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第十話 闇を抱える爆音波
新メンバー!?
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キィィィッ……。
「マスター、いるー? さっきここにジョーが……」
「ぬおぉっ!? ナガレ君! 素晴らしいニュースじゃ!」
「グットタイミングってやつだ! ささ、入った入った」
「え、なになに!?」
扉を開けた瞬間、レンとアルクルが急に中へ引っ張って来た。
「……ナガレか」
「あ、ジョーじゃん。おはよー」
すると、近くの壁にジョーがもたれかかっている。気さくに挨拶すると、片手を上げて返してくれた。
「ジョーさ、さっき誰かと歩いてなかったか? オレ、それが気になってついてきたんだ」
そうナガレが聞いてみると、ジョーは黙ってカウンターの方を指さした。見ればそこに立っている人物がこちらを見ている。特徴的な長い耳に痩せた顔に高めの身長…先ほど見たエルフだ。
「え、誰だいアンタ?」
聞いてみると、エルフはにこりとほほ笑んだ。穏やかな笑顔だ。
「あなたがナガレさんですね。噂はこの方から聞いております」
なんだか馴れ馴れしく感じたナガレは、キッと目を細めてエルフを睨みつけた。
「オレの話……? やいこの、お前は一体何者だ! もったいつけずに正体を現せ!」
「私はAランク冒険者の、サニー・ワカセラというものです。本日よりこちらの冒険者ギルドへ加入させて頂きますね。どうか、よろしくお願いします」
「Aランク……冒険者……? それに、このギルドへ加入だとぉ⁉︎ な、なな、なんだってぇ~~っ⁉︎」
ナガレの表情がパァッと明るくなる。すぐに掌を返してニコニコしながらそのエルフ、サニーの手を取ってブンブン握手した。
「そ、そうだったのかぁ~! いやあ失礼なこと言って悪かったよ! オレはナガレ・ウエスト! オレCランクだからサニーのが先輩だな! あ、敬語使った方がいいか?」
凄まじい変わり身に、サニーもたじたじだ。
「い、いえ大丈夫ですから……こちらこそよろしく……」
「…………」
その光景を黙りこくって見ているいるジョー。すると、いつの間にか入り込んでいたドロシーが近づいて来た。
「ところでジョーさんはー、どうしてあの人と歩いてたんですかー?」
すると、ジョーはぷいと顔を背けてしまう。
「……冒険者ギルドへ案内を頼まれた」
「なあんだ、そんな理由ですかー」
大した事ではなく、少しガッカリするドロシー。しかしジョーは「だが……」と話を続ける。
「……一つ、引っかかる事がある。俺と道端で会った時、奴は『冒険者のサニーです。よろしくお願いします』と言っていた。」
「自己紹介くらい誰でもすると思いますよー?」
「問題はその後だ。奴は俺に『これから同僚として、よろしくお願いしますね』とも言った。俺は『……冒険者ではない』と伝えると、奴は驚いたように『本当ですか? それは失礼しました』と言った」
「はぁ、それでー?」
ドロシーにはまだジョーの言おうとしていることが分からない。
「……奴はなぜ俺を冒険者だと思ったんだ。こんな普段着で歩いている奴を、よくも冒険者と間違えたものだ」
(……確かにその格好じゃ冒険者には見えませんねー。チンピラみたいな服装ですしー……)
ドロシーの感想はさておき、確かにジョーはカジュアルな普段着姿だ。それを初対面で冒険者と間違えるのは確かに無理がある……かもしれない。
「……奴は俺のことを知っているのかもしれん。俺の過去を知っている者は、ラグナロクのメンバー、そしてナガレたち冒険者一同くらいだ……」
「え? 正体? ラグナロク? あのー、一体何を……」
ドロシーは困ったように聞き返す。ジョーの事情を全く知らないドロシーは、会話に全くついていけなくなってしまった。
「……怪しい奴だな」
しかしジョーの思惑とは反対に、ナガレはすっかり歓迎ムードだ。
「ねえねえ、どこから来たの? 年齢は? 武器は? 防具は? ステータスは? スキルはあるの?」
「よさぬかナガレ君、サニーが困っておるぞ」
「マスター、呼び捨ては良くないんじゃないんすかね」
「余計な心配じゃ。初対面だろうが、エルフ同士はみな心の友である。私はレン・アンラウ・カーイセインじゃ」
「ええ、その通りですよレンさん。……ナガレさんでしたか? 私はポーツ地方のサカンという村から来たんです。この町に家も借りました」
「マジか! 後でその話してくれよな! タネツさんたちも絶対喜ぶぞ~……今日はお祝いしたいからさ、酒場で歓迎会しよう!」
「い、いえ、エルフは酒をあんまり好まないんです。人間味の強い趣向品はちょっと……」
「じゃあバーテンダーさんに別のを用意してもらうからさ! じゃあオレ、タネツさんとヒズマさん呼んでくる! あ、できればケンガもな!」
そう言って元気に駆けていってしまった。
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