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第十一話 さらば、アタカンの子息

戦闘・デスパイダー!

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「キシャシャシャシャシャッ!」
 不気味な大顎をガシャガシャ鳴らして威嚇するデスパイダー。二メートルほどの図体で、茶色い甲殻に八本足、八つの眼が爛々と輝いている。
「行くぞフローレンス!」
「はいっ!」
 ナガレはマルチスタッフを構えて走り出す。フローレンスも鎖をブンブン振り回して鉄球をぶっ飛ばした!
 バシバシバシッ……ドガァン!
「ギュルッ……!」
 ナガレの長棒による乱打を喰らった直後にフローレンスの鉄球がヒットして、デスパイダーは大きく後ずさる。もうすでに、頭部にヒビが入っている……。
「……ありゃ? おっそろしい見た目なのに、そこまで強くないぞ」
 なんだか拍子抜けするナガレ。確かに外見はデカい蜘蛛そのものでおっかないが、所詮はDランクである。昨日レンが言っていたようにあくまでも格下なので、真っ向勝負で戦えば大して強くないのだ。
「へへっ、でも油断はしない……悪いが全力で叩き潰す! 速攻で決めるぞフローレンス!」
「もちろんです! 最初からクライマックスですよ~っ!」
 ナガレはマルチスタッフを振り回し、敵の脳天に思い切り振り下ろす。
「キシャーッ……ギギッ!」
 咄嗟に回避しようとしたデスパイダーだが、避けきれずカスってしまった。今までなら避けられたかもしれないが、ナガレも日々少しずつ成長しているのだ!
「はぁぁぁぁっ!」
 そこへフローレンスの鉄球が飛んでくる。しかし力任せに振り回すのではなかった。
「ここっ!」
 タイミングを合わせて鎖をグッと回すと、それが鉄球へ繋がり高速スピン! 
「くらえ、ジャイロカノンッ!」
 ギュオォォォォォッ……バシィッ!
「ガガーーーーッ⁉︎」
 鉄球が唸りを上げてデスパイダーに突っ込み痛烈にぶっ飛ばす! その衝撃でデスパイダーの前足が一本へし折れて、悲痛な叫び声を上げた。
「や、やった! やりました!」
「ナイスだフローレンス! よぉしオレだって……」
 ナガレは倒れたデスパイダーへ、なおも攻撃の乱打を叩き込む。特訓の末に編み出した、回転を取り入れた振り回し連撃だ!
「はぁぁぁっ!」
 バシドガッ!
「ギシャッ!」
「まだまだっ!」
 二撃入れた体勢から、半回転して二連続の振り下ろし!
 ズドン! ゴスッ!
「ギギィッ⁉︎」
「コイツでシメだ!」
 デスパイダーが怯んだ隙に、舞うように優雅なバク宙で距離を取る。そしてマルチスタッフを構え、姿勢を低くして突撃!
「特訓の成果を見せてやるっ!」
 そのまま突っ込みながら『∞』の形を描くように、何度も長棒で打ちつけた!
「石猿流棒術……じゃないな。ナガレ流棒術サミダレコンボ!」
 バシバシバシバシバシバシバシバシバシィッ!
「ギ…………ギシャーーーーッ!」
 ドガァッ!
 トドメの突きをくらって、デスパイダーはフラフラと後退した。名前は今考えただけだが、合計数十発の殴打はかなりのダメージになったはずだ。
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