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第十四話 女王への叛逆

シンガリ

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「よっしゃ! 後はトンズラするだけだぜ!」
 タネツがそう言って、まだ気絶しているバードを左肩に担いだ。
 彼の言う通り、二人を救出すれば後は撤収するだけ。クイーンスライムを倒そうだなんて微塵も考えていない。情けない話だが、そんなの出来るわけがない。
「そうね、逃げるわよ~!」
 ヒズマもベアンを背中におぶって逃走準備。フローレンスはまだゼェハァ言ってるナガレに手を差し伸べる。
「もう、無茶しないでください……ナガレさんが突っ込んでった時は肝が冷えましたよ」
「たはは、ごめんごめん。でも、早く逃げよう……」
 と、ここでいきなりナガレの顔色が変わった!
「危ないフローレンス! 後ろだっ!」
「え……きゃあーっ!」
 隙ありと言わんばかりに、クイーンスライムのタックルだ! せっかく捕まえた人間を二人も逃がされほとんどブチギレである。
「くっ!」
 咄嗟にサニーが立ち上がり、動けないナガレを抱えて転がった。流石の反射神経だ。それを見たフローレンスは即座に振り向きガード!
 キィンッ!
「く……!」
「フローレンス! だ、大丈夫かっ!」
「はい、こんなの平気です! 私、ガマンするのには慣れてるので」
「……あ、そう。ありがとう」
 さすが何年も虐げられてきた者である。忍耐力は人一倍らしい。とはいえ、やっぱりガマンは体に毒なのだが。
 ナガレたちはすぐ立ち上がる。
「タネツさん! ヒズマさん! オレたちはもう少し時間を稼ぎます。二人を連れて逃げて!」
「おう分かった! 無茶すんじゃねえぞ!」
「後で絶対合流してね! 約束よ~!」
 タッタッタッタッタッ……。
 そう言われて、タネツとヒズマは躊躇なく逃げ出した。全く迷うことなく、背を向けて駆け出す!
「ギーーッ!」
 獲物を逃すものかと後を追うクイーンスライム。しかしその前に三人の冒険者が立ちはだかる!
「ホワイトフレイム!」
 ボォォォォッ!
「プル~⁉︎」
 サニーが剣を振ると、白い炎がバッと広がった。雪の様に白い聖なる炎でクイーンスライムの進撃を防ぐ。
「ブルルー……」
 ボッ……。
 炎はすぐに消えてしまった。だがその瞬間、ナガレとフローレンスが駆け出した!
「サミダレコンボ!」
「アイアンカノンッ!」
 ビシバシビシバシズガガーン!
 ナガレの連撃を与えた直後に、フローレンスの鉄球が飛んでくる。クイーンスライムの巨体が吹き飛び、ゴロゴロ派手に転がった。
「やった! ざまみろこいつ……って、んんっ⁉︎」
 ゴロゴロゴロゴロ……!
 ナガレは目を見張った。クイーンスライムの回転が止まらない……?
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