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第一章 愛証

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 王の長い指は構わず妖しげな蠢きを開始した。濃密な手淫で、王子の躯の中心にあるまだ稚い色をしたものを奮い発たせてゆく。滑らかな王の指にはたくさんの指輪が嵌まっていて、その金属の感触が温かい指とともに次々に花芯を襲う。

「んん………あん………!」

 乳首と花茎とを同時に、丹念に弄ばれて、ナシェルは全身が蕩けてしまいそうだった。
 まだ性的にも未成熟な躯だ。快感への耐性は薄く、勃ちはじめた其れは我慢ができずすぐにも放精してしまいそうになる。
 王は花茎の下にある双玉をも大きな掌に収めて刺激を与える。

「や…………あッ…………父上!」

 もう達してしまいそうになり、慌ててナシェルが両手で縋ったものは王のうなじを流れる黒髪だった。

「あ、あ、だめ、いや、イっちゃう」

 峠に達したい思いと、まだ達したくない思いと。王の髪をぐしゃぐしゃと掴み、頭を激しく振って喘ぐ。王は愛撫をやめて花茎の根元をきゅっと握りしめる。

「まだ達するには早い。もう少し我慢しなさい……」
「ああ―ッ………」

 ナシェルの躯が伸びあがり、激しくのたうった。放出を妨げられ、稚い顔が顰められる。

 
「髪を引っ張らないでくれ、痛いではないか………」

 冥王は苦笑混じりに窘め、ナシェルの汗ばんだ掌から髪を引き剥がした。そして充分に成長したナシェルの花茎から手を離すと、はぁ、はぁと切ない吐息をついている幼子を背中から抱え上げた。
 王は己の腹をナシェルの尻の下に入れるような形でナシェルの下に寝そべると、腹の上に向こうむきに跨ったまま肩を上下させている王子に、己の屹立を見せながら命じた。

「そのままうつ伏せになって、舌で舐って」
「え……ッ」

 ナシェルは己の姿を想像し耳まで赤くなった。父の弩形を口啜することへの羞恥に加えて、このまま上体を伏せれば、お尻を父の顔の前に晒すことになるのだ。口でするときはいつも、跪く姿勢を取らされるのが常だった。上に逆向きに乗っかってするなど、恥ずかしすぎる。

「命令だよ」
 大きな手がナシェルの太腿を掴んで無理矢理に己の側に引き寄せ、頭をぐっと向こう側へ押した。
「あ、」
 体勢を崩して父の下腹に手をついたナシェルは、目前に迫った昂ぶりの大きさに、己への愛慾を見せつけられる思いがした。

 尻をさらけ出すのには抵抗があったが、逆らえないことは判っていたし、自分も王を愛したい気持ちの方が勝った。

 観念して、抵抗を諦め王の躯の上に身を伏せる。
 王子はその可愛い唇で、王の美しい陽物に接吻した。
 舌で亀頭から胴までを幾重にもまんべんなく舐めあげ、唾液を口中に溜めてから王のそれを恭しく、含む。

 何度も懇懇と教え込まれた口技だった。
 抜き差しを始めると、じゅくじゅくと淫らな音が響き渡った。

 王は、ナシェルの小さな尻の向こうで頭が上下するたびに、己の屹立が刺激されていく行程をたっぷりと愉しんだ。まだ技は稚拙だが、一生懸命にやっている様は愛らしく、己のものがますます昂ぶってゆくのを感じる。
 そうしながら王は、顔の前で揺れているナシェルの臀部を掴み、双丘を割り開いてその奥に潜められていた秘蕾を無理矢理、外気に曝け出した。

「んッ…………ん!」

 王の逸物を咥えたままのナシェルが、尻の窄みを広げられていることに気づいて羞恥に身をよじるが、王は構わず己の頭を持ち上げて菫桃色の孔の周りをべろりと舐め廻した。

「! あああんッ」
 ナシェルは思わず、王の陽物から唇を離してしまう。

「まだ、止めていいとは云っておらぬぞ」
 王はお仕置きにと、ナシェルの柔らかい尻たぶを軽く抓った。
「ひ……あッ!……ご、御免なさい」

 ナシェルは慌てて、ふたたび王の勇ましい茎を呑みこんだ。喉奥まで鈴口を迎え入れる。唾液が唇の端から溢れて、王の屹立を伝い落ちてゆく。

 その間にも、王はナシェルの後孔への愛撫を再開する。
 熱い舌を後庭全体に這わせてから、狙いを定めたように舌先をすぼめ秘蕾の中へ割り入れる。

「!」

 ナシェルが、初めて感ずる快美に、王のものをしゃぶったままふうンふうンと切ない声を上げはじめた。
 指を入れられることはあっても、舌を使ってその中をほぐされたことは、まだなかったのだ。

 口取りと同時に後ろを責められているという恥ずかしさに、一層高ぶり、下肢がとろけてゆく。

 小さな、形よい容れ物の中を舌で押し開きながら、王はとうとうこの聖域を侵す時が来たと感慨にも似た思いを抱いていた。

 この日が来るのを、どれだけ待ち望んだことか。

 長い時間をかけてじっくりと教えこんできたおかげで、王子はほぼ快楽の虜になりかけている。

 だがこれまで己のゆるやかな、優しい教育はすべて、この日から始まる本当の意味での調教への、前段階だったのだ。そのために王はあらゆる前戯を駆使して王子を開花させつつ、王子の前では自身を我慢させつづけてきたのだ。

 しかも、躯の上で精一杯頑張りながら身悶えている王子は、今やっているこんな前戯が全てだと思っているらしい。まだこれから自分の身にもっと激しい衝撃が訪れることを、知らないのだ……。

 何も知らぬ聖子に身をもって己の愛証を体感させる………しかもその躯は己の分身ともいうべき存在なのだ。この行為を歓喜と呼ばずして何と呼ぼうか?

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