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第十話 闇を抱える爆音波
謎のエルフ?
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~☆~☆~☆~☆~☆~
「あの時のイチコさん、マジギレ五秒前だったよな」
「あの人、一応この仕事にプライド持ってますからねー。ナガレさんといえど、バカにしちゃいけませんよー」
「そうだよなぁ……今度タイガスに行く時、お土産買ってご機嫌取りしようっと。それじゃあ、またなドロシー!」
「あ、ちょっとー!」
そのまま去っていくナガレを、勇気を出して呼び止めるドロシー。
「ん、どしたの?」
「あ、あー、えーっとですねーそのー……」
しばらくモジモジしていたが……。
「あ! そうだえーと……も、もうすぐ秋ですねー!」
「………………そうだな!」
しばらく沈黙したのち、屈託のないにこーーーーっとしたスマイルを浮かべるナガレ。
「でもまだ暑いよなぁ……地元のコナキ地方じゃ、もうこの時期にゃもう雪降ってるのに」
「そ、そうなんですねー! もっと地元の話してくださいー!」
チャンスとばかりにドロシーが擦り寄って来た。そのまま『偶然』すぐ近くにあったベンチへナガレを誘導しようとする。
ちなみにベンチがあるのは偶然である。少し離れた建物の角からヒツジ頭のイチコさんが覗いているのは何も関係ない。
「全然いいよ! ちょうどこの時期から、冬に備えた貯蔵とか大掃除とか始めてさぁ。冬になると天気が悪い日は、窓を開けられないくらい雪が積もっちゃって……ありゃ?」
「え、どうしたんですかー?」
「ほら、あれ見てみろよ!」
ナガレが指差した先にいたのは……。
「あらら、ジョーさんじゃないですかー。いつも通り暑そうなマスクしてますねー」
そこにいたのは、いつもの黒マスクをつけたジョーがいた。黒いTシャツにハーフパンツで、涼しげなサンダルを履いている。頭にはサングラスを乗っけて、首にはチェーンのネックレス……かなりチャラい格好だ。
「ジョーさんの普段着って、あんな感じなんですねー」
「いや、あれはどうせアリッサが着せたコーデだろうよ……ってちげーよ、見てほしいのはその隣だよ!」
ナガレが言う通り、ジョーの隣に一人の男性がいる。色白の肌にちょっと痩せた顔立ちで、身長が結構高めの男だ。茶色い革製のレザーアーマーの上から、緑の葉っぱをたくさん貼り付けた、いわゆるギリースーツを羽織っている。はっきり言ってかなりの美形……穏やかそうな塩顔のイケメンだ。
「ほれ、アイツの耳を見てみろ!」
「え、耳? ……あー!」
ドロシーはちょっとビックリして、口元に手を当てた。その男の耳はピンととんがっている。人間の耳ではない……あれは森の民エルフだ!
「……いや、エルフがどうしたって言うんですかー。ナガレさんの目の前にいるドロシーちゃんの種族はなんだってんですかー?」
「いやそこじゃない。この町にエルフなんて、ウチのマスターくらいしかいなかったじゃん。それがどうしてジョーの奴と……」
「まーそうですけど……あれ、よく見たらなんだか、楽しそうな雰囲気じゃないですねー。あ、ギルドに入っていきましたよー!」
ジョーと謎のエルフは冒険者ギルドへ入っていく。ますます訳が分からない。
「なんだなんだぁ? 行ってみるか」
「あ、ちょ、置いてかないでー!」
ナガレも後を追って歩き出す。ドロシーも慌てて後に続いた。
「あーん、せっかく久しぶりに二人きりだと思ったのにー!」
「え? なんて?」
「なんで聞かねえんだよ! 結構大きめの声で話しましたけど⁉︎」
「あの時のイチコさん、マジギレ五秒前だったよな」
「あの人、一応この仕事にプライド持ってますからねー。ナガレさんといえど、バカにしちゃいけませんよー」
「そうだよなぁ……今度タイガスに行く時、お土産買ってご機嫌取りしようっと。それじゃあ、またなドロシー!」
「あ、ちょっとー!」
そのまま去っていくナガレを、勇気を出して呼び止めるドロシー。
「ん、どしたの?」
「あ、あー、えーっとですねーそのー……」
しばらくモジモジしていたが……。
「あ! そうだえーと……も、もうすぐ秋ですねー!」
「………………そうだな!」
しばらく沈黙したのち、屈託のないにこーーーーっとしたスマイルを浮かべるナガレ。
「でもまだ暑いよなぁ……地元のコナキ地方じゃ、もうこの時期にゃもう雪降ってるのに」
「そ、そうなんですねー! もっと地元の話してくださいー!」
チャンスとばかりにドロシーが擦り寄って来た。そのまま『偶然』すぐ近くにあったベンチへナガレを誘導しようとする。
ちなみにベンチがあるのは偶然である。少し離れた建物の角からヒツジ頭のイチコさんが覗いているのは何も関係ない。
「全然いいよ! ちょうどこの時期から、冬に備えた貯蔵とか大掃除とか始めてさぁ。冬になると天気が悪い日は、窓を開けられないくらい雪が積もっちゃって……ありゃ?」
「え、どうしたんですかー?」
「ほら、あれ見てみろよ!」
ナガレが指差した先にいたのは……。
「あらら、ジョーさんじゃないですかー。いつも通り暑そうなマスクしてますねー」
そこにいたのは、いつもの黒マスクをつけたジョーがいた。黒いTシャツにハーフパンツで、涼しげなサンダルを履いている。頭にはサングラスを乗っけて、首にはチェーンのネックレス……かなりチャラい格好だ。
「ジョーさんの普段着って、あんな感じなんですねー」
「いや、あれはどうせアリッサが着せたコーデだろうよ……ってちげーよ、見てほしいのはその隣だよ!」
ナガレが言う通り、ジョーの隣に一人の男性がいる。色白の肌にちょっと痩せた顔立ちで、身長が結構高めの男だ。茶色い革製のレザーアーマーの上から、緑の葉っぱをたくさん貼り付けた、いわゆるギリースーツを羽織っている。はっきり言ってかなりの美形……穏やかそうな塩顔のイケメンだ。
「ほれ、アイツの耳を見てみろ!」
「え、耳? ……あー!」
ドロシーはちょっとビックリして、口元に手を当てた。その男の耳はピンととんがっている。人間の耳ではない……あれは森の民エルフだ!
「……いや、エルフがどうしたって言うんですかー。ナガレさんの目の前にいるドロシーちゃんの種族はなんだってんですかー?」
「いやそこじゃない。この町にエルフなんて、ウチのマスターくらいしかいなかったじゃん。それがどうしてジョーの奴と……」
「まーそうですけど……あれ、よく見たらなんだか、楽しそうな雰囲気じゃないですねー。あ、ギルドに入っていきましたよー!」
ジョーと謎のエルフは冒険者ギルドへ入っていく。ますます訳が分からない。
「なんだなんだぁ? 行ってみるか」
「あ、ちょ、置いてかないでー!」
ナガレも後を追って歩き出す。ドロシーも慌てて後に続いた。
「あーん、せっかく久しぶりに二人きりだと思ったのにー!」
「え? なんて?」
「なんで聞かねえんだよ! 結構大きめの声で話しましたけど⁉︎」
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