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第二十一話 髑髏の龍と禁忌の龍
タイガスの秘密兵器
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(ナガレさん、こちらはそう長く持ちません……どうか早く、ヤツを止めてください……!)
心中でそう祈りつつ、サニーもまたスカルドラゴンへ向かっていった。本気で潰しにかかられたら自分たち冒険者はおろか、この街など一瞬で消えてしまう……。
~☆~☆~☆~☆~☆~
その頃ナガレたちも、一生懸命に準備していた。
空中の謎のモンスターは、時々地を這う蛇のようにクネクネ動きつつ、おんなじような場所を滑空している。まるでこちらを挑発しているような動作だった。
「配備急げ!」
「ほ、本当に撃つんですか⁉︎ これの弾丸はオーダーメイドでめっちゃ高いですよ!」
「街の命運には変えられない! 急げっ!」
兵器の運用コストを考え戦慄する警備兵と、それを叱咤して準備を進める青年兵士。
そしてナガレたちを加えた数人の兵士が必死に組み立てているのは…….。
「まさかこんなバリスタがあったとは……俺様も初めて見たぞ」
「こ、これバリスタなんですか⁉︎ 神話のナニじゃなくって⁉︎」
それは設置タイプの攻城兵器バリスタ! ナガレが特訓で時々使っている、虫も殺せないチャチなオンボロ兵器とはワケが違う。
身の丈を超えるような大きさで、縦に組んだ鉄製の骨組みだけでも二メートルはある。横も当然大きく、防護壁上通路をそのまま塞いでしまうほどだ。
「ジョー! 距離計算はまだか!」
「……今、終わった」
ジョーは望遠鏡を二つ使って双眼鏡代わりにして、標的の距離を測ってくれている。双眼鏡だけでどうやって測っているのかナガレには分からないが、今はジョーの器用さを信じるしかない!
「そっか! こっちも……んぎぎっ……そろそろ終わるっ!」
灰色の鋼鉄で作られた巨大な弩。しめ縄のように分厚い弦は『サービュラ』という極めて頑丈な木材を繊維として細かく分解して、縄のように練った物だ。
「せぇのーっ!」
「えぇいっ!」「どりゃあっ!」
数人がかりで、角度調節用のギアを取り付ける。そうして組み立てられたのは、黒光りする鋼鉄の三メートル級攻城戦用バリスタだった。荘厳な鉄の塊が鎮座する光景は、現代兵器にも引けを取らないインパクトがある。
「うわぁ……!」
見上げすぎてドサッと尻餅をつくナガレ。
「こ、こんなの人間が運用できるんですか……⁉︎」
「ま、まるで神話だ……こんな大きさの武器があったなんて……!」
フローレンスとケンガも驚きを隠せていない。
「イッチニ!」「イッチニ!」「イッチニ!」
……と、外壁上通路の反対側から警備兵たちの元気な声が聞こえて来た。
心中でそう祈りつつ、サニーもまたスカルドラゴンへ向かっていった。本気で潰しにかかられたら自分たち冒険者はおろか、この街など一瞬で消えてしまう……。
~☆~☆~☆~☆~☆~
その頃ナガレたちも、一生懸命に準備していた。
空中の謎のモンスターは、時々地を這う蛇のようにクネクネ動きつつ、おんなじような場所を滑空している。まるでこちらを挑発しているような動作だった。
「配備急げ!」
「ほ、本当に撃つんですか⁉︎ これの弾丸はオーダーメイドでめっちゃ高いですよ!」
「街の命運には変えられない! 急げっ!」
兵器の運用コストを考え戦慄する警備兵と、それを叱咤して準備を進める青年兵士。
そしてナガレたちを加えた数人の兵士が必死に組み立てているのは…….。
「まさかこんなバリスタがあったとは……俺様も初めて見たぞ」
「こ、これバリスタなんですか⁉︎ 神話のナニじゃなくって⁉︎」
それは設置タイプの攻城兵器バリスタ! ナガレが特訓で時々使っている、虫も殺せないチャチなオンボロ兵器とはワケが違う。
身の丈を超えるような大きさで、縦に組んだ鉄製の骨組みだけでも二メートルはある。横も当然大きく、防護壁上通路をそのまま塞いでしまうほどだ。
「ジョー! 距離計算はまだか!」
「……今、終わった」
ジョーは望遠鏡を二つ使って双眼鏡代わりにして、標的の距離を測ってくれている。双眼鏡だけでどうやって測っているのかナガレには分からないが、今はジョーの器用さを信じるしかない!
「そっか! こっちも……んぎぎっ……そろそろ終わるっ!」
灰色の鋼鉄で作られた巨大な弩。しめ縄のように分厚い弦は『サービュラ』という極めて頑丈な木材を繊維として細かく分解して、縄のように練った物だ。
「せぇのーっ!」
「えぇいっ!」「どりゃあっ!」
数人がかりで、角度調節用のギアを取り付ける。そうして組み立てられたのは、黒光りする鋼鉄の三メートル級攻城戦用バリスタだった。荘厳な鉄の塊が鎮座する光景は、現代兵器にも引けを取らないインパクトがある。
「うわぁ……!」
見上げすぎてドサッと尻餅をつくナガレ。
「こ、こんなの人間が運用できるんですか……⁉︎」
「ま、まるで神話だ……こんな大きさの武器があったなんて……!」
フローレンスとケンガも驚きを隠せていない。
「イッチニ!」「イッチニ!」「イッチニ!」
……と、外壁上通路の反対側から警備兵たちの元気な声が聞こえて来た。
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