上 下
107 / 302
第五話 荒野のスカベンジャー!

ついに昇格!

しおりを挟む

~☆~☆~☆~☆~☆~

「ア……アァ……ひ、ひぬかと思った……」
「……早く逃げろと言ったのに」
 そんな訳でバッファローの街まで全力疾走したナガレたち。最後尾のナガレはホクス平原まで追いかけられ大変だった……。
「ハァハァ……よ、よくアイツを撒けたわね~……」
「森に入ったらどっかに行きました……じ、じぬぅ……」
「そ、そろそろ降りてくんねぇか?」
「もう少しお願いしまずぅ~……」
 タネツにおぶってもらいながら、ナガレはなんとか息を整える。逆にジョーはあれだけの速度で走りながら、ほとんど息を切らせたりしていない。

「おっ? お帰り、遅かったな……わーっ⁉︎」
「なんじゃアルクル、でかい声出しおって……ふぇぇーーっ⁉︎」
 ギルドに入ってきたボロボロの一行を見て、アルクルとレンは相当驚いたようだ。
「な、ナガレ君⁉︎ 装備が所々コゲてるぞ⁉︎」
「何があったのじゃ! ロックホークは討伐出来たかの⁉︎」
「ちょ、ちょっと休ませてぇ……」
 冒険者トリオは疲労のあまり、床に倒れ込んでしまった。
「……何があったかは、俺が説明します」
「アックス殿⁉︎ まさかロックホークを手伝ってしもうたのか!」
「いえ……ロックホークを倒したのは、ナガレたちです。俺は何も助けていません。ですが倒した直後にレッドワイバーンが現れたのです」
 そうしてジョーは、何が起こったのかを丁寧に説明する。最初は慌てていたレンとアルクルも、だんだん深刻な表情になってきた。
「むぅっ……まさかレッドワイバーンまで現れるとは。事態は想像以上におかしくなっておるんじゃのう」
「レッドワイバーンは火山地帯に生息するモンスターだ。こんなところにいるのはおかしい……ロックホークを追いかけ回していたのも妙だな。火山近くに迷い込んだロックホークをここまで追いかけ回したってことなのか?」
 二人して考え込んでいる間に、ようやくナガレが立ち上がった。
「あー疲れた……そうだ、これロックホークの皮です。これで証明になります?」
 背負っていたズタ袋から、大きめの皮をアルクルに差し出した。残念ながら所々コゲているが、ほとんどは無事だったようで、新品そのものである。
「ふーん、確かにロックホークの素材だ。マスター、これクエスト達成でいいっすかね?」
「うむ……死体が見つかるか分からんのが心配じゃが……。まあ問題はないじゃろう」
「そ、それじゃあ……」
 目を輝かせるナガレ。レンはにっこり笑って、ナガレに小さなバッジのようなものを差し出した。
「うむ! ナガレ・ウエストよ! そなたをこれよりC級冒険者に昇格する! より一層励むのじゃぞ」
「こ、これはライセンスか!」
 震えながらバッジを受け取り、スカーフにピンとつけてみる。銅で出来たC級ライセンスは、心なしかピカピカに光って見えた。

「やった……いーやったぁーーっ!」
 ついに喜びが爆発して、ナガレは完全復活! その勢いのままジョーに飛びついた!
「ぐわっ⁉︎」
「どうだどうだジョーっ! オレもCランクだぞーっ! あと三回でお前に追いつくんだーっ! わーっはっはっはっは~!」
「く……フフッ、そうだな……」
 ジョーは少し嫌そうな表情だったが、ナガレを拒絶することはなかった。彼もまた、努力の成果を認めているのかもしれない。
「よぉっしよくやったナガレ! こりゃ昇格を祝って酒盛りだな!」
「え、タネツ奢ってくれるの~⁉︎ 私なんにもしてないのに悪いわね~」
「え、いやそんなこたぁ一言も……」
「マジっすか⁉︎ ゴチになりまっす!」
 タネツが何かいう前に、ナガレとヒズマに手を引っ張られていく。
「ジョー! おめーも来いよ! タネツさんが奢ってくれるってさ!」
「だからそんなこと言ってねぇよ~っ!」
「あはははははは~っ!」
 そう言ってギルドを出ていく一向。その姿を見送りながら、ジョーはマスクの下で微笑んだ。
(……フッ、たまにはこんなのも良いか……)
 そう心中で呟いて、その後を歩いて追いかける。真っ赤な夕陽を浴びながら、一行は酒場へ歩いていった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

天然ボケ巨乳委員長と処女ビッチ巨乳ダークエルフと厨二病の俺。

白濁壺
ファンタジー
廊下でぶつかったマサトとミチルは異世界に転移させられてしまった。マサトは製作(クリエイト):素材さえあれば何でも作れる能力を。ミチルは選別(ソート):あらゆる物を選別する能力を得た。異世界で仲間になる褐色のエルフと一緒に現代日本に帰る方法を探るうちに。いつの間にか魔王を倒すことになっていた二人だが。異世界、宿屋。若い二人に何も起きないはずがなく。ちょっぴりエッチな青春ファンタジー。

ロリっ子がおじさんに種付けされる話

オニオン太郎
大衆娯楽
なろうにも投稿した奴です

生贄にされた先は、エロエロ神世界

雑煮
恋愛
村の習慣で50年に一度の生贄にされた少女。だが、少女を待っていたのはしではなくどエロい使命だった。

妻がエロくて死にそうです

菅野鵜野
大衆娯楽
うだつの上がらないサラリーマンの士郎。だが、一つだけ自慢がある。 美しい妻、美佐子だ。同じ会社の上司にして、できる女で、日本人離れしたプロポーションを持つ。 こんな素敵な人が自分のようなフツーの男を選んだのには訳がある。 それは…… 限度を知らない性欲モンスターを妻に持つ男の日常

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

お嬢様、お仕置の時間です。

moa
恋愛
私は御門 凛(みかど りん)、御門財閥の長女として産まれた。 両親は跡継ぎの息子が欲しかったようで女として産まれた私のことをよく思っていなかった。 私の世話は執事とメイド達がしてくれていた。 私が2歳になったとき、弟の御門 新(みかど あらた)が産まれた。 両親は念願の息子が産まれたことで私を執事とメイド達に渡し、新を連れて家を出ていってしまった。 新しい屋敷を建ててそこで暮らしているそうだが、必要な費用を送ってくれている以外は何も教えてくれてくれなかった。 私が小さい頃から執事としてずっと一緒にいる氷川 海(ひかわ かい)が身の回りの世話や勉強など色々してくれていた。 海は普段は優しくなんでもこなしてしまう完璧な執事。 しかし厳しいときは厳しくて怒らせるとすごく怖い。 海は執事としてずっと一緒にいると思っていたのにある日、私の中で何か特別な感情がある事に気付く。 しかし、愛を知らずに育ってきた私が愛と知るのは、まだ先の話。

妹を見捨てた私 ~魅了の力を持っていた可愛い妹は愛されていたのでしょうか?~

紗綺
ファンタジー
何故妹ばかり愛されるの? その答えは私の10歳の誕生日に判明した。 誕生日パーティで私の婚約者候補の一人が妹に魅了されてしまったことでわかった妹の能力。 『魅了の力』 無自覚のその力で周囲の人間を魅了していた。 お父様お母様が妹を溺愛していたのも魅了の力に一因があったと。 魅了の力を制御できない妹は魔法省の管理下に置かれることが決まり、私は祖母の実家に引き取られることになった。 新しい家族はとても優しく、私は妹と比べられることのない穏やかな日々を得ていた。 ―――妹のことを忘れて。 私が嫁いだ頃、妹の噂が流れてきた。 魅了の力を制御できるようになり、制限つきだが自由を得た。 しかし実家は没落し、頼る者もなく娼婦になったと。 なぜこれまであの子へ連絡ひとつしなかったのかと、後悔と罪悪感が私を襲う。 それでもこの安寧を捨てられない私はただ祈るしかできない。 どうかあの子が救われますようにと。

♡蜜壺に指を滑り込ませて蜜をクチュクチュ♡

x頭金x
大衆娯楽
♡ちょっとHなショートショート♡年末まで毎日5本投稿中!!

処理中です...