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第二十一話 髑髏の龍と禁忌の龍
食べ歩き
しおりを挟むさて、ナガレとレンは二人並んで色々な屋台を回っていた。
「うぉ! このアイス、めっちゃ伸びるぞ!」
「またまたぁ、アイスが伸びるわけ……うわホントじゃ!」
「こっちはなんだ⁉︎ 透明な紙に野菜とか肉が挟まってる!」
「それは『ハルマキ』という料理じゃ。ミラグアナ地方諸島部のご当地料理じゃな」
「これはなんですかマスター! お米の色が茶色っぽくて、キノコとかニンジンが入ってます! しかもお皿が葉っぱです!」
「それは『ちまき』じゃな。炊き込みご飯を笹の葉で包んだ……」
「こ、この白い麺はなんですか! ラーメンと思ったらなんかダシが効いた味ですよ!」
「それは『うどん』という麺類じゃ。コウヨウ地方の郷土料理で……」
「こ、これ! ちっちゃい鶏肉が串に数個刺されてます! あ、ソースみたいなのかけましたよ!」
「それは『焼き鳥』じゃな。……いやそれくらいは知っとるじゃろ! ……ん、このパンなんじゃ? ……おお、中に肉とかゆで卵が入っとるぞ!」
「ああ、そりゃピロシキっていうパンですよ。コナキ地方で良く食べられてる美味しいご飯です」
そんな感じでなんやかんやナガレとレンも楽しんでいた。イヤイヤだったのは最初だけで、なんだか気分がウキウキしてきた。
「マスター! あそこにスカーフ屋さんがありますよ!」
「おお、スナァーバのシルクじゃな。あんな砂漠の地方からはるばるよう来たわい……」
そうしてナガレとレンがぶらぶら歩いて見つけたのはスカーフの露天。網目状の壁にカラフルなスカーフが掛けられている。
ちなみにスナァーバというのは都市の名前。黄金の大砂漠が広がるデクネク地方で最も大きく発展した巨大な街だ。かつて英華を誇った王朝がそのままロードバッツ共和国へ参入し、街を自治している。
店主は黒い肌で濃い顔のお姉さんだった。
「いらっしゃイ~。スナァーバ製のハイブランド・シルクのスカーフだネ~」
「やっぱりデクネク地方の言葉には訛りがあるのぅ」
「でも良さそうですね。緑色のスカーフあるかな……」
「オゥ! そこの褐色肌のオネーサン、緑のマフラーつけてるネ。お似合いだけど夏は暑くなイ? シルクのスカーフ、夏でも涼しいオシャレアイテムだヨ~」
「オレは男だよっ! ……でも結構安いなぁ。これホントに高級品なの?」
ナガレは首を傾げる。レンもその辺にあった紫色のスカーフの値札を見てみた。
「……二十ダラーじゃと? ふうむ、ちょっと変じゃな。スナァーバのシルクとなれば一つで百ダラーを超える高級品じゃが……」
すると店主のお姉さんは「それは訳アリなのネー」と口を挟んできた。
「え、どういうことですか?」
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