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第十五話 リトル・ドラゴンスレイヤー

特訓の間の雑談

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「え……今の成功なの~?」
「よく分かんねぇよな? なぁターショ」
「う、うん……」
 近くのベンチに座っていた、普段着姿のタネツ、ヒズマ、そしてターショが一斉に首を傾げた。別のベンチにはサニーの姿もある。
「……あ、いたの?」
「あんたが呼んだんでしょーが~! 急に特訓するって言われて、身の着のままここまで来てあげたのに~」
 頬杖を突いて不満げなヒズマ。髪も結ばずに下ろしている。毛皮のマフラーともこもこのロングコートを着て、下にはジーンズを履いていた。手袋や耳当てまでして防寒対策バッチリである。
「ターショ、寒くねえか?」
「お父さん……だから寒くないって。その質問十回目だよ……」
 タネツは毛皮の帽子を被って、暖かそうなジャケットを着て前のボタンを閉めている。シンプルな長ズボンで黒いブーツを履いていた。
 久々の登場になるターショ君は、結構オシャレなニット帽にちょっとサイズ大きめのファーコート、白いスウェットに黒いジーンズに普通の靴といった冬ファッション。ヒズマとタネツが口論の末に買い揃えたものだ。(十一話)
「…………」
 サニーはなにも反応せず、ただひたすらにナガレの『石猿流 棒術之巻』を一生懸命に呼んでいた。……彼のみ格好が普段と変わっていない。シンプルなシャツとズボンで薄手のローブを羽織っている。
「サニー、寒くないの~?」
「エルフですから」
 ヒズマが聞くと、そっけない返事が返ってきた。
 エルフは自然の民であり、暑さや寒さにはめっぽう強い。さすがにモンスターや魔法の属性攻撃は耐えられないが、環境の変化には比較的耐性がある。
「ナガレお兄ちゃん、寒くないの……?」
 ターショが遠慮がちに聞いてきた。ナガレはいつもの鎧姿なので、冷たい風が堪えるだろう。ところがナガレは「へへっ、そんなことないさ」と笑った。
「特訓してりゃ、体もあったまるさ! それにこの鎧ファッションは結構暖かいし、オレはコナキ地方の雪国出身だから寒さにゃ強いのさ」
 ナガレの出身地は寒冷地帯のコナキ地方。冬は真昼を除いて常に氷点下を下回るが、そんな中で遊びまわるほど寒さには強い。
「すごいね……」
「ターショもいつかコナキ地方においで。マリーオウって街は大きな温泉街があってさ。雪山を見ながら入る露天風呂は絶景なんだぜ」
 ナガレはターショの隣のベンチに座る。水筒を手に取り、ぬるめの温度の水を飲んだ。……いや、風にさらされたせいで冷たくなっている。
「温泉かぁ。一度でいいから行ってみてぇな」
「あら、バッファローにもあるじゃない~」
「ああいうのはただお湯をあっためただけの行水施設だ! 俺はコウヨウ地方とかの天然温泉に行きたいの!」
 一応バッファローにも小さな温泉施設はある。(古代ローマの大衆浴場をめっちゃ小規模にした感じの施設)ナガレ達も激しい特訓の後は何回か利用したことはあるが、お湯が結構熱くてずっと浸かっていられない……。
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