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第十三話 スライムパニック

ベアンの帰還

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「……んぁーっ、疲れた……」
「あ、ベアン先輩。お帰りなさい。疲れてるように見えますけど、なんか嫌な話だったんですか?」
(なぬ! もう帰って来たか!)
 ここで談話室の扉を上げて、ベアンが帰って来た。顔色が悪く、若干機嫌も悪い。
「そうそう。詳しくは話せねーんだけどさぁ、アイツあーしに仲間を売れみたいなこと言って来やがって。しつこかったけどバシッとすっ飛ばして帰らせてやったよ」
「へ、へぇ~、どんな人だったんですか?」
 本当はグイグイ聞きたい気持ちを抑え、ナガレはしれっと聞いてみた。
「ん、レガーナちゃんいたのか。ご苦労さん。……えーとな、別に普通っぽい人だったぞ? 礼服のタキシード着た妙な美魔女のオバサンだった。外見だけならヘンな感じはなかったけど」
「どんなこと話したんですか?」
「悪いけどさ、そりゃ言えねーんだわ。約束だからな。いけすかない野郎でも、約束は守らにゃいかん」
「そうなんですね……分かりました、無理には聞きません」
 どうやらベアンから聞き出すのは、諦めるしかなさそうだ。無理やり聞き出そうとしても、コテンパンにやられて返り討ちだろう。
 ……と、ここでベアンの目がキラリと光る。
「……なに、レガーナちゃんそんな気になっちゃう?」
「え? いや、それほどでは」
「レガーナちゃんにだけは、コッソリ教えてあげよっかァ~? でもなぁ、タダで教えんのもなんだかなぁ~。二人きりでお出かけでもすれば、口も軽くなっちゃうかもなァ~♡」
「……はいはい、機会があればぜひってことで」
(レガーナちゃん、受け流しがもう上手くなってるッスね)
(ウチらでも半年くらいかかったのに、レガーナちゃんもやるやんけ)
 さすが仲良しコンビ、視線だけで会話するバードとジーカ。それはさておきフローレンスが口を開く。
「あのベアンさん、実は私たち、明後日クエストにいこうって話してたんです。詳しい内容はかくかくしかじかで……」
「ほうほう?」
「という事なんですが、ぜひ一緒に来てくれませんか? ベアンさんがご一緒してくれれば、とっても安心なんですが」
「そうか。よし、あーしにまかせとけ!」
 ベアンはニヤッと笑って、グッと親指を立てる。
「最近先輩らしいとこ見せてなかったかんな。あーしだって討伐組のボス格ってトコたまにゃアピールしてやんよ!」
(レガーナちゃんがいるからか、やる気になっとんなぁパイセン)
(レガーナちゃん! 頼むッス、もっとおだててやだて欲しいッス!)
「え……う、うん。……すご~い! カッコいいですベアン先輩~! 頼もしいです~♡」
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