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第二十二話 闇照らす黄金の太陽

いざ迎賓館へ

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「え⁉︎」
 ナガレもそちらを見ると……なんと人が暗い影に潜んでいた。よく見ると黒いシャツ黒いスラックスで黒いベストを着た女性だ。膨らみの少ないスレンダーな体型で、ナガレと目が合うと親指を立てたグーサインで返事してくれる。
 髪は黒い帽子で見えなくて、口もジョーと同じく黒いマスクで分からない。唯一黒い目と若干日焼けした肌のみが見えた。……が、瞬きする間に姿を消してしまう。
「あの方はオギンさん。私をずっと影ながら護衛してくれているんです。なるべくバレないように、目立たないように。私ですら、時々どこにいるのか分からなくなっちゃいます」
「なんだって⁉︎ そ、それいつから⁉︎」
「実は私が初めてバッファローへ来た時からいたんですけど……気づきませんでした?」
「ま、マジですか……」
 あんなことやこんなことも、全て見られていたようだ。
 呆気に取られるナガレを横目に、ジョーは落ちていた木の棒を拾い上げた。気になったのか、レンとアルクルも横から覗き込む。
「……これはダーツの弾か」
「ダーツっていやあ、小さな矢みたいな弾を手で投げて、狙ったところに当てるって遊びだな」
「……これで打ち落としたのか。やるな」
 ジョーは内心で舌を巻く。ダーツで木の棒を打ち落とすのはとても難しい。狙いをつけにくいのはもちろんだが力加減も重要だ。レンは全力で木の棒を投げたため、生半可なダーツなど弾いてしまう。かといって勢いが強すぎたら、木の棒はその場でパキン! と炸裂し、破片がサキミに当たったかもしれない。
「……その上、この俺が気配に全く気が付かなかった。……あんな化け物に護衛されていたとは。奴は何者なんだ」
「……そんなのどうだっていいのじゃ」
「拗ねるなよ、マスター」

 と言うわけで道を歩いていき、街の反対側まで来た。美しい湖のほとりにある場所だ。ナガレたちがたどり着いたのは……。

「うわぁ……!」
「すげぇ豪邸だ~!」
「まるでお城ですね!」
 白い壁と青い屋根が美しい大豪邸だった。見上げるほど高い建物に、ピカピカのガラス窓がたくさんある。
「ここどこ? サキミの家?」
「いえ、ここはタイガスの迎賓館です」
「ゲーヒンカン?」
 ピンときていないナガレに、サニーが説明してくれた。
「迎賓館とは、政府の重役や著名人……要するにお金持ちで有名な人のためにタイガスが用意したホテルみたいなものです。そういった方々に楽しんで帰ってもらえれば、街としてもプラスになりますからね」
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