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第二十一話 髑髏の龍と禁忌の龍

サニーの武器選び

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「冒険者のみなさん、らっしゃいらっしゃい! 頑丈な防具、ミラグアナ地方から持ってきたぞ~!」
「ウチでは長剣を取り扱ってるよ! いろんな属性の剣があるよ~!」
「魔法の杖やアイテムならぜひこちらへ! 攻撃・支援・回復の武器がなんでも揃っちゃうわよ!」
 そうして次は武器・防具のエリアにやってきた。道ゆく人はイカつい男性に綺麗な美女にロリショタにイケオジにとさまざまだが、おそらくほぼ全員冒険者だ。一般市民との気配の違いはナガレにも分かる。
 ……別に鎧を着ているわけではないので、ナガレは一層浮いていた。
「ヘイヘイ! そこの白髪のカノジョ! 鎧なんて着ちゃって~今からクエストなら、そこのちんちくりん幼女なんかほっといてオレたちと行かない?」
 チャラそうな冒険者に声をかけられても、ナガレはグッと堪えて無視する。ああいうナンパが嫌なら無視に限る。
「……今オレがズボンとパンツ下ろして見せつけたら、あいつらどんな反応するかな」
「やめとけナガレ君っ! アイツらは逃げると思うが、多分別の奴らを呼び寄せるぞ!」
「……おや、ナガレさん。マスターも」
「ん? その声は、サニー?」
 ここで聞き慣れた声に呼ばれた。そちらを向くと、茶色いレザーアーマーの上にギリースーツ……ではなく黒いマントをつけたサニーがいる。
「ナガレさん。お買い物の途中ですか? 私は武器を見ているんです」
「へぇ~、マジメだなぁ。何かいい武器は見つかった?」
 ナガレの問いにサニーはニコッと笑う。
「ええ。武器を買ったわけではありませんが、エルドラサーベルの装飾品を購入したんです。流石にこの場で武器を抜くわけには行きませんので、後でお見せしますよ」
 いくら武器の屋台が多い通路だろうと、こんなところでいきなり剣を抜いたら修羅場になってしまう。サニーの買った装飾品のお披露目はまた今度になりそうだ。

「そうそう、実はナガレさんにも一つプレゼントがあるんです」
「え、オレに?」
「なんじゃなんじゃ?」
 サニーは肩にかけていたバッグを上げて、そこから何か入った紙袋を手渡した。
「あ、ありがとうサニー。開けてもいい?」
「はい、どうぞ」
 レンが見つめる中で紙袋を開けると、そこには綺麗な新品の小さなナイフが入っていた。片刃で分厚い頑丈そうなタイプだが、刃が鉄の銀色ではなく白色だった。鞘や柄には十字架の装飾がある。
「へぇ、綺麗なナイフだな。ありがとう!」
「良かったのぅナガレ君。……じゃが、なんで急にナイフを?」
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