【白銀の黒帝：19】落下地点にいた少年

外伝１勇者登場

勇者、城下町を歩く

ジュールと共にあてもなく城下町を歩くユリウス。
オープンな店舗が多数あり、皆笑顔で商売をしている。　子供も数人のグループで買い物している。

ユリウスがいた世界では貧富の差が激しく、待ち中でスラムの子や、孤児院に捨てる子供を旅で良くみていた。

不思議に思い、ジュールに聞く事にした。
「ここの民は、孤児や浮浪者はいないのか？」

ジュールが不思議そうな顔をして首を傾ける。　しばらく考えて答えるのだった。
「あー。　孤児って感覚がなかったもんで。　ちょっと考えてしまったっす。　魔族は、繁殖力が低いってのもあって家族っていう概念がないんすよね。　俺も兄いますが、父親同じで母ちがうっすから。　夫婦って概念もないっちゃないっす。　誰が親かとか、兄弟かは魔力の質でわかるんすよ。　で、集落は共同で子育てするし、街の中だってなんだかんだ共同で育ててくんすよね。　なんで、孤児はいないっすね。」

「なるほど。　人間にはない感覚だな。」

「浮浪者とか非雇用とかは、いないっすよ。　職がなければ、斡旋しますし、隠居も周りが世話するのが当たり前なんすよね。　我々、平均寿命が2000年っすから。　長生きなんで、自給自足したり、子供だってお手伝いや何か労働すれば対価が出るんっすよ。　まぁ俺、福利厚生詳しくないんすが、現魔王様が制定したらしいっすけど、俺が生まれる前っすから」

「ジュールは幾つなんだ？　20代前半のようにもみえるが」

「俺っすか。やだな、まだまだ魔族の若輩者の824歳っす。　人間でいうと20代前半くらいっすね」

「はぁー、800歳でまだ若いって、なんかわけわからないな。　それにしても、現魔王は、賢王なんだな。　俺のいた世界は、貧富差が激しく、人種間の争いもあったりで争いばかりだ。」
そういいながら、城下町を歩いきながら途中の公園にあるベンチに座る。

子供達が遊んでる姿を見ているユリウスだ。

夕方になり、ユリウスはジュールの案内で王城の警備兵のいっていた宿舎に泊まることになった。