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遺体争奪編
お前だけは許さない
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「バリエンテ! 遅いぞ」
プロディエルが急に活き活きしだした。
「申し訳ありません」
バリエンテが生真面目に頭を下げている。
ウェルズは、剣を構えながらも状況を飲みこめずにいるようだ。
「奥義、完全解放」
メルクリウスの魔力が増大し、彼の前の魔力塊が勢いを失う。ナギサが目をやると、首を刎ねられた人間が崩れ落ちるのが見えた。
メルクリウスが視線を集めたのにも関わらず、ゆっくりとした動作で人間の首を拾う。髪を掴んで回転させ始めた。
「これは、乳飲み子のアラクネにも叛意あり、って思っていいんだよな。ベイビープロディエル?」
「誰が赤子だって?」
プロディルがメルクリウスを睨んだ。同時に、彼の傍にいるバリエンテがウェルズとナギサに意識を飛ばしてくる。
「奥義、完全解放」
プロディエルの背にも蜘蛛の脚が生えた。
「ママの言うこと聞いて、ボクちゃん魔王になれると思っちゃいまちたか?」
標的を定めたのか、メルクリウスが人を小ばかにした笑みを浮かべた。
くすくす、という笑いが翼人族の一部から漏れる。
「キサマ!」
顔を真っ赤にさせたプロディエルがメルクリウスに突撃を始めた。
メルクリウスが人間の首をウェルズの方へ投げる。
「これでアラクネに叛意ありで殺しても義兄上に許してもらえる!」
メルクリウスが低空を滑空する。プロディエルの脚による突きを躱して駆けあがると、糸をも躱しての上空からの切りつけ。プロディエルが上から二番目の脚で受け止めると、一番下の対で突きをうつ。翼を広げ、飛んでメルクリウスが躱す。翼をはためかせ、羽根による攻撃。プロディエルが蜘蛛の脚で器用に弾くが、いくつかが体に当たり、赤い線を描く。
「サグラーニイ様!」
バリエンテが一歩踏み出す。
貨物事吹き飛ばしながら、ナギサが尻尾を振った。
「その名を軽々しく使うな」
バリエンテが六本の脚で跳び、かわす。
「その男もその母親も、毛ほどの誇りすらもっていやしない!」
爪で斧を押し込む。最初は地面を裂きながらバリエンテを押し込めたが、やがてしっかりと止まる。
「怒りの割には軽い一撃だな」
バリエンテが斧を押し上げ、ナギサの腕を持ちあげる。
ナギサは腕を戻すと、尻尾を振るべく前足を自身の後ろ足の近くに置いた。バリエンテが距離を詰めてくる。炎を宿し、ナギサが尻尾を振るった。バリエンテに当たると、豪炎を立てて辺りを照らす。
「ふんっ」
バリエンテが斧を大きく振るった。炎が掻き消え、五体満足なバリエンテが露になる。
「四天王だか何だか知らないが、完全解放を使わずにこのバリエンテを討ち取れると思っているのか?」
「大した自信だな」
(力押しでは無理か)
この形態では勝つのが難しいのは確実で、問題はどれで行くか。
速度重視の雷獣か、一撃決殺の感知形態か、はたまた幻術か。完全解放を使うのか。
ナギサが近場の石を爪で弾き、炎を纏わせてバリエンテに飛ばす。簡単に斧で斬り伏せられた。
メルクリウスの方は、圧倒とまでは行かないまでも優勢に戦いを進めている。
ウェルズは、しっかりと見据えながら突撃して来た二十二人、今は一人減って二十一人を集め始めていた。
(ウェルズがどっちに着くかと言えば、アラクネに着いた方が勝った後を考えるといいか)
人間は敵に回るか。逃げるか。
こちらには利すまいと、ナギサは判断した。
「見事だウェルズ将軍」
ナギサは視線をウェルズに合わせて言った。
「アラクネを討ちたいと言っておきながら利用するとはな。お望み通り、完全解放を見せてやろう」
ウェルズにも行っていたバリエンテの注意がナギサに戻ってくる。
ナギサが口を開いたタイミングで、メゼスの魔力が近くで渦巻き、感じなれた魔力が現れる。
「四天王の完全解放なら俺でよくない?」
「ロルフ……」
よっす、と軽い調子でロルフが片手を挙げた。
「生きてたか」
バリエンテの警戒がロルフに移った。
「いや、流石に雑魚をぶつけられて死んだなんて思われるのは心外だなあ」
「解放、変化」
ナギサが感知形態に変化する。
かすかに鼻をくすぐる、アラクネの血の臭い。
ナギサが顔を顰めたのを見ていたのか、ロルフが悪戯っぽく笑った。
「この霧は嗅覚までは遮断していないからねえ。アラクネの死体を陛下への献上もしなきゃだけど、仲間との集合にも使っちゃった」
バリエンテの筋肉が恐ろしいほどに隆起する。
それを見ても、ロルフは何時ものへらへら笑いを浮かべていた。
「自分で捨て駒に使っておいてさ、怒るって言うのはないんじゃない?」
「捨て駒ではない!」
バリエンテが斧を振り上げた。完全解放状態のロルフが距離を零にする。
「仲間が死ぬ未来も見えなかったなら、上に立つ者として君は失格だ」
ロルフの蹴りをしっかりと受け止めて、バリエンテが斧を振り下ろす。
ロルフが大剣で受け止め、バリエンテの下半身を踏み台にして離脱した。
「本当に死んだかもわからない状況で、敵の言葉を鵜呑みにするほど愚かな行動はない」
ロルフを睨みながらバリエンテが言った。
着地の瞬間に糸が伸びる。魔力砲が弾く。
ナギサは人間の動静も探った。各部隊が斥候を放ったのか、数人ずつ集団から離脱してほぼここに来ている。メゼスと傀儡が足止めしている集団も、数はほとんど減っていない。
「彼我の実力差を見て、真偽の判断もできないような奴を大将の傍に置かなきゃいけないなんて、アラクネの質が知れるよ?」
ロルフの挑発。目は、バリエンテを向いてはいるが、声のベクトルはプロディエルに向かっている。
(陛下、サルンガをお貸しください)
やらなくてもいいと知りつつも、首の紐を掴んでナギサがセスに意思を伝えた。
黒い沼がナギサの下に展開される。地面なので夜の霧の中では気づかれなかったのか、誰も警戒をした様子はない。
糸が結びついたまま太陽の弓が出てきた。受け取ると、ウェルズとバリエンテとメルクリウスがこちらを見た。メルクリウスはそのままプロディエルを吹き飛ばし、上空の翼人族が矢を射た。バリエンテは相変わらずロルフの攻撃を受け止めつつも、主の危機に駆けだす。
ナギサはサルンガの弦に矢の羽根を当てた。狙いはプロディエル。
魔力が集い、矢を中心に炎が渦巻く。ナギサの髪が暴れ、彼女の周りのメゼスの霧を炎が食い散らかした。
ナギサは息を吐いて、感覚の全てをプロディエルとバリエンテに集中する。
魔力の方向は上、上、上。降り注ぐ矢に合わせており、プロディエル側にこれ以上割く余裕はない。
次に上空。三、四人で組んでいるのか、人間側への攻撃を取りやめて全てを二人に集中している。リズムはあるが、繋ぎ目はなく。威力よりも速度重視。
閉じた口の中で、舌を細かく動かし翼人族の攻撃のタイミングを掴む。バリエンテの魔力の強弱、足の動き。鼓動。
「メゼス、動け」
ナギサ自身が自分の声を遠くに感じながら、弓を引いた。
渦巻いていた炎が消え去るように収束し、ナギサの魔力が凪ぐ。無音。何もなく。ただ静寂が広がる。潮騒のリズム一つ、鼓動一つ、髪の毛一つ、筋原線維一つの動きさえわかるような感覚が訪れ、最もバリエンテの動きに力が入らないタイミングで、プロディエルに向けて矢を放った。音を置いて、衝突する。眩い黄色い炎の球体がアラクネを包んだ。翼人族の攻撃が球体に当たる前に消え、止む。炎に紛れる肉を焦がす音。
次いで来る大きすぎるプロディエルの心音、息、金属音、潮騒、風の音、赤子の鳴き声、百を超える翼音、千単位の足音、死臭、焦げ、汗の臭い、肌を攻める風の感触、魔力のうねり、話し声、自身のうちから聞こえる鼓動という名の爆音。
「解放、解除」
ナギサが人間態に戻ることで、彼女を襲ったそれらの感覚が消える。
プロディエルが急に活き活きしだした。
「申し訳ありません」
バリエンテが生真面目に頭を下げている。
ウェルズは、剣を構えながらも状況を飲みこめずにいるようだ。
「奥義、完全解放」
メルクリウスの魔力が増大し、彼の前の魔力塊が勢いを失う。ナギサが目をやると、首を刎ねられた人間が崩れ落ちるのが見えた。
メルクリウスが視線を集めたのにも関わらず、ゆっくりとした動作で人間の首を拾う。髪を掴んで回転させ始めた。
「これは、乳飲み子のアラクネにも叛意あり、って思っていいんだよな。ベイビープロディエル?」
「誰が赤子だって?」
プロディルがメルクリウスを睨んだ。同時に、彼の傍にいるバリエンテがウェルズとナギサに意識を飛ばしてくる。
「奥義、完全解放」
プロディエルの背にも蜘蛛の脚が生えた。
「ママの言うこと聞いて、ボクちゃん魔王になれると思っちゃいまちたか?」
標的を定めたのか、メルクリウスが人を小ばかにした笑みを浮かべた。
くすくす、という笑いが翼人族の一部から漏れる。
「キサマ!」
顔を真っ赤にさせたプロディエルがメルクリウスに突撃を始めた。
メルクリウスが人間の首をウェルズの方へ投げる。
「これでアラクネに叛意ありで殺しても義兄上に許してもらえる!」
メルクリウスが低空を滑空する。プロディエルの脚による突きを躱して駆けあがると、糸をも躱しての上空からの切りつけ。プロディエルが上から二番目の脚で受け止めると、一番下の対で突きをうつ。翼を広げ、飛んでメルクリウスが躱す。翼をはためかせ、羽根による攻撃。プロディエルが蜘蛛の脚で器用に弾くが、いくつかが体に当たり、赤い線を描く。
「サグラーニイ様!」
バリエンテが一歩踏み出す。
貨物事吹き飛ばしながら、ナギサが尻尾を振った。
「その名を軽々しく使うな」
バリエンテが六本の脚で跳び、かわす。
「その男もその母親も、毛ほどの誇りすらもっていやしない!」
爪で斧を押し込む。最初は地面を裂きながらバリエンテを押し込めたが、やがてしっかりと止まる。
「怒りの割には軽い一撃だな」
バリエンテが斧を押し上げ、ナギサの腕を持ちあげる。
ナギサは腕を戻すと、尻尾を振るべく前足を自身の後ろ足の近くに置いた。バリエンテが距離を詰めてくる。炎を宿し、ナギサが尻尾を振るった。バリエンテに当たると、豪炎を立てて辺りを照らす。
「ふんっ」
バリエンテが斧を大きく振るった。炎が掻き消え、五体満足なバリエンテが露になる。
「四天王だか何だか知らないが、完全解放を使わずにこのバリエンテを討ち取れると思っているのか?」
「大した自信だな」
(力押しでは無理か)
この形態では勝つのが難しいのは確実で、問題はどれで行くか。
速度重視の雷獣か、一撃決殺の感知形態か、はたまた幻術か。完全解放を使うのか。
ナギサが近場の石を爪で弾き、炎を纏わせてバリエンテに飛ばす。簡単に斧で斬り伏せられた。
メルクリウスの方は、圧倒とまでは行かないまでも優勢に戦いを進めている。
ウェルズは、しっかりと見据えながら突撃して来た二十二人、今は一人減って二十一人を集め始めていた。
(ウェルズがどっちに着くかと言えば、アラクネに着いた方が勝った後を考えるといいか)
人間は敵に回るか。逃げるか。
こちらには利すまいと、ナギサは判断した。
「見事だウェルズ将軍」
ナギサは視線をウェルズに合わせて言った。
「アラクネを討ちたいと言っておきながら利用するとはな。お望み通り、完全解放を見せてやろう」
ウェルズにも行っていたバリエンテの注意がナギサに戻ってくる。
ナギサが口を開いたタイミングで、メゼスの魔力が近くで渦巻き、感じなれた魔力が現れる。
「四天王の完全解放なら俺でよくない?」
「ロルフ……」
よっす、と軽い調子でロルフが片手を挙げた。
「生きてたか」
バリエンテの警戒がロルフに移った。
「いや、流石に雑魚をぶつけられて死んだなんて思われるのは心外だなあ」
「解放、変化」
ナギサが感知形態に変化する。
かすかに鼻をくすぐる、アラクネの血の臭い。
ナギサが顔を顰めたのを見ていたのか、ロルフが悪戯っぽく笑った。
「この霧は嗅覚までは遮断していないからねえ。アラクネの死体を陛下への献上もしなきゃだけど、仲間との集合にも使っちゃった」
バリエンテの筋肉が恐ろしいほどに隆起する。
それを見ても、ロルフは何時ものへらへら笑いを浮かべていた。
「自分で捨て駒に使っておいてさ、怒るって言うのはないんじゃない?」
「捨て駒ではない!」
バリエンテが斧を振り上げた。完全解放状態のロルフが距離を零にする。
「仲間が死ぬ未来も見えなかったなら、上に立つ者として君は失格だ」
ロルフの蹴りをしっかりと受け止めて、バリエンテが斧を振り下ろす。
ロルフが大剣で受け止め、バリエンテの下半身を踏み台にして離脱した。
「本当に死んだかもわからない状況で、敵の言葉を鵜呑みにするほど愚かな行動はない」
ロルフを睨みながらバリエンテが言った。
着地の瞬間に糸が伸びる。魔力砲が弾く。
ナギサは人間の動静も探った。各部隊が斥候を放ったのか、数人ずつ集団から離脱してほぼここに来ている。メゼスと傀儡が足止めしている集団も、数はほとんど減っていない。
「彼我の実力差を見て、真偽の判断もできないような奴を大将の傍に置かなきゃいけないなんて、アラクネの質が知れるよ?」
ロルフの挑発。目は、バリエンテを向いてはいるが、声のベクトルはプロディエルに向かっている。
(陛下、サルンガをお貸しください)
やらなくてもいいと知りつつも、首の紐を掴んでナギサがセスに意思を伝えた。
黒い沼がナギサの下に展開される。地面なので夜の霧の中では気づかれなかったのか、誰も警戒をした様子はない。
糸が結びついたまま太陽の弓が出てきた。受け取ると、ウェルズとバリエンテとメルクリウスがこちらを見た。メルクリウスはそのままプロディエルを吹き飛ばし、上空の翼人族が矢を射た。バリエンテは相変わらずロルフの攻撃を受け止めつつも、主の危機に駆けだす。
ナギサはサルンガの弦に矢の羽根を当てた。狙いはプロディエル。
魔力が集い、矢を中心に炎が渦巻く。ナギサの髪が暴れ、彼女の周りのメゼスの霧を炎が食い散らかした。
ナギサは息を吐いて、感覚の全てをプロディエルとバリエンテに集中する。
魔力の方向は上、上、上。降り注ぐ矢に合わせており、プロディエル側にこれ以上割く余裕はない。
次に上空。三、四人で組んでいるのか、人間側への攻撃を取りやめて全てを二人に集中している。リズムはあるが、繋ぎ目はなく。威力よりも速度重視。
閉じた口の中で、舌を細かく動かし翼人族の攻撃のタイミングを掴む。バリエンテの魔力の強弱、足の動き。鼓動。
「メゼス、動け」
ナギサ自身が自分の声を遠くに感じながら、弓を引いた。
渦巻いていた炎が消え去るように収束し、ナギサの魔力が凪ぐ。無音。何もなく。ただ静寂が広がる。潮騒のリズム一つ、鼓動一つ、髪の毛一つ、筋原線維一つの動きさえわかるような感覚が訪れ、最もバリエンテの動きに力が入らないタイミングで、プロディエルに向けて矢を放った。音を置いて、衝突する。眩い黄色い炎の球体がアラクネを包んだ。翼人族の攻撃が球体に当たる前に消え、止む。炎に紛れる肉を焦がす音。
次いで来る大きすぎるプロディエルの心音、息、金属音、潮騒、風の音、赤子の鳴き声、百を超える翼音、千単位の足音、死臭、焦げ、汗の臭い、肌を攻める風の感触、魔力のうねり、話し声、自身のうちから聞こえる鼓動という名の爆音。
「解放、解除」
ナギサが人間態に戻ることで、彼女を襲ったそれらの感覚が消える。
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