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第二十一話 髑髏の龍と禁忌の龍
離脱
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「……な、ナガレッ! 聞こえるか!」
「じ、ジョー!? どどどっどどうしよう!」
ジョーの叫びにナガレは視線を上げる。ジョーはまるでコアラのように、必死にツノへしがみついている。
ちょうど湖の真上で逃げ惑うキメラドラゴンは相変わらず暴れている……。
「……や、やはりスカルドラゴンはこいつを狙っていたらしい。だからこいつを倒せば、す、スカルドラゴンも去っていくはずだ!」
殺意マシマシで追跡してくるスカルドラゴン。それを見ればこの街に来た理由は明らかだ。
「……だ、だが俺のネックスラッシュは、効かなかった! な、何かの魔法攻撃は、き、効くかもしれない」
ビュウウウウ……ゴォォォッ!
絶え間なく通り過ぎていく火球や風を切る音がうるさい。ジョーが全力で叫んでやっと聞き取れるほどだ。
「……な、ナガレ! 何か……何か持ってないか!」
「魔法攻撃ならケンガとフローレンスが……」
そう叫び返したが、後方からすぐ返事が返って来た。
「ま、任せろ! 魔法なら、お、俺様に……」
拳に青白い氷を纏うケンガ。彼の必殺パンチなら効果があるかもしれない!
……だが、これがマズかった。
パキパキパキッ……つるっ!
「……あ」
必死で翼にしがみついていたのに、腕に氷を纏わせたらたまらない。氷がツルっと滑って、手が離れてしまった。
「うぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
「け……ケンガぁぁぁぁぁーーーーっ!」
ナガレが手を伸ばしても、当然届くわけがない。ケンガは悲鳴を上げながら落下していく……。
「こ、こうなったら私が! モーニングスターに魔力を宿して直接ぶん殴れば!」
フローレンスが鉄球を出そうとしたが、手が滑って鉄球が離れた。だが鎖でつながれている以上問題ない。……と思ったが。
ギュンギュンギュンッ……グイッ!!
鉄球はキメラドラゴンのスピードに置いて行かれ、引きずられるように空中で止まる。一気に重量が増し、逆にフローレンスが引っ張られてしまった。
「え? ……な、ナガレさぁぁぁぁぁぁぁーーーーんっ!」
体が離れ、二人目の離脱者が! ナガレの視界内でフローレンスの体がみるみる小さくなっていき……。
ドッパァーーーーン!
先に落ちたケンガも合わせて、湖に二つの水しぶきが舞った。
「ケンガっ! フローレンスっ!」
「……ナガレ! アイツらならきっと大丈夫だ。俺たちが今やるべきことは何だ!」
悲痛な叫びをあげるケンガ。だがジョーに叱咤されハッとした。
「く……ジョー! オレのマルチスタッフには魔法石がハマっている。それを使えば……!」
「じ、ジョー!? どどどっどどうしよう!」
ジョーの叫びにナガレは視線を上げる。ジョーはまるでコアラのように、必死にツノへしがみついている。
ちょうど湖の真上で逃げ惑うキメラドラゴンは相変わらず暴れている……。
「……や、やはりスカルドラゴンはこいつを狙っていたらしい。だからこいつを倒せば、す、スカルドラゴンも去っていくはずだ!」
殺意マシマシで追跡してくるスカルドラゴン。それを見ればこの街に来た理由は明らかだ。
「……だ、だが俺のネックスラッシュは、効かなかった! な、何かの魔法攻撃は、き、効くかもしれない」
ビュウウウウ……ゴォォォッ!
絶え間なく通り過ぎていく火球や風を切る音がうるさい。ジョーが全力で叫んでやっと聞き取れるほどだ。
「……な、ナガレ! 何か……何か持ってないか!」
「魔法攻撃ならケンガとフローレンスが……」
そう叫び返したが、後方からすぐ返事が返って来た。
「ま、任せろ! 魔法なら、お、俺様に……」
拳に青白い氷を纏うケンガ。彼の必殺パンチなら効果があるかもしれない!
……だが、これがマズかった。
パキパキパキッ……つるっ!
「……あ」
必死で翼にしがみついていたのに、腕に氷を纏わせたらたまらない。氷がツルっと滑って、手が離れてしまった。
「うぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
「け……ケンガぁぁぁぁぁーーーーっ!」
ナガレが手を伸ばしても、当然届くわけがない。ケンガは悲鳴を上げながら落下していく……。
「こ、こうなったら私が! モーニングスターに魔力を宿して直接ぶん殴れば!」
フローレンスが鉄球を出そうとしたが、手が滑って鉄球が離れた。だが鎖でつながれている以上問題ない。……と思ったが。
ギュンギュンギュンッ……グイッ!!
鉄球はキメラドラゴンのスピードに置いて行かれ、引きずられるように空中で止まる。一気に重量が増し、逆にフローレンスが引っ張られてしまった。
「え? ……な、ナガレさぁぁぁぁぁぁぁーーーーんっ!」
体が離れ、二人目の離脱者が! ナガレの視界内でフローレンスの体がみるみる小さくなっていき……。
ドッパァーーーーン!
先に落ちたケンガも合わせて、湖に二つの水しぶきが舞った。
「ケンガっ! フローレンスっ!」
「……ナガレ! アイツらならきっと大丈夫だ。俺たちが今やるべきことは何だ!」
悲痛な叫びをあげるケンガ。だがジョーに叱咤されハッとした。
「く……ジョー! オレのマルチスタッフには魔法石がハマっている。それを使えば……!」
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