そして正妃の嘆願もあり儂は、側室を向かる事になった。
側室との間に子ができると、それを皮切りに第二・第三の側室を迎える事となり、結局側室たちとの間に2男、3女が生まれた。
それが、今から5年前、そして、正妃と結婚して15年目にして正妃が懐妊した。
もう、正妃の年齢も30歳。 あれは、儂が35歳の時だ。

~・~・~

あれは、嵐の晩、儂は、執務室でイライラしていた。
「まだ生まれぬのか!」
「陛下、落ち着いてください。」って言ったのは、その当時の儂の腹心の部下で心から信頼していた執事長のゼバス。
「うるさい。 ようやく我が正妃が子を産むんだぞ。 落ち着けん。 あやつに何かあったらって思うと、いてもたってもいられん。」

儂の愛する正妃が、今、産気づいて出産しようとしている。
しかしだ。

「儂は、正妃だけで良かったんだ。 それを周りがあやつを追い詰め。 今回の妊娠だって、もう高齢だ。。 儂は、流産でもよいと思ってるのに、あやつがどうしても儂との子を産みたいって。。」って儂は拳を握り、執務室の机をたたいた。 
どうか、正妃が無事である事だけが、儂の願い。

「陛下のお気持ちは、陛下の側にいる私 ゼバスがわかっております。 出産だけは、女性の領域。 我々、男どもは待つしかありません。」

「ゼバス、すまぬ。 取り乱した。 他の赤児の時は、ここまで動じることもなかったのにな。 儂も歳か。」

「何をおっしゃいますか。 まだ、35歳で。。 私は、陛下が20歳で即位したのを今でも覚えてますぞ。」

「あはは、そうだったのう。 末っ子の儂が、皇帝印を授かったな。」

という会話をしてると落雷がズドーンと宮殿の中庭におちる。
それからすぐに伝令で、「陛下、お生まれになりました!」

それを聞いて、ゼバスと急ぎ走る儂だった。
響きわたる落雷の音など聞かずに。。
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