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2章:邪神さがし

閑話 人間領にいる邪神

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シュン達が王都につく半年前に、既に王都の宿に停泊しているジョシュアとベリアルである。

ジョシュア様は、ベットでゴロゴロしているが嬉しそうです。 
あれだけベットでゴロゴロしないようにと言っても聞いてはくれず、結局このありさまです。
「ジョシュア様、わかってますか、明後日の試験に落ちたら、邪神城に帰りますよ」と告げます。
人間領の王都にある学園の入学試験が明後日です。 
「もう試験勉強はしてあるんだ。 やっと試験だ。 どんな奴がいるか楽しみなんだ」とルンルンです。
一応、勉強はしたらっしゃったみたいです。
「学科はいいとして、実技は気を付けてくださいよ」
「わかってるんだ。 神力つかわないし、制御つけてるんだ。 それに、1割未満でやればいいんだろ」
「そうです。 傭兵団の試験の時みたいに、骨折させてはダメですよ」と私は注意します。
「人間があんなに脆いとは知らなかったんだ。 もう、だいぶ力の制御も覚えた。 魔物も脆いのだ」といいながらゴロゴロしてる。
「この半年で約束通り人間らしくふるまえるようになったんだ」って偉そうにおっしゃってます。
実際、私の主ですから偉いのですが、人間らしく振舞えるようになったっていう点においてはまだ疑問があります。
「そうですね。大分力加減はできるようになったかと。 ただですね、人間に会って、男か女か聞くのはやめてくださいよ」
「なんでだ? 区別がわからんかったんだ」
「なんで、わからないんですか。 男は胸ないでしょ。 それに女はスカートはいているでしょ。」って私は呆れています。 半年前まで種族の区別ができてないジョシュア様でしたが、人間領に来てからか今度は男女の区別ができずほとほとこの半年間、はっきりいってジョシュア様の奇行に振り回されております。
「だが、スカートはいていない女もいたんだ。 でも、だいぶわかるようにはなったと思う」って最後自信なさげにおっしゃってます。
「宿屋の食堂で毎日ご飯たべたかいがありましたよ。 でも、女みて見境なく抱き着くのだけはやめてくださいよ」
「おやじがいい匂いで、やわらかいっていうから、確認したいんだ」と不貞腐れながらいっております。
「老人から子供までじゃ、変人扱いですよ。 絶対、明後日の試験でもやめてくださいよ」
「わかった。 じゃぁ、どうしたら抱き着いでいいんだ?」
「女性がいいといったらです。 だから、娼婦に行きましょうって言ったでしょ」
「いやだ。 肉体関係だけなんだろ。 俺は恋愛というのをしたいんだ」ってジョシュア様。


「そんな知識いつみにつけたんですか?」って私は呆れつつも聞きました。
「宿屋の女将から教えてもらったんだ。 女将が恋愛結婚だったって聞いたんだ。 恋愛ってなんだってきいたら、お互い好きになって、つきあうってことをして、手をつないで買い物したりとかするらしいんだ。 それで、半年ぐらいでキスってのして、1年か2年で身体をふれあって、結婚して初めて肉体関係になるっていってた。」
「じゃぁ、ジョシュア様はそのまま童貞のままでいいって事ですね」って私、恋愛たるものに妄想しているジョシュア様につっこみました。 なんせ、残りの滞在は長くてあと3年です。 そんな恋愛たるもをしても意味がないのですが、もう突っ込むの面倒になってきました。 

「なんだ、そのいいぐさは。 ベリアルだって同じだろ」
「私は違いますよ。 仕事で下界に降りる時に女性と関係もったりしますし、今も何人かいますよ」というと、ジョシュア様が枕をなげてきました。
「おまえ、そういうの不潔っていうんだ。 って女将がいってたんだ」
「あはは、ジョシュア様、結局まともに会話しているの宿屋の女将さんだけですよね」といって私は枕を投げ返しました。
「傭兵団の受付嬢の前では、まともに会話もできないですよね。 すぐ抱き着くくせに」って突っ込みました。
「うるさいぞ」って布団にもぐってしまいました。

まったくもって真面に女性とは話せないくせに、抱き着いてみたりと奇行に走るジョシュア様。 まぁ、この半年で少しは真面になったのですが、いまだに話せるのはこの宿の女将のみです。 学園で大丈夫なのか心配です。

「学園の試験合格したら、学園の寮ってとこに住むんだろ。 ベリアル、帰れ」って布団から顔を出して、また布団の中に潜ってしまいました。
「ジョシュア様が邪神城に戻るまでは一緒にいますからね」と宣言しておきます。 これだけは譲れませんから。 ほんと、何をしでかすかわかりません。
「たまには独りにないりたいんだ」って相変わらずです。
「独りになったら、何しでかすかわかりませんからね」
「人間のようにふるまえるようになってるんだ。 何をしでかすんだ。 したって、この世界はいずれ壊すんだからいいだろ」っておっしゃってます。 確かにその通りなんですよ。
「ここの世界の80年後です。 時期は決まってるんですよ。 だから、今、壊したら行けないんですよ。」
「なんでだ?」
「世界が崩壊する道筋をたてていかないと、他世界にも影響がでるからです。」って私は頭を抱えていいました。 邪神というお仕事の本質を忘れないでほしいです。
「あ、そうだった。 もういい、勝手にしろ」って言って、布団の中にまたもぐるジョシュア様です。

やっぱり、独りにさせるのは危険です。 
それよりも、早く邪神城に帰るように仕向けますが、なかなかもって目標達成してないっていうジョシュア様の一言でなかなかうまくいってません。 明後日の試験次第で、娼婦に無理にでもって力では私は到底かなわないので、本人が行くと言わないかぎり無理なのです。 正直ジョシュア様のお心次第なのです。
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