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第十四話 女王への叛逆

張り巡らせた監視

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(な……そう言うことかよ! クソッ、送った賄賂がこんな形で帰って来ちまった……!)
 悔しげに顔を顰めるナガレ。どうやらトレメインたちはナガレだけでも残したいらしい。あの時送ったウエストサイド・ブルのシャトーブリアンのお返し……だろうが『賄賂で懐柔してすぐ聞き出そう』といつ浅はかな考えで、結果的に自分の首を絞めてしまった。
「レガーナちゃん、大丈夫、落ち着いて」
 トレメインは優しくナガレを抱きしめる。女の子相手に慰めるように、ぎゅっと首に手を回して来た。柔らかい体が密着してくるが、今のナガレにそんな欲望を感じる余裕など無い!
「あ、あの、トレメインさん……」
「誰が喋っていいって言ったの?」
「ひっ! ……な、なんでも無いです」
 焦りまくったナガレの表情に気づいたか、たまらずあのツインテアイドルが声をかけようとした。……が、トレメインにキッと睨まれて後ずさる。
 ……と、ここで青髪のトリゼラが進み出て、トレメインに耳打ちした。至近距離にいたナガレにも、それが聞こえて来た。
「……トレメインさん。ベアンの野郎が出ていってから三十分経ちました。そろそろニシーノ宮跡地に着いたはずです」
 それを聞いてトレメインはにんまりと微笑む。横にいたピンク髪のナスタシアがボソッと呟いた。
「ヒヒヒ……これでヤツらも一貫の終わり、ね」
 周囲のアイドルにも聞こえなかっただろう小声だが、ナガレにはばっちり聞こえていた。
(や、やっぱりか! コイツらが犯人だ! 大変だ、今すぐギルドに報告……いや、それよりも先にフローレンス達だ!)
 トレメインが手を離した隙をついて一気に離脱! そのままドアから飛び出そうとした時、後ろから声を投げかけられた。
「……どこ行くの、レガーナちゃん? お家に帰る、それだけだよね……?」
「……!」
 驚いて一瞬動きが止まる。トレメインの声に初めて怒気が宿った。アイドルスマイルの陰に隠れたイライラやムカムカが現れたようだ。
「でも大丈夫! レガーナちゃんを見かけたら『説得』してもらえるように、一軍のみんなに頼んであるんだ☆」
「せ、説得?」
 振り返ったナガレに、トレメインは意地悪な笑みを浮かべた。
「うん! みんなに出口を見張ってもらってるの☆ ラストハーレムズのみんなが勝手な行動をしないようにだけど、レガーナちゃんにも落ち着いてもらわなきゃだからね☆」
(……な……なんて野郎だ! ここまで計算ずくだったのか⁉︎)
 間違いなく、ナガレを脅している。「お前のことは常に見張っているぞ」と言いたいのだろう。
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