崩壊寸前のどん底冒険者ギルドに加入したオレ、解散の危機だろうと仲間と共に友情努力勝利で成り上がり

第二十一話 髑髏の龍と禁忌の龍

ナガレ・ウエストの逃走⁉︎

　他のみんなはすでに、スカルドラゴンに備えて身構えていた。だがジョーはナガレの様子に気づいて近寄って来る。
「……ナガレ。俺はヤツを調べて見る。一旦離脱するぞ」
「！　じ、ジョー……」
「心配するな。お前たちはそんなにヤワな冒険者じゃない。たとえＺ級のスカルドラゴンだとしても……」
　ギギギーッ……と音を立てて、門が閉じられていく。クリフはすでに背を向けて、内側の梯子から防護壁の上へ登りはじめたところだった。


　まさに門が閉じられるその瞬間！
「ジョー！　それなら……」
「……え？」
「オレも一緒に行くっ！」
　ダンッ！
「なっ⁉︎」
　突然ナガレが向きを百八十度回転させ、そのまま鉄門の隙間へ飛び込んだ！　
「え⁉︎」「ファッ⁉︎」「う、嘘～っ⁉︎」
　突然のことにタネツたちも反応できない。
「……くっ、急なヤツめ……！」
　急いでジョーも風のように動き、鉄の門へ飛び込んだ。……だが、彼の他にも反応できた者が二人いた。

「ナガレさぁん⁉︎」
「ナガレぇっ⁉︎」
　そう、フローレンスとケンガだ！　ナガレが動いたのを見て咄嗟に後に続いて駆け出した。だが門は今まさにピッタリ閉じられようとしている！
「「たぁーーーーっ！」」
　ダッッ！　ズザザザザーッ……！
　門の僅かな隙間へ、二人同時にヘッドスライディング！　
「あ！　お、おいケンガ！　フローレンスまで⁉︎」
「た、タネツ！　私たちも……」
　ギギギ……ガシャンッ！
　急いで後を追おうとしたタネツたち。だが、彼らの目の前で無情にも門が閉じられてしまう。
「カンカカカカカッ！　カココココッ！」
　それと同時に、背後からスカルドラゴンのクラッキング音が聞こえた！(クラッキングについては第一話参照)
「来るわよタネツ～！」
「くそ、信じるしかねえか……！」
　来たるべき戦いに備え、タネツたちも武器を構えた。

「ふぅ、危なかった……ぐぎゃっ⁉︎」
　ドサァッ！
「いてて、危うく門に挟まれてペチャンコにされるとこだったな……」
　立ちあがろうとしたフローレンスだが、直後飛び込んできたケンガの下敷きになってしまった。
「乗らないで下さいよケンガ！　どうせ乗られるならナガレさんが良いですっ！」
「んなもん知るか！　お前の筋肉がありゃ俺様なんて軽いだろ！　ケチケチすんじゃねー！」
　早速口喧嘩に発生しそうになったが、二人同時に前を向いて気づいた。ナガレは既に街の東側へ走っている。ジョーも一緒だ！
「いけねえ、置いてかれる！」
「だから早く降りて……ぐげがぎご！」
　ダッダッダッ！
　ケンガが素早く立ち上がって走り出す。……フローレンスの背中の上で。踏んづけられても素早く立ち上がり、彼女もまた走り出した。
「ああもう、後でシバキ倒しますから！　覚えとけよわむしケンガァッ！」