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第二十一話 髑髏の龍と禁忌の龍

いざ観光へ!

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 まだ花火まで数時間もあるのに、それでもすでにたくさんのお客さんが来ていた。
「うはっ、すっげー!」
「ほう……これはなかなかいい匂いがします」
「お昼ご飯にしよっ! しよしよしよっ! ねッッ⁉︎」
「バカ落ち着け! お座り! 待てっ待てっ!」
 歓声を上げるケンガ、思わず笑みが溢れるサニー、タネツに首根っこを掴まれてもダッシュで飛び出そうとするセンチア……。
「ああ、オレも楽しみだよ! それじゃあ一旦別々行動で……」
 ナガレがそう言った途端「こらぁっ!」と鋭い声。レンが眉をV字にして睨みつけていた。唯一オシャレな格好で、露出の少ない黒と青のワンピースみたいなパーティドレスを着用している。
 ……大人のセクシーさを目指したらしいが、お遊戯会の女児みたいな雰囲気だ。
「あぁーっ! マスターだけずるいですよっ!」
 フローレンスが怒号を飛ばすも、レンはそれを右から左へ完全スルー。
「ナガレ君は私が直々に監視してやる! 妙なことをされたら堪らんからなっ」
「えぇっ、お、オレですか⁉︎」
 キョトンとした表情で自分を指差すナガレ。それと同時に数人の冒険者が白々しい目でレンを見た。
(コイツ、まさか自分の欲望で……)
「まーナガレ君は可愛いからなー。男どもにナンパされてしまうかも知れぬからのぅー。私がついていてやるのじゃー」
「……ハァ? マスター、それは流石に聞き逃せないですよ」
 コンプレックスに触れ、ギロッと睨みつけるナガレ。実際はライオンの赤ちゃんの威嚇くらい威厳がないものだったが。
「そんなら私を連れて行けるよな?」
「ええ! 死ぬほど食事に付き合わせてやりますとも」
「ふっふっふー、決まりじゃな。それじゃあ行こうナガレ君よ!」
「はいはいっと」
 そう言って歩いていくナガレとレン。それを他の冒険者たちは見送ることしかできなかった。
「ぐんぬぬぬぬ……あのロリババア立場をいいことに出しゃばりやがって……」
「お、おいそんなテンプレみたいな怒り方すんなって」
 ハンカチをギリギリ噛み締めて悔しがるフローレンス。それを嘲笑半分心配半分の顔で見つめるケンガ。
「ま、鎧姿でも仕方がないわね~。タネツ~どっか行きましょ~? ターショ君のお土産買うのに付き合ったげるわ~」
「お、いいか? 悪りぃなヒズマ! 良いのが買えたら、メシを一つだけ奢ってやるよ」
「んもう! タネツったら太っ腹~♪」
「太っ腹なのは本当だけどなガハハ」
 そう言ってタネツとヒズマは並んでお土産屋を探しに行った。
「あれ、センチアさんは? ジョーさんもいませんけど」
「もうどこかへ行きましたよ」
「ファッ⁉︎」
 フローレンスの問いに答えたのはサニー。見ればジョーもセンチアもすでにいなかった。
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