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第十二話 猛き冠、森林の蹄
正体は一体⁉︎
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「誰だ…………って、な⁉︎」
そこから入ってきた一人の女の子を見て、ジョーは目を見開いた! 彼だけではない。冒険者たちは全員唖然としている。
そこにいたのは、雪のような美しい白髪の、鎧を着た美少女だったからだ。
「ほら、お辞儀しなって」
「…………」
俯きがちの女の子は、アリッサに背中を軽く叩かれてペコリと頭を下げる。
艶やかなストレートヘアーで褐色肌、綺麗な細眉、透き通るような黒目……ナチュラルなメイクもバッチリだ。
鎧はシンプルな銀色の女性用ライトアーマーを装着している。鉄で補強されたロングブーツと、まるでスカートのようなそして上から黒いレザージャケットを羽織って、首には緑のスカーフを……。
(…………ん? この姿、どこかで見覚えが……?)
冒険者たちの脳裏に、そんな記憶がよぎる。というかあの顔どこかで見たような……。
するとサニーがぽつりと呟いた。
「ナガレさん、どうしてそんな格好をしていらっしゃるんですか?」
すると女の子は、顔を紅潮させながらも気丈にサニーを睨みつける。
「……なんだよサニー、言いたいことあんなら言えよ!」
「「「…………えぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ⁉︎」」」
タネツもヒズマもレンもアルクルも、あのジョーまで一斉にひっくり返った。そのハスキーなボイスは、まごう事なきナガレのものだったからだ。
「ま、まさか、作戦って……」
恐る恐る口を開くタネツ。ナガレはコクコク小さく頷いた。
「……そうだよ。オレが女装してラストハーレムズに侵入するんだ。男ってバレなきゃヘーキだけど……あのさぁ、もっと他に方法なかったのか……」
スカート上の鉄製腰巻きをフリフリさせながらゴネるナガレ。頑なに誰とも顔を合わせようとしない。
「すまんが、仕方がなかろう。ここでチャンスを逃したらこのギルドは解散じゃ。マッシバーの思い通りになってしまう。そうなればあやつは絶対にあざ笑ってくるのじゃ」
「今の状況を見ても絶対笑うわ!」
「落ち着けってナガレ君。俺たちは無理強いしてないぞ。ナガレ君が良いって言ったからこうした訳で……」
「だって、他に手段がないじゃんか。もぅ……もうヤダ勘弁してくれ」
ナガレはまるで子供のように、真っ赤な顔を覆って地べたに座り込む。
「それにもし潜入できたとして、本当に情報を入手できるのかぁ?」
「それは心配ないでしょう。タイガスのギルドマスターは嘘をつかない尊敬される人物だと聞いています。きっと手がかりを掴めますよ」
サニーはにっこり笑う。
「……どうせ、大したこと知っちゃいませんし」
「ん、なんか言ったか?」
「いえ? 何も言ってませんが、どうかしました?」
アルクルに聞かれて、サニーはニッコリと笑いかける。見ている人を安心させるような微笑みだ。
「だーいじょーぶだってナガレ君! イケイケのティーンエイジャーであるあたしが、ウデにヨリをかけてメイクもヘアセットもしたから! 素材が良かったからすんごく可愛くなったよ!」
「ケンカ売ってんのか! 人が気にしてることベラベラ言いやがって!」
ギャンギャン騒ぐナガレだが、それ以外は「うーん……」と唸って考え込んだ。
正直、最適解である……こんな姿ではとてもオトコとは思えないだろう。こんな可愛い子にナニがツイてるなんて、常人には想像も出来ないに決まってる。
そこから入ってきた一人の女の子を見て、ジョーは目を見開いた! 彼だけではない。冒険者たちは全員唖然としている。
そこにいたのは、雪のような美しい白髪の、鎧を着た美少女だったからだ。
「ほら、お辞儀しなって」
「…………」
俯きがちの女の子は、アリッサに背中を軽く叩かれてペコリと頭を下げる。
艶やかなストレートヘアーで褐色肌、綺麗な細眉、透き通るような黒目……ナチュラルなメイクもバッチリだ。
鎧はシンプルな銀色の女性用ライトアーマーを装着している。鉄で補強されたロングブーツと、まるでスカートのようなそして上から黒いレザージャケットを羽織って、首には緑のスカーフを……。
(…………ん? この姿、どこかで見覚えが……?)
冒険者たちの脳裏に、そんな記憶がよぎる。というかあの顔どこかで見たような……。
するとサニーがぽつりと呟いた。
「ナガレさん、どうしてそんな格好をしていらっしゃるんですか?」
すると女の子は、顔を紅潮させながらも気丈にサニーを睨みつける。
「……なんだよサニー、言いたいことあんなら言えよ!」
「「「…………えぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ⁉︎」」」
タネツもヒズマもレンもアルクルも、あのジョーまで一斉にひっくり返った。そのハスキーなボイスは、まごう事なきナガレのものだったからだ。
「ま、まさか、作戦って……」
恐る恐る口を開くタネツ。ナガレはコクコク小さく頷いた。
「……そうだよ。オレが女装してラストハーレムズに侵入するんだ。男ってバレなきゃヘーキだけど……あのさぁ、もっと他に方法なかったのか……」
スカート上の鉄製腰巻きをフリフリさせながらゴネるナガレ。頑なに誰とも顔を合わせようとしない。
「すまんが、仕方がなかろう。ここでチャンスを逃したらこのギルドは解散じゃ。マッシバーの思い通りになってしまう。そうなればあやつは絶対にあざ笑ってくるのじゃ」
「今の状況を見ても絶対笑うわ!」
「落ち着けってナガレ君。俺たちは無理強いしてないぞ。ナガレ君が良いって言ったからこうした訳で……」
「だって、他に手段がないじゃんか。もぅ……もうヤダ勘弁してくれ」
ナガレはまるで子供のように、真っ赤な顔を覆って地べたに座り込む。
「それにもし潜入できたとして、本当に情報を入手できるのかぁ?」
「それは心配ないでしょう。タイガスのギルドマスターは嘘をつかない尊敬される人物だと聞いています。きっと手がかりを掴めますよ」
サニーはにっこり笑う。
「……どうせ、大したこと知っちゃいませんし」
「ん、なんか言ったか?」
「いえ? 何も言ってませんが、どうかしました?」
アルクルに聞かれて、サニーはニッコリと笑いかける。見ている人を安心させるような微笑みだ。
「だーいじょーぶだってナガレ君! イケイケのティーンエイジャーであるあたしが、ウデにヨリをかけてメイクもヘアセットもしたから! 素材が良かったからすんごく可愛くなったよ!」
「ケンカ売ってんのか! 人が気にしてることベラベラ言いやがって!」
ギャンギャン騒ぐナガレだが、それ以外は「うーん……」と唸って考え込んだ。
正直、最適解である……こんな姿ではとてもオトコとは思えないだろう。こんな可愛い子にナニがツイてるなんて、常人には想像も出来ないに決まってる。
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